著者
福井 祐子 岩下 孝 浅見 純生 野中 裕司 前田 満 橋本 文雄 木曽 良信
出版者
天然有機化合物討論会
雑誌
天然有機化合物討論会講演要旨集
巻号頁・発行日
no.50, pp.475-480, 2008-09-01

Oolong tea is a semi-fermented tea, which has been manufactured from leaves of Camellia sinensis (L) O. Kuntze, same as non-fermented Japanese or Chinese green teas. Major components of fresh tea leaves are caffeine and catechins such as epigallocatechin-3-O-gallete (EGCG). During the fermentation process, polyphenol oxidase (PPO) in tea leaves oxidizes the catechins into theasinensin and oolongtheanin. In addition, oolonghomobisflavans are known as condensation products of catechins by heat treatment. The aim of this study is to quantify these minor polymerized polyphenols by LC-MS/MS, and address their biological activities. Quantification of polyphenols by LC-MS/MS Theasinensin (TSN), oolongtheanin gallate (OTNG), and oolonghomobisflavan (OHBF) were synthesized from EGCG. Two new trimers and tetramers of oolonghomobisflavan were synthesized along the previous synthesis method of OHBF, and then their structures were determined by MS and NMR spectroscopy. Quantification of these compounds was performed by LC-MS/MS in the mode of multiple reaction monitoring (MRM). Compounds other than TSN-A were of small quantities in oolong tea leaves. Quantification of polymerized polyphenols was not performed with HPLC UV monitoring, but by LC-MS/MS method. Nine kinds of oolong teas in different fermentation levels were extracted and analyzed. The very small amount of trimers and tetramers of OHBF were included in "Black oolong tea", therefore, it was necessary to make concentrated solutions of these by column separation, and quantified the real amount by analyzing them. Biological activities of polymerized polyphenols Pancreatic lipase inhibitory activity of oolong tea polymerized polyphenols (OTPP) and some catechin dimmers have been already reported. In this study, new trimers and tetramers also exhibited strong inhibitory activity. Besides OTPP, the polymerized polyphenols, TSN, OTNG, and OHBF also have α-glucosidase inhibitory activity. These results suggest that oolong tea prevents the elevations of triglyceride in blood from meal fat, as well as inhibit the absorption of sugars derived from carbohydrates.
著者
福岡 克弘 高木 敏行 小島 史男 相山 英明 橋本 光男
出版者
滋賀県立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

立体的な形状をした被検査対象物を高精度に非破壊検査する技術の確立を目的とし、磁粉探傷試験と渦電流探傷試験を組み合わせたハイブリッド電磁非破壊検査システムの確立を検討した。具体的には、磁粉探傷試験と渦電流探傷試験において、立体的な形状の強磁性体を探傷するため、三次元空間に均一且つ簡便に磁界を発生できる回転磁界型磁化装置の開発を行った。渦電流探傷試験により極微小な傷を探傷可能とするため、高感度な渦電流プローブを開発し、その特性を評価した。磁粉探傷試験により得られた探傷結果から、傷形状を定量的に評価する手法の確立を目的に、傷の形状と付着磁粉量および傷からの漏洩磁束密度の関係について評価した。
著者
山脇 功 桂 秀樹 平良 真奈子 角陸 知妹 橋本 幾太 千代谷 厚 近藤 光子 玉置 淳 永井 厚志 金野 公郎
出版者
The Japanese Respiratory Society
雑誌
日本胸部疾患学会雑誌 (ISSN:03011542)
巻号頁・発行日
vol.34, no.12, pp.1331-1336, 1996-12-25 (Released:2010-02-23)
参考文献数
21

最近1年間に漢方薬による薬剤誘起性肺臓炎と診断した6症例を臨床的に検討した. 発症までの薬剤投与期間は14日から110日 (平均38日) であった. 症状は呼吸困難, 発熱, 乾性咳嗽が多く, 聴診上 fine crackles を聴取した. 検査所見では全例でCRPとGOTの異常を認め, LDH上昇は5例, 好酸球増多は1例であった. 胸部単純X線およびCT写真上, 陰影は両側びまん性で線状・網状の間質陰影を主体に種々の程度の浸潤影を伴うものが多く, その分布に一定の傾向はなかった. また, 1例は胸水を伴っていた. 4例に行われた気管支肺胞洗浄液では, リンパ球の増加とCD4/CD8比の低下が多く認められ, 経気管支肺生検では4例中3例に器質化肺炎像と胞隔炎の組織所見が得られた. 薬剤リンパ球刺激試験では6例中4例が陽性であった. 2例は漢方薬の中止により, 4例はステロイド投与により軽快した. 漢方薬服用中は薬剤誘起性肺臓炎の発現に注意が必要と考えられた.
著者
桂 秀樹 橋本 幾太 平良 真奈子 角陸 知妹 山脇 功
出版者
The Japanese Respiratory Society
雑誌
日本胸部疾患学会雑誌 (ISSN:03011542)
巻号頁・発行日
vol.34, no.11, pp.1239-1243, 1996-11-25 (Released:2010-02-23)
参考文献数
16

