著者
外山 勝彦 小川 泰弘 角田 篤泰 松浦 好治
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

本研究の目的は,法令文作成支援と法令英訳支援のために,法令のターミノロジーおよび翻訳メモリの構築と利用のための手法と環境を確立することである.研究の結果,戦後のすべての日本語法律からなるコーパス(法律10,067本),戦後占領期における文対応付き日英対訳法律コーパス(法律1,624本,日英対訳156,562文)),法令翻訳メモリ(法令259本,日英対訳147,119文)を構築した.また,チャンキングや文書出現頻度を用いて法令用語を抽出する手法,対訳文からの対訳語彙意味カテゴリ自動抽出手法,法令用語とその語義文や法令用語間の関係を抽出する手法などを開発した.
著者
荒井 克弘 佐藤 直由 猪股 歳之 大迫 章史 渡部 芳栄 羽田 貴史 米澤 彰純
出版者
独立行政法人大学入試センター
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

少子化にともなって大学進学者数の伸びは鈍化しつつある。しかし他方で、大学の数は漸増を続けており、この市場競争の厳しい時代を大学はどのような経営で生き抜こうとしているのか、私立学校、大学の設置者である学校法人に焦点を合わせ、法人が採っている経営戦略を(1)学校法人内部での調整、(2)学校法人外部との連携・統合、(3)設置形態の変更の3つに類型に分け、それぞれについて訪問調査およびアンケート調査を行った。その結果、拡大に加えて縮小や廃止などを同時進行で行ってきた学校法人の存在や、地域との連携を重視して生き残りを図る学校法人などの各種の実態が事例として明らかになり、学校法人の経営行動の多様性が明らかになった。
著者
坂本 恵 佐野 孝治 村上 雄一
出版者
福島大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

ベトナム人技能実習生の権利擁護に取り組む日本国内の労働組合、弁護士ネットワーク、国際交流協会からの聞き取りを行い、権利擁護施策の最新情報を得た。また、韓国・台湾・オーストラリアにおける外国人労働者受け入れ施策を調査し、最新の動向を得た。ベトナム調査を実施し、帰国した実習生、その家族、支援者らからの聞き取り調査を行い報告書にまとめることができた。
著者
毛利 透 土井 真一 曽我部 真裕 尾形 健 岸野 薫 片桐 直人
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

まず、ジョン・ロールズの正義論において世代間正義の占める意義を検討した。世代間正義の観点から、市民的不服従の許容性について格別の考慮が求められることになるとの指摘は、世代間正義と民主主義の関係を考えるうえで、大変示唆的である。世代間正義の観点から代表民主政に制度的変革を迫るべきかどうかという重大な問題については、ドイツでの議論を参考にして詳しく考察を行った。この結果、制度的改革で政治に長期的視点を導入するという試みには大きな難点があるといわざるを得ないことが分かった。さらに、財政赤字の限界を憲法上定めるといった手法にも、実効性に加えてその政策的有用性について疑問が残ることが分かった。
著者
水上 雅晴 小幡 敏行 鶴成 久章 名和 敏光 末永 高康 武田 時昌 石井 行雄 近藤 浩之 高田 宗平
出版者
中央大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2015-04-01

平成29年度も年号資料の調査と考察を継続するかたわら、研究組織の構成メンバーは、国内外での学会に積極的に参加し、研究報告を行った。特筆すべきは、国立歴史民俗博物館において、三つの大きな行事を実行したことである。それは特集展示「年号と朝廷」、歴博フォーラム「年号と日本文化」、国際シンポジウム「年号と東アジアの思想と文化」である。特集展示を実施するためには、展示物の選定、展示パネル、解説シートや広報用ポスターの作成など多岐にわたる準備が必要であったが、研究組織として十分な協力体制を築くことができたので、研究成果を社会に還元する上で大きな意味を持つ事業を成功させることができた。研究報告がなされた歴博フォーラムと国際シンポジウムにも多くの参加者が集まり、研究成果を可視化し共有する面で大きな進展が見られた。同じく二十名を超える研究者からの報告がなされた国際シンポジウムは、報告者の中から第二回目を実施してほしいと声が挙がってきたばかりか、参加者として会場にいた出版社の編集者から論文集出版に関する相談がなされたほどの盛況であった。そこで、当初の計画には無かったが、次年度にも年号に関する学術会議を開催することに加え、論文集の出版準備も進めることを決めた。これまで三年間準備を進めてきた年号資料の影印出版事業が『日本漢学珍稀文献集成(年号之部)』(上海社会科学出版社)全5冊、5千頁が本年度内に出版されたことで、研究計画を構成する大きな柱の一つが完成した。収録した資料に対する解題を日中二カ国語で記したので、国際的な学術成果の発信も行うことができた。
著者
今津 節生 森田 稔 河野 一隆 鳥越 俊行 市元 塁 樋口 隆康 廣川 守
出版者
独立行政法人国立文化財機構九州国立博物館
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究は、九州国立博物館に設置した文化財用の大型X線CTおよび精密三次元デジタイザを活用し、非接触非破壊で中国古代青銅器の構造を解析することによって、製作技法の研究を飛躍的に進めることを目的にしている。これを達成するために、世界有数の中国古代青銅器を保有する泉屋博古館(住友コレクション180点)と協力し、中国古代青銅器の内部構造データを系統的に集積した三次元デジタルアーカイブを構築した。研究成果として、国内外の学会で研究発表を行った。また、一般市民への研究成果公開として、アジアが誇る卓越した古代技術を分かり易く紹介する展示会を開催した。
著者
池澤 優 近藤 光博 藤原 聖子 島薗 進 市川 裕 矢野 秀武 川瀬 貴也 高橋 原 塩尻 和子 大久保 教宏 鈴木 健郎 鶴岡 賀雄 久保田 浩 林 淳 伊達 聖伸 奥山 倫明 江川 純一 星野 靖二 住家 正芳 井上 まどか 冨澤 かな
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

