著者
武田 友孝 石上 惠一 青野 晃 高橋 伸尚 星野 浩之 高山 和比古 宮田 正則 月村 直樹 佐藤 武司 島田 淳 早川 譲吉 大木 一三
出版者
一般社団法人 日本顎関節学会
雑誌
日本顎関節学会雑誌 (ISSN:09153004)
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.254-267, 1991-11-25 (Released:2010-08-06)
参考文献数
35

顎関節は, 蝸牛, 耳小骨などの聴生感覚器および聴覚伝導路と発生学的, 解剖学的および神経生理学的に関連が深く, 顎関節症など咀嚼系の異常が聴覚系に多大な影響を及ぼしていることが推察される。そこで, 当教室で行っている顎口腔系状態と全身状態との関連に関する研究の一つとして, 外耳への音刺激により, 早期に上行性聴覚路より誘発される活動電位で, その起源が明瞭なところから, 異常の局在診断に有用とされ, 神経学的検査などに用いられている聴性脳幹反応に注目し, 本研究に応用している。今回, 著者らが, 顎関節症患者と健常者の聴性脳幹反応について, 比較検討を行ったところ, 聴関節症患者では, 健常者に比ベピーク潜時の延長およびピーク潜時の左右差が認められた。従って, 顎関節症患者は, 顎口腔系のみならず, 聴覚系および脳幹などにも影響を及ぼしている可能性が大であり, 今後さらに, これらについて詳細に究明していくとともに, 顎関節症の診査, 診断および治療にあたって, これらの領域との関連にも十分な注意を払うことが必要と考えられる。また, 顎口腔系機能の障害と全身機能との関係について, 多方面から検討を加えていくことも必要であると思われる。
著者
早川 紀朱 ハヤカワ ノリアキ Hayakawa Noriaki
出版者
中部大学工学部
雑誌
中部大学工学部紀要 (ISSN:21877408)
巻号頁・発行日
vol.48, pp.28-37, 2013-03

ニューヨークのSoHoと原宿・表参道を対象とし、住居用途(1)であるか、非住居用途(0)であるか、という住居性指標を用いて、空間的自己相関分析(Morans I)を行った。住居用途/非住居用途の空間分布の差異を、クラスター型とランダム型の分布傾向を描くことにより指摘した。複数のメッシュサイズにより検定を行い、可変単位地区問題に簡易的に対応した。住商混在用途は、住居用途、あるいは非住居用途として双方のケースを検定して、積集合を最終結果として採用し、住商混在用途の持つ両義性に対応した。結果として、SoHoにおいては、街区を越えて広く面的にランダム型であるのに対して、原宿・表参道においては、大通り沿いにクラスター型が分布し、街区の内部に向かってランダム型に変化いく階層型の分布となっていることを指摘した。両地区のような用途混合パターンを描く際、本稿で得られた知見はルールの作成をサポートし得る。Mixed-use districts are areas where people can live, work and perform in high density environments. Jane Jacobs stated the desire for mixture of use in her book "The Death and life of Great American Cities< published in 1961, and this principle is still generally accepted. However, it is not yet clear how the mixture of use can be measured, nor what types of mixed-use pattern we have. In this context, this paper aims to compare the land use pattern of SoHo in New York and Harajuku-Omotesando in Tokyo, which could both be considered as excellent examples of Jacob's theories. Moran's I is used to describe spatial autocorrelation for data sets of the two cities in several scales. Here Moran's I returns whether residential / non-residential buildings are clustered or randomly distributed. The result indicates two different directions of the mixture of use; firstly gradational transition among residential / non-residential buildings as shown in Harajuku-Omotesando, and relatively flat and uniform distribution as shown in SoHo.
著者
秋元 秀昭 高里 良男 正岡 博幸 早川 隆宣 八ツ繁 寛 東森 俊樹 菅原 貴志
出版者
日本救急医学会
雑誌
日本救急医学会雑誌 (ISSN:0915924X)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.1-10, 2003-01-15 (Released:2009-03-27)
参考文献数
24
被引用文献数
1

