著者
BALDERMANN Susanne (2009) 渡辺 修治 (2007-2008) SUSANNE B.
出版者
静岡大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2007

ンモクセイにおけるβ-,α-ionone生合成・発散制御に関わるカロテノイド分解酵素・遺伝子:カロテノイド分解酵素遺伝子ofCCD1の発現レベルの明暗変動(明期に高く暗期に低い)リズムが、分解産物であるC13-ノルイソプレノイド系香気成分β-,α-iononeの明暗発散ズムと一致することを明らかにし、本酵素がβ-,α-caroteneを分解してβ-,α-iononeを生成することも明らかにすると共に香気特性の変化にも言及した(J.Expt.Botany,in press)。色調変化に伴って香気成分を生成・発散する中国バラにおけるカロテノイド,分解酵素,香気成分の変動:各開花段階にあるRosa chinensis Mutabilisの花の香気成分、カロテノイド、アントシアニン、およびカロテノイド分解酵素の消長を明らかにした。ノリの香気成分、色素とカロテノイド分解酵素:浜名湖周辺で採取した新鮮ノリからC13ノルイソプレノイド系香気成分生成に関与するカロテノイド分解酵素を生成し、その生化学的特徴、および、本酵素がβ-,α-caroteneを分解してβ-,α-iononeを生成する等の機能解析に成功した。ノリの実験室内培養系を確立し、本培養によって得られたノリのC13-ノルイソプレノイド系香気成分としてβ-,α-iononeを同定し、同時にβ-,α-caroteneを同定した。チャ花のカロテノイドおよびカロテノイド起源生理活性物質:チャ花の生殖器官よりカロテノイドおよびその分解生成物として植物ホルモンであるABAを同定すると共に、その消長を明らかにし、花弁の展開との関係を明らかにした。
著者
岡田 壮一 角田 潤 浅見 俊宏 渡辺 理
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.52, pp.281-282, 1996-03-06

パソコンがオフィスに導入され、文書作成に代表されるデスクワークは、生産性が向上した。さらに、LAN導入のシナジー効果も伴い、電子メールを用いた情報交換、データベースやノウハウなどの情報共有が可能となり、デスクワークへの電子化の恩恵は大きい。それとは対照的に、オフイスワークの30~70%を占めるといわれる対面型会議では、依然として紙の資料とホワイトボードの使用が中心であり、電子的支援が遅れているのが現状である。また、従来の会議における参加者間のコミュニケーションは、音声での議論が中心である。このような会議では、音声情報の曖昧性から、聞き手によって認識が異なることがあるため、合意されたと思った議事が実は合意されていなかったり、あるいは、合意されていても、認識にずれがあったりして、結局、何が議決されたのかすらわからないことがしばしばある。このような生産性の低さという問題は、経験上、否めない事実である。我々は、上記の問題意識の元、会議においていかに効率良く質の高いアウトプットを出すか、すなわち会議における知的生産性の向上を実現するために、対面型電子化合議システムの開発を行っている。我々は、ワープロの高い生産性に着目し、企業で頻繁に行っている、電子化に向いた収束型会議を対象とした。また、参加者が6人程度までの小規模な会議を考えた。収束型会議とは、参加者のリアルタイムのインタラクションを通じて、合意形成しながら最終的な文書を作り上げていく型の会議である。本稿では、サービスの検討と、サービスを実現するシステムについて記す。
著者
渡辺 覬修
出版者
神戸学院大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1993

関西所在の裁判所で、甲山事件はじめ大小の事件の裁判傍聴を行い、手続の様々な段階における被告人の手続からの疎外状況を把握した。その中で、逮捕勾留中の取調べが病理を生む大きな原因であることを、実例を通じて確認する作業を続けた。また、これを克服する弁護活動の実情調査等について、理論面の検討を含めて、まとめた。各地で継続する聴覚障害者被告事件を積極的に傍聴するとともに、担当の弁護士、手話通訳者と研究交流会を各傍聴の毎にもつように務めた。裁判所サイドが考えている公正な手続・公正な通訳保護のあり方と、聴覚障害者の側なり手話通訳の側からみたそれとの食い違いがあるか・ないか、実務がどのあたりで落ち着こうとしているのか、検討結果を論文にまとめた。外国人事件の傍聴と、事件関係者、弁護士などとの面接・調査などもすすめた。とくに、外国人事件と量刑のありかたを巡り、刑罰の意味を含めた検討作業を実例を通じて進めた。全体として、被疑者・被告人の権利の主体性を法解釈面から支えるまとめの作業を行った。
著者
吉岡 泰智 渡辺 俊典 古賀 久志 横山 貴紀
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.90, no.1, pp.83-93, 2007-01-01
被引用文献数
1

