著者
井上 尚 岡田 龍太郎 北川 高嗣
雑誌
研究報告データベースシステム(DBS)
巻号頁・発行日
vol.2011, no.17, pp.1-7, 2011-10-27

本稿では色から人間が受ける印象を定量化したデータベースを活用し,ユーザの画像作成時に印象という側面から情報を提示し、支援するシステムを提案する.我々はこれまでに言葉と言葉の意味的相関を計量する事のできるモデルである意味の数学モデルと,各種メディアデータの専門家の知識データベースを用いメディアデータから言葉とその重みのメタデータを抽出する Media-lexicon Transformation Operator を組み合わせる事により,各種メディアデータを統合的に取り扱う枠組みを提唱している.本稿ではカラーイメージスケールと呼ばれる色彩とそれから受ける印象の関係について述べた心理学の研究成果を専門家の知識データベースとして利用し,上記の手法を用いることで,ユーザの画像作成時にそれから受ける印象を動的に計算し,提示するシステムを作成する.本システムはブラウザ上で動作する Web アプリケーションで,線画の閉領域に対し色を対応させていくぬり絵のような形式をとる.まず最初にユーザが表現したい画像のイメージを任意の英単語の組み合わせとして入力させ,それらの単語群の持つ印象に対応する色をいくつか提示する.さらに画像作成時の支援として,ユーザが画像に色を付けると,画像から動的に計算し,それから受ける印象のリストをフィードバックする.これらのシステムにより,色による印象という専門家の知識を一般のユーザが意識することなく活用することが可能となる.This paper presents an implementation of drawing support application utilizing database for defining the relation between color and impression. We have realized Mathematical model of meaning that be able to compute semantic correlations between words and Media-lexicon Transformation Operator that be able to extract weighted words from media data using knowledge database for various media. Using both methods, we have realized a connecting method among heterogeneous media data. In this paper, we implement a drawing support application that suggest impression words computed by using method previously described with "Color Image Scale" (the database written about the relation between color and impression ). This application operates with browsing software. Users draw in monochrome line art. First,users input a combination of words as impression which users want to express, then suggested some colors corresoonding to this combination. And while users draw art,this application suggests a list of impression words which understand current art. This application implemente layman leverage specialist knowledge about color without regard for it.
著者
篠田 謙一 加藤 克知 北川 賀一 米田 穣
出版者
独立行政法人国立科学博物館
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本研究ではプレインカからインカ帝国成立期の人骨試料を用いて、集団の系統関係の解明と古代社会の多元的な復元を試みた。その結果、アンデス南海岸地域では、紀元前には北部海岸地域と遺伝的に似ているが、時代とともに山岳地域からの集団の移入を受け,インカ時代には集団の置換が起こったことが判明した。一方北海岸においては人口規模の違いから、集団の遺伝的組成に変化はなく、文化変容が遺伝的な変化を伴わないものであることが判明した。これらの結果は古代アンデスにおける文化変容を解釈する際に新たな重要な情報を付け加えることになった。
著者
松本 明 森嶋 厚行 北川 博之
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告データベースシステム(DBS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2002, no.67, pp.83-90, 2002-07-18

既存のXML問合せ言語や操作系では,ユーザはテキストエディタや視覚的操作系を用いて問合せを直接記述する.我々はこれらとは全く異なるアプローチのXML操作系であるXLearnerの研究開発を行っている.XLearnerは,サンプルのXML要素に対するユーザの例示操作からシステムがXQuery問合せを推論する.構造化データであるRDB等と異なり,例示操作に基づくXQuery問合せ推論は自明ではない.XLearnerはXQuery問合せに対するシステマティックな推論機構を提供する.XLearnerを用いた問合せ推論過程では,ユーザとシステムのインタラクションが必要となる.本稿では,本推論機構の概要,および,問合せ推論に必要なインタラクション数に関する実験結果について報告する.Existing XML query languages are textual or graphical languages in which we can specify queries for XML manipulation. This paper explains XLearner, a different kind of manipulation framework for XML. XLearner infers XQuery queries based on operations of sample XML elements. Inferring queries for XML is a non-trivial task, because XML is a kind of semistructured data, in contrast to relational databases whose data structure is completely regular. XLearner gives a systematic way to infer XQuery queries. The algorithm requires interactions between the system and the users. The paper reports an overview of its inference mechanism and experimental results on the number of required interactions.
著者
高取 聡 起橋 雅浩 北川 陽子 福井 直樹 岡本 葉
出版者
大阪府立公衆衛生研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

