著者
肥塚 隆 淺湫 毅 橋本 康子 深見 純生 小野 邦彦 上野 邦一 榎本 文雄 渡辺 佳成 丸井 雅子
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2009

クメール王国の刻文に頻出する devaraja の語は、 「神のような王」を意味し、王の没後にその墓廟として寺院が造営され、神仏と一体化した王像が安置されたと考えられてきた。また東部ジャワでも、同様な信仰があったとされてきた。しかしインドではこの語は「神々の王」の意味で用いられるのが一般的で、王を神格化する信仰が盛行した形跡はない。南インドでは王像が神像と並べて寺院に安置されることは珍しくないが、むしろ王権の神聖さの明示にあったと考えられる。
著者
塩沢 昌 田野井 慶太朗 根本 圭介 吉田 修一郎 西田 和弘 橋本 健 桜井 健太 中西 友子 二瓶 直登 小野 勇治
出版者
Japan Radioisotope Association
雑誌
Radioisotopes (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.60, no.8, pp.323-328, 2011-08-15
被引用文献数
10 31

福島第一原子力発電所事故で放射性物質が多量に降下してから約2か月後に,耕起されていない水田の深さ15cmまでの表土を厚さ1~5cmの6層に分割してサンプリングし,放射性セシウム(<SUP>134</SUP>Csと<SUP>137</SUP>Cs)の鉛直濃度分布を求めた結果,放射性Csの88%が0~3cmに,96%が0~5cmに止まっていた。しかし,量的に大半は表面付近に存在するものの,15~20cmの層まで新たに降下した放射性Csの影響が及んでいた。濃度分布から求めた放射性Csの平均移動距離は約1.7cmで,70日間の雨量(148mm)から蒸発散量を引いて体積含水率で割った水分子の平均移動距離は約20cmと推定され,土壌への収着により,Csの移流速度は水の移流速度に比べて1/10であった。しかし,文献にみられる実験室で測定した収着平衡時の土壌固相と土壌水との間の分配係数から計算される移流速度よりは2~3桁大きく,現場の移動現象が収着平衡からほど遠いことを示している。一方,耕起された水田では,表層の高濃度の放射性セシウムが0~15cmの作土層内に混合されて平均値(約4000Bq/kg)となっていた。
著者
喜田 宏 清水 悠紀臣 岡部 達二 関川 賢二 見上 彪 笠井 憲雪 小野 悦郎 大塚 治城 喜田 宏
出版者
北海道大学
雑誌
試験研究(A)
巻号頁・発行日
1993

1.オーエスキー病ウイルス(ADV)の前初期(IE)蛋白IE180の機能ドメインを解析した結果、初期および後期遺伝子の転写活性化に関与する領域、IE遺伝子の転写抑制に関与する領域および核への移行シグナルが明らかになった。2. ADVの初期蛋白EP0が感染細胞の核に局在し、IE、初期TKおよび後期gX遺伝子の転写を増強することが明らかになった。この転写増強作用には、EP0分子のN末端に存在するRINGfinger領域が必須であり、酸性アミノ酸を多く含む領域も関与することが判明した。3.蛋白工学手法によって、ADVのIE遺伝子の転写抑制因子を作出した。これら因子の転写調節作用を解析し、以下の成績を得た。1) IE180のDNA結合ドメインとヒト単純ヘルペスウイルスのトランスアクチベータ-VP16の結合ドメインとのキメラ蛋白は、ADVのIE遺伝子の転写を抑制した。このキメラ蛋白はウイルスの増殖を著しく阻害した。2) IE180およびEP0のdominant-negativemutantはウイルスの増殖を抑制した。4.ウイルスの増殖を最も強く抑制した3-1)キメラ蛋白遺伝子をC57BL/6マウス受精卵にマイクロインジェクション法によって導入した。1系統のF1マウスに本遺伝子が導入されたことを確認した。現在、このF1マウスを用いてトランスジェニックマウスの系統を確立しつつある。今後、系統化されたマウスが本遺伝子を発現していることを確認してウイルス感染実験を行う予定である。
著者
松岡 聡 吉松 定昭 小野 哲 一見 和彦 藤原 宗弘 本田 恵二 多田 邦尚
出版者
日本海洋学会
雑誌
沿岸海洋研究 (ISSN:13422758)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.77-84, 2005-08-26
被引用文献数
13