柴朴湯による薬剤性肺炎の1例を報告した. 症例は72歳, 男性. 咽頭違和感に対し柴朴湯の投与を受けた. 投与後42日目より呼吸困難, 発熱を認め来院. 呼吸不全及び胸部X線写真上びまん性線状, 粒状影を認めた. 経気管支肺生検では胞隔の軽度肥厚を伴う器質化肺炎像を呈し, 気管支肺胞洗浄ではリンパ球, 好中球, 好酸球の増加を認めた. リンパ球刺激試験では柴朴湯に対し陽性を示し同剤による薬剤性肺炎と診断した. 同薬剤の中止及びプレドニゾロンの投与により臨床症状, 呼吸不全, 胸部X線写真の改善を認めた. 当薬剤による薬剤性肺炎の報告は疑診例を含め本邦で第5例目と思われる.
著者
橋本 美保
出版者
一般社団法人日本教育学会
雑誌
教育學研究 (ISSN:03873161)
巻号頁・発行日
vol.76, no.3, pp.309-321, 2009-09-30

明石女子師範学校附属小学校の主事及川平治の生活単元論は、主として米国の経験単元の原型ともいえる「作業単元」と、欧州の発生心理学者が提唱した「興味の中心」理論の影響を受けて形成された。特に子どもの成長を発生学的に捉えるフェリエールやドクロリーの生活教育論は、及川の「生活」概念に変化をもたらした。及川は1934年頃までに、スコープとシークエンスを設定する単元の構成原理や、プロジェクト・メソッドによる単元の展開方法を構想しており、そこには彼自身の単元論の形成と戦後の生活単元学習の萌芽が認められる。
著者
橋本 義仁 萬 伸一 永沢 秀一 沼田 秀昭 小池 雅志 田原 修一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SCE, 超伝導エレクトロニクス
巻号頁・発行日
vol.96, no.333, pp.1-6, 1996-10-30
参考文献数
5

2000ゲート規模のジョセフソン論理回路にトランスフォーマーを用いて両極性の高周波電源を供給する実験を行った. 試作したトランスフォーマーは約10MHzから10倍程度の電流増幅率を持つ. 共振周波数は650MHzであり, このトランスフォーマーでクロック周波数1.3GHz程度までの高周波電源を供給できる. このトランスフォーマーを用いて2000ゲート規模の負荷回路に電源を供給し, 動作実験を行った. この負荷回路には現在当グループで開発中の超伝導インターコネクションシステムの要素回路であるSOF回路が組み込まれており, SOF回路の正常動作をクロック周波数1.024GHzまで確認した. この結果から, 2000ゲート規模の回路を1GHz以上のクロックで動作させる見通しを得ることができた. 今回, 高周波電源ノイズをチップレイアウトの改善により大幅に低減できることも同時に示し, 非常に低ノイズな出力波形を得ることに成功した.
著者
橋本 久美子 佐藤 道信 大角 欣矢 古田 亮 吉田 千鶴子 大西 純子
出版者
東京芸術大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

東京音楽学校と東京美術学校が明治から昭和戦後まで文部省、皇室、陸海軍、企業、財閥、学校、市町村からの依嘱により行った受託作には、全国各地の校歌・各種団体歌、皇居前の楠木正成銅像や上野公園の西郷隆盛銅像等がある。音楽と美術双方で学内文書調査、現地調査、現物撮影、現状調査、原資料のデータ化等を行った結果、両校の受託作は近代的共同体のイメージを感覚面から共有させ、近代国家形成の一翼を担った点では共通するが、受託の方法、規模、意義、受託作が社会に及ぼす影響や浸透の仕方は相異なることが明らかとなった。
著者
古市 剛史 黒田 末寿 伊谷 原一 橋本 千絵 田代 靖子 坂巻 哲也 辻 大和
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2010-04-01

