著者
山本 希
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
日本地球惑星科学連合2015年大会
巻号頁・発行日
2015-05-01

活火山浅部における流体の存在は流体圧による断層面上有効法線応力低下による剪断すべりの促進,開口断層の生成など火山性地震の発生に密接に関与するものであるとともに,流体の移動は群発地震活動の誘引や震源移動・震源域拡大などを引き起こすと考えられている.したがって,地震発生に伴う流体諸現象の検出・観測は,火山性地震発生プロセスの理解のために重要であると考えられる.本発表では,そのような地震発生と流体現象の関連のひとつの観測的事例として,活動活発化が懸念されている吾妻山における地震活動の中に検出された地震発生に先行した体積膨張相について報告を行う.吾妻山は,東北本州弧の火山フロント上に位置する第四紀火山であり,複数の安山岩質成層火山によって構成される.最近の火山活動は,火山東部の浄土平周辺に分布する吾妻小富士・大穴・一切経などの火口群で発生しており,主に水蒸気噴火に伴う噴石や降灰などの被害をもたらしてきた.また,現在噴気活動を行っている大穴火口の直下浅部においては,通常の火山構造性地震とともに火山性微動・低周波地震・単色地震・N型地震など多様な火山性地震が発生しており,浅部における火山性流体の存在・複雑な破砕帯の存在などが示唆されてきた.2014年以降,吾妻山では火山活動の活発化の兆しが見られ,微小な地殻変動とともにこれらの地震活動の活発化が認められ,2015年1月中旬には一日当たり200回を超える群発的な地震発生を示すこともあった.吾妻山の火山性地震では,地震発生に先行する微弱な前駆的震動が観測されることも多く,地震発生と流体挙動の関連を想起させるものであったが,2015年1月の群発性地震を火口近傍の地震計・傾斜計のデータも含めて精査した結果,地震発生約5秒前から前駆振動に同期して微弱な膨張相が存在することが明らかとなった.観測点の分布が十分でないため,震源機構の推定は困難であるが,観測された変位記録および傾斜記録を用いて,等方的な震源機構と震央を仮定して波形モデリングを行った結果,この膨張相は地震の震源域とほぼ同じ大穴火口直下深さ約2kmの領域で発生していることが示された.この震源域・膨張相の力源は,繰り返し全磁力測定や短基線GPS解析によって先行研究で提唱されている消磁・帯磁域および圧力源のやや深い側に位置する.これらの結果は,火口直下浅部において断層上における流体介在が有効法線応力の低下・地震発生を引き起こし,流体移動が連鎖的・群発的な地震活動を誘引したことの一つの観測的実証と言える.今後,火口・震源域近傍における稠密観測網を展開し,震源機構の推定・応力降下量推定などとともにこれらの膨張相の解析を行うことで,さらに火山性地震と火山性流体の相互作用の定量的な理解が進むと期待される.謝辞:本研究では,気象庁・火山観測網の地震波形データを使用させていただきました.
著者
宮川 洋一 山崎 浩二 名越 利幸 渡瀬 典子 ホール ジェームズ 土屋 明広 田中 吉兵衛 立花 正男 山本 奬 今野 日出晴 川口 明子 田代 高章 藤井 知弘 長澤 由喜子 遠藤 孝夫 MIYAGAWA Yoichi YAMAZAKI Kouji NAGOSHI Toshiyuki WATASE Noriko James M HALL TSUCHIYA Akihiro TANAKA Kichibei TACHIBANA Masao YAMAMOTO Susumu KONNO Hideharu KAWAGUCHI Akiko TASHIRO Takaaki FUJII Tomohiro NAGASAWA Yukiko ENDOU Takao
出版者
岩手大学教育学部附属教育実践総合センター
雑誌
岩手大学教育学部附属教育実践総合センター研究紀要 (ISSN:13472216)
巻号頁・発行日
no.14, pp.219-230, 2015

本研究の目的は,4年次後期に必修となった教職実践演習における模擬授業のあり方を検討し,評価基準を策定することにある。そのうえで,ICTを活用して,組織的に評価を行うシステムを構築し,試験的運用を行うことである。「教職実践演習」は,「教育職員免許法施行規則の一部を改正する省令」により,平成22年(2010)年度入学生から導入される教員免許必修科目であり,学生が最終的に身につけた資質能力を,大学が自らの養成教員像や到達目標に照らして最終的に確認することを目的としている。中教審による「今後の教員養成・免許制度の在り方について(答申)」(2006)によると,教職実践演習の授業内容は,①使命感や責任感,教育的愛情に関する事項,②社会性や対人関係能力に関する事項,③幼児児童生徒理解や学級経営に関する事項,④教科・保育内容等の指導力に関する事項を含めること,が適当であるとされている。そして,教職実践演習の実施にあたっての留意事項として,授業の方法は演習を中心とすること,役割演技(ロールプレーイング),事例研究,現地調査(フィールドワーク),模擬授業等も積極的に取り入れることが望ましいこと等が示されており1),極めて実践的・実務的色彩の強い内容となっている。
著者
恩田 裕一 山本 政儀 山田 正俊 北 和之 竹中 千里 浅沼 順 中島 映至 篠原 厚 神田 穣太 五十嵐 康人
出版者
筑波大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2012-06-28

1.領域内の相互啓発と情報共有:全計画研究班の研究が円滑に進むよう統括を行った。WEB中継会議システムを活用して全構成員間のより緊密な連携を図った。 2.研究支援活動:「データベースワーキンググループ」を統括し、事故発生以降の環境データ、モデリングデータ、分析データを使いやすい形で整理し、関係研究者に提供した。また「分析チーム」を統括し、分析がIAEAスタンダードになるようproficiency testの結果を反映させた。3.公募:各計画研究の補完・推進を目的として採択した第ニ期公募案件について研究支援を行った。
著者
山本 宏子 徳丸 吉彦 鈴木 正崇 垣内 幸夫 細井 尚子
出版者
岡山大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

本研究は、日本および周辺アジア地域の太鼓文化を対象に、そのリズムパターンを収集し、それぞれの伝統的伝承システムである口唱歌(口太鼓)に基づく記録方法でデータバンクを構築することを通して、アジアの太鼓文化の相互関係を明らかにし、また、各地域の口唱歌システムを比較分析することによって、日本人のもつ音楽性を浮き彫りにすることを目的とするものである。さらにはアジアの伝統的太鼓文化の保存と発展に資する資料を提示し、理論的・方法論的に問題提起をすることをも、その目的としている。中国・ベトナム・インドネシア・インド・日本で調査をおこない、資料を収集した。1、実際のコンテクストの中でおこなわれた祭・儀礼・芸能を参与観察し、関係者の許可が得られたものは、写真やVTRで記録作成をおこなうことができた。2、芸能の芸態つまりテクストそのものの分析に資する資料として、上演を依頼し、舞踊劇や人形劇・舞踊などを収録した。3、太鼓をそれぞれの伝承者から習い、口唱歌と伝承方法についてのインタビューでデータを集積した。これらの調査から、口唱歌には、「インド系単音オノマトペ型」と「中国系重音オノマトペ型」の2つの化圏があることが分かってきた。また、単に太鼓の音を真似て歌う「単純口唱歌」と、それを体系化した「システム口唱歌」の2つのレベルの文化圏があることも分かってきた。両要素は必ずしも連動してなくて、それらの重なり具合は複雑な様相を呈している。さらに、それらを比較すると、「聞き做し」のオノマトペが、発展し体系化し、伝承システムとして構築されるには、太鼓というテクストだけではなく、太鼓を取り囲むさまざまなコンテクストが影響を及ぼしていることが明らかになった。
著者
パルホムチュク デミトリV. 山本 幹男
出版者
国際生命情報科学会
雑誌
Journal of International Society of Life Information Science (ISSN:13419226)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.413-417, 2000-09-01

In this paper we review the experimental results of biophoton delayed luminescence(DL)research and propose a model based on properties of multiphonon energy transfer that explains nearly all known features of DL. Typically, DL is a long(from seconds to hours contrary to the well know luminescence from simple compounds which takes only nanoseconds)decay of intensity after initial light irradiation, and in most cases has very close to hyperbolical law dependence. We proposed the scheme for DL imaging and state that DL has a high diagnostic value, since it differs significantly for damaged tissues.
著者
山本 真弓 山田 満 ヤマモト マユミ ヤマダ ミツル Mayumi Yamamoto Mitsuru Yamada
雑誌
和洋女子大学紀要. 家政系編
巻号頁・発行日
vol.37, pp.33-43, 1997-03-31

1)人工胃液のpH1ではすべての乳酸菌の失活が認められた。2)ビフィズス菌は製剤においてpH1∿4のどのpHでも60分後にはビフィズス菌が死滅しており,製品についてもpH2で失活することからビフィズス菌の腸への到達は難しい。3)ビフィズス菌以外の乳酸菌はpH1ではすべて失活するが,pH2では120分後まで生存する確率が高く,pH3∿4では120分後で全て生存がみられた。4)菌別にみると,L. acidophilus,L. bulgaricus,St. thermophilusはpH2に耐えられ,比較的耐酸性があった。
著者
山本 卓 坂本 尚昭 佐久間 哲史
出版者
日本ウイルス学会
雑誌
ウイルス (ISSN:00426857)
巻号頁・発行日
vol.64, no.1, pp.75-82, 2014-06-25 (Released:2015-03-10)
参考文献数
43
被引用文献数
1

ゲノム編集は,TALENやCRISPR/Cas9などの部位特異的ヌクレアーゼを用いて,細胞内で標的遺伝子を改変する技術である.ゲノム編集を用いることによって,これまで遺伝子改変が難しかった生物種においても遺伝子ノックアウトや遺伝子ノックインが可能となったことから,現在,疾患モデルの培養細胞や動物の作製が競って進められている.本稿では,部位特異的ヌクレアーゼを基盤とするゲノム編集技術の基本原理と研究の現状を紹介する.
著者
所 輝久 前原 誠也 斎藤 陽彦 山本 雅昭
出版者
Japanese Society of Comparative and Veterinary Ophthalmology
雑誌
比較眼科研究 (ISSN:02867486)
巻号頁・発行日
vol.33, pp.5-8, 2014

眼組織の計測は眼科領域において重要な検査の一つであり、その中には眼軸長値の測定も含まれる。犬の眼軸長値の正常値は約20~22mmと報告されているがそのほとんどは中型犬以上のデータであり、小型犬種単独における報告はみあたらない。そこで小型犬種における眼軸長の基準値を確立する目的でチワワを対象にBモードにて計測を行ったところ、一定の個体差が有り最大で3.3mmの違いが認められたものの、平均的な眼軸長値は18.1mm前後を示し過去に犬種別に報告された中では最も短い値だった。また体重と眼軸長値との関連について統計学的検討を行ったところ両者には弱い正の相関がみられたが、統計学的に高い相関性は認められなかった。今回の調査はBモードによる正常なチワワの眼軸長および眼組織の計測値に関する初めての報告である。
著者
山本 奈生 長光 太志
出版者
佛教大学
雑誌
社会学部論集 (ISSN:09189424)
巻号頁・発行日
vol.60, pp.61-75, 2015-03-01

本稿では個々の大学生が就職活動の経験を経てどのように内定先を決定し,その進路を受容しているのかを問題とする。すなわち就職活動の厳しさや「自己分析」の必要が語られる昨今の状況を,大学生諸個人はどのように経験し,最終的な進路へと至っているのかを分析した。ここで用いるデータは私立大学の卒業生に対するインタビュー・データである。本研究では社会学的な就職活動研究における,個人的な範疇の社会関係資本に関する議論や,就職活動過程の研究を踏まえながら,インフォーマントらは自身の進路をどのような合理性をもって選び取ったのかを明らかにする。本研究の含意としては社会関係資本の多様性が,就職活動の私的経験を相対化する作用を持つ可能性が示唆されたことや,それほど「自己分析」に拘泥せずに,過去の労働経験など具体的な経緯から内定先を決定する学生の範型が示されたことにある。
著者
門口 直仁 田中 聡 宮本 典文 山本 創一 喜多村 泰輔
出版者
一般社団法人 日本臨床救急医学会
雑誌
日本臨床救急医学会雑誌 (ISSN:13450581)
巻号頁・発行日
vol.18, no.6, pp.715-719, 2015-12-28 (Released:2015-12-28)
参考文献数
9

目的:ICUにおいて,プロポフォール注射液は鎮静薬として繁用されているが,その投与による静脈炎の発生が臨床上問題となる。そこで,プロポフォール注射液投与による静脈炎の発生状況を調査した。方法:2012年9月から12月までに救命救急センターにおいてプロポフォール注射液が末梢静脈から2日間以上持続投与された症例を対象とした。結果:調査期間中の対象患者は41名で,静脈炎が発生した患者は19名(46.3%)であった。投与時間と平均投与速度が静脈炎発現の有意な因子であり,投与時間77時間以上,投与速度3.44mg/kg/hr以上で静脈炎が高頻度に発現していた。考察:プロポフォール注射液による静脈炎は添付文書上では頻度不明とされているが,今回の調査では46.3%と高頻度に発生していた。静脈炎の発生および重症化を防ぐため,投与時間,投与速度の確認と頻回な穿刺部位モニタリングの必要性が示唆された。
著者
山本 浩充 小林 万里 芳賀 吏那子 伊東 奈保美 小川 法子 田口 真穂 高橋 千里 礒部 隆史 埴岡 伸光 村田 実希郎 岡田 賢二 重山 昌人
出版者
公益社団法人 日本薬剤学会
雑誌
薬剤学 (ISSN:03727629)
巻号頁・発行日
vol.75, no.4, pp.264-270, 2015 (Released:2015-07-01)
参考文献数
9
被引用文献数
5

Mohs paste is using for chemosurgery to treat local recurrence of breast cancer tumors and other tumors. However, physicochemical properties of Mohs paste such as hardness, viscosity, stickiness, and spreadability, change signifi cantly during storage after preparation. We investigated the mechanism of change in these physicochemical properties and reformulated Mohs paste. Mohs paste was very hard immediately after preparation and then gradually became soft and sticky during storage. We found that starch particles in the formulation caused the change in physicochemical properties. The initial hardening of the paste was caused by water adsorption and swelling of starch granules. The ensuing softening and tackifying were caused by gelatinization of the starch. The change in physicochemical properties could be restricted by reduction of free water in the formulation by adding a sugar alcohol. Sorbitol was the most effective material among additives because sorbitol can interact strongly with hydration water.
著者
高田 雅弘 中野 祥子 三田村 しのぶ 宮﨑 珠美 菊田 真穂 小森 浩二 首藤 誠 七山(田中) 知佳 森谷 利香 吉村 公一 石橋 文枝 塙 由美子 山本 淑子
出版者
日本社会薬学会
雑誌
社会薬学 (ISSN:09110585)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, pp.116-127, 2015-12-10 (Released:2015-12-25)
参考文献数
10

With regard to proper drug use in home care, the failure of approximately half of all elderly patients to comply with their doctor’s medication instructions and many other issues have been reported. However, pharmacists’ involvement in home care support remains inadequate, as highlighted by a Ministry of Health, Labor and Welfare report which noted the lack of full utilization of pharmacists in community medicine as well as the fact that home nurses often have to manage their patients’ medications. The Setsunan University Faculty of Nursing was established in 2012, and the university’s Faculties of Pharmaceutical Sciences and Nursing collaborate in their educational activities. To increase pharmacists’ involvement in home care support, we launched a project to create a home care support model in which pharmacists and nurses work in collaboration, utilizing their respective faculty resources. In this study, we conducted a questionnaire survey of pharmacies and visiting nurse stations in Osaka Prefecture regarding the present status of and problems related to pharmacists’ participation in the home care system and visiting nurses’ current involvement in medication management, as well as what is expected of pharmacists. Based on these results, we are constructing a model in which Faculties of Pharmaceutical Sciences and Nursing collaboratively support the home care system with the aim of establishing the role that universities should play in a comprehensive regional care program.
著者
和泉 潔 池田 竜一 山本 仁志 諏訪 博彦 岡田 勇 磯崎 直樹 服部 進
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J96-D, no.12, pp.2877-2887, 2013-12-01

本研究では,構成論的なアプローチに基づくエージェントベースの社会シミュレーション研究の新たな方法論,可能世界ブラウザを提唱した.更に,実際の購買データに基づいたシミュレーションによる購買ターゲットの特定を題材にして,可能世界ブラウザを応用した結果を紹介した.顧客の購買行動をエージェントベースモデルに組み込んだシミュレーションモデルを作成した.そしてユーザが目的となるようなケースを作り出す.特定ケースでのエージェントの購買行動パターンの特徴を分析することで,目的の達成に大きく関係している購買行動パターンを特定し,更にその成分の組合せから具体的な消費者像の推定を行うことで顧客ターゲティングにつなげることができた.
著者
東根 裕子 上村 昭子 八木 千鶴 山本 悦子 渡辺 豊子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.25, 2013

【目的】食事の簡便化等に伴い、行事食の伝承が難しい時代になってきている。平成21年・22年度の日本調理科学会特別研究として実施した「行事食」の調査結果のうち、雑煮の手作り度と他の行事食との関連を明らかにすることを目的とした。【方法】平成21年12月から平成22年3月、日本調理科学会特別研究の全国統一様式の調査用紙を用いて調査を実施した。今回は、大阪府に10年以上住み、40歳以上で調理担当者である301人を分析対象とした。正月料理の雑煮は家での手作り度が高く、雑煮の手作り度と他の行事との関連を検討した。調査を行った17行事のうち、行事食を家庭で作っている割合が高い正月、節分、上巳の節句、クリスマス、冬至を検討対象とした。【結果・考察】調査対象者の年齢は40・50歳代が79.7%、60歳代以上20.3%であり、同居の家族構成は2世代が65.8%、職業は専業主婦が46.2%、次いでアルバイト・パートが34.6%であった。行事食の影響は、58.1%の人が母方から受けていると答えた。雑煮を手作りする人は、79.7%であり、正月料理の煮しめ・なます・魚料理、節分のいわし・巻きずし、上巳の節句のちらしずし・潮汁、クリスマスの鶏肉料理の手作り度が、雑煮を手作りしない人に比べて高く、有意差が認められた(p<0.05)。雑煮を手作りしない人は、他の多くの行事食においても手作り度が低かった。また、手作り度と喫食状況は必ずしも同じ傾向ではなく、節分の巻きずしやクリスマスケーキの手作り度は低い(21.3%と16.4%)が、ともに60%以上の人が毎年食べていると答えた。食の簡便化・外部化の流れを受け止めつつ、行事食伝承の方策を探っていきたい。
著者
キウェ ピュ ピュ 山本 寛 大木 聖子 山崎 克之
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IA, インターネットアーキテクチャ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.170, pp.25-30, 2010-07-30

日本は、世界的にも最も地震が起こる国の一つであり、これまで何千年間も被害を受けてきている。しかし、地震の経験は、被害を受けた地域での知恵となるにとどまり、日本に暮らすあらゆる人々の共有知とはなっていない。地震の経験を多くの人で共有できれば、地震の知識が向上し、大きな災害に備えること、つまり防災リテラシーの向上が図れる。本研究の目的は、地震の経験を共有して、アーカイブにすることのできるウェブベースシステムを開発することである。他の人がどういう手段をとったか(家族の安否確認、帰宅ルートのチェック、など)を確認することで、自分のアクションを見直すことができ、大きな地震が発生した時のための備え(防災リテラシー)は格段に向上する。システムは地震研究所(ERI)のウェブサイト上で公開する予定である。
著者
山本 昭子 西山 直宏 吉田 浩介 山根 雅之 石川 百合子 三浦 千明
出版者
公益社団法人 日本水環境学会
雑誌
水環境学会誌 (ISSN:09168958)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.1-10, 2010 (Released:2010-01-10)
参考文献数
58
被引用文献数
3 12

Linear alkylbenzene sulfonate (LAS) is an anionic surfactant widely used in laundry detergents. The environmental safety of LAS has been extensively reviewed in various chemical safety assessment programs worldwide. In this paper, we report an LAS aquatic environmental risk assessment of Japanese rivers using a high-tier assessment approach. For the exposure assessment, river water monitoring data of more than 400 samples were used to determine predicted environmental concentrations (PECs) which were then verified with the AIST-SHANEL exposure model. For the effect assessment, a statistical extrapolation approach using chronic ecotoxicity data was used. Toxicity data were normalized to the average alkyl chains found in the environment (C11.3) and to that of commercial LAS average alkyl chains in Japan (C11.8). Mesocosm data were also normalized to determine the predicted no-effect concentration (PNEC) in the environment. The 95th percentile PECs for detected concentrations in Japanese rivers were 32 to 45 μg/L, and the PNECs were 270 (C12) to 530 (C11.3) μg/L based on mesocosm data with an assessment factor of 1 and supported by data from the statistical extrapolation approach. The PEC was about 10 times lower than the PNEC. From the result of the risk characterization, it was concluded that the aquatic environmental risk posed by LAS in Japan is low.
著者
大村 浩一郎 山本 奈つき 寺尾 知可史 中嶋 蘭 井村 嘉孝 吉藤 元 湯川 尚一郎 橋本 求 藤井 隆夫 松田 文彦 三森 経世
出版者
The Japan Society for Clinical Immunology
雑誌
日本臨床免疫学会会誌 (ISSN:09114300)
巻号頁・発行日
vol.35, no.4, pp.310a-310a, 2012

Myelin basic protein(MBP)は神経ミエリン鞘を形成する主要なタンパクであるが,関節リウマチ(RA)において,myelin basic proteinに対する自己抗体が高率に認められることを我々は以前報告した(PLoS One 2011; 6: e20457).ヒト脳由来抽出タンパクを抗原として用いた場合,抗MBP抗体はRAの約65%に認められ,特異度は膠原病患者を対照として83%であり,またその対応抗原は主にMBPタンパク自身ではなく,シトルリン化MBPに対する抗体であることも明らかにした.一方,MBPは神経系に発現するclassic MBPと神経系のみならず血球系にも発現するGolli-MBPのアイソフォームがあり,それぞれにまたいくつかのアイソフォームが存在する.RAで認められる抗MBP抗体の対応抗原がclassic MBPなのかGolli-MBPなのかは不明であったことから,classic MBPおよびGolli-MBPのrecombinantタンパクを作成しin vitroでシトルリン化し,ELISAで抗MBP抗体を検出したところ,その感度,特異度に差は認められなかった.現在Golli-MBPのアミノ酸配列(304アミノ酸)を15種類の25アミノ酸ペプチドでカバーし,それぞれのペプチドをシトルリン化して抗原とし,12人の抗MBP抗体陽性RA患者血清を用いてELISAにてエピトープマッピングを行っている.<br>