16 0 0 0 OA プレフェミン

著者
岡 秀樹
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
ファルマシア (ISSN:00148601)
巻号頁・発行日
vol.51, no.2, pp.154-155, 2015 (Released:2018-08-26)
参考文献数
4

月経に伴う症状の中で,月経開始前に発現する種々の症状については,1931年にFrankが月経前緊張症として初めて報告し,その後「月経前症候群(premenstrual syndrome:PMS)」と定義され,一般に知られるようになった.現在,日本産科婦人科学会では,PMSを「月経開始の3~10日位前から始まる精神的,身体的症状で月経開始とともに減退ないし消失するもの」と定義している.PMSの症状は200~300種類とも言われており,身体的症状として,乳房のはり・痛み,肌あれ・にきび,下腹部のはり,眠気または不眠,疲労倦怠感,頭痛,腰痛,むくみ,下腹部痛,のぼせなど,精神的症状として,イライラ,怒りっぽい,情緒不安定,憂うつ,落ち着かない,緊張感などがある.生殖年齢の女性の約70~80%は,月経前に何らかの症状を伴うとされている.
著者
福岡 秀興
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.68, no.1, pp.3-7, 2010 (Released:2010-09-01)
参考文献数
19
被引用文献数
2 4

日本では生活習慣病(成人病)が著しく増加している。成人病(生活習慣病)は遺伝素因〈遺伝子多型〉と生活習慣の相互作用により生ずるといわれているが,特殊な遺伝子多型に由来する成人病はあってもこの考え方ですべての発症は説明出来ない。ここに第3の発症説として「受精時,胎芽期,胎児期または乳幼児期に,低栄養又は過栄養の環境に暴露されると,成人病の(遺伝)素因が形成され,その後の生活習慣の負荷により成人病が発症する。」という「成人病胎児期発症(起源)説 FOAD:Fetal Origins of Adult Disease」が注目されており,疫学的にこの説はほぼ正しいと認められるに至っている。その分子機序には3つあり,ひとつは低栄養で生ずる腎臓ネフロンや膵臓β細胞の減少等の解剖学的変化である。ついで低栄養・過量栄養環境に対応して生ずる代謝系の変化即ち遺伝子発現制御系(クロマチン構造変化)の変化がある。この変化は出生後も持続し,胎内と出生後環境のギャップに適応できず,やがて疾病を発症する。日本で出生体重はこの 20年間に男女共に 200g以上減少し,1980年代以降に,低出生体重児頻度(%)は増加し続け,2007年は9.70%にまで達している。エネルギーや葉酸等を十分摂取している妊婦むしろ少なく,全般的に栄養は不足している。ホモシステイン高値例も多い。胎生期のエピジェネティク変化で生ずる永続的な変化を起こす上で重要なのは,DNAメチル化度の変化である。それにはメチル基の代謝回転(one carbonmetabolism)が大きく影響する。この代謝系には葉酸,ビタミンB12,ビタミンB6,亜鉛,一部アミノ酸等が関与している。二分脊椎症の多発傾向に見るごとく葉酸の不足した妊婦が多い事も想像され,胎児の遺伝子発現系の望ましくない変化が生じている可能性がある。妊婦栄養を今こそ見直す必要がある。妊娠前の栄養,妊娠中の栄養管理,授乳期の母乳哺育指導等が重要であり,疾病・健康・寿命がこの時期の栄養環境で決る事が理解され,次世代の健康を確保する重要な考え方として広まる事が期待される。(オンラインのみ掲載)
著者
寺井 岳三 植田 秀雄 行岡 秀和
出版者
社団法人 におい・かおり環境協会
雑誌
におい・かおり環境学会誌 (ISSN:13482904)
巻号頁・発行日
vol.36, no.5, pp.275-279, 2005 (Released:2005-11-25)
参考文献数
10

