著者
山本 晶
出版者
日本マーケティング学会
雑誌
マーケティングジャーナル (ISSN:03897265)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.29-41, 2020-09-29 (Released:2020-09-29)
参考文献数
21
被引用文献数
3 3

フリマアプリなどの普及に伴い,一次流通の店頭でオンラインの二次流通市場の販売価格を調べてから購入する,二次流通市場での売却を念頭に置いて一次流通で購入する,といった新しい消費者の購買行動が広がりつつある。本研究では二次流通市場における売却価格や成約までの日数といった条件が,一次流通市場の購買にどのような影響を及ぼすか検討する。ジーンズとタブレットの二つの製品カテゴリに関する約1,600名の調査回答者に対してコンジョイント分析を行った結果,一次流通市場における選択においては一次流通価格や所有製品との適合の度合いが依然として重要ではあるものの,二次流通市場において価格が下落しないことは消費者の効用を高め, 当該商品が選択される可能性が高まることが明らかになった。また,フリマアプリの利用状況によって属性の部分効用値が異なり,フリマアプリの売り手は一次流通市場において価格感度が低く,二次流通市場における条件に相対的に強く反応することが明らかになった。本研究の結果は二次流通価格に占める一次流通価格の割合の上昇は,一次流通市場における支払意思額を押し上げる効果があることを示唆している。
著者
山本 景子 長沼 大樹 油井 俊哉 原田 誠史 福谷 和芳 堀 修生 福澤 貴之
出版者
特定非営利活動法人 日本バーチャルリアリティ学会
雑誌
日本バーチャルリアリティ学会論文誌 (ISSN:1344011X)
巻号頁・発行日
vol.24, no.3, pp.313-323, 2019-09-30 (Released:2019-09-30)
参考文献数
56

"Astral Body" is an art installation for viewers to reveal the origin of life by showing the sense of life. A dead body and an artificial sign of life with dead matter are presented so that the viewers could think of relationship of the two. Astral Body has a kinetic surface made with ferromagnetic powder to present creature-like movements and human interaction. We have expressed the movements by using an automatic running robot with a magnet. Through the exhibitions, we have collected reactions and opinions from the attendees, and observed them. In this paper, we will conclude the overview, concept, design, implementation, and outcomes from the exhibitions.
著者
山本 和明
出版者
人間文化研究機構国文学研究資料館
雑誌
Leaflet on Digital Object Identifier (DOI) = Leaflet on Digital Object Identifier (DOI)
巻号頁・発行日
2016-03-25

DOI(ディー・オー・アイ)って何:Digital Object Identifier の略。恒久的にデジタル情報を特定できる、国際的な識別子、それがDOIです。対象は、書籍や論文にとどまらず、研究データ、さらに映画やテレビ番組などの情報資産にも、広がり続けています。インターネット上にあるデジタルコンテンツの所在情報は、一般的にURLによって示されています。しかしページやコンテンツの場所などが変わるたびにURLも変更になり、わずか数年で、対象のサイトに行き着けないということがしばしば。そこで、デジタルコンテンツへの永続的なアクセスを実現するため考案されたのが、DOIです。日本では、大学図書館や国立情報学研究所、国立国会図書館が古典籍のデジタル画像へのDOI付与に先進的に取り組んでいます。国立国会図書館では、博士論文(14万件)等への付与に加えて、2015年2月から、約9万件の古典籍画像にもDOIが付与されました。DOIは、いま研究者が知っておくべき識別子なのです。

20 0 0 0 OA 磁極と地磁気極

著者
星 博幸 山本 裕二 渋谷 秀敏
出版者
日本地学教育学会
雑誌
地学教育 (ISSN:00093831)
巻号頁・発行日
vol.68, no.4, pp.197-203, 2016-06-30 (Released:2017-05-31)
参考文献数
30

教科書等で混同されることがある「磁極」と「地磁気極」について解説する.磁極は地磁気の伏角が+90°(磁力線が鉛直下向き)または-90°(磁力線が鉛直上向き)の地点のことである.一方,地磁気極は磁軸(地磁気の姿を最もよく近似する双極子を地球中心に仮定した場合の双極子軸の延長)が地表と交わる地点を言う.似た用語は紛らわしく混乱の元にも思えるが,その違いは地磁気の本質と深く関わっている.
著者
山本 純子
出版者
日本武道学会
雑誌
武道学研究 (ISSN:02879700)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.25-35, 1990-07-31 (Released:2012-11-27)
参考文献数
32