2002年度冬季,香川県沿岸では例年にないノリの不作が起き,ノリの生産金額は,平年の6割にまで減少した.ノリの色落ちが認められた水域の分布を詳細に検討したところ,特に不作であった海域は小豆島の北部および南西部海域であり,この地区の生産金額は平年の3割程度であった.過去12年間における年間ノリ生産量と漁期中の積算降水量との間には,正の相関関係が認められ,陸上からの栄養塩の供給がノリ生産量に大きく影響していることが考えられた.ノリ色落ち被害が顕著であった海域を対象に海洋観測を行った結果,色落ち被害の発生直後の2003年1月では,対象海域の塩分は33psu以上と例年よりも高く,栄養塩濃度もNO_3濃度が例年と比較して,3μM未満と低かった.このことから,例年に比べて,対象海域への陸域からの栄養塩の供給が少なかったことが考えられた.一方,2003年の梅雨期の6月には,対象海域の塩分は低く,栄養塩濃度も高かった.さらに,ノリの生育がほぼ正常であった翌年の1月では,2003年1月に比べて塩分は低く,栄養塩濃度も高くなっていた.以上の結果から,2002年度にノリの色落ちは,秋期の降水量が少なかった事が主な原因と考えられ,ノリの色落ち被害が顕著であった海域のノリ生産には,岡山県側の旭川・吉井川河口域(岡山水道)からの栄養塩供給が重要な影響を及ぼしていることが考えられた.
著者
小野田 正利 小林 正幸 近藤 博之 平沢 安政 藤岡 淳子 山下 晃一 近藤 博之 平沢 安政 藤岡 淳子 志水 宏吉 井村 修 木村 涼子 中村 高康 野田 正人 岩永 定 山下 晃一 田中 規久雄 古川 治
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

学校の教職員と保護者の間に、いま時として鋭い対立関係が生じてしまい、教育活動に大きな影響が出ていることが、わが国の学校問題の一つに急浮上してきた。本研究では、質的調査と量的調査を組み合わせ、同時に教育学の観点からだけでなく、心理学、精神医学、福祉学、法律学などの多様な分野の専門研究者を交えて、これらの問題の原因究明とともに、良好な関係性の構築の方向性を明らかにした。
著者
小野塚 実 渡邊 和子 藤田 雅文 斉藤 滋
出版者
Japanese Society for Mastication Science and Health Promotion
雑誌
日本咀嚼学会雑誌 (ISSN:09178090)
巻号頁・発行日
vol.11, no.2, pp.109-116, 2002-03-30 (Released:2011-07-05)
参考文献数
26
被引用文献数
2