本研究は、欧米において成立した近代的宗教概念とそれに基づく宗教研究が、世界各地、特に非欧米社会においてそのまま受容されたのか、それとも各地域独自の宗教伝統に基づく宗教概念と宗教研究が存在しているのかをサーヴェイし、従来宗教学の名で呼ばれてきた普遍的視座とは異なる形態の知が可能であるかどうかを考察した。対象国・地域は日本、中国、韓国、インド、東南アジア、中東イスラーム圏、イスラエル、北米、中南米、ヨーロッパである。
著者
佐藤 哲司 寶珍 輝尚 関 洋平 手塚 太郎 若林 啓 池内 淳 斉藤 和巳 伏見 卓恭
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

リアルとサイバー複合空間を対象に,知識創造社会を支える第3の社会資本と言われるソーシャルキャピタルの形成・変容過程を解明する.我々の実生活と不可分な存在となっているツイッターから,リアル空間における生活を支援するツイート抽出・生活の局面ラベルを付与する手法を提案した.コミュニティのノード機能に着目することで,構造的特性と意味的特性を表す中心性指標も提案した.急速に拡大しているテキストコミュニケーションにおける話者の役割や親密さを推定する手法を提案した.また,テキスト投稿時の意図推定や意見分析に有効な特徴量の考察,変化変容を扱うための系列データを対象とする機械学習手法の考案にも取り組んだ.
著者
田口 徹 片野坂 公明 林 功栄
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

高齢化が進む本邦において、肩こりや腰痛、線維筋痛症などの筋・筋膜性疼痛患者は極めて頻度が高く、これらの多くは身体的・精神的ストレスに大きく影響される。本研究では、ストレス誘発性筋・筋膜性疼痛の神経・分子機構の一端を明らかにした。レセルピン誘発性線維筋痛症モデルでは、酸感受性イオンチャネルであるASIC3、および脊髄ミクログリアがこのモデルの機械痛覚過敏に重要な役割を果たすことを明らかにした。また、行動薬理実験、および電気生理学実験より、運動誘発性筋・筋膜性疼痛にもASIC3が関わることを明らかにした。これらの結果は、ストレス誘発性筋・筋膜性疼痛の治療に有用であると考えられる。
著者
大角 欣矢 花岡 千春 塚原 康子 片山 杜秀 土田 英三郎 橋本 久美子 信時 裕子 石田 桜子 大河内 文恵 三枝 まり 須藤 まりな 中津川 侑紗 仲辻 真帆 吉田 学史
出版者
東京藝術大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

近代日本の洋楽作曲家第一世代を代表する作曲家の一人、信時潔(1887~1965)に関する音楽学的な研究基盤を確立するため、以下の各項目を実施した。①全作品オリジナル資料の調査とデータベース化、②全作品の主要資料のデジタル画像化、③信時旧蔵出版譜・音楽関係図書目録の作成、④作品の放送記録調査(1925~1955年のJOAKによる信時作品の全放送記録)、⑤作品研究(特に《Variationen(越天楽)》と《海道東征》を中心に)、⑥明治後期における「国楽」創成を巡る言説研究、⑦伝記関係資料調査。このうち、①から⑤までの成果は、著作権保護期間内の画像を除き原則としてウェブにて公開の予定。
著者
安齋 正人 福田 正宏 國木田 大 辻 誠一郎 髙橋 龍三郎 佐藤 宏之 佐藤 由紀男 北野 博司 熊木 俊朗 蛯原 一平 菅野 智則
出版者
東北芸術工科大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010-04-01

