著者
山崎 俊嗣 金松 敏也 小田 啓邦 横山 由紀子
出版者
独立行政法人産業技術総合研究所
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2004

1.海底堆積物中の磁性鉱物問の磁気相互作用を見積もった。ARM(非履歴性残留磁化)の獲得効率は、磁気相互作用に強く支配されている。そのため、堆積物から相対古地磁気強度を求める際の、堆積物の磁化獲得能の違いを補正(規格化)のためのパラメータとしては、ARMよりもIRM(等温残留磁化)の方が適している。2.北西太平洋における過去25万年間の高分解能の古地磁気強度スタックを構築した。堆積物から信頼できる相対古地磁気強度を求めるには、初期続成作用による磁性鉱物の溶解を受けたものを除く必要がある。低保磁力の磁性鉱物の割合を示す指標であるS比は磁鉄鉱の溶解に敏感であり、これを指標に溶解を受けた層準を除去できる。3.北太平洋の堆積物コアから、過去160万年間の相対古地磁気強度を求めた。このコアの相対古地磁気強度と岩石磁気特性を、堆積環境の異なる西部赤道太平洋のコアと比較すると、相対古地磁気強度は極めて良い一致を示すが、岩石磁気特性の変化は大きく異なる。ウェーブレット変換を用いた時系列解析により、古地磁気強度には10万年スケールの変動が見られること、岩石磁気パラメータは10万年スケールの変動が含まれる場合でも古地磁気強度とは同期しておらず両者に有意な相関はないことを明らかにした。従って、堆積物の性質の変化は相対古地磁気強度に影響しておらず、古地磁気強度記録に見られる10万年スケールの変動は地磁気変動を反映している。4.東部赤道インド洋の堆積物コアから、過去80万年間の相対古地磁気強度及び伏角の変動記録を得た。西部赤道太平洋に見られる伏角異常域は、東部赤道インド洋には延びていない。両海域について、古地磁気強度と伏角の関係を比較することにより、長周期の伏角の変動は、双極子磁場が弱いときに相対的に停滞性非双極子磁場の影響が大きくなることにより生じるというモデルが支持されることを示した。
著者
岩崎 俊樹 山崎 剛 余 偉明 大林 茂 松島 大 菅野 洋光 佐々木 華織 石井 昌憲 岩井 宏徳 野田 暁
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2007

ダウンスケール手法に基づくメソスケール予報システムを作成し、農業気象と航空気象へ高度利用法を検討した。予測精度を向上させるためには、物理過程を改良し、初期条件と境界条件を最適化することが重要であることが示された。農業分野では、清川だしの強風といもち病の予測可能性を明らかにした。航空分野では、ドップラーライダーとダウンスケールシステムを組み合わせた、空港気象監視予測システムの可能性を検討した。
著者
後藤 乾一 塩崎 弘明 山田 満 吉野 文雄 玉木 一徳 山崎 功
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

平成18年5月、本研究グループは、平成15-16年度の基盤研究B(課題番号 15330034)の研究成果を『東ティモール『国民国家』を巡るエスニシティと国際・地域環境』として上梓し、その成果をさらに深めることを本年度の課題とした。その概要は以下のとおりである。(1)独立後最初の深刻な内部対立(地域差が主因)が発生したが、その直後に現地調査を行い、権力構造、経済事情に関する基礎的資料を収集した。(2)混迷する経済の活性化には、一定の外国援助・投資が必要であり、特に日本の関与が『期待』されている。その観点から日本政府、企業。NGOの体東ティモール政策・関与の実態を聞き取り調査を含め実施した。(3)日本との関係においては、今なお戦時期の軍事占領に起因する微妙な対日感情が見られるが、この点につき前年度に現地で行った聞き取り調査のテープ記録を起こし分析した。(4)東・東南アジアでは経済分野における域内関係が密接化しているが、東ティモールも経済規模はきわめて弱体ではあるものの、こうした潮流に加わることを課題としている。そのような観点から、アセアンさらにはAPECなどの地域協力機構、その加盟国はどのような東ティモール政策を準備しているかについて実態調査を行った。(5)2002年5月の独立に際しては最大の宗教勢力であるカトリック教会が重要な役割を演じたが、今回の政治的・社会的・文化的な亀裂の修復にはどのような役割を果たしたのか(あるいは果たせなかったのか)につき、教会側の動きについて、主に現地で活動する日本のカトリック系NGOからの聞き取り調査を行った。以上の諸活動およびそこから得られた情報・資料・データについては、現在のきわめて流動的な状況が一段落をした時点で分析を行い、平成20年3月をめどに最終報告書を取りまとめる予定である。
著者
早川 和男 山崎 寿一
出版者
神戸大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2009