ビデオの内容を自動認識する技術は,監視,圧縮,要約など応用範囲が広い.認識対象を想定してそのモデルを人手や学習によって事前準備しておくというのが伝統的画像認識手法であるが,事前に想定できない多様な内容を含み,かつデータ量も膨大なビデオには十分対応できない.対策として,事前のモデル設定なしにビデオを観測しながらモデルの獲得と認識とを行う機構が望まれる.更にリプレイ時間や記憶のコストを削減するためにはワンパスで実時間性を備えたオンラインリアルタイム処理が理想である.本論文では,このような機能を備えたビデオ内動作オブジェクト自動認識システムを提案する.人の行動を撮影したビデオのみを与えて,歩く,座る,などの基本動作の獲得と認識とが完全自動で行えることを示す.
著者
渡辺 泰 広川 文彦
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.20-24, 1975-02-15
被引用文献数
4

1.1970年10月に,土壌の深さ0〜15cmに4種の種子を均一に混合し,年5〜6回の攪拌区と非攪拌区を設けた。3年間にわたり,0〜5,5〜10,10〜15cmの土層に分けて種子を回収し,2,3の発芽条件を連続的に与え,混在種子の発芽反応を実験室で追求した。2地中種子は,休眠陛に関して周期性を示した。初めに埋蔵した一次休眠種子は,越冬中に覚醒し,発生最盛期まで完全に醒めており,シロザ,オオイヌタデ,ツユクサなどは7月下旬,ヒメイヌビェは8月下旬の調査で二次休眠がみられ,そして,11月下旬には再び多くの種子が覚醒していた。3。二次休眠は,種子のあった場所の最高地温によって誘導されるように推察され,0〜5cm内の種子は10〜15cm内の種子よりも早く二次休眠に入った。4.得られた結果をもとに,奉耕,秋耕および中耕の意義について論議した。おわりに,御協力戴いた北海道農試畑作部岡啓技官,池岡正昭技官に謝意を表します。
著者
松良 俊明 渡辺 守 坂東 忠司
出版者
京都教育大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1994

休止期間中の学校プールに生息する昆虫(主としてトンボ幼虫)を、理科や環境教育の教材として利用することを目指し、次のような項目について研究を行った。(1)プールに生息するヤゴや他の昆虫の種類構成。(2)優占種となっているヤゴの生活史。(3)なぜその種が優占種となっているかの理由。(4)植物プランクトンはヤゴの餌となる植食性昆虫のエネルギー源である。この植物プランクトンの種類構成と季節的変動を知る。京都市及び三重県津市での2年間の調査と実験の結果、以下のような知見が得られた。(1)京都市の小学校プールには8種のヤゴが確認されたが、最も高密かつ普遍的に見られたのはタイリクアカネ幼虫であった。ヤゴ以外にも、コマツモムシ、ゲンゴロウ類、ミズカマキリ、フタバカゲロウ、ユスリカ類などの幼虫が観察された。一方、津市では17種のヤゴが確認されたが、本来タイリクアカネが分布しないため、替わってシオカラトンボ、ノシメトンボ、ショウジョウトンボのヤゴが優占していた。(2)タイリクアカネは秋に産卵し、卵は晩秋から孵化し始める。ヤゴは春に急速に成長し、5月末から羽化を開始する。(3)タイリクアカネは水に直接産卵するタイプであること、他の種に先駆けて孵化するため、他の種のヤゴは本種の餌となっていることの理由により、タイリクアカネが優占種となっている。(4)プールに優占する植物プランクトンは緑藻のコスマリウム等であり、これらは砂ぼこりや枯葉、あるいは飲水に来た動物によりプールに持ち込まれたと考えられる。
著者
渡辺 暉夫 新井田 清信 前田 仁一郎 在田 一則
出版者
北海道大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1989