放屁の有無の測定は,腸管運動の機能の評価において重要である.とくに手術後の患者では,腸管の動きが抑制されるため,放屁の出現は,腸管の運動が回復したことを正確に示し,経口摂取開始の指標となる.放屁を客観的に評価する放屁モニターの,指標として用いることができるガスは,大気中にほとんど含まれず,放屁中に必ず存在する事が必要条件であり,炭酸ガス(CO2)と水素(H2)が適する.CO2は呼気に5%含まれるため,部屋の換気や部屋にいる人数により大気中のCO2は変動するが,H2は,呼気中に含まれる濃度がCO2に比べるとはるかに少ないため,測定に影響が少ない.H2を指標とした小型で,簡便な放屁モニターを試作し,CO2アナライザーと比較した結果,信頼性が高く,CO2アナライザーより優れていた.今後,H2を指標とした放屁モニターの臨床での実用化が期待される.
著者
佐田 文宏 福岡 秀興 尾崎 貴視 伊藤 善也 吉池 信男 瀧本 秀美
出版者
一般社団法人日本衛生学会
雑誌
日本衛生学雑誌 (ISSN:00215082)
巻号頁・発行日
vol.72, no.1, pp.15-19, 2017 (Released:2017-02-02)
参考文献数
26
被引用文献数
2

There are two major nationwide birth cohort studies in Japan, namely, the Longitudinal Survey of Newborns in the 21st Century conducted by the Ministry of Health, Labor and Welfare (MHLW) and the Japan Environment and Children’s Study (JECS) conducted by the Ministry of Environment. The former was a longitudinal questionnaire survey focusing on environmental and socioeconomic factors for descriptive epidemiology conducted every year since 2001 by mail. The latter was based on 15 unit centers nationwide with environmental measurements and collection of biological samples for environmental risk evaluation. Both are prospective birth cohort studies whose findings will be expected as the basis for establishing health policies. The data obtained in the former study can be used for research with permission from MHLW. To date, there have been more than ten published studies using those data. We have reviewed these studies and introduced our preliminary findings on factors affecting infant growth. Employment before delivery, educational background of parents, household income, and smoking habit of both parents have been suggested to affect infant growth. We will analyze the associations between socioeconomic factors and infant growth trajectory to elucidate the most adequate intervention for children.
著者
野中 隆 福岡 秀敏 竹下 浩明 日高 重和 七島 篤志 澤井 照光 安武 亨 永安 武
出版者
日本腹部救急医学会
雑誌
日本腹部救急医学会雑誌 = Journal of abdominal emergency medicine (ISSN:13402242)
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, pp.491-493, 2010-03-31
参考文献数
11
被引用文献数
2

患者は50歳男性。性的嗜好にて肛門に長さ15cm,直径10cm程度の薬瓶を挿入。自身でペンチを用いて取り出そうとしたが摘出できず,ビンが割れて出血してきたため当院救急外来受診となった。腹部単純X線では小骨盤腔内にはまり込んだ破損したガラス瓶を確認し,腹部CTの3次元再構築画像でガラス瓶の破損部位などの詳細な状況を把握しえた。経肛門操作による摘出は困難と判断し,同日緊急手術を施行。肛門より破損したガラス瓶の入口部より自動吻合器(サーキュラーステイプラー)を挿入し,直腸RS部を切開し逆行性にガラス瓶を摘出した。直腸切開部は離断し人工肛門を造設し手術を終了した。直腸異物は,性的嗜好や事故により肛門から器具などが挿入され,抜去不可能となったものである。破損したガラス瓶摘出を行う際には,事前に形態や破損状況を確認し,状況に応じた適切な手段を選ぶ必要がある。
著者
岡 秀一 青山 高義
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
E-journal GEO (ISSN:18808107)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.44-49, 2014-03-31 (Released:2014-04-23)
参考文献数
14
被引用文献数
2

対馬には板倉と呼ばれる倉庫群が発達している.かつてこの板倉は,土地をもち耕作することができる“本戸”と呼ばれる人々のみが所有することができた.耕作可能な土地は西岸域に集中しているので,必然的に板倉の分布も西岸域に偏在していた.板倉は防災対策上主屋から隔離され,小屋屋敷と呼ばれる立地に群をなして設置された.瓦の使用が禁止されていた江戸期にその屋根素材として注目されたのが,対馬の基盤をなしている対州層群であった.対馬の地形や地質をはじめとする特異な自然環境に規制され,またそれらを利用しながら生活する人々の生産様式・生活様式の中で培われてきた石屋根板倉は対馬の象徴であり,大地の遺産にふさわしい存在である.
著者
西岡 秀郎 田口 志麻 山本 勇一 中川 智晴
出版者
一般社団法人 日本臨床救急医学会
雑誌
日本臨床救急医学会雑誌 (ISSN:13450581)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.168-170, 2020-06-30 (Released:2020-06-30)
参考文献数
10