In recent years, dysfunctional mastication, which is resulted from decreased number of residual teeth, use of unsuitable dentures, or reduced biting force, has been suggested to be related to the development of senile dementia. Recently, in senescence-accelerated mice (SAMP8 mice), we have studied the involvement of masticatory dysfunction, e.g. cut off of the upper molar teeth, extract of the upper molar teeth, or cut of the one side of the masseteric nerve, in the senile process of learning and memory. First, we found that conditions of such dysfunctional mastication progress age-related deficits in spatial memory storage in a water maze test and in hippocampal pyramidal neurons. These pathological phenomena were begun to occur in middle-aged mice, suggesting that masticatory disfunction may lead to hippocampal pathological changes in the elderly.Second, it was found that cutting off the upper molar teeth causes a reduction in the protein product, Fos, of the immediate early gene, c-fos, in the hippocampal CA1 subfield. Interestingly, both the suppression of memory storage ability and the decrease in Fos induction in this subfield induced by cutting off the upper molars were considerably improved by restoring the lost molars with artificial crowns, suggesting that normal mastication may be an important factor in maintaining normal hippocampal activities.Third, in biochemical and immunohistochemical studies examining the effect of masticatory dysfunction on age-related changes in the septohippocampal cholinergic system, we have foundthat, in aged mice, masticatory disfunction induces a decrease in acetylcholine release and choline acetyltransferase activity in the hippocampus and a reduction in the number of choline acetyltransferase-immunopositive neurons in the medial septal nucleus. However, these effects were not seen in young mice, implying that dysfunctional mastication may enhance an age-related decline in the septohippocampal cholinergic system.Finally, stress may be linked to hippocampal pathological changes induced by masticatory dysfunction. As expected, in the aged mice, conditions under masticatory dysfunction brought about a chronic elevation in plasma corticosterone levels. However, pretreatment with metyrapone, which suppresses the stress-induced rise in this hormone levels, prevented dysfunctional mastication-induced increase in plasma corticosterone levels, reduction in hippocampal pyramidal neuron numbers, and impairment of spatial memory. These findings suggest a link between the masticatory dysfunction and the glucocorticoid response, which may be involved in deficits in learning and memory and hippocampal neuronal death.In conclusion, we suggest that normal mastication may be effective in preventing senile dementia by maintaining normal function in the hippocampus, which is the most sensitive region to aging processes.
著者
小野 薫 泉屋 周一 秦泉寺 雅夫 松下 大介 石川 剛郎 山口 佳三 高倉 樹
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2009-04-01

symplectic 構造は、古典力学における Hamilton の運動方程式の定式化などで重要な幾何構造である。近年は、symplectic 構造そのものの幾何学的研究が進展し、ミラー対称性の数学的研究と相俟って多くの研究者が関心を持つ対象となっている。研究代表者は、symplectic 幾何学で特に重要な Floer 理論とその応用の研究を続けている。今研究計画においては、Floer 理論をトーリック多様体とその Lagrange トーラスファイバーに対して、具体的な研究をし、いくつもの興味ある結果を得た。
著者
小野 宏
出版者
日本環境変異原学会
雑誌
環境変異原研究 (ISSN:09100865)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.133-137, 2005-07-31

The OECD established the Guidelines for Testing of Chemicals in 1981, which is the basis of the mutual acceptance of data (MAD) system among the member countries to prevent unnecessary repetition of toxicity tests, and consequently to reduce the number of animals used. The Guidelines was soon subjected to revision from the viewpoint of animal welfare besides its periodical updating with the state-of-art in the toxicological sciences. Revision of the Test Guidelines is in progress according to the 3Rs principle, reduction, refinement and replacement. The acute toxicity test and the skin and eye irritation/corrosion tests were assumed to be the most problematic ones among the animal tests in animal welfare aspect. Three different test methods have been adopted for the alternative to acute oral toxicity test (Test Guideline (TG) 401), namely, the fixed dose procedure (TG420), acute toxic class method (TG423) and up-and-down procedure (TG425), and the reduction of animals was accomplished. Then the traditional acute oral toxicity test (TG401) has been deleted from the Guidelines. Procedures for irritation/corrosion tests for skin (TG404) and eye (TG405) were reorganized into tier-test system in order to prevent any corrosion or strong irritation to take place. The tier system consists of survey of toxicities of the test chemical, structure-activity relationship, pH, and testing with in vitro methods. Moreover, at the final tier animal testing should proceed by one animal. Three kinds of in vitro corrosivity tests have been adopted in the Guidelines.
著者
渡邊 浩和 小野 勉 松永 昭浩 金川 明弘 高橋 浩光
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本ファジィ学会誌 (ISSN:0915647X)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.119-126, 2001-02-15
被引用文献数
1