神居古澤変成帯・三都変成帯およびオーストラリアのニューイングランド〓曲帯の泥質片岩の変形についてまとめ、オーストラリアのニューイングランド〓曲帯で認められた典型的シース〓曲の産状をくわしく検討した。その結果、このシース〓曲は形態状むしろ舌状〓曲というべきであって、単にsimole shear成分だけではなく、pure shear成分やshear方向の回転をともなっているものであることを明らかにした。神居古澤ではこのような変形を受けた岩石の石英ファブリックの検討も行なった。このような振動は流体相の存在によっても促進されるので、流体包有物の研究も行なった。この研究からは変形帯がductile-brittle境界を横切る時に形成されたと思われる流体包有物が確認された。全体の研究を通して、変成帯の基質を構成する岩石の変形がsimple shear,pure shear,rotation の複合によることが明かとなり、この変形はメランジュ一般に適用できるであろうことか示唆された。また本研究ではマイクロリアタ-を用いた合成実験から岩石の流動が変成反応に及ぼす効果を明らかにすることを課題としていたが、マイクロリアタ-は5Kbの条件下で2週間圧力を維持できるものしか完成しなかった。原因はガスケットに使った材質が不適当であったためである。今年4月以降、装置の改良を待ち、実験を行う予定であったが、改良されたモデルは圧力の維持がさらに悪くなっており、使用に耐えなかった。現在更に改良を要求している。2週間の実験ではFeパンペリ-石成分のものからモンモリロナイトとザクロ石が生成された。パンペリ-石が生成されない理由はさらに検討しなければならない。
著者
河村 圭 渡辺 裕 富永 英義
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告オーディオビジュアル複合情報処理(AVM) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2003, no.99, pp.7-16, 2003-10-03
被引用文献数
9

マンガは線画を中心に構成されているため,ベクトル化が有効な符号化手法である.しかし,単純なベクトル化は,網点の存在により逆に符号量の増加をまねく.また,網点を含んだままの解像度変換はモアレの発生原因となる.そこで,本稿では,マンガをベクトル表現する際に網点部分を分離して多階調近似し,残りの線分と共に符号化する手法について検討する.Vectorization is an effective technique for comic image coding, since comics are mainly consist of line drawings. However, an existence of halftone-dots causes an increase of coding bitrate if simple vectorization is used. In addition, moires occur when a resolution of the image with halftone-dots is changed. In this paper, we propose a new technique to achieve highly efficient comic image coding. First, we separate the area of halftone-dots and line drawings from an image. Then, a continuous tone approximation is applied to the area of halftone-dots. Next, the conventional vectorization is applied to line drawings. Finally, these two components are mixed together.
著者
原 朗 山崎 志郎 加瀬 和俊 金子 文夫 岡崎 哲二 寺村 泰 西野 肇 池元 有一 伊藤 正直 植田 浩史 柳 沢遊 沼尻 晃伸 山口 由等 渡辺 純子
出版者
首都大学東京
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

本共同研究では、制度設計と市場経済の関係性の観点から、20世紀の日本経済を概観し、高度成長期の特徴を捉えた。このため、世界経済およびアジア経済の枠組み、日本の産業構造、産業組織、経済政策、企業間関係、労働市場、消費動向、消費者意識の変化について分析した。その結果、戦後世界の安定化と日本と対アジア関係の再構築、産業政策と産業調整、企業間取引、消費構造の高度化など1950年代から60年代に現れた制度設計と市場経済の安定的で特徴的な様相を明らかにした。
著者
近藤 哲 蜂須賀 喜多男 山口 晃弘 堀 明洋 広瀬 省吾 深田 伸二 宮地 正彦 碓氷 章彦 渡辺 英世 石橋 宏之 加藤 純爾 神田 裕 松下 昌裕 中野 哲 武田 功 小沢 洋
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.17, no.11, pp.1987-1995, 1984-11-01
被引用文献数
23