数度にわたる完新世の気候寒冷化とその後の急激な回復(ボンド・イベント:約8200年前、約5800年前、約4300年前、約2800年前のピーク)と、縄紋土器の放射性炭素(14C)年代測定値の暦年較正年代とを対比させた結果、それぞれの気候変動が、草創期の終末/早期の初頭、早期後葉/前期初頭、前期後葉/中期初頭、中期後葉/後期初頭、晩期後葉/弥生初頭に対応することがわかった。とくに約8200年前のピークである8.2kaイベントの影響は、定住・集住集落の解体と遊動化、そして再定住化という居住パターンの変化として、列島各地の考古資料に明瞭に記録されている。
著者
北原 恵 香川 檀 小勝 禮子 金 惠信 平田 由美 ジェニスン レベッカ 児島 薫 坂上 香 水野 僚子
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

このプロジェクトでは周縁化されてきた女性アーティストに焦点を絞り、ジェンダーの視点から、戦時中の女性画家の移動や、移民として国外に出た女性美術家について、包括的な調査研究を行った。研究は次の3本の柱から成る。①戦争・植民地体験と女性アーティストの実証的調査(長谷川春子、赤松俊子、谷口富美枝ら)、②東アジア圏の美術をめぐるネットワーク的移動の解明(朝鮮美術展・台湾美術展・満州国美術展など)、③現代美術における女性美術家の調査。これらの研究の成果は、「アジアをつなぐ 境界を生きる女たち 1984-2012」展や「官展に見る近代美術」展などにも生かされた。
著者
宮宅 潔 佐川 英治 丸橋 充拓 佐藤 達郎 鷹取 祐司 藤井 律之 陳 偉 金 秉駿 ギーレ エノ
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究はまず(1)中国古代史における民族の問題-「漢民族」はいかにして形成されたのか、中国王朝はさまざまな帰属意識を持つ人間集団をいかにして統合したのか、新たな民族集団の流入が王朝にいかなる影響を与えたのか、など-について共同研究者間で討議したうえで、それら民族問題と軍事の相関関係について各自の研究課題を設定し、定期的に研究発表を行った。その過程で(2)中間年度に韓国・ソウル大学で国際シンポジウムを共催した。そこでの討議をふまえてさらに議論を重ね、(3)参加者全員の寄稿を得て成果報告書『多民族社会の軍事統治 出土史料が語る中国古代』を京都大学学術出版会から刊行するに至った。
著者
桑原 久男 山内 紀嗣 日野 宏 巽 善信 飯降 美子 橋本 英将
出版者
天理大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究では、イスラエル、下ガリラヤに所在するテル・レヘシュ遺跡の発掘調査を3シーズンにわたって遂行し、前期青銅器時代の建築遺構(東斜面)、中期青銅器時代の壮大な城壁の一部(テル頂部西端)、初期鉄器時代のオイル・プレス(テルの各所)やカルト・スタンド、土製仮面などの宗教的遺物(テル下段北側)、鉄器時代の要塞建築(テル頂部)、ローマ時代の「ファームハウス」など、居住の歴史と様相に関する貴重な所見を得ることができた。
著者
今井 康之 黒羽子 孝太 渡辺 達夫
出版者
静岡県立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

化学物質アレルギーにおいて、抗原の働きを強める作用(アジュバント作用)の重要性が注目されつつある。しかし、アジュバントの機構については不明な点が多い。マウスの接触性皮膚炎をモデルとして、様々なフタル酸エステルのアジュバント作用を比較し、知覚神経に発現する侵害刺激受容チャネルの刺激活性との相関を発見した。さらに、食品成分など抗原性の弱いハプテンの抗原性をフタル酸エステルが引き出すことを明らかにした。
著者
山田 和彦 永田 靖典 高橋 裕介 莊司 泰弘 鈴木 宏二郎 今村 宰 秋田 大輔 石村 康生 中篠 恭一
出版者
国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2015-04-01

本研究では、超小型衛星に搭載可能な姿勢センサ群を開発し、ISSから放出される超小型衛星EGGを利用し、大気の影響を無視できない超低高度軌道での軽量膜面を有する宇宙機の挙動の実測を行った。超小型衛星EGGの運用において、希薄気体中における軽量な膜面に働く大気抵抗の影響により軌道が変更することを確認するなど、そのダイナミクスを理解するためや解析ツール開発の参照となる貴重な実測データを得ることができた。これらのデータは、運用終了時の衛星を非デブリ化する技術等、将来、超小型衛星にとって重要な技術開発のために役立つと期待される。
著者
浅見 泰司
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1997