びまん性軸索損傷(diffuse axonal injury; DAI)はCT所見に乏しい割に,転帰不良の症例が存在する。急性期の脳血流量(cerebral blood flow; CBF)測定とMRI (magnetic resonance imaging)撮像を積極的に行い,その所見によりDAIの予後を予測し得るか検討した。対象は来院時指示動作に応じず,CT上頭蓋内占拠性病変を有しない症例のうち意識障害が24時間以上遷延した症例とした。CT所見は外傷性クモ膜下出血,実質内小出血,脳室内出血,異常所見なしなどの症例が含まれた。それらは1995年7月から1999年12月までの期間に当院に入院したDAI症例のうち急性期にCBF測定およびMRIを施行し,転帰を確認し得た21例で,内訳は男性15例,女性6例。年齢は17歳から86歳,平均37.5歳。来院時Glasgow Coma Scale (GCS)は3から12,平均6.7。CBFはXe(キセノン)CTにて測定し大脳半球平均値を算出し,MRIはT1, T2 axial像とT2 sagittal像を撮像した。いずれも受傷7日以内に施行した。受傷6か月後のGlasgow Outcome Scaleがgood recovery(症例数10,以下同じ)とmoderate disability (4)の転帰良好群(14)とsevere disability (4), vegetative state (2), death (1)の転帰不良群(7)に分け,それぞれの年齢,来院時GCS, CBF値,MR所見を比較した。年齢は転帰良好群の平均が31.4歳,転帰不良群の平均が50.0歳で,転帰良好群で有意に低かった。来院時のGCSは,両群間で有意差はなかった。転帰良好群のCBF平均値は43.2ml/100g/min,転帰不良群では33.6ml/100g/minと,転帰良好群で高かったが統計学的有意差はなかった。MRI上の脳梁と深部白質病変の有無は転帰とまったく相関せず,一方視床と脳幹部病変は転帰不良との相関が高く,とくに脳幹病変の有無と転帰との間には統計学的有意差がみられた。DAIの転帰に影響する因子は年齢とMRI上の脳幹部病変の存在であった。脳血流量と転帰との間には統計学的な有意差は認められなかった。高齢者やMRI上脳幹部病変を有する症例では日常生活自立が難しいといえる。
著者
永井 由美子 野島 久雄 小早川 真衣子 須永 剛司
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.57, pp.A12-A12, 2010

私たちは「思い出を記録するワークショップ」を2006年から行っている。ここでの表現には「写真」と「語り」が使われている。本稿では開発した「Zuzie」を使用したミニワークショップを行った。そこでの「語り」は次の4種類あった。1語りたい語り、2写ってない語り、3見てない語り、4本当かどうかわからない語り。「思い出を記録するワークショップ」では、参加者は、表現方法についてはすぐに話し合えるが、個人の思い出に関して語るには時間がかかる。このミニワークショップでは、一つの写真に対して、いくつもの視点からみることによって、いくつもの「語り」を行うことができた。このことが、表現の共同体を構成するための重要な要素となると言える。
著者
荻野 弘之 早川 正祐 佐良土 茂樹 波多野 知子 三浦 太一 荒幡 智佳 桑原 司 赤堀 愛美 ロウ クリストファー チャールズ デイヴィド ヴォルフ フランシス フェラーリ ジョン ロング アンソニー
出版者
上智大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

1980年代の「徳倫理学」の復興以来注目されているアリストテレス倫理学を、従来のように、単に『ニコマコス倫理学』だけで解釈するのではなく、『エウデモス倫理学』『大道徳学』『徳と悪徳について』といった(参照される機会が殆どなかった)複数の著作やヘレニズム時代の偽作との比較検討を含めて、成立史、影響史を立体的に考察する。この作業を通じて、「善美」「思慮」「幸福」「友愛」などの諸概念をめぐるアリストテレス倫理学を単なる一枚岩の体系としてではなく、複雑な可能性の芽を孕んだ思想の培養基として理解する道を開く。これによって最近の英米でのアリストテレス研究の水準に追いつくことが可能になった。
著者
早川 清 鍋島 康之 太井子 宏和 庄司 正弘
出版者
立命館大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