本研究では、激甚災害の被害を受けた中山間地域の被災集落を対象に、被災後の高齢者の居住継続と転居、被災者の転出と帰還に焦点をあて、「居住福祉」実現のための条件について、石川県輪島市門前地区におけるフィールド調査を行った。また国際居住福祉会議においてこれまでの成果を論文にまとめ、研究発表を行った。具体的に、(1)居住福祉資源調査、集落コミュニティ・環境調査(被災前後の比較)、(2)震災復興における住宅や神社、農地、山林、公民館、集会所、公共施設の果たす役割、(3)被災後の居住動向、家族構造の把握、(4)高齢者居住調査(居住継続と転居の実態)、(5)被災者居住調査(転出と帰還状況の把握)の5項目について検討し、以下の諸点を明らかにした。1)高齢者の居住とコミュニティの持続を支えている居住福祉資源の存在と役割、2)災害を契機とする人口流出が起きなかった原因と被災者が帰還または地域に止まれた要因3)震災を契機に地域外に転出した人々の居住地選定理由、4)母村の住宅・土地財産の管理・活用の実態、母村コミュニティとの関係さらにこれまでの研究成果を再分析し、『日本の居住貧困』(藤原書店)を出版した。
著者
菅野 雅信 赤石 誉幸 山崎 由大 金子 成彦
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
日本機械学會論文集. B編 (ISSN:03875016)
巻号頁・発行日
vol.76, no.763, pp.403-405, 2010-03-25

To realize stable operation of microgrids, gas engines require to compensate load changes from demands and variation of other renewable energy devices. Then, prehension of load following capability is important in gas engines. In addition, when biomass gas is supplied to gas engines, effect of fuel component variation on dynamic characteristics must be investigated, because components of biomass gas depend on operating condition of gasification or raw material. This study proposed a dynamic simulation model of gas engine and estimated transient response to load changes. Load changes were sinusoidal wave, and bias value, amplitude and frequency of them were varied. As a result, the frequency has more influence on transient response than the bias value and the amplitude. When biomass gas is supplied to gas engines, transient response is worce than city gas over the frequency of 0.1Hz.
著者
長谷部 文雄 塩谷 雅人 藤原 正智 西 憲敬 荻野 慎也 宮崎 和幸 柴田 隆 山崎 孝治 岩崎 俊樹
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2009

ゾンデを用いた現場観測により熱帯成層圏水蒸気量の長期トレンドを明らかにするとともに、熱帯対流圏界層(TTL)内を水平移流しながら巻雲を形成し凝結脱水中の大気の対氷過飽和度が80%に達する事例を見出した。また、観測された大気の水蒸気混合比とその大気の流跡線に沿って上流へ遡ることにより評価される最小飽和水蒸気混合比との比較解析により、TTL内を水平移流しながらゆっくり上昇する大気に働く脱水過程の観測的記述に初めて成功した。
著者
山崎 輝男 石井 敏夫
出版者
日本昆虫学会
雑誌
昆蟲 (ISSN:09155805)
巻号頁・発行日
vol.18, no.6, pp.165-166, 1950-12-30
著者
横山 ハツミ 林 慎一郎 田中 秀樹 山崎 登志子 西川 まり子 白木 智子 糠信 憲明 廣川 聖子 片山 はるみ 矢田 幸博 吉田 伊織
出版者
広島国際大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