多岐にわたる加工食品を高脂質食品、低脂質食品、準農産物、ノンアルコール飲料及びアルコール飲料に分類して、これらに適用できる迅速かつ簡便な残留農薬一斉分析法を構築した。当該分析法を活用して市場に流通する加工食品中の残留農薬を分析した結果、食品衛生法の基準を超過する農薬を含む加工食品を検知し、販売者に自主回収を促した。また、消費者からの要請に基づいて風味異常を呈した食品から原因と推察される農薬を検出し、当該分析法の実用性を証明した。
著者
大貫 隆 北川 東子 黒住 真 杉田 英明 増田 一夫 村田 雄二郎 網野 徹哉 安西 信一 安岡 治子
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2005

ユダヤ、キリスト、イスラームの三大一神教を「アブラハム的伝統」と捉え、そこに内在する差異、および他の宗教との差異を、地域文化研究に特有な多元的視点でもって分析、理論化した。その作業によって、「文明の衝突」論に見られるような、文明(西洋)/野蛮(非西洋)という図式の看過や行きすぎを指摘、訂正するとともに、世俗性もしくは世俗化についても、社会のあり方に応じて多様な形態がありうることを示した。
著者
篠田 謙一 加藤 克知 北川 賀一 真鍋 義孝 中橋 孝博
出版者
独立行政法人国立科学博物館
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2001

インカによる統一以前のアンデスには、多数の地域国家が存在した。これらは生業形態や地理的環境から大きく海岸地帯と山岳地域または南部と北部に分類することができる。今回の研究では、かつてこれらの地域に存在した集団の遺伝的な関係と、集団内部の血縁関係を考察する目的で、骨と歯の形態学的な研究と人骨から抽出したDNAを解析した。4年間の研究で、ペルー北海岸では紀元前後から11世紀までの遺跡、アンデスの山岳地域ではインカ時代の遺跡、そして南部の海岸地域では紀元前後から7世紀にかけての遺跡を調査して、合計で2百体以上の人骨の研究を行うことができた。得られたサンプルに対し、形態学的な研究からは、各集団の歯の形態学的な特徴の抽出、頭蓋骨の形態学的な研究、そして頭蓋変形と開頭術の時代的な変遷についての解析を行った。また、DNA分析では、抽出したDNAを用いてPCR法でミトコンドリアDNAのD-loop領域とcoding領域の一部を増幅した。この塩基配列データ解析することによって、遺跡内部での血縁関係の追求と、周辺遺跡との系統的な関係についての考察を行った。北海岸のシカンの遺跡では、埋葬された人物間の血縁関係をDNA分析によって推定し、歯の形態学的な研究結果や考古学的な証拠と併せて考察を行った。また、モチェとガイナッソの遺跡を研究し、双方の関係について考察した。それらの知見と考古学的な証拠とを総合的に判断した結果、基本的には北海岸と南の海岸及び山岳地域とは、集団の構成に違いがあることが明らかとなった。また、アンデスのウルバンバ川周辺の遺跡のDNA解析からは、現代の先住民につながる人々がこの時代から居住していたことが明らかにした。
著者
藤井 和佐 西村 雄郎 〓 理恵子 田中 里美 杉本 久未子 室井 研二 片岡 佳美 家中 茂 澁谷 美紀 佐藤 洋子 片岡 佳美 宮本 結佳 奥井 亜紗子 平井 順 黒宮 亜希子 大竹 晴佳 二階堂 裕子 中山 ちなみ 魁生 由美子 横田 尚俊 佐藤 洋子 難波 孝志 柏尾 珠紀 田村 雅夫 北村 光二 北川 博史 中谷 文美 高野 宏 小林 孝行 高野 宏 白石 絢也 周藤 辰也 塚本 遼平 町 聡志 佐々木 さつみ
出版者
岡山大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