原発性十二指腸癌7切除例を対象として臨床的検討を行った. 5例は UGI, 内視鏡, 生検の3者で診断可能であったが, 2例は膵癌の十二指腸浸潤との鑑別が困難であった. しかし US と CT で膵癌を否定しえた. 血管造影では4例中2例が十二指腸原発と確認しえた. さらに切除可能性, 根治性を推定するのに有用であった. リンパ節転移は全例に認められ, 非治癒切除4例中3例の非治癒因子, 治癒切除後再発2例中1例の再発因子となっていたした. したがって, 乳頭上部癌では膵頭部癌第1群リンパ節郭清をともなう膵頭十二指腸切除を原則とし, 乳頭下部癌では腸間膜根部リンパ節をより徹底郭清し状況によっては血管合併切除再建が必要と思われた.
著者
山下 直秀 中岡 隆志 渡辺 徳光
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

悪性黒色腫に対する樹状細胞療法で反応した症例を解析した結果、治療反応症例にのみ炭酸脱水酵素(carbonic anhydrase II : CAII)に対する抗体が上昇していた。またCAIIは腫瘍血管内皮に特異的に染色された。これらの事実から本研究の目的は、(1)樹状細胞療法の反応例における腫瘍血管を破綻させる抗体の検索、(2)腫瘍血管内皮様に分化させたhUVECを抗原とした腫瘍免疫療法の確立とした。(1)についてメラノーマ腫瘍cDNAライブラリーを作製し、蛋白を発現させ、患者血清を用いたスクリーニング行った。(2)の腫瘍免疫療法については動物実験を行いその効果を確認した。
著者
伊東 明彦 人見 久城 南 伸昌 渡辺 一博
出版者
宇都宮大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

本研究では、中学生高校生を中心に彼らがどのような力概念を持っているのかを調査し、中学校や高校で行われている初歩の物理学の授業の問題点を洗い出すことができた。それらをまとめると次のようになる。1) 中学校1年生において行われている力の学習において、力とは何かを明確に定義すべきである。少なくとも、「力とは押したり引いたりすることである」、ということを生徒に理解させる必要がある。さらに、付け加えるなら、力とは物体の速さを変える働きである、ということもとらえさせたい。2) 中学生は日常生活で使っている力という語と、理科学習に置いて使われる力の区別ができていない。3) MIF的な力概念は現在でも広く中学生高校生に認められる。以上の所見から、言葉による説明だけでは生徒に力とは何かを十分納得させることは困難であるといえる。本研究ではこのような調査結果を受けて、物体に働く力を視覚的に表示できる教材「Fi-Cube」を開発した。Fi-Cubeを用いた授業実践において、これまで習得することが困難であると思われていた慣性の法則に関する理解か大きく促進され、同時にMIF的な力概念が払しょくされることが明らかとなった。Fi-Cubeを効果的に利用することによって、これまで様々な方策が講じられながら決定的な改善策が見いだせていなかった力概念の獲得に大きく一歩踏み出すことができるものと考えられる。
著者
上倉 庸敬 藤田 治彦 森谷 宇一 神林 恒道 渡辺 浩司 永田 靖 天野 文雄 奥平 俊六
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1999