看護学生の老化の理解に役立つエイジングメイクの技法(メイク道具と手順)と教材(DVDとライフイベントCAIゲーム)を開発した。この教材を用いた演習により、学生が老ける、衰退するなどの加齢のプロセスを体験することで、いずれ訪れる老いを偏見なく受容することができる。高齢者のフィジカル・メンタルの両側面から理解が深められ、高齢社会の主人公である高齢者ケアニーズの核心に迫る、主体的な学習教材として役立つ。
著者
山崎 哲 高本 正樹 細井 賢三 山崎 均 新井 悟司 清水 和義
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
日本機械学會論文集. B編 (ISSN:03875016)
巻号頁・発行日
vol.66, no.642, pp.619-626, 2000-02-25
参考文献数
12

The partial flow dilution method is one of the typical measurement methods for particulate matter emission from diesel engines. In this method, exhaust gas at a transient flow rate should be transferred to a dilution tunnel at a constant ratio of exhaust gas. The present partial flow dilution method is used under steady-state engine operating conditions in lieu of direct flow rate measurement of exhaust gas. A more practical control of exhaust emission is, however, required world widely; therefore development of an exhaust gas flowmeter is indispensable in the partial flow dilution method for transient engine operating conditions. An ultrasonic exhaust gas flowmeter has been developed and been demonstrated to be capable of measuring the exhaust gas flow rate with sufficient accuracy.
著者
山崎 和彦
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集 日本デザイン学会 第56回研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.C15, 2009 (Released:2009-06-16)

UCD手法は,ユーザーが見たり触ったりするものを対象に,統合的なユーザー体験をデザイン対象とする。また,プロトタイプとユーザー評価を繰り返えす事がUCDの重要な原則の一つになっている。ここでは,プロトタイピング手法の中でも,効率よくユーザー評価する手法としてペーパープロトタイピング手法に着目した。Snyderはペーパープロトタイピングをユーザー評価の一つの手法として「ペーパープロトタイピングとは,ユーザビリティテスティングの一種である。ペーパープロトタイピングでは,ユーザーを代表する人物が,現実に想定される課題を紙製のインタフェース上で実行する。この紙製のインタフェースは「コンピュータ役」の人によって操作されるが,コンピュータ役はそのインタフェースがどのような働きをするかを説明しない。」と定義している。ここでは,ペーパープロトタイピングを評価だけではなくデザインの各段階でも活用できることを考慮したペーパープロトタイピングの段階的な活用方法を提案する。
著者
新里 貴之 中村 直子 竹中 正巳 高宮 広土 篠田 謙一 米田 穣 黒住 耐二 樋泉 岳二 宮島 宏 田村 朋美 庄田 慎矢 加藤 久佳 藤木 利之 角南 聡一郎 槇林 啓介 竹森 友子 小畑 弘己 中村 友昭 山野 ケン陽次郎 新田 栄治 寒川 朋枝 大屋 匡史 三辻 利一 大西 智和 鐘ヶ江 賢二 上村 俊雄 堂込 秀人 新東 晃一 池畑 耕一 横手 浩二郎 西園 勝彦 中山 清美 町 健次郎 鼎 丈太郎 榊原 えりこ 四本 延弘 伊藤 勝徳 新里 亮人 内山 五織 元田 順子 具志堅 亮 相美 伊久雄 鎌田 浩平 上原 静 三澤 佑太 折田 智美 土肥 直美 池田 榮史 後藤 雅彦 宮城 光平 岸本 義彦 片桐 千亜紀 山本 正昭 徳嶺 理江 小橋川 剛 福原 りお 名嘉 政修 中村 愿 西銘 章 島袋 綾野 安座間 充 宮城 弘樹 黒沢 健明 登 真知子 宮城 幸也 藤田 祐樹 山崎 真治
出版者
鹿児島大学
雑誌
若手研究(A)
巻号頁・発行日
2007