研究課題に関する聞きとり調査、質問紙調査等から、地方社会における構造的格差を埋める可能性につながる主な条件として(1)地域住民の多様化の推進及び受容(2)生業基盤の維持(3)定住につながる「地域に対する誇り」が明らかとなった。過疎化・高齢化が、直線的に地域社会の衰退を招くわけではない。農林漁業といった生業基盤とムラ社会の開放性が住民に幸福感をもたらし、多様な生活者を地域社会に埋め込んでいくのである。
著者
石川 剛郎 山口 佳三 泉屋 周一 斎藤 睦 待田 芳徳 田邊 晋 齋藤 幸子 高橋 雅朋 北川 友美子
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010-04-01

サブリーマン幾何やトロピカル幾何と関連する外微分式系の積分曲線に付随する特異曲面に関して,実代数幾何の見地から特異性の分類を実行し,ジェネリックな標準形を完成させた.ルジャンドル双対性と制御理論の見地から,枠付き曲線や曲面の接線ヴァライティーの特異性を分類し,写像のオープニング構成の概念を発展させ,一般の部分多様体の接線ヴァライティーの特異性の分類問題に応用した.また,G2サブリーマン幾何を非線形制御理論と実代数群の表現論の側面などから研究し,関連する特異性を分類した.さらにD4幾何の三対性とD型特異点論を進展させた.以上について論文を執筆し,国際的学術雑誌に発表済みまたは現在投稿中である.
著者
高見 正利 橋詰 努 北川 博巳 米田 郁夫 黒田 大治郎 奥 英久 糟谷 佐紀
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
交通・物流部門大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2007, no.16, pp.349-352, 2007-12-12

We developed a new instrumentation for measuring traveling characteristics of wheelchair and set up running roads with various surface shapes in our laboratory. We measured driving torque and whole-body vibration during running on these road surfaces. Root-mean-square (RMS) values of acceleration vibration were calculated for the three directions according to the ISO 2631 procedure.The driving torque of this system, like a manual wheelchair on the market, increases in proportion to height of steps on the road surface. In steady state running, the driving torque increases in proportion to velocity of wheelchair. The whole-body vibration at the sheet of wheelchair increases in proportion to both the heights of steps on the road surface and the velocity of wheelchair. In both a field and a laboratory, the vertical component of the vibration was greater than the fore-aft or horizontal vibration. The whole-body vibration value of a dummy mounted wheelchair shows a similar tendency to that of human beings. The following expression is derived from the above: this new measuring system is effective in detecting the presence of the vibration and the driving torque of manual wheelchair on various road surfaces.
著者
出村 良広 北川 和夫 川添 正孝
出版者
一般社団法人 軽金属学会
雑誌
軽金属 (ISSN:04515994)
巻号頁・発行日
vol.51, no.6, pp.324-328, 2001 (Released:2007-03-30)
参考文献数
11

The fatigue behavior of the fine-grained 5056 aluminum alloy produced by equal-channel angular extrusion (ECAE) is explored. This material exhibits a slightly enhanced fatigue life at high stress amplitude. However, no improvement in the fatigue limit is observed. Fatigue performance is discussed in terms of fatigue life, crack nucleation and propagation. Structural change during fatigue test is investigated by transmission electron microscopy and DSC. It is shown that the fine structure achieved during processing is unstable and tends to relax with cycling, resulting in local recovery of the pre-deformed material. Structure relaxation during fatigue test is supposed to provoke notable cyclic softening that is particularly pronounced at higher applied stress. It is found that the crack growth rate is greater in the fine grain ECAE material than in the coarse grain counterpart. The improvement of fatigue properties at low-cycle regime is believed to be due to higher resistance to crack nucleation in the fine-grained material having a larger proof stress value.
著者
蔡 兆申 都倉 康弘 北川 雅浩 高橋 義郎 占部 伸二 竹内 繁樹 小芦 雅斗 樽茶 清悟 工位 武治
出版者
独立行政法人理化学研究所
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2009-07-23