複数巡回セールスマン問題(MTSP)とは, 複数のセールスマンが与えられた都市を巡回訪問するとき, ある評価関数値を最小にするような各人の巡回経路を求める組合わせ最適化問題である.この経路を求めるにあたって, 各セールスマンの担当経路の輻輳は最大限避ける一方で, 各セールスマンの担当経路長はなるべく均等化することが望ましい.本論文では, MTSPの一つの近似解法を提案する.提案の解法は, ファジィクラスタリングにより, 各人の担当経路の中心部分のみを決定しておき, 残された都市の各クラスターへの挿入を通して担当経路長の均等化を計るアルゴリズムである.MTSPの一種であるN-TSPに関して, Fredericksonらのツアー分割アルゴリズムとの解の比較を行い, 提案法の有効性を示す.
著者
小野 将之 西村 邦裕 谷川 智洋 廣瀬 通孝
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.33, pp.79-84, 2009
参考文献数
5

科学技術の高度な発達があり,様々なセンサ有したデバイスを用いて日常生活での体験をデジタル化して記録に残すことが手軽になってきており,体験を記録する分野は「ライフログ」とよばれる.ライフログの研究はこれまで様々なされてきたものの,その活用においてはまだ発展途上である.本研究では,ライフログを記憶想起支援などの実用用途への活用するための構造化を目指し,実際に多様なセンサを用いてライフログ取得を行い,ニューラルネットワークを用いてデータ取得者がどのような行動をとっていたかの推定を行った.さらに効率的な閲覧を可能とするビューアを提案・実装し,評価実験を通じてそれらの効果を検証・実証した.
著者
浅沼 照雄 小野田 信春
出版者
富山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

n次元複素空間上n個のn変数多項式により定義される多項式写像はそのヤコビアンが零でない定数ならば同型写像になる、という予想はヤコビアン予想といわれ、2以上のnについて未解決問題となっている。本研究はこの予想について2変数の場合に代数学的、位相幾何学的立場から研究を進めとくに予想と同値ないくつかの具体的な条件をあたえた。
著者
池田和史 服部元 松本一則 小野智弘 東野輝夫
雑誌
マルチメディア、分散協調とモバイルシンポジウム2011論文集
巻号頁・発行日
vol.2011, pp.1308-1315, 2011-06-30

近年、TwitterのようなブログやWeb掲示板などに投稿された商品やテレビ番組などに対する口コミ情報を分析してマーケティング等に応用する評判解析技術に注目が集まっている。これらは手軽い情報発信が可能なため、新鮮かつ多数の意見を即座に収集するツールとして、その活用は大きな可能性を持っている。一方で、評判は投稿者の年齢や性別、趣味などのプロフィールに応じて異なることが多いが、ブログや掲示板には投稿者の年齢や性別が記載されていない場合が多く、投稿数や平均的な意見などの表面的な情報しか抽出できず、プロフィールごとの意見を抽出できないことが課題であった。この問題を解決するため、著者らはTwitter上の口コミ投稿者の日常的な投稿内容を解析することで、年代、性別、居住地域などのプロフィールを推定する技術を開発した。本技術を利用することで、ネット上の口コミ情報をプロフィールごとに分類、集約することが可能となり、商品の改善やテレビ番組の企画などに生かすことが可能となる。性能評価実験の結果、提案手法の汎用的な推定精度は性別で88.0%、年代で68.0%、居住地域で70.8%であり、視聴率測定などへの応用を想定したプロフィール分布誤差の評価では、分布に偏りがある場合でも性別で8.8%、年代で12.4%、居住地で14.0%と実利用に十分な精度であることが示された。
著者
大島 慶一郎 江淵 直人 青木 茂 深町 康 豊田 威信 松村 義正 北出 裕二郎 舘山 一孝 二橋 創平 小野 数也 榎本 浩之 木村 詞明 田村 岳史
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2008