最終年度をむかえるにあたって本研究が直面していた課題は以下のとおりであった。現在、日本の「芸術」は二極化している。ひとつは純粋化を維持しようとする「芸術」であり、いまひとつは「あたらしさ=総合」という視点からクロスオーバーをめざす「芸術」である。それは実は、日本のみならず、世界の各局地における「芸術」概念の共通構造である。「芸術」の事象における世界的な傾向とは、各局地に通底する先述の構造を孕みつつ、各局地で独自の展開をくりひろげている多様さのうちにこそある。では、(1)日本の近代「芸術」概念が成就し、また喪失したものはなんであるか。(2)なぜ、近代の芸術「概念」は死を迎えねばならなかったか。(3)「ユニ・カルチャー」の傾向にある現代世界で、日本に独自な「芸術」概念の現況は、どのような可能性をもっているか。(4)その可能性は日本のみならず世界の各局地に敷衍できるかどうか。解答の詳細は成果報告書を見られたい。解答をみちびきだすために準拠した、わたくしたちの基本成果はつぎのとおりである。(1)西欧で成立した「芸術」概念が19世紀半ばから100年、世界を支配した。(2)その支配は世界の各局地で自己同定の喪失をもたらした。日本も例外ではない。(3)20世紀半ばから世界の各局地で自己「再」同定がはじまった。(4)再同定は単なる伝統の復活ではなく、伝統による「死せる芸術概念」の取り込みである。(5)再同定は芸術「事象」において確立され、芸術「概念」において未完である(6)日本における「芸術」概念の誕生と死が示すものは、2500年におよぶ西洋美学理論の崩壊である。
著者
飯田 剛史 玄 善允 山口 健一 金 希姃 宮本 要太郎 小川 伸彦 片岡 千代子 石川 久仁子 李 定垠 北村 広美 田島 忠篤 金 賢仙 渡辺 毅 池田 宣弘 藤井 幸之助 稲津 秀樹
出版者
大谷大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010-04-01

研究成果報告書『民族まつりの創造と展開』(上巻・論考編 287頁:14名の寄稿者による13編の論文と7本のコラム、 下巻・資料編 350頁:9編の資料)を作成した。学会報告を行った(研究連携者 田島忠篤「戦後北海道における民族マツリの展開」、韓国日本近代学会)。民族まつり実施団体および研究者のインフォーマルネットワークを形成し、今後の民族まつりの実施および研究上の連携にそなえた。
著者
長浜 克志 山田 拓己 一柳 暢孝 酒井 康之 鎌田 成芳 福田 博志 谷沢 晶子 渡辺 徹 斉藤 博 堀内 晋 町田 竜也
出版者
泌尿器科紀要刊行会
雑誌
泌尿器科紀要 (ISSN:00181994)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.1-6, 2002-01

Hautmann型膀胱再建術中,癌死・他因死・追跡不能を除く20例(男16例・女4例,29~73歳)を対象に,術後の回腸新膀胱の蓄尿・排尿状態を尿流動態検査(UDS)とアンケート調査により解析した.排尿回数は夜間に2回以上起床し排尿している例が19例中8例と高率であった.また,尿失禁は19例中昼間2例,就寝後12例にみられたが昼間は尿パッド平均2枚,夜間は1枚で対処可能であった.排尿時間は18例中9例が1分以内に排尿を終えたが3例では3分以上を要した.排尿状態については18例中満足8例,不満3例であった.USDを施行できたのは11例で観察期間は平均34.2±21.9ヵ月であった.残尿量は27.8±28.2ml,新膀胱最大容量は395.2±96.8mlで膀胱内圧は充分に低値であった.排尿時,外尿道括約筋筋電図で明らかな電位増強を11例中10例と高率に認めたWe analyzed the functional and urodynamic characteristics in 19 patients with ileal neobladder by the Hautmann procedure. A questionnaire survey by mail was performed for functional information of neobladder. Seventeen of the 19 patients (89.5%) could voluntarily void via the urethra and the others needed clean intermittent self catheterization (CIC) because of their significant residual volume. Eight of the 19 patients (42.1%) micturated at least two times at night. Two of the 19 patients (10.5%) were incontinent in the day time and 12 (63.2%) in the night time. They needed 2 pads in the day time and one pad at night on average. Eight out of 18 patients (44.4%) were satisfied with their micturition state. A urodynamic study showed the neobladder to be a low-pressure reservoir with a mean capacity of 395.2 +/- 96.8 ml. The mean residual volume of the patients without CIC was 27.8 +/- 28.2 ml. In 10 out of 11 patients high frequency and high amplitude spikes were seen by the perineal electromyogram in the voiding phase.
著者
斉藤 明 末木 文美士 高橋 孝信 土田 龍太郎 丸井 浩 下田 正弘 渡辺 章悟 石井 公成
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2003