徳之島トマチン遺跡の発掘調査をもとに、南西諸島の先史時代葬墓制の精査・解明を行なった。その結果、サンゴ石灰岩を棺材として用い、仰臥伸展葬で埋葬し、同一墓坑内に重層的に埋葬することや、装身具や葬具にサンゴ礁環境で得られる貝製品を多用することが特徴と結論づけた。ただし、これは島という閉ざされた環境ではなく、遠隔地交易を通した情報の流れに連動して、葬墓制情報がアレンジされつつ営まれていると理解される。
著者
舘野 義男 山崎 正明 小林 薫(深海 薫) 猪子 英俊
出版者
国立遺伝学研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

MHCは原索・脊椎動物が偶然に獲得し進化的に精緻化を重ねてきた生物機能であるが、MHC遺伝子群だけではなく、その周りのゲノム配列を進化的に解析することにより、その進化的起源や過程を明瞭に示すことができる。この研究では、ヒト(H)、チンパンジー(C)並びにアカゲザル(R)の3種について、MHCクラスI遺伝子群中のBとC並びにクラスI関連遺伝子MICAとMICBの2組の遺伝子の起源と進化に注目をして解析を行った。2組の遺伝子は2組のゲノム重複断片に存在することが分かっている。これらの重複が進化的に何時起こったか正確に推定することにより、2組の遺伝子の起源を明らかにすることが可能となる。ただ、ここで問題になるのは、これらの遺伝子は自然選択を強く受けているので、一定の速度で進化してはいないことである。従って、重複ゲノム断片中でこれらの遺伝子と一緒に進化している中立的な配列部分を選択する必要があり、私達はLINEの断片配列に注目して解析を行った。分岐時間の推定にはLINE断片の進化速度を求める必要があるが、私達はHとCの種分岐時間を、他の研究から得られた値、5.4百万年、をもとに推定した。この速度は、中立遺伝子の速度の範囲内にあることを確認して、BとC遺伝子の分岐時間を、2.23千万年と推定した。同様にMICAとMICB遺伝子の重複時間を1.41千万年と推定した。ゲノム解析の難点は、特定のゲノム領域に存在する遺伝子や他の配列がそれぞれ異なった進化要因を受けて進化しているので、一様に解析する訳にないかないことである。従って、問題としている領域の基本的な進化関係を正確に把握しないと誤った結論に導かれる危険性がある。そこで、H、C、Rのオーソログ領域のそれぞれの進化距離を求め、Rの分岐時間を2.70千万年と推定した。このような方法でRの分岐時間を推定したのは、おそらく世界で初めての試みであり、推定値も妥当と考えられる。上記の推定値もこの推定値に照らして妥当と結論される。
著者
湯山 賢一 西山 厚 鈴木 喜博 岩田 茂樹 内藤 栄 稲本 泰生 吉澤 悟 宮崎 幹子 谷口 耕生 野尻 忠 研清水 健 岩戸 晶子 斎木 涼子 北澤 菜月 永井 洋之 中島 博 有賀 祥隆 前園 実知雄 東野 治之 根立 研介 藤岡 穣 高橋 照彦 山崎 隆之 梶谷 亮治 杉本 一樹 成瀬 正和 尾形 充彦 西川 明彦 森實 久美子 原 瑛莉子
出版者
独立行政法人国立文化財機構奈良国立博物館
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

「奈良朝仏教美術の主要作例、もしくはその国際性を考える上で重要な周辺作例の中から対象とする文化財を選定し、それらに関する基礎資料を学界の共有財産として提供する」という目的に沿って調査研究を行い、22年度末に5部構成・2分冊からなる研究成果報告書を刊行した。薬師寺に伝来した藤田美術館所蔵大般若経(魚養経)全387巻の撮影及び書誌的データの集成、蛍光X線分析による香取神宮所蔵海獣葡萄鏡や東大寺金堂鎮壇具の成分分析を通した制作地の特定などが、代表的な成果である。
著者
丸田 恵美子 長谷川 雅美 上田 正文 関 剛 山崎 淳也
出版者
東邦大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2003