1.事後評価報告書作成の為、総括班メンバーによる会合を2回開催(4月24日、理研東京連絡事務所-6月12日、WTCコンファレンスセンター)し、以下の通り成果を確認した。:量子サイバネティクス領域は、高度で複雑な量子状態制御を目指している。応募時には、①新規な量子制御・検出の実現と、②多様な物理系においての包括的な量子制御の理解、を領域の目標として挙げた。また応募時の研究期間内の成果の一例として、混合量子系での単量子の操作や検出の目覚ましい進展を挙げた。数多くの混合量子系の可能性の中で、特に人工原子量子光学での飛躍的発展や、人工原子と機械振動の結合、微視量子系と固体素子量子系の結合の実現などに言及した。5年の研究の結果、領域内の全ての物理系で、量子状態制御の科学技術大きく進展し、設定目標はほぼ達成された。「①新規な量子制御・検出」に関しては、超伝導人工原子での高忠実度状態制御や量子非破壊・単事象観測などをはじめ、すべての物理系で目覚ましく進展を遂げた。「②多様な物理系においての包括的な量子制御の理解」に関しては、例えば超伝導人工原子量子光学と、従来の自然原子の量子光学との比較より、特に「単原子」量子光学に関する新規な知見を得、より包括的な理解を確立した。また他の多くの新規な混合量子系を実現した成果から、より包括的な理学が生まれた。また目標には当初なかった、新規な量子効果である超伝導細線でのコヒーレント量子位相滑りの実現などの成果も達成した。全論文数372件、内トップ1%引用論文は20件あることから、遥かに標準を超えた成果が生み出されたことが分かる。また既存の学問分野の枠に収まらない新興・融合領域の創成という目標に対し、数々の学際的な研究成果を達成した。2.研究成果報告書(冊子体)の作成に向け、会合を開催(9月30日、筑波大学東京キャンパス)し、全113頁の報告書を作成した。
著者
菅原 一幸 北川 裕之 山田 修平 三上 雅久 浅野 雅秀 BAO Xingfeng LI Fuchuan
出版者
神戸薬科大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

(1)ヒトの先天性脊椎・骨端異形成症(spondyloepiphyseal dysplasia, SED)がコンドロイチン6-O硫酸基転移酵素-1(C6ST-1)の変異によって発症することを証明した。(2)コンドロイチンの基本骨格の生合成に関わるコンドロイチン重合化酵素(ChPF)の線虫のオルソログPAR2.4をクローニングし、その機能低下により、線虫の胚発生初期の細胞質分裂が異常になることが分かった。(3)サメ皮膚のCS/デルマタン硫酸(DS)ハイブリッド糖鎖の種々の生物活性を証明し、治療薬への応用の可能性を示した。(4)ブタ胎児脳のCS/DS鎖の神経突起伸長促進作用が増殖因子プレイオトロフィンとの結合を介することを証明し、さらに機能ドメインである硫酸化十糖を単離し、配列を決定した。(5)海産ホヤの果肉から海馬ニューロンの突起伸長促進活性をもつ高硫酸化デルマタン硫酸を精製し、これでマウスを免疫し、抗デルマタン硫酸単クローン抗体を調製した。この抗体は海馬ニューロンを染色し、免疫源であるデルマタン硫酸の神経突起伸長促進活性を阻害した。(6)ヘルペス単純ウイルス(HSV-1、HSV-2)は細胞表面のヘパラン硫酸への結合を介して感染するとされてきたが、今回我々は、感染細胞のコンドロイチン硫酸のE構造を認識して感染しうることを証明した。
著者
小林 哲郎 森本 朗裕 高原 淳一 北川 勝浩
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1997

