著者
竹之下 美穂 吉川 達也 加藤 雄一 佐藤 智子 豊福 明
出版者
Japanese Society of Psychosomatic Dentistry
雑誌
日本歯科心身医学会雑誌 (ISSN:09136681)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1-2, pp.46-50, 2008-12-25 (Released:2011-09-20)
参考文献数
11

Atypical Odontalgia (AO) is a condition characterized by tooth pain with no apparent cause and hypersensitivity to stimuli in radiographically normal teeth. Patients complain of continuous pain even after extended endodontic treatment. This report presents two cases of AO in patients who visited our clinic in 2007 from the psychosomatic perspective. We examined their medical histories, treatment procedures and prescriptions as described in their medical records.(Case 1)Female, 39 years old. Chief complaint: Pain on the right maxillary second premolar. The patient felt pain on the right maxillary first molar and the crown of the tooth was removed. She subsequently changed clinics and the tooth was extracted. Laser therapy and a pulpectomy were provided on account of the pain but she again changed clinics because of the constant toothache. She visited our clinic while receiving treatment at a pain clinic. SAIDs and milnacipran were ineffective. The pain was alleviated by amitriptyline.(Case 2)Female, 38 years old. Chief complaint: Post extraction pain on the right maxillary molar and right orbital pain. The right maxillary molar was extracted after repeated root canal treatment (RCT) but the pain remained following tooth extraction and she next visited oral surgery. She was diagnosed as normal by the oral surgeon, and then visited our clinic. She refused to take antidepressants at first in spite of repeated counseling to do so, but did agree to take the medicines after three months. The pain was relieved by amitriptyline.It is very difficult to diagnose AO due to the very nature of dental treatment. Despite the reports that some antidepressants are effective against AO, dentists often have difficulty in treating AO patients due to individual variations in the response to medicines. Further, as the patients themselves believe that their pain is caused by dental problems, they sometimes refuse antidepressants. Patients are inclined to become angry or distrustful because of their prolonged pain and repeated dental treatment, so it is important both to prescribe appropriate medications and to be receptive and listen attentively to what they say.
著者
吉川 虎雄 貝塚 爽平 太田 陽子
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
地理学評論 (ISSN:00167444)
巻号頁・発行日
vol.37, no.12, pp.627-648, 1964-12-01 (Released:2008-12-24)
参考文献数
18
被引用文献数
23 27

土佐湾北東岸に発達する海鍛丘は,上位より羽根岬面,室戸岬面および沖鷲地に分け皇れ,いずれも南東より北西に低くなる.室戸岬面の高さは南海地震の際の隆起量と正の相関を不し,地震削の沈降量とは負の相関を示す.約120年を周期としておこった大地震の際の室戸岬付近の隆起は,その間の沈降よりも大きく,段丘面の高度分布はこのような隆起沈降を差引した結果である南東より北西への傾動陸起にキって決定されたと考えられる.このような隆起地域であるにもかかわらず,各段丘面の形成過程に沈水期が挾まれているのは,氷期後の海面上昇速度が地盤の隆起速度を上回ったからに他ならない. 室戸岬面は,その地形発達の過程より判断して,約9万年前にはじまる. Riss- Würm問氷期に形成されたと考えられる.室戸岬付近の大地震1周期の問における地盤隆起の平均速度は約2mm/年と算定され,もしRiss-Würm問氷期以後かかる性質の地殼変動が一様に継続したとすれば,室戸岬面は室戸岬付近において約180mの高さにあるはずであるが,これは事実と一致する.また水準測量の結果によると,安田の水準点を基準とした吉良川の水準点の高度は,大地震1周期の問に平均1.2mm/年の割含で増大しているが,もしRiss.Würm間氷期以後このような地殼変動がつづV・てきたのであれば,室戸岬面は吉良川において安田よりも細10m高いはずであるが,これも事実とほぼ一致する.したがって, Riss-Würm間糊以後,室戸岬付近は現在と同じく平均2mm/年の速さで北西へ傾動しつつ隆起してきたと考えられる. このような地殼変動と第四紀における海面変化とを複合した結果は,この海岸の地形発達の過程とよく一致するので,この地域の海岸段丘の分化を生じたのは,地殻変動の緩急ではなく・海面変化の結果であり,その間地殼変動はほぼ一様に推移したと考えられる.
著者
中谷 裕美子 岡野 司 大沼 学 吉川 堯 齊藤 雄太 田中 暁子 福田 真 中田 勝士 國吉 沙和子 長嶺 隆
出版者
Japanese Society of Zoo and Wildlife Medicine
雑誌
Japanese journal of zoo and wildlife medicine = 日本野生動物医学会誌 (ISSN:13426133)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.71-74, 2013-06-01
被引用文献数
5