中部日本の太平洋側と日本海側の山岳域を比較して、森林の動態に対して積雪がどのように関与しているか、温暖化による積雪量の減少が森林の動態にどのような影響を与えるかについて以下のような結論を得た。冬季、日本海側では降雪日が多く、大気の水蒸気飽差(VPD)が低いために、森林限界付近での常緑針葉樹は、太平洋側に比べて葉からの水分消失量が少ない。積雪も多く、この中に埋まって越冬したシュートでは水分の減少はみられない。そのように、太平洋側に比べれば緩和された環境であっても、日本海側気候の北アルプス乗鞍岳・樹木限界のオオシラビソでは、冬季に積雪に埋まって保護されないと、強光ストレスと乾燥ストレスを受けて、葉の枯損や生育期間の光合成抑制といった影響を受け、やがては幹が枯損する。これを補うのが、積雪下で越冬できる下部のシュートであり、この部位が1本のオオシラビソ個体の90%以上の生産力をもっていると推定される。したがって温暖化によって積雪量が減少すると、この部位も減少し、オオシラビソ個体の存続も危ぶまれる。一方、冷温帯に優占する日本海型のブナの実生は、冬季に積雪の保護がないと、凍結・融解によ導管内にキャビテーションが生じ、翌春に開葉できずに枯死する。そのために、日本海側では積雪の保護を受けて、容易に実生が定着できるが、太平洋側では定着することができない。日本海型ブナは、太平洋側ではギャップ内に芽生えれば越冬はできるが、との後の数年間に、光合成系の強光阻害や晩霜害によって結局は枯死するので、冬季に積雪の保護がない太平洋側山地に定着することはできない。このことから、現存の日本海側に優占しているブナ林は、温暖化によって積雪量が減少すると更新が困難になる危険性があるということができる。
著者
井上 美津子 浅里 仁 池田 訓子 小林 聡美 佐々 龍二 高木 裕三 朝田 芳信 大嶋 隆 小口 春久 田中 光郎 前田 隆秀 宮沢 裕夫 藥師寺 仁 渡部 茂 真柳 秀昭 鈴木 康生 下岡 正八 野田 忠 渋井 尚武 進士 久明 田村 康夫 土屋 友幸 大東 道治 香西 克之 西野 瑞穂 木村 光孝 本川 渉 藤原 卓 山崎 要一 吉田 昊哲 丸山 進一郎 嘉ノ海 龍三 品川 光春
出版者
一般社団法人 日本小児歯科学会
雑誌
小児歯科学雑誌 (ISSN:05831199)
巻号頁・発行日
vol.43, no.5, pp.561-570, 2005-12-25
参考文献数
11
被引用文献数
5

小児に対する歯科用局所麻酔剤の安全性を明らかにするため日本小児歯科学会の委嘱により,臨床における使用実態と不快事項の発現に関する調査を行った.大学病院小児歯科および個人小児歯科診療所より4,145名分のデータが収集され,以下の結果を得た.<BR>1.局所麻酔を用いた治療は0歳から20歳以上の幅広い年齢層に行われていたが,12歳以下の者が約90%を占めていた.<BR>2.全身疾患やアレルギー体質を有する小児は調査対象児の2割以上を占め,また局所麻酔が初めての小児が16.2%であった.3<BR>.小児の治療において,局所麻酔はコンポジットレジン修復などの修復処置にも多用されていた.<BR>4.局所麻酔薬剤としてはリドカイン製剤が多く用いられており,投与量は1.0ml以下が多かったが,1.8mlを超えた例も3%程度みられ,追加投与により総量が増える傾向がみられた.<BR>5.術中,術後の不快事項は,それぞれ108名(2.6%),109名(2.6%)にみられた.不快事項の内容は,麻酔の奏効不良による疼痛や麻痺による違和感・不快感の訴えや,麻痺の残存による咬傷などが多くを占めていた.<BR>6.局所麻酔薬剤の副作用を疑わせる熟睡や軽い呼吸困難,悪心などの症状は,術中に3例,術後に6例ほどみられたが,いずれも重篤なものではなかった.
著者
村上 進 児玉 清隆 松本 美栄子 山崎 多佳子
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.44, pp.25-26, 1992-02-24