アナフィラキシーショックに対する第一選択薬はアドレナリンであり,迅速な投与が死亡率を低下させる。また輸液も重要な治療である。わが国では救急救命士の処置として,アドレナリン自己注射製剤(エピペン®)所持者が自己注射できない場合のエピペン投与,および心肺機能停止前の静脈路確保と輸液が認められている。著者らはアナフィラキシーショックにより意識レベルと血圧の低下を呈した患者に対し,救急救命士がこれらの処置を実施し,症状の改善に寄与した症例を経験した。
著者
中村 正広 野々村 祝夫 並木 幹夫 奥山 明彦 高 栄哲 近藤 宣幸 竹山 政美 清原 久和 藤岡 秀樹
出版者
一般社団法人 日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科学会雑誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.80, no.9, pp.1362-1366, 1989-09-20 (Released:2010-07-23)
参考文献数
23
被引用文献数
1

ヒト精巣におけるDNA合成, RNA合成, 蛋白合成の至適温度を検討するために, 培養ヒト精巣組織への3H-チミジン, 14C-ウリジン, 14C-ロイシンの取り込みを28℃~43℃の温度条件で観察した. その結果, RNA合成, 蛋白合成は温度依存性に増加し, 37~40℃で最大になると考えられたが, DNA合成は31℃で最大となり, 微妙な温度感受性を示すと判断された. 従って, 精巣温度上昇による造精障害の根本原因の1つとして精巣DNA合成の障害が推察された.
著者
松岡 秀明 Hideaki Matsuoka
出版者
国際コミュニケ-ション学会
雑誌
国際経営・文化研究 (ISSN:13431412)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.75-87, 2008-11

This paper explores Haiku making gathering called kukai. There exist around 800 haiku groups in which Haiku authors make Haiku. Haiku group called kessha is hierarchically structured and an interesting object to be examined using an analytical concept "legitimate peripheral participation" proposed by Rave and Wenger. Kukai is an excellent opportunity for newcomer to observe aesthetics, power structure, and relationships between members. There are two types of kukai in a Haiku group J, of which I have carried out fieldwork. The first type is the headquarters kukai, in which around 40 members taka part. This kukai reproduces the power structure of the group and not very good space to carry out legitimate peripheral participation. The second type is branch kukai consists of around 10 to 15 participants. There are enough time for participants to discuss each Haiku of the participants. For this reason, this type kukai is more appropriate for newcomers' legitimate peripheral participation. These two types are, however, necessary for Haiku group J since the first type reproduces hierarchical power structure of the group, and the second one offers space in which participants including newcomers to internalize the aesthetics of the group.
著者
徳岡 秀雄
出版者
社会学研究会
雑誌
ソシオロジ (ISSN:05841380)
巻号頁・発行日
vol.25, no.3, pp.p108-117, 1981-03
著者
前島 郁雄 鈴木 啓介 田上 善夫 岡 秀一 野上 道男 三上 岳彦
出版者
東京都立大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1987

本年度は、3年間の研究計画の最終年度であり、研究成果をまとめると以下の通りである。1.全国19地点の日記の天候記録をもとに、1771-1840年の70年間について、夏季4ケ月(6〜9月)の毎日の天候分布図を完成した。次に、北海道を除く全国を5つの地域に区分し、各地域毎に降雨の有無の判定を行なった。降雨の有無を1と0とで表現し、その組み合せから、全32タイプの天候分布型を設定して毎日の天候分布型の分類を行なった。その結果を天候分布型カレンダ-としてまとめた(成果報告書参照)。2.一方、現在の天候デ-タを用いて、上記と同様の方法で1975〜84年の10年間について、天候分布型の分類を行なった。気圧配置型については、吉野ほか(1967、1975、1985)による分類法を若干修正して用いることにした。各天候分布型に対応する日の気圧配置型を集計して、両者の対応関係を検討した。その結果、一つの天候分布型に対して必ずしも一義的に気圧配置型が対応しないことが明らかになった。3.最終的に、次の手順で気圧配置型の復元を試みることにした。(1)歴史時代の毎日の天候分布図を作成し、上述の方法で32通りの天候分布型に分類する。(2)現在の観測デ-タに基き作成した各天候分布型に対応する前線と高低気圧・台風中心位置の合成図を参考に、ワ-クシ-トを作成する。ワ-クシ-トには、想定される概略的な前線と高低気圧の中心位置を書き込む。この場合、連続性や高低気圧の移動速度等を考察する。(3)完成したワ-クシ-トをもとに、毎日の気圧配置性を吉野らによる分類法にしたがって復元する。本研究では、実際に1783年(天明の飢餓年)の6〜7月の気圧配置型の復元を試みた。
著者
永田 真啓 服部 誠 花嶋 正昭 吉岡 秀 黒野 剛弘 森 真介
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン学会技術報告 (ISSN:03864227)
巻号頁・発行日
vol.15, no.42, pp.7-14, 1991-07-18