海洋中深層循環及びその変動を決めうる海氷生産量を、衛星データ等から見積もるアルゴリズムを開発し、そのグローバルマッピングを初めて行った。沿岸ポリニヤでの高海氷生産過程を長期係留観測から明らかにし、アルゴリズムの検証も行った。南極第2の高海氷生産域であることが示されたケープダンレー沖が未知の南極底層水生成域であることもつきとめた。南極海とオホーツク海では、海氷生産量の変動が底層水や中層水の変質とリンクしていることを明らかにし、中深層循環弱化の可能性を指摘した。
著者
小野則秋著
出版者
臨川書店
巻号頁・発行日
1977
著者
成田 稔 小野田 育代 時崎 掬子 茅野 タヅ子 高崎 敬子 坪倉 功子 須波 紀久美
出版者
Japanese Leprosy Association
雑誌
日本ハンセン病学会雑誌 = Japanese journal of leprosy (ISSN:13423681)
巻号頁・発行日
vol.67, no.2, pp.277-285, 1998-07-31
被引用文献数
1 1

柄沢のボケの臨床的判定法を基本にして、老人たちと最もかかわりの深い看護婦や介護員らにとってわかりやすい5段階評価票を作成し、全生園と愛生園との65歳以上の老人を対象に痴呆の有病率を調査した。 その結果は、生理的なボケを含むと考えられる軽の軽を除くと、全生園の14.39%に対して愛生園は5.72%と極端な差を認めた。この理由を、両隣との交流に難のある全生園と、それが容易な愛生園との不自由者棟の造りの違いから考えてみた。また一般の老人に比較して、ハンセン病療養所では痴呆の有病率がかつては低かったにもかかわらず、最近では逆に高いか、あるいは高くなりつつあるのは、絶対隔離の時代に培われた孤独に耐える強い精神力が、40年、50年の長い年月を経て次第に弱まり、そこを支える子どもや孫が傍にいないことに関連づけてみたが、今後いっそうの検討が必要であろう。
著者
小野 有五
出版者
環境社会学会
雑誌
環境社会学研究
巻号頁・発行日
no.12, pp.41-56, 2006-10-31

北海道のシレトコ(知床)は,2005年7月,ダーバンでのユネスコの会議で正式に世界自然遺産に登録された。しかし,シレトコを世界遺産候補地として国内で決定する過程において,アイヌ民族はまったく関与できなかった。しかし,アイヌ民族の「代表」組織である「北海道ウタリ協会」だけでなく,アイヌ民族のいくつかのNPO団体がIUCN(国際自然保護連合)に対してシレトコ世界遺産へのアイヌ民族の参画を求める要請を個別に行ったことで,最終的にIUCNは,アイヌ民族がエコツーリズムを通じてシレトコ世界自然遺産の管理計画に参画することが重要であるという勧告を出した。本論ではまず,日本の社会において,このような異常とも言える事態が起きた要因を分析する。この分析にもとづき,アイヌ民族がおかれている現状を環境的公正とガヴァナンスの視点から考え,先住民族のガヴァナンスを実現する手段としてのアイヌ民族エコツーリズムの戦略について検討する。本論は,研究者が自らの「客観性」や「中立性」を重んじるあまり,自らを常に対象の外において現象の記述に終始し,研究者自身が問題に介入することを避けてきたことや,問題が一応の解決を見てから「研究」を始める,という姿勢への批判的視点にたっている。シレトコ世界遺産問題を具体的な事例として,研究者=運動者という立場から今後の環境社会学の研究のあり方について考えたい。
著者
村井 達弥 小野田 清香 西崎 雅仁
出版者
一般社団法人 経営情報学会
雑誌
経営情報学会 全国研究発表大会要旨集 2010年秋季全国研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.11, 2010 (Released:2010-11-15)

現在、日本はガラパゴス化していると言われている。日本製品は、その機能および技術においては世界で高い評価を受けているにもかかわらず、日本製品の国際競争力が低下している。 本研究においては、知的技術マネジメントを再検討することで、その問題と限界を解明することを目的としている。つまり、製品差別化を図るために、研究開発を激化させ、知的財産の獲得を主眼においたビジネスモデルの限界を指摘する。さらに、技術立国日本が技術の優位性を市場で高評価される統合的なビジネスモデルと技術経営に立脚した技術のイノベーションによる新たなマネジメントを提案する。