沖縄島やんばる地域における広東住血線虫はクマネズミなどで寄生が確認されているものの,在来のケナガネズミなどにおける感染状況や病原性は不明であった。本症例はケナガネズミが広東住血線虫感染により死亡した初の報告事例であり,病原性が明らかとなった。これは人獣共通感染症である広東住血線虫症が,人のみならず野生動物にも悪影響を及ぼし,特に希少野生動物の多いやんばる地域においては大きな脅威となる可能性があることを示している。
著者
鈴木 誠 吉川 大弘 古橋 武
出版者
日本感性工学会
雑誌
日本感性工学会論文誌 (ISSN:18840833)
巻号頁・発行日
vol.16, no.3, pp.387-387, 2017 (Released:2017-10-06)

日本感性工学会論文誌Vol.12, No.2,p.353(2013)の撤回記事は、異なる学会への2重投稿を行ったと誤解を招く可能性があるため、以下のとおり改訂いたします。<改訂前>著者より同内容の論文が英文誌International Journal of Affective Engineering, Vol.12, No.2, pp.89-94(2013)に掲載されているとの報告をうけ,重複を確認いたしました.用語に誤りが見られることから,著者の要望により,先に掲載した本論文を撤回いたします.<改訂後>著者より同内容の論文が日本感性工学会英文誌International Journal of Affective Engineering, Vol.12, No.2, pp.89-94(2013)に掲載されることになったとの報告をうけ,著者の要望により,先に掲載した本論文を撤回いたします.
著者
井上 (吉川) 久幸 石井 雅男 河野 健 村田 晶彦
出版者
国際環境研究協会
雑誌
地球環境 (ISSN:1342226X)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.153-160, 2004

中部及び西部赤道太平洋において、大気及び表面海水の二酸化炭素分圧の観測を1999年から2003年にかけて実施した。これらの観測は「炭素循環に関するグローバルマッピングとその高度化に関する国際共同研究 海洋表層における炭素フラックスと一次生産に関する研究」(科学技術振興調整費)の一環として海洋地球研究船「みらい」で行った。観測の結果、中部及び西部赤道太平洋の表層は、大きくふたつの海域に分けることが出来た。すなわち西太平洋暖水塊と、その東にある赤道湧昇域である。西太平洋暖水塊では、表面海水の二酸化炭素分圧(pCO2sw)が大気の分圧(pCO2air)に等しいか僅かに高く、栄養塩が枯渇し、低塩分(<34.5)・高温(>28.5℃)である。赤道湧昇域では西から東に向かってpCO2swが溶存無機炭素及び栄養塩濃度と共に増加し、表面水温は減少している。ふたつの海域の境界は、エル・ニーニョやラ・ニーニャ発生により東西に大きく移動する。エル・ニーニョ期に西太平洋暖水塊は東進し、中部及び西部赤道太平洋のpCO2swは減少する。このため2002~2003年のエル・ニーニョ期間中、同海域の大気へのCO2フラックスは大きく減少したことが示された。本研究では更に「みらい」等のデータと米国海洋大気庁太平洋海洋環境研究所(NOAA/PMEL)と大西洋海洋気象研究所(NOAA/AOML)が取得したデータを組み合わせ、赤道太平洋全域における大気へのCO_2フラックスを評価した。赤道太平洋から大気へのCO2フラックスは、1997/98エル・ニーニョ期間中の1998年1~2月に0.1±0.1 PgC/yr、逆にラ・ニーニャ的状況にあった2001年1~2月には0.9±0.4PgC/yrと見積もられた。これは大気中のCO2濃度増加率にしておよそ0.4ppm/yr程度の変動に相当している。
著者
吉川逸治解説
出版者
集英社
巻号頁・発行日
1976
著者
吉川 泰弘 稲葉 睦 浅井 史敏 尾崎 博 遠藤 大二 澁谷 泉 山下 和人 北川 均 新井 敏郎 高井 伸二 杉山 誠 上地 正実 鎌田 寛
出版者
北里大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2012-04-01