本研究の目的は、不動産鑑定士の行う画地の鑑定評価の中で形状評価の部分をニューラルネットワークなどを用いて予測式を構築し,形状評価構造を求め,また画地評価の部分的なシステムの構築を行うというものである。最終年度である本年度では、前年度に得られた画地評価システムのプロットタイプをもとに、東京都世田谷区の詳細な地価データによって評価関数の精緻化作業を行ない、精度の高いシステムのあり方を求めた。具体的には、2つの重要な成果を出した。一つは、世田谷区の画地形状、立地条件、周辺環境などの詳細データをもとに、それらの評価値を適切に組み合わせた精度の高いヘドニック地価評価関数を推定した。これにより、今までは困難であった敷地細分化の外部経済効果や公園の設置効果などミクロな住環境の費用・便益を貨幣単位で評価できるようになった。特に、緑地の効果と土地利用混合の効果は、評価画地の規模に応じて異なり、面積の大きな画地については、(敷地外)緑地効果は小さく、周辺土地利用混合効果は大きくプラスにきくことか判明した。本モデルは、地区計画レベルでの都市計画・権利調整支援システムとして用いることができ、今後適切な街区の適切な画地割問題にも応用できる。もう一つの成果としては、鑑定評価における特に類似地選定の適切なあり方を明らかにした。適切に類似地を選択することによって、単純なヘドニック回帰式よりも精度の高い地価推定が可能となることを示し、鑑定評価で行われてきた取引事例比較法の妥当性を実証するとともに、類似地選定に際して、どのような要素に着目して選択をしぽるぺきかを定量的に求めた。分析の結果、最寄駅距離、都心乗車時間、角地や袋地などの画地形状の条件を特に合わせるよう配慮すぺきことが示された。
著者
井上 貴央 海藤 俊行 川久保 善智 徳永 勝士 篠田 謙一 椋田 崇生
出版者
鳥取大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2003

1.古代人の脳の微細形態解析弥生時代人および江戸時代人の脳組織の一部を細切し、光学顕微鏡と透過型電子顕微鏡および走査型電子顕微鏡で観察した。その結果、脳組織のミエリン鞘が三次元的なネットワークをなしているのが確認できた。現代人の脳ではこのようなネットワークの観察ができていないが、古代人の脳では、ネットワーク以外の構造物が融解していた結果による。古代人の脳の残存例は、比較的分解されにくいミエリンを構成するリポ蛋白質の残存によることが明らかになった。2.山陰の古代人の形質人類学的研究これまでに収集された山陰地方の古代人骨についてデータベースを作製し、青谷上寺地遺跡など一部の人骨資料については接合・保存処理作業を行い、写真撮影、計測を行った。山陰地方の弥生時代人・古墳時代人、江戸時代人について顔面平坦度の計測を行い、東日本の古人骨と比較検討した。さらに、岡山県彦崎貝塚遺跡の縄文人骨の形態学的解析を行った。その結果、渡来系弥生人の範疇に入る山陰地方の弥生人の中には、縄文的な色彩を残している個体があることが判明し、北部九州の渡来系弥生人とは異なった形質をもつものがあることが明らかになった。また、青谷上寺地遺跡の弥生人は、北部九州の渡来系弥生人より韓国の礼安里古墳人に近いことが統計解析によって明らかになった。3.脳と骨組織のDNAの抽出古人骨のミトコンドリアDNA抽出を試みたところ、古墳時代の骨からは検出できなかったが、弥生時代の資料では、30点中9点からDNAを抽出することができ、Dループの塩基配列を決定することができた。そのハプロタイプはD4型が多かったが、Fも存在し、当初考えていたように単一な集団ではなく、ある程度多様な遺伝子配列を持つ集団であることが明らかになった。歯牙からのDNAの抽出も試み、さらに数体分からのDNAデータが得られたが、人骨の所見とは異なっていた。コンタミネーションの可能性を含め、慎重に分析を行う必要があるものと思われる。江戸時代の脳組織からは21点中8点からDNAの抽出に成功し、ハプロタイプを決定した。弥生時代の脳からはDNAの抽出はできなかった。また、核のDNA抽出はできなかった。
著者
荒川 隆史 木村 勝彦 山田 昌久 赤羽 正春 吉川 昌伸 吉川 純子 高田 秀樹 大野 淳也 布尾 和史 向井 裕知 門口 実代 益子 貴義 千代 剛史 市村 真実 猪狩 俊哉 沼田 早織 根本 麻衣
出版者
(財)新潟県文化振興財団(歴史博物館)
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

縄文時代においてクリは重要な食べ物のひとつであり、建物の柱にも多数利用されていた。しかし、クリの木を切ると実は採れなくなってしまう。縄文人はこのバランスをとるためクリとどのようにつき合っていたのか? この謎を解き明かすため、縄文時代のクリ材の加工技術や年輪の特徴を調べるとともに、現代におけるクリ林の利用方法や年輪・花粉などの基礎的データを収集した。これらをもとに縄文時代のクリ利用システムを研究するものである。