本研究は、H15年5月に開催された第48回ICES(国際東方学者会議、東方学会主催)におけるシンポジウム(「大乗仏教、その起源と実態-近年の論争と最新の研究成果から」)を皮切りに、総計10名の研究分担者がそれぞれの分担テーマに取り組み、これまでに12回の研究会、8回の講演会、印度学仏教学会等の国内学会、IAHR(国際宗教学宗教史学会)、ICANAS(国際アジア北アフリカ研究会議)、IABS(国際仏教学会)、ICES(国際東方学者会議)他の国際学会等を通して研究発表を重ね、'ここに研究成果をとりまとめるに至った。また、研究成果の一部は、H18年度の第51回ICESにおいて「大乗仏教、その虚像と実像-経典から論書へ」と題するシンポジウムにおいて公開した。本シンポジウムでの発表内容の一部は、H20年に刊行されるActa Asiatica,The Institute of Eastern Cultureの特集号(vol.96,"What is Mahayana Buddhism")に掲載予定である。本研究により、在家者による参拝という信仰形態をふまえ、新たなブッダ観・菩薩観のもとに経典運動として-既存の諸部派の中から-スタートした大乗仏教運動は、時期的には仏像の誕生とも呼応して、起源後から次第に影響力を増し、3世紀以降には最初期の経典をもとに多くの論書(大乗戒の思想を含む)を成立させるに至ったという大乗仏教の起源と実態に関する経緯の一端が明らかとなった。大乗仏教徒(mahayanika,mahayanayayin)とは、こうして成立した『般若経』『華厳経』『法華経』『阿弥陀経』等の大乗経典をも仏説として受け入れる出家、在家双方の支持者であり、これらの経典はいずれもそれぞれを支持するグループ(菩薩集団)独自のブッダ観あるいは菩薩観を、宗教文学にふさわしい物語性とともに、空や智慧、仏身論や菩薩の階梯などを論じる論書としての性格を帯びながら表明している。本研究では、これらの詳細を各研究分担者がそれぞれの専門を通して解明するという貴重な研究成果を得ることに成功した。本研究成果報告書は、いずれもこの研究期間内に研究代表者、研究分担者、および上記ICES,IAHRにおけるシンポジウムへの招聴研究者がもたらした研究成果の一端である。
著者
竹尾 富貴子 渡辺 ヒサ子 笠原 勇二 金子 晃 浅本 紀子 吉田 裕亮
出版者
お茶の水女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1997

本研究は、これまで研究していた線形作用素の理論が、非線形作用素にどこまで発展させることができるかを検討し、更に非線形特有の理論であるカオス・フラクタルの特徴を、作用素論、確率論、ポテンシャル論、微分方程式論など様々な角度から研究することを目的で始めた。その成果として、作用素論の立場からは、セルオーマトンの極限集合をある種の遷移規則について、定常的になるもの、周期的なもの、カオス的なものなどのクラス分けを行い、さらにセルオートマトンの極限集合の存在について作用素に対する不変集合の立場から研究した。その際、線形作用素の場合の規則的な性質が非線形にどのように保存され、また非線形になるとどのように変わるかを注目して極限集合の存在などの研究をした。また、weighted function space L^P_PやC_<0,P>上の半群作用素は、発展方程式の解と関係あるが、その半群のカオス性などはスペクトルの性質から特徴づけられている。本研究ではadmissible weight functionの性質からsupercyclic,hypercyclic又はchaoticになる必要かつ十分条件を求めた。これにより、解がカオス性を持つ発展方程式の性質も求めることができる。この半群は、線形な半群作用素でも、カオス的な振る舞いをすることが分かり、興味深いものである。さらに、確率論、ポテンシャル論、微分方程式論などの立場から線形性と非線形性に着目しながら、発表論文に示しているように種々の結果がでている。これまで得られた結果を更に発展させて、線形理論をどこまで非線形な場合に拡張して美しい理論が得られるか、また半群理論の力学系からカオス・フラクタルについてどのような結果が得られるか、非線形解析学の立場から更に研究していく予定である。