ボノボ3集団と、チンパンジー2集団を主な対象として、集団間・集団内の敵対的・融和的交渉について研究した。ボノボでは、集団の遭遇時に融和的交渉が見られるが、その頻度やタイプは集団の組み合わせによって異なり、地域コミュニティ内に一様でない構造が見られた。チンパンジーでは、集団間の遭遇は例外なく敵対的であり、オスたちが単独で行動するメスを拉致しようとするような行動も見られた。両種でこれまでに報告された152例の集団間・集団内の殺しを分析したところ、意図的な殺しはチンパンジーでしか確認されていないこと、両種間の違いは、環境要因や人為的影響によるものではなく生得的なものであることが明らかになった。
著者
会田 久仁子 角野 幸子 橋本 美津子 横堀 亜紀子 金子 憲太郎 角野 猛
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
調理科学 (ISSN:09105360)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.206-210, 1990-05-20
被引用文献数
2

キムチのpH、塩分濃度、および微生物汚染等と女子学生の嗜好実態およびイメージについて調査し、次の知見を得た。1.市販キムチ40検体のpHは4.50〜4.99のものが多く、平均5.14であった。塩分濃度は平均2.75%、一般生菌数は10^7〜10^8/gのものが多く対数平均値は6.22/gであった。大腸菌群検出率は41.7%であった。2.嗜好の程度を「大変好き」、「好き」、「どちらでもない」、「嫌い」、「大変嫌い」として、それぞれ2、1、0、-1、-2点と評点し、各種漬物の嗜好度の平均点、95%信頼限界を算出した。キムチは平均0.72点でたくあん漬および梅干しについで高かった。なお、浅漬、福神漬、ぬか漬、みそ漬、奈良漬、わさび漬および酢漬はそれぞれ0.67、0.65、0.17、0.14、-0.01、-0.10および-0.07点であった。3.キムチは濃厚な味で、まろやかさに欠け、後味が残り、くせがあり、重々しいものであるというイメージをもっていた。
著者
津田 一郎 西浦 廉政 大森 隆司 水原 啓暁 相原 威 乾 敏郎 金子 邦彦 山口 陽子 奥田 次郎 中村 克樹 橋本 敬 阪口 豊
出版者
北海道大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2009-07-23

領域の事後評価はAであり、その成果を冊子体の形で集約し、広く社会・国民に情報提供することには大きな意義がある。取りまとめ研究成果は以下のとおりである。1.成果報告書の冊子体での編集と製本を行った。計画班11、公募班44の全ての計画研究・公募研究の班員が、計画班各8ページ、公募班各4ページで執筆し、研究の狙いとその成果を文書と図でわかりやすくまとめた。これらを冊子として製本し、領域に参加する研究者と関係者に配布した。2.成果報告書のCDを作成し、冊子体に添付する形で配布した。3.本成果をWeb上のデータベースDynamic Brain Platformとして成果公開するための準備を完成させた。これまで当領域の成果報告の場として作成公開して来たホームページは、領域終了後に管理できなくなる。そこで、この領域ホームページをINCF 日本ノードDynamic Bain Platform (DB-PF)に移管した。また、成果報告書の電子版をDB-PFにアップロードするための準備を行った。本公開は、広範な分野の人々から永続的な閲覧を可能にするもので、成果を社会・国民に発信する方法として有効であると期待できる。
著者
橋本 憲尚 加藤 義信
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.36, no.4, pp.358-368, 1988-12-30 (Released:2013-02-19)
参考文献数
51

It is well-known that younger children up to the age of about 6 yr. have much difficulty in discrimination between oblique lines in contrast with relative ease in that between horizontal and vertical. This phenomenon is called oblique effect and a large amount of studies were conducted over the past twenty years for determining the causes of such effect. This paper reviewed these experimental studies in terms of the development of the children's strategies in encoding and storing information of oblique orientation in memory. Some recent infant studies revealed that even a baby might have his/her categorical ability of orientation, so, during early childhood, the orientational categories should be much elaborated, and several encoding strategies for non-specific orientation such as oblique should be developed in an appropriate way to each stimulus context. This course of the development seemed to be confirmed on the whole from the present overview of the studies concerned. This confirmation afforded a basis for further discussions on a developmental hierarchy in orientational categories.
著者
橋本 裕
出版者
東京医科歯科大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2011