わが国の全16獣医系大学における参加型実習に入る段階の学生の質を全国一定水準に確保することを目的とし、知識を評価するCBT (Computer-Based Testing)と技能と態度を評価するOSCE (Objective Structured Clinical Examination)の二つからなる獣医学共用試験について、CBT問題作成システム、問題精選システム、問題出題システム、評価システムを開発し、平成25年と26年に渡り、16大学を対象としてCBTトライアルを実施した。同時に、OSCE試験の態度と技能を確認する医療面接試験並びに実地試験を開発した。
著者
荒川 隆史 木村 勝彦 山田 昌久 赤羽 正春 吉川 昌伸 吉川 純子 高田 秀樹 大野 淳也 布尾 和史 向井 裕知 門口 実代 益子 貴義 千代 剛史 市村 真実 猪狩 俊哉 沼田 早織 根本 麻衣
出版者
(財)新潟県文化振興財団(歴史博物館)
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

縄文時代においてクリは重要な食べ物のひとつであり、建物の柱にも多数利用されていた。しかし、クリの木を切ると実は採れなくなってしまう。縄文人はこのバランスをとるためクリとどのようにつき合っていたのか? この謎を解き明かすため、縄文時代のクリ材の加工技術や年輪の特徴を調べるとともに、現代におけるクリ林の利用方法や年輪・花粉などの基礎的データを収集した。これらをもとに縄文時代のクリ利用システムを研究するものである。
著者
吉川 次郎 高久 雅生
出版者
情報メディア学会
雑誌
第15回情報メディア学会研究大会発表資料
巻号頁・発行日
pp.39-42, 2016

あらまし:Wikipediaにおける日本国内の学術情報の参照について、研究分野および言語版ごとの特徴や差異を明らかにするため、日本語版、英語版、中国語版におけるJ-STAGEコンテンツの参照状況の分析を行った。結果、研究分野は生命科学分野の割合が共通して高く、日本語版は理学・工学分野の割合が他言語版に比べて高いこと、日本語版は和文誌や英和混在誌が多いのに対し、英語版および中国語版では英文誌が多いことが分かった。
著者
吉川 聡 渡辺 晃宏 綾村 宏 永村 眞 遠藤 基郎 山本 崇 馬場 基 光谷 拓実 島田 敏男 坂東 俊彦 浅野 啓介 石田 俊 宇佐美 倫太郎 海原 靖子 大田 壮一郎 葛本 隆将 黒岩 康博 桑田 訓也 古藤 真平 小原 嘉記 坂本 亮太 島津 良子 高田 祐一 高橋 大樹 竹貫 友佳子 谷本 啓 徳永 誓子 富田 正弘 中町 美香子 長村 祥知 根ヶ 山 泰史 林 晃弘 藤本 仁文 水谷 友紀 山田 淳平 山田 徹 山本 倫弘 横内 裕人 栗山 雅夫 佃 幹雄
出版者
独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009-04-01

東大寺図書館が所蔵する未整理文書のうち、中村純一寄贈文書と、新修東大寺文書聖教第46函~第77函を調査検討し、それぞれについて報告書を公刊した。中村文書は内容的には興福寺の承仕のもとに集積された資料群であり、その中には明治維新期の詳細な日記があったので、その一部を翻刻・公表した。また中村文書以外の新修東大寺文書からは、年預所など複数の寺内組織の近世資料群が、元来の整理形態を保って保存されている様相がうかがえた。また、新出の中世東大寺文書を把握することができた。
著者
吉川 茂
出版者
一般社団法人日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.47, no.11, pp.834-843, 1991-11-01
被引用文献数
7
著者
河村 善也 吉川 周作 阿部 祥人 古瀬 清秀 樽野 博幸 金 昌柱 高 星 張 穎奇 張 鈞翔 松浦 秀治 中川 良平 河村 愛
出版者
愛知教育大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