“BUGEI-ZUFU-TSUUSHI (Korean, Muye-Tobo-Tongji)” was published in 1790. This has been the most representative book of material arts in Korea. Some sword arts, for example, SOUSHUTOU (Ssangusudo), EITOU (Yedo), WAKEN (Oegum), KOUSENFU (Gyojoenbo), TEITOKUKEN (Jedoggum)(Jedoggum) and HONGOKUKEN (Bongukgum) are found in this book. The purpose of this study was to clarify the relationship between these sword arts and Japan between the ones and China.The Results can be summarized as follows.1. SOUSYUTOU was affected by WAKOU (Japanese pirates), KOUWA (Japanese prisoners of the Invasion of Korea by Toyotomi Hideyoshi) and the drillmasters of Ming China army in the process of its formation.2. EITOU was affected by Japanese-Korean trades in the process of its formation.3. WAKEN and KOUSENFU were affected by CHOUSEN-TSUUSHINSHI (Korean missions to Japan) in the process of their formation.4. TEITOKUKEN was affected by the drillmasters of Ming China army.5. HONGOKUKEN was affected by the thought of Korean nationalism in those days.
著者
高鳥毛 敏雄 逢坂 隆子 山本 繁 西森 琢 藤川 健弥 黒田 研二 磯 博康
出版者
JAPANESE SOCIETY FOR TUBERCULOSIS
雑誌
結核 (ISSN:00229776)
巻号頁・発行日
vol.82, no.1, pp.19-25, 2007-01-15 (Released:2011-05-24)
参考文献数
36

〔目的〕ホームレス者の結核の実態とその対策方策を明らかにすることを目的とした。〔対象と方法〕平成15年から17年までの3年間ホームレス者を対象に公的就労事業にあわせて結核検診を実施した。各年の結核検診の受診者数は1,309人,1,545人,1,546人であった。〔結果〕各年の結核有所見者割合は約30%,要治療者割合は約2%とほぼ同様の状況であった。平成17年の要治療者30人中の過表に受検歴のあった者20人について胸部所見を調査したところすでに胸部結核有所見であった者が13人(65%)と高率であった。平成16年と平成17年両年連続受検者857人の分析では,胸部所見IV型の者20人の中から3人が発症,無所見の者597人からは8人が発症していた。つまり,IV型の者は無所見者に比べて11.2倍発症率が高かった。〔考察と結論〕ホームレス者は結核有所見者の割合が高いこと,有所見者からの発病率が高いこと,有症状受診が困難な者が多いことなどから,ホームレス者の結核検診実施にあたっては胸部所見が安定型の者に対してもQFTを活用するなど,何らかの治療基準を定めて対応することが必要と考えられた。
著者
山脇 望美 山本 雄大 熊谷 智博 大渕 憲一
出版者
日本社会心理学会
雑誌
社会心理学研究 (ISSN:09161503)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.25-31, 2013-08-31 (Released:2017-02-24)
被引用文献数
1

The present study attempted to examine whether explicit and implicit measures of aggressiveness would predict aggressive behavior and whether the effects would be moderated by provocation. Seventy-one students voluntarily participated in the experiment, with their explicit aggressiveness measured by the Buss-Perry Aggression Questionnaire (BAQ) and their implicit aggressiveness measured by the Implicit Association Test (IAT). Aggressive behavior was deduced by the levels of unpleasant noises which the participants gave a partner in the evaluation of his/her drawings either in the provocation or non-provocation conditions. The results showed that only IAT was significantly related with the level of unpleasant noises, independently of provocation, suggesting that aggressive behavior was predicted by the implicit measure of aggressiveness but not by the explicit measure of it.
著者
Hanley Sharon 櫻木 範明 伊藤 善也 玉腰 暁子 大島 寿美子 山本 憲志 岸 玲子
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

幼児期に身につけた生活習慣は成人期に持ち越され、その内容によってはがんのリスクを高める行動に繋がる。本研究の目的は、学童の健康教育の歴史が長い英国・豪州のがん教育を参考に、小中学生向けの教材を開発する。両国では、効果的な教材の開発の為に保健医療省と教育省が連携している。英国では小児期の肥満が問題となり、保育園から食生活と運動習慣が健康教育に含まれている。気候のよい豪州では、屋外での活動は一般的であるが、皮膚がんのリスクが増加する為、紫外線への曝露を避けるように学校単位で指導される。どちらの国でも、学校単位でのHPV教育が効果的に行われている。現在、英国の教材を日本で使えるよう翻訳を進めている。
著者
小藤 久毅 山本 政儀
出版者
公益社団法人 日本アイソトープ協会
雑誌
RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.48, no.4, pp.263-265, 1999-04-15 (Released:2011-03-10)
参考文献数
12
被引用文献数
4 2