本プロジェクトでは、胃がんにおいて異常DNAメチル化により発現が低下している複数のmiRNAが、がん関連遺伝子発現制御を協力的に行っているかどうかを調べる事を目的とした研究を行った。解析の結果、dihydropyrimidinase-like 2(DPYSL2/CRMP2)遺伝子が胃がんで発現増加し、miR-224クラスター(miR-224/452)がDPYSL2を含めた複数の標的遺伝子の発現制御に関与している事がわかった。またmiR-224クラスターはDNAメチル化により発現低下することを明らかにした。さらに原発性胃がん組織においてmiR-224のメチル化はDPYSL2の発現増加に寄与し、DPYSL2は胃がんにおいて細胞増殖に関連するがん関連遺伝子である事を示した。一方、miR-340/181cも同様にDNAメチル化により発現低下し、協力的に複数の癌関連遺伝子の発現調節を行っていることを示した。また胃がん細胞の増殖抑制に関与する可能性も示した。以上より、エピジェネティックな発現制御を受けているmiRNAは協力的に標的遺伝子を発現調節している可能性が高く、胃がんにおいて、複数のmiRNA発現低下は癌関連遺伝子の発現増加に大きく影響する事が推測される。さらに、このようなmiRNAの発現調節機構の研究は胃がんの発症機構解明並びに、新規治療薬の開発にも役立つと考えられる。以上の内容は原著論文として2013年5月、国際学術誌PLoS Oneに掲載された。また、昨年度はスペイン・ベルビッチェバイオメディカル研究所にてDr.Manel Estellerのグループと共同研究を行った。大腸がんにおいて異常脱メチル化により発現低下する長鎖非コードRNA(1ncRNA)を探索したところ、ヒトがんで発現異常が報告されているmiRNA(仮称:miR-Y)の発現と相関する1ncRNA(仮称:lnc-X)を見つけた。さらにlnc-Xは原発性ヒト大腸がん組織だけでなく、肝がん組織においても高頻度のがん特異的メチル化が検出された。これまでのところmiR-Yの発現は様々ながんで発現低下が報告されているものの、その発現調節機構については不明な点が多く、今後はmiR-Yの調節制御にlnc-Xが関与している事を明らかにするつもりである.
著者
所 功 川北 靖之 黒住 祥祐 小林 一彦 宮川 康子 若松 正志 海野 圭介 山口 剛史 飯塚 ひろみ 石田 俊 今江 廣道 宇野 日出生 岸本 香織 京條 寛樹 久世 奈欧 (野村 奈欧) 嵯峨井 建 笹部 昌利 篠田 孝一 宍戸 忠男 末松 剛 土橋 誠 橋本 富太郎 松本 公一 村山 弘太郎 山本 宗尚 吉野 健一 米田 裕之 若杉 準治
出版者
京都産業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

近世(江戸時代)の賀茂大社(上賀茂・下鴨両社)では、世襲の社家神職たちにより、朝廷と幕府の支援をえて、葵祭や社務が運営されてきた。私共は、その実情を伝える社家の記録や祭礼の絵巻などを、朝廷の御記や公家の日記などと照合しながら、相互関係の解明に努めた。その成果は、本学日本文化研究所の紀要や所報などに発表し、また本学図書館所蔵の賀茂関係絵巻などは大半をデジタル化し詞書(ことばがき)の解読も加えて貴重書アーカイブスに公開している。
著者
伊藤 玲子 小林 朋子 古川 典子 関山 忠孝 大木 隆史 平沼 久人 山口 賢二 服部 知洋 林 伸一 橋本 修
出版者
日本大学医学会
雑誌
日大医学雑誌 (ISSN:00290424)
巻号頁・発行日
vol.69, no.1, pp.58-61, 2010-02-01 (Released:2010-06-14)
参考文献数
11

71 歳,関節リウマチ (RA) にて加療中の男性が発熱,呼吸困難のため入院となった.患者は infliximab (IFX) (260 mg) を毎月 1 回,約 1 年間投与されていた.胸部 X 線にて,両側性の浸潤影を認め, 入院時より重症の低酸素血症のため人工換気を要した.血清中 β -D グルカン値上昇と胸部 CT における全肺野に及ぶ地図状のすりガラス陰影の出現により,Pneumocystis pneumonia (PCP) と診断した.ST 合剤投与により速やかに臨床症状の改善を認めた.MTX, IFX 治療を行い免疫抑制状態となった患者にしばしば感染性肺炎や薬剤性肺炎による急性肺障害が発症する.長期に免疫抑制治療を行っている高リスク患者においては,鑑別診断として PCP を念頭に置く必要がある.また,発症予防としての ST 合剤の投与も検討すべきである.
著者
橋本 陽
出版者
記録管理学会
雑誌
レコード・マネジメント : 記録管理学会誌 (ISSN:09154787)
巻号頁・発行日
no.66, pp.42-56, 2014-03-15