超短光パルス生成,超高速変調などの時間域の光制御については多くの研究があるのに対し,空間変調や偏向器に代表される光の空間域制御は研究も少なく,その進歩も遅れている.本研究はこの光波の空間域制御を超高速に行う要素技術である光偏向に関しての新しい開発に関するものである.ここではこの本研究独自の超高速の電気光学偏向器,周波数シフタを実際に設計,試作し,その動作確認を行うとともに,その実用化に向けての開発研究もあわせて行うことを目的としている.平成10年度の成果をまとめると,1. 電気光学結晶LiTaO_3の短ピッチ分極反転技術の確立本研究独自の斜周期分極反転を用いた疑似速度整合変調器,偏向器においては,高精度な分極反転技術が必要であるが,ラマンナス回折形偏向器を動作させるに十分な0.2mmピッチ程度の技術を確立した.なお,この斜周期分極反転を利用した超高速電気光学偏向器は特許2802366号として認可され,さらに平成10年度の科学技術振興事業団の斡旋対象発明となり現在実用化検討中である。2. 新しい電気光学偏向器の試作と良好な片方向偏向動作確認に成功昨年度にくらべ約2倍の性能を持つ偏向器を達成,これでは,10次程度のラマンナス回折が見られ,それらを制御合成し,16GHzの繰り返し周波数で30スポット以上の帰線のない超高速光ビーム偏向に成功した.さらに3倍の48GHzの偏向速度も達成している.これは偏向速度としては現在世界最高速である.3. 新しい構造の偏向素子の基本設計ギガヘルツ帯の周波数シフタは波長多重通信やヘテロダイン計測などに非常に有望である.しかし従来の音響光学偏向器を利用した周波数シフタではGHzがやっとでlOGHz以上のものを得ることは波長から考え原理的に不可能に近い.一方,斜反転周期構造をさらに細かい10μm域に進め,ブラッグ回折が利用できるなら,ここで開発している電気光学偏向器は単一周波数シフタに使える.これについて理論的検討を行うとともにlOGHz帯の周波数シフタの基本設計を進めた.
著者
宮川 明子 清木 康 宮原 隆行 北川 高嗣
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌データベース(TOD) (ISSN:18827799)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.1-10, 2000-02-15
被引用文献数
2

画像データなどのメディアデータを対象としたデータベースシステムの実現において,検索者が求めるメディアデータを適切かつ高速に抽出することは重要である.本論文では,意味の数学モデルを拡張した意味的画像連想検索を対象とした高速化アルゴリズムの実現方式を提案する.意味の数学モデルは,文脈あるいは状況に応じて動的に変化するデータ間の意味的な関係を計算するモデルである.本論文で提案するアルゴリズムは,指定された時間内の限られた計算回数で有効な検索結果を得ることを目的としたものである.このアルゴリズムによる意味的画像検索の実験を行い,実験の結果よりその有効性を明らかにした.In the database system design for multimedia database, it is important to develop a correct and fast retrieval method for media data(e.g. image, music). This paper proposes a fast algorithm and its implementation method for semantic associative image search based on our mathematical model of meaning. This model has been designed for computing semantic relation between data items dynamically accoding to context and situation. The objective of this algorithm is to obtain the available and correct retrieval results within the given limited time in the semantic associative search. This paper also shows some experimental results of semantic image search to clarify the feasibility and effectiveness of the proposed algorithm."
著者
山本 映子 北川 早苗
出版者
県立広島大学
雑誌
人間と科学 : 県立広島大学保健福祉学部誌 (ISSN:13463217)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.111-123, 2007-03

本研究は,理由が判明しないまま不登校を繰り返す小学生の心の理解に,児童に関わる重要な非専門家も加わるコミュニティ援助の具体手段の中で宿題コラージュ法・かばん登校がもたらした効果を検討し,不登校支援に示唆を得ることを目的とした。小学校1年次より,毎年不登校を繰り返し,4年生の夏休み明けから不登校となった男児のコラージュ作品を分析し,「コラージュ法による攻撃性の発見」で得られた特徴が全て含まれていることが判明した。しかし,攻撃性の他に,対人恐怖,自我同一性の問題などが男児の不登校という現象の深奥に秘められていることも示唆された。コミュニティ援助という臨床心理学的対応の結果として,不登校は一応の解決に至った。コミュニテイィ援助にコラージュ制作という専門技法を用いることが,不登校児童への対応の1つの可能性として,活かしていくことが考えられる。