Uranium concentrations in some natural mineral waters sold in Japan (domestic 20 and foreign 9) were measured by ICP-MS. The U concentrations were found in a wide range, differing by a factor of 40000, about 0.4-1.6×104ng/l. The values over guidance level (2μg/1) were observed in two domestic samples and one foreign one. Occurrence of such a high U concentration indicates the need of further survey of U concentration of mineral water to consider uranium intake.
著者
山本 雄也 中野 倫靖 後藤 真孝 寺澤 洋子
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.64, no.10, pp.1423-1437, 2023-10-15

歌手は楽譜に合わせて歌うだけでなく,その音高や音色に変動を加えることがある.本論文は,これらを「歌唱テクニック」とし,ポピュラー音楽の中でもJ-POPを対象に,歌手によって歌唱テクニックがどのくらいの頻度でどのように生起するか,そして楽曲のどこで生起するか,その傾向を分析することを目的とする.そこで本論文では,J-POPのプロ歌手24名(男女各12名)の歌い方を別のプロ歌手14名(男女各7名)が学術目的で模倣した歌声データベース「AIST-SIDB」に含まれる48歌唱の13種類の歌唱テクニックを対象として,歌唱テクニックとメロディの持つ音楽要素との関係性を分析した.具体的には,歌唱テクニックの生起頻度と,歌唱テクニックの1つであるビブラートに関してはそのパラメータ(深さと速さ)を分析した.さらに,歌唱テクニックの生起位置を楽譜情報と対応付けて,各歌唱テクニックと「歌詞の音素」,「音高」,「音高差」,「音長」,「フレーズ内における位置」との関係を分析し,またビブラートパラメータと「音高」および「ビブラート長」との相関を分析した.
著者
長谷川 健 菊池 文太 柴田 翔平 井村 匠 伴 雅雄 常松 佳恵 山本 裕二 大場 司 鈴木 和馬 戸丸 淳晴 楠 稚枝 岡田 誠
出版者
特定非営利活動法人 日本火山学会
雑誌
火山 (ISSN:04534360)
巻号頁・発行日
vol.68, no.3, pp.189-196, 2023-09-30 (Released:2023-11-02)
参考文献数
22

Volcanic bomb is one of the most common eruption products around their source craters. Although paleomagnetic studies on volcanic bombs have a potential to provide high-resolution chronology of volcanic activity, particularly when compared with the known geomagnetic secular variation records, there are only a few such studies. In this contribution, we made an attempt to determine paleomagnetic directions from large (>1 m in diameter) volcanic bombs around “Tsubakuroswa craters”, located in Azuma volcano, for evaluating the potential use of volcanic bombs for paleomagnetic dating. Six oriented mini-cores were drilled from the central part of each large volcanic bomb, five in total, located on a gentle slope a few hundred meters south from the craters. All of the mini-cores were subjected to thermal demagnetization analysis, giving a well-determined characteristic remanent magnetization (ChRM) direction for each bomb as follows: site mean declination (Dm) of 350.6‒358.0º and inclination (Im) of 48.9‒50.8º with a 95 percent confidence limit (α95) smaller than 2.4º. The ChRM directions were consistent among the bombs, supporting the availability of volcanic bombs for further paleomagnetic dating research. Referring the geomagnetic secular variation record in this area, an all-site mean ChRM direction from the five bombs (Dec=355.5º, Inc=50.1º, α95=1.9º) most likely accounts for the derivation of the volcanic bombs by the Meiji Era (1893 CE) eruption. Historic pictures and descriptions are consistent with and support this interpretation. Previous reports suggested that the Meiji Era eruption did not eject magmatic materials and that the last magmatic eruption of this volcano was probably in 1331 CE. However, our results suggest that magmatic eruptions might have occurred here only ca. 130 years ago and may be largely affecting the current activity of this crater area. Our study suggests that volcanic bombs are potentially useful materials for paleomagnetic studies such as dating and establishing geomagnetic secular variation records.
著者
石川 広己 石川 広己 渡邉 大記 江崎 禎英 大山 永昭 屋敷 次郎 山本 隆一
出版者
一般社団法人 日本医療情報学会
雑誌
医療情報学 (ISSN:02898055)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.25-34, 2019-07-05 (Released:2020-07-08)