東アジアのうち,北海道を除く日本本土では後期更新世~完新世に多くの種類の哺乳類が絶滅しているが,その絶滅期はMIS 3 からMIS 2 にかけてで,大型種だけでなく小型種も絶滅している.絶滅は短期間に急激に起こったのではなく,比較的長い期間に徐々に進行したようである.この地域ではずっと森林が維持され,環境変化が穏やかで,人類の影響もさほど強くなかったことが,そのようなパターンをもたらしたと考えられる.琉球列島では島ごとに絶滅のパターンが異なり,ここでは人類が絶滅に深くかかわっていると推定される.中国東北部では,ヨーロッパでのパターンに似た絶滅が起こったが,中国中・南部では絶滅はそれより限定されたものであったようである.台湾や韓国では,まだ研究が十分ではない.
著者
吉川 次郎 佐藤 翔 高久 雅生 逸村 裕
出版者
情報メディア学会
雑誌
第14回情報メディア学会研究大会発表資料
巻号頁・発行日
pp.27-30, 2015

日本語版Wikipedia におけるDOI リンクが記述された経緯を明らかにするため、英語版Wikipedia の翻訳項目の特定およびそこに含まれるDOI リンクの分析を行った。その結果、DOI リンクが記述されている日本語版の約94%の項目が言語間リンクをもっていること、また、それらの項目間での共通のDOI リンクは、英語版の翻訳を通じて日本語版に記述されたものが大部分を占めることを示唆する結果が得られた。
著者
谷川 真理 東 賢一 宇野 賀津子 東 実千代 萬羽 郁子 高野 裕久 内山 巌雄 吉川 敏一
出版者
The Japan Society for Clinical Immunology
雑誌
日本臨床免疫学会会誌 (ISSN:09114300)
巻号頁・発行日
vol.36, no.5, pp.414a-414a, 2013
被引用文献数
1

【背景と目的】いわゆる化学物質過敏症(Multiple chemical sensitivity : MCS)は現代の環境がひきおこした後天的疾患である.日常的にさまざまな化学物資に曝されることに反応して神経系,免疫系,内分泌系をはじめ全身の多様な症状が起こり,通常の社会生活にも支障をきたすようになる.しかしその病態の詳細は解明されておらずMCS有訴者は診断を受けることも困難な状況に置かれている.MCSの病態解明を目的として免疫学的機能検査を実施し解析した.<br> 【方法】2009年10月以来百万遍クリニックのシックハウス外来に通院するいわゆる化学物質過敏症の有訴者(患者)の協力を得て,一般的な血液検査と多種の免疫機能検査を測定し解析した.<br> 【結果】18人のMCS有訴者と17人の健常成人の比較の結果,MCSではNK活性が統計学的有意に高かった.リンパ球サブセットではMCSではNKT細胞の割合が高く,CD3とCD4が低かった.多種のサイトカイン産生能の測定ではIL-2,IL-4,IL-13,GM-CSFが有意に低かった.<br> 【結論】MCS患者では自然免疫系が高めに保持されている一方,Th2型サイトカインが低い傾向で,アレルギーとは異なる病態と考えられる.<br>
著者
山村 一繁 見波 進 中村 孝也 饗庭 伸 吉川 徹 藤田 香織
出版者
首都大学東京
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

中小規模の建物が密集して存在する地区を対象に,その地区内の建物の地震リスク評価を行い,その情報を地域住民と共有するための方法を開発した。地震リスクは,その地域における建物と地盤の特性および想定すべき地震の情報をもとに,建物倒壊,道路閉塞,外壁被害の観点から評価を行った。それらをまとめた資料を用いて地域住民とのワークショップを実施し,一連の取り組みが住民の地震防災意識の向上につながったかを検討した。