表層軟弱地盤における振動伝播挙動の正確な把握および振動増幅現象の予測手法についての検討と検証解析課題に関して、平面道路・高架道路などにおける振動実側調査および数値解析を行った。長野県内の地盤が軟弱な幹線平面道路での振動調査およびボーリング調査・貫入抵抗調査などの詳細な地盤調査結果より、表層軟弱地盤の固有振動数が5Hz付近にあり、家屋の固有振動数と一致して共振現象を生じていることを解明した。ISO規準に基づいた路面凹凸条件を入力し、数値シュミレーションでもこの現象を解析している。大阪府内幹線高架道路の構造体の固有振動数は5Hz付近にあり、沿道家屋との共振現象を励起して苦情に繋がっていた。橋体本体の床版たわみを制御する縦増桁による対策効果を固有値解析から検討したが、低域振動数では顕著な効果の期待できないことが理解された。高架道路交通振動を対象とした地盤振動の伝播特性に関しては、上下方向だけではなく、橋軸方向および橋軸直角方向の3方向加振の影響も大きく、現行振動予測法の不備を指摘した。京都南部の幹線平面道路は、表層が軟弱な沖積粘土層で構成されている。道路交通振動調査および表面波探査から、地盤の固有振動数が3Hz付近の低域にあることを確認した。地中防振壁を用いる振動低減対策工に関する研究課題に関しては、大きな中空部を有するPC壁体および矢板の振動低減効果を、現地振動実験。模型振動実験およひ数値シュミレーション解析から考察した。高架道路でのPC壁体の振動低減効果量は5dB程度であり、2次元FEM手法で橋体の動的応答を再現できることを確認した。PC壁体周辺部の剛性を3種類に変化させた模型壁体を作成し、中規模振動実験から壁体重量の影響を検討した。この結果、軽量壁体の効果が大きく生じたが、さらに数値解析からもこの点を解明する必要性を感じている。剛矢板地中壁の振動遮断効果は、既に現地振動実験結果から確認している。しかしながら、矢板が2次的な振動源となって矢板の背後で振動増幅される問題点を改善するために、矢板の打設深度、打設枚数およひ軌道下地盤改良などの対策効果を、数値解析から検討している。
著者
平井 啓久 古賀 章彦 岡本 宗裕 安波 道朗 早川 敏之 宮部 貴子 MACINTOSH Andrew カレトン リチャード 松井 淳 中村 昇太
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2012-04-01

病原体が通常宿主特異性を持つために、宿主と病原体は頑健な宿主寄生体関係を示す。これを病態生理的発現型と見なすことができる。その特性を基盤にして、アジアの霊長類(特に多様性の高いテナガザル類ならびにマカク類)に焦点をあて、これらに感染する病原体(ウイルス(サルレトロウイルス)、細菌(ヘリコバクター)、寄生虫(マラリア原虫))との共進化を以下の項目からひもとく。(1)双方の遺伝子の分化機構を明確にする。(2)霊長類の生物地理学的分化との総合的見知から、病原体と宿主霊長類の双方の進化史を描く。(3)宿主応答機構ならびにゲノム内分化機構から宿主寄生体関係史を遺伝生理学的に明らかにする。
著者
早川 康夫
出版者
日本草地学会
雑誌
日本草地学会誌 (ISSN:04475933)
巻号頁・発行日
vol.37, no.3, pp.337-342, 1991-12-26
被引用文献数
3

公共草地などにおける育成牛は輪換放牧を基準に牧草の草丈20-30cmで利用させよと指導されている。しかし馬はこの草丈の牧草を食べようとしない。日本の軽種育成牧場の放牧地の大半は草丈5-10cmで固定放牧される。その理由を馬の採食行動から考察した。
著者
木本 喜美子 千葉 悦子 宮下 さおり 勝俣 達也 高橋 準 中澤 高志 萩原 久美子 野依 智子 早川 紀代
出版者
一橋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010-04-01

本研究は、地方圏における女性労働史の実態調査による事例研究から、戦後日本の<女性労働と家族>の史的再構成への視座を得ることをめざしている。方法的関心は、近代家族論と階級・階層論を女性労働史に接合することにおかれる。具体的には、大手機業場を擁した福井県勝山市の織物産業における女性労働者に焦点をおき、その生活史の考察が中心となる。すでに調査を終えている零細機業場の集積地帯、福島県川俣町の事例も比較検討の対象として取り上げる。以上を通じて、主婦化が進展したとされる高度成長期に、結婚・出産後も継続的に就業する女性のライフコースが成立していたこと、およびその家族的諸条件および地域的特性を明らかにした。
著者
平田 彰 XINGーRU Zhon 桜井 誠人 常田 聡 早川 泰弘 熊川 征司 ZHONG Xing-Ru ZHONG XingーR XIE Xie 岡野 泰則
出版者
早稲田大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1996