本稿は、個人文書の編成を論じるものである。編成はISAD(G)などのある記述とは反対に標準が未だ決定されていない。その上、個人文書やマニュスクリプトは、組織のアーカイブズとは異なり、多くの場合において出所及び原秩序の尊重の原則が適用できず、編成は非常に困難である。本稿の狙いは、このような大きな問題を解決するために貢献し得る一事例を提示することにある。本稿は法政大学大原社会問題研究所環境アーカイブズが所蔵するサリドマイド関連資料を素材として、その特質を丹念に調べ、日本と英語圈における編成の方法論を検討し適応可能なモデルを探した。最終的には、これらの方法論を組み合わせ新しい編成の方法論を作り上げ、それをサリドマイド関連資料に適応することで、資料を編成することが可能となった。ここで示した方法論は、同種のマニュスクリプトや個人文書を編成するための一つの道標となるはずである。
著者
徳永 幹雄 橋本 公雄 高柳 茂美
出版者
九州大学
雑誌
健康科学 (ISSN:03877175)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.65-73, 1994

第44回全日本大学準硬式野球大会の予選を兼ねたの九州選手権大会に参加した25チーム, 511名を対象にして, 特性としての心理的競技能力と状態としての心理的競技能力を調査した。その結果を要約すると次のとおりである。1.特性としての心理的競技能力は, 学年, 年令, 経験年数, 県や全国レベルの大会への参加回数, 競技成績, ポジションなどによって異なった。2.試合中の心理状態を大戦チームと比較すると, 勝ちチームほど高得点を示す場合が多かった。しかし, 負けチームが高得点を示す場合もみられた。また, 1回戦から決勝戦までの全選手の平均得点は, 1・2回戦では低く, 決勝戦になるほど高得点を示した。さらに, チームごとの平均値をみると, 1・2回戦での負けチームの得点は低く, 上位チームの得点は次第に高得点になることが示された。3.特性と状態の相関は, 1〜3回戦までは有意であった。しかし, 5〜8位決定戦と決勝戦での相関は低くなった。3回戦での試合中の心理状態に関与する特性としての心理的競技能力をみたが, 有意性のある尺度はみられなかった。
著者
山本 真鳥 棚橋 訓 豊田 由貴夫 船曳 健夫 安井 眞奈美 橋本 裕之
出版者
法政大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1999

・研究実施計画は、平成11年度については、若干の変更の後に、ほぼ予定通りに遂行された。平成12年度は、日程調整を行い、調査の足りない部分を補いながら全体の計画が遂行された。・芸術祭の事前に各国を訪れることによって、準備状況を観察し、また異なるジャンルの芸術の全体的な存在様式を観察することができた。・ポリネシアでは、「伝統」芸術の様態が観光と深く関わる部分がある一方、人々にとってそれらはアイデンティティに関わるものとして、社会生活のなかでも大きな意味をもつ。しかし、それぞれの社会で細部の事情は異なる。・パプアニューギニアでは、もともときわめて多様なエスニック文化が存在するなかで、それら伝統文化を織り交ぜながら、新しいアイデンティティのよりどころとなる「伝統の創造」が生じている。ダンスのみならず、多様な芸術の分野でも、ニューギニアらしさを出しながら、しかも特定の部族に直結しない芸術の創造が好まれる。・ミクロネシアは、芸術祭では後発のパフォーマーであり、ダンスの演技が観光と必ずしも結びついていない。その意味で、伝統的なダンスとは何か、伝統的な芸術とは何か、それらを芸術祭でいかに見せるかを、現在追究している段階である。・各国の芸術祭のリプリゼンテーション、つまり送り込む代表団をどのように選定するか、それら代表団がいかなる演技を見せるか、ということは、それぞれの国の国内事情や文化状況、国家としての様態などとさまざまな絡まり方をしていることが解釈できる。それらを明らかにするのは、個別社会の事情に通じた研究である。既に明らかになったことは、研究成果報告書のなかで論じている。・さらに芸術祭を主催すること自体が、それぞれの国の国内事情や文化状況と深く関わっている。それらが、個々の芸術祭のあり方を規定する大きな要因である。ニューカレドニアの第8回芸術祭に関していえば、フランスからの独立の可能性の生じてきている今、カナク文化をニューカレドニアのアイデンティティの正面に据えることは、先住民であるカナクにとって大きな意味を持っていた。