現在,製造業の設計・製造部門がかかえている課題として,以下の点が上げられる.・技術文書の検索および作成に要する時間は,1日の約3分の1を占めている.・類似した技術文書が氾濫している.・担当者により,設計・製造品質のばらつきがある.・同じような設計・製造ミスを繰返している.・人材不足の環境では新人の業務習熟度を早め即戦力としたい.これらの現象は,技術情報の共用化および有効利用が行なわれていないことに起因しているといえる.本文では,従来文書化しにくいノウハウのデータベース化と,さまざまなメディアに分散されている技術情報の共用化および有効利用を目的とした知識ベースシステムの必要性とその実現方法について概要を述べる.なお,本システムで取り扱える情報種別および対象部門は問わないが,本文では設計部分を例に本知識ベースシステムの説明を行う.
著者
山口 浩司 永瀬 雅夫 山崎 謙治 山口 徹 岡本 創 小野満 恒二
出版者
日本電信電話株式会社NTT物性科学基礎研究所
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

化合物半導体ヘテロ構造を用いて微小機械共振器を作製し、その特徴的な電気機械振動特性を応用した新しい機能の探究を進めた。この結果、以下の成果が得られた。(1)パラメトリック周波数変換を実現し、一個の機械共振器により複数の論理ゲートと等価な演算を実現する新しい論理情報処理手法の提案と実証を行った。(2)化合物半導体の光半導体素子としての機能を活用し、キャリア励起による新しい光・機械結合を実現した。(3)二つの機械共振器を結合し、その周波数をチューニングする手法を開拓した。(4)これらの微小機械構造を高精度で作製するために必要なナノ加工技術の高度化に成功した。
著者
坂元 眞由美 松本 大輔 川又 敏男 山崎 郁子 中村 美優 安藤 啓司 傳 秋光 川又 敏男 安藤 啓司 山崎 郁子 傳 秋光 中村 美優
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

本研究は重度認知症高齢者の自律神経に音楽がどのような影響をもたらすのかを明らかにすることにある。方法はCDRにて分類した重度認知症高齢者に対し、好きな音楽を用いた介入を個別に週1回、能動的参加群と受動的参加群、コントロール群に分けて行なった。評価方法は加速度脈派測定システム・フェーススケールを使用した。その結果、好きな音楽の受動的聴取または能動的歌唱の両者共に精神安定効果があることを確認した。
著者
山崎 亮輔 浅木 信吾 馬場 暁 大平 泰生 新保 一成 加藤 景三 金子 双男 サマンタ サチャ ロックリン ジェイソン
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. OME, 有機エレクトロニクス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.59, pp.21-25, 2010-05-20
参考文献数
8

グレーティングカップリング表面プラズモン共鳴法は、金属で覆われたグレーティング基板上に入射した光の波数にグレーティングベクトルが足し合わさることによりプラズモンの波数と一致して表面プラズモンを共鳴励起する方法であり、プリズムを必要としないことなどから、実用的なセンサーへの応用が検討されてきている。我々は、金属格子上での白色光照射多重励起型表面プラズモン共鳴現象を利用したセンサーへの応用を行ってきている。また、可視域で大きなエレクトロクロミズムを持つPEDOT-PSS/テルピリジン鉄錯体ポリマーを用いて、センシング感度の向上を試みている。今回、格子間隔の異なるグレーティングを用いてセンシングを行い比較・検討を行ったので報告する。