本研究では,中国回収衛星を利用した微小重力場において,In_<1-x>Ga_xSb化合物半導体の単結晶成長実験を行い,結晶溶解・成長過程における拡散及び界面律速過程や面方位依存性を明らかにし,In_<1-x>Ga_xSb化合物半導体のみならず,各種化合物半導体単結晶の高品質化への知見を得ることを目的としている。本年度は1996年10月に実施した宇宙実験の試料及び地上対照実験試料を切断し,切断面におけるGaSb溶解領域及びIn_<1-x>Ga_xSb成長領域を電子線マイクロプローブ分析法(EPMA)により測定した。その結果,宇宙試料は長さ方向に平行に溶解し,地上試料は重力方向に末広がりに溶解していた。これは,地上試料では,比重の大きいInSbが重力方向に移動し,より多くのGaSbを溶解したものと考えられる。また,数値シミュレーションを実施した結果,実験結果と同様の結果が得られた。さらに,面方位依存性に着目してみると,両試料とも(lll)A面より(lll)B面の方がInSbに溶解し易いことが明らかになった。反対に,成長領域は,B面よりもA面の方が大きいことが明らかになった。なお本年度は,研究討論等を行うため,5月及び8月に延べ3名(早大:平田,村上,桜井)が中国に出張した。また,研究成果の発表のために,8月には中国,10月にはイタリアへ延べ2名(早大:桜井)が出張した。12月には2名(静大:早川,早大:桜井)が本研究の総括討論をするために,訪中した。
著者
福嶋 祐介 中村 由行 早川 典生
出版者
長岡技術科学大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1990

本研究の目的は下層密度流先端部の流動特性を乱流モデルにより解析し明らかにしようとすることである。下層密度流先端部の乱流構造、連行機構を明らかにするため、室内実験を行った。実験は淡水で満たされた水槽内に塩水を流入させて、下層密度流を形成させる。測定は密度流先端部に注目して行い、導電率計を用いて塩分濃度を測定した。また、流速の測定には水素気泡法を用いた。水路床勾配を変化させてこのような測定を行い、先端部の諸特性と水路床勾配、流入密度フラックスとの関係を調べた。このような室内実験により、代表的な密度フロントの一つである下層密度流先端部の流速分布特性と密度分布特性の変化を水理条件の変化と対応させて把握した。次に代表的な二方程式乱流モデルであるkーε乱流モデルを用いて下層密度流の非定常数値解析手法の開発を行った。数値解析手法としては、差分法、有限要素法等があるが、本研究ではこれらの手法に比べて数値的に安定であるとされ有限体積法を用い、基礎方程式である微分方程式を離散化する。数値解析はかなり複雑であり、その妥当性を検討するため、予備計算を行った。対象としたのは、下層密度流定常部である。この計算結果を下層密度流定常部の実験結果、及びkーε乱流モデルを用いた定常部の相似解と比較し、本解析手法の妥当性を確認した。この解析手法により、下層密度流先端部の数値解析を行い、その流動特性を調べた。計算結果として得られるものに流速分布と密度分布、先端部の形状が得られ、これらを実験値と比較し、解析結果が下層密度流先端部の流動特性をうまく説明できることがわかった。
著者
熊谷 道夫 辻村 茂男 焦 春萌 早川 和秀 秋友 和典 永田 俊 和田 英太郎
出版者
滋賀県琵琶湖研究所
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2001