In order to apply to the applications of an image processing, we have improved VM and VI of Smalltalk-80 on standard EWS. We developed operational evironment of positron CT(PET) system using Smalltalk-80 as an example of practical applications. These approach is only by adding new class for image processing. The limitation of Smalltalk-80 using standard EWS are made clear. Particulary, in the case of system extension, we are faced with the bottle neck of hardware potential of standard EWS and with the limit of real-time potential by UNIX. Then, we considered these limits of applications and developed new original object oritented machine, OOPS (Object Oriented Processing System), which is used Smalltalk-80 as operating system.
著者
坂口 明子 任 智美 岡 秀樹 前田 英美 根来 篤 梅本 匡則 阪上 雅史
出版者
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.116, no.2, pp.77-82, 2013 (Released:2013-04-11)
参考文献数
14
被引用文献数
10 15

味覚障害は原因がさまざまであり, 各原因別での改善率や治療期間, 経過の報告は多くない. 今回, われわれは味覚障害患者1,059例を原因別に自覚症状の改善率, 治癒期間について検討した.1999年1月から2011年1月までの12年間に味覚外来を受診した味覚障害例1,059例 (男性412例, 女性647例, 平均年齢60.0歳) を対象とした.全例に問診, 味覚検査 (電気味覚検査, 濾紙ディスク法), 採血 (Zn, Fe, Cu), SDS (Self-rating Depression Scale, 自己評価式抑うつ性尺度) を施行し経過を追った. 治療は亜鉛製剤, 鉄剤, 漢方薬, 抗不安薬などの内服を症状, 程度に応じて行った. また, 自覚症状の程度をVAS (Visual Analogue Scale) により評価した.味覚障害の原因分類では特発性が最も多く192例 (18.2%) であった. 次いで心因性が186例 (17.6%), 薬剤性が179例 (16.9%) であった. 転帰が確定し得た680例で自覚症状の改善率は, 感冒後64/92例 (70.2%), 鉄欠乏性31/35例 (88.6%), 亜鉛欠乏性85/116例 (73.3%) と比較的良好であったが, 外傷性は2/12例 (16.7%), 医原性は13/33例 (39.4%), 心因性は46/100例 (46.0%) と低かった. 平均治癒期間は, 薬剤性で約10カ月間と鉄欠乏性や感冒後と比較すると, 約2倍長期間に渡った. また症状出現から受診までが6カ月以上の例に対し, 6カ月未満の例では改善率が良好で, 回復までの期間は前者が後者と比べると有意に長かった (p<0.05).
著者
吉田 圭一郎 岩下 広和 飯島 慈裕 岡 秀一
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
地理学評論 (ISSN:13479555)
巻号頁・発行日
vol.79, no.10, pp.516-526, 2006-09-01 (Released:2008-12-25)
参考文献数
35
被引用文献数
3 9 4

本研究では父島気象観測所で観測された78年分(戦前: 1907~1943年,占領期間: 1951~1959年,返還後: 1969~2000年)の月別気温および降水量データを用いて小笠原諸島における水文気候環境の長期的な変化を解析した.占領期間および返還後の年平均気温は戦前と比較して0.4~0.6°C 高く,年平均気温の上昇率は0.75°C/100yrであった.また,返還後の年降水量は戦前に比べて約20%減少した.修正したソーンスウェイト法により算出した月別の可能蒸発量と水収支から,年平均の水不足量(WD)が戦前に比べ返還後には増加したことがわかった.また,返還後は夏季において水不足となる月が継続する期間が長くなった.これらのことから小笠原諸島における20世紀中の水文気候環境は乾燥化の傾向にあり,特に夏季に乾燥の度合いが強まり,また長期化することにより夏季乾燥期が顕在化した.