[セッション抄録] 改めて医療等分野に係る個人情報保護のあり方を考える―公益と個益の視点から― 石川広己(日本医師会) 大量の個人情報を集めることができる時代,その情報を分析することで経済活動に活用したり,新たな知見を得たりする取り組みが世界中で行われている.一方で,国民の権利,利益を守るための保護のあり方も同様に議論がなされている. とりわけ,健康・医療・介護に係る情報に関しては,一層の保護措置が必要との認識は世界共通である.例えば,2017年5月に全面施行された改正個人情報保護法では,病歴を要配慮個人情報として,本人同意を得ない取得を禁止している.2018年5月に適用が開始されたEU一般データ保護規則(GDPR)でも,第9条のProcessing of special categories of personal dataで健康に関するデータの取扱いを制限している. このように,健康・医療・介護等の情報の保護の重要性は誰もが強く認識してはいるものの,国民の目線からは十分に保護されるのか不安が生じる.最近の医療情報分野におけるKey wordを挙げてみると,「保健医療記録共有サービス」,「情報銀行」,「次世代医療基盤法」,「被保険者記号番号の個人単位化」などがある.これらは,医療等分野に係る情報を関係者で共有することで適切な医療を提供することを目指す,情報を活用して,その便益を個人に還元する,医療分野の研究開発に生かす,個人の健康・医療に係る情報を生涯に亘り追いかけることで健康寿命の延伸に資することができるなど,多くの可能性を持っている.これらの可能性を探ることは,少子高齢時代を迎えるわが国にとって極めて重要な問題である.ただし,これを実現するには明快で十分な説明の上で,国民一人ひとりの理解と協力がないと実現は難しい. そこで,医療等分野に係る個人情報の保護を通して,改めて公益と個益,またそれを実現するための様々なインフラのあり方について識者を交えてディスカッションを行いたい.
著者
坂口 綾 門倉 彰伸 Peter STEIER 山本 政儀 坂田 昂平 富田 純平 高橋 嘉夫
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.62, no.11, pp.1001-1012, 2013-11-05 (Released:2013-12-05)
参考文献数
38
被引用文献数
2 1

これまで,目的元素の濃縮・精製技術の向上や分析機器の開発など,分析化学分野の進展は,環境放射能そのものの研究やそれを活かした研究に多大なる影響を与え,分野拡大やその躍進に大きく貢献してきた.本論文では,近年の分析・測定技術の発展に伴い測定可能となってきた環境中の人工放射性ウラン(U)同位体である236Uに着目した研究について報告する.ここでは特に,地球表層環境にある236Uの起源や濃度,蓄積量についてセシウム(Cs)-137の分布などと共に詳細に調べた結果に加え,明らかになった236Uの特性を活かした地球科学的研究への応用例として,海水循環トレーサー利用に関して日本海をフィールドとした研究についても紹介する.
著者
高橋 均 荒 このみ 山本 博之 増田 一夫 遠藤 泰生 足立 信彦 村田 雄二郎 外村 大 森山 工
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

戦後、欧米先進諸国に向けて、開発途上国出身の多くの移民が流入し、かれらを文化的に同化することは困難であったため、同化ではなく統合を通じてホスト社会に適応させようとする≪多文化主義≫の実験が各地で行われた。本研究課題はこのような≪多文化主義≫が国際標準となるような≪包摂レジーム≫に近い将来制度化されるかを問うものである。結論として、(1)≪多文化主義≫の背景である移民のエンパワーメントは交通・通信技術の発達とともになお進行中であり、いまだバックラッシュを引き起こす危険を含む。(2)第一世代はトランスナショナル化し、送出国社会と切れず、ホスト社会への適応のニーズを感じない者が増えている。(3)その反面、第二世代はホスト社会の公立学校での社会化により急速に同化し、親子の役割逆転により移民家族は不安定化する。このために、近い将来国際標準的な≪包摂レジーム≫の制度化が起こる可能性は低い。
著者
上條 史子 山本 澄子
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.31, no.3, pp.445-450, 2016 (Released:2016-07-06)
参考文献数
18
被引用文献数
2

〔目的〕体幹機能評価として用いられるTrunk Impairment Scale(TIS)と歩容との関係を片麻痺者で検討することである.〔対象〕男性片麻痺者14名とした.〔方法〕三次元動作解析システムを用い,対象者の歩行を計測した.また,対象者の体幹機能はTISを用いて評価し,歩行中の体幹の動態とTISの項目との関係を検討した.〔結果〕麻痺側立脚後期の体幹の動態とTISの動的項目・協調性項目の結果に関係が認められた.特に骨盤と中部体幹間の回旋とTISに相関が認められた.〔結語〕TISの動的項目と協調性項目は,片麻痺者での歩行中の体幹の動態を評価できると示唆された.特に,立脚後期の体軸内回旋を反映すると考えられた.