地球温暖化の進行に伴い、琵琶湖周辺の気温は過去20年間に約1℃上昇した。これは地球全体の平均値より5倍大きい。このような急激な気温上昇は、結果として琵琶湖周辺の気候を単調かつ安定なものに変えつつある。それに伴って、琵琶湖の深水層でも変化が生じている。平均水温の上昇や、溶存酸素濃度の低下、pHの変化、硝酸態窒素の増加、イサザの漁獲量の低下、塩素イオン濃度の上昇などが挙げられる。このような変化の相互相関はまだ明らかではないが、何らかの有意な関係があることが示唆された。琵琶湖深水層における酸素消費速度を高精度ウィンクラー法によって計測した。それによると、酸素消費速度は冬期に最大となり、8〜28μg/L程度で、夏期には減少した。この値は、見かけの酸素消費速度とほぼ同じであった。2001年〜2004年にわたって琵琶湖北湖の深水層で、自記式の酸素計を用いて溶存酸素濃度を計測してきた。2002年の冬は暖冬で、酸素濃度の回復が十分ではなかったので、その年の秋には、溶存酸素濃度が2mg/L以下になった。2003年の冬は寒く雪が多かったので、酸素濃度の回復が十分で、秋の酸素濃度の低下も小さく5mg/L以上であった。このように冬の気温が十分に低ければ、多くの量の酸素が供給されるので、酸素消費速度が著しく大きくならなければ低酸素にはならない。2004年の冬は暖冬で、全循環が2月までずれ込み、飽和酸素濃度も100%まで回復せず、あきらかな全循環欠損が発生した。このことは、秋に酸素濃度が低くなる可能性があるので注意深い観測が必要である。
著者
奥村 彰久 早川 文雄 久野 邦義 夏目 淳 渡辺 一功
出版者
一般社団法人 日本小児神経学会
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.26, no.6, pp.475-479, 1994-11-01 (Released:2011-08-10)
参考文献数
8

脳室周囲白質軟化症 (PVL) 17例の出生予定日の頭部CT所見を, 正常発達を確認した児50例と比較した.脳室周囲白質の域性低吸収域は正常発達児の40%に認められ, 必ずしも病的な所見とはいえなかった.それに対し, 脳室周囲白質の孤立性低吸収域・脳室壁の不整・半卵円中心の著明な低吸収域はPVLに特徴的であった.新生児期CT所見が軽度・中等度異常の例では, 年長に達した時点のMRI所見とは55%で, 運動発達予後とは50%で, 異常の程度が一致した.CT所見が重度異常の児はMRI所見・予後とも重篤であった.重症のPVLでは半卵円中心の著明な低吸収域が特徴的で, その範囲はMRI所見・予後と関連が認められた.
著者
鈴木 聡一郎 柴野 純一 早川 吉彦
出版者
北見工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

マウスガードの身体能力を向上する効果として、等尺性筋活動における背筋力、ならびに等張性筋活動におけるベンチプレス、レッグプレスの運動速度を向上する効果が有意に認められた。これらの主導筋と顎二腹筋の活動に強い相関が認められたため、マウスガードによる下顎骨の固定が、筋活動を向上することを明らかにした。
著者
早川 昇太 豊田 規人
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NLP, 非線形問題 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.185, pp.1-6, 2003-07-07
被引用文献数
1

我々は,三すくみの利得関係を持つ3つの戦略を格子型に配置するパターンにおいて,さまざまな利得の差を設けその状況変化を調べた.その結果,自身の利得の高低だけではなく自身の天敵や餌となる戦略の利得との対比が重要な意味を持つことを発見した.またある一定の状況において,3つの戦略を併せ持った「渦巻き・箱型」集合戦略が場を支配することを発見した.また,周期的な変化になるまでのフェイズ数にも大きく差があることがわかった.
著者
宮本 亮祐 岡田 力 山根 明典 森 和也 早川 洋平 山田 祐輝 和田 友孝 大月 一弘 岡田 博美
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IN, 情報ネットワーク (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.449, pp.253-258, 2010-02-25
被引用文献数
1

火災・地震などの災害発生時に,大型建造物内より迅速に避難できないため数多くの犠牲者を出す事態がしばしば生じている.本研究は,情報通信技術を用いてこのような問題を解決あるいは軽減することを目的としている.すなわち,GPS付き携帯端末間のアドホック通信により建造物内の人々の位置情報を自動的に交換し,災害発生時の人の動きにより周囲の状況を把握・共有し,リアルタイムな災害発生検知および適切な避難路検索・表示を実現する非常時緊急通信(ERUC)システムの開発を目指す.本稿ではERUCの実現を目指し,災害時に周囲の人々と同じ行動を取ろうとする心理的な同調偏向によるパニック行動の伝搬性を考慮した、正確かつ迅速な災害発生位置推定法を提案する.災害発生検知の正確性や迅速性および災害避難時の有効性をシミュレーションにより検証する.
著者
早川 博文
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.145-147, 1982

日本産のイヨシロオビアブ群に基づいて, 新属Hirosiaツナギアブ属(属模式種 : Hi. iyoensisイヨシロオビアブ)を記載した。新属は, 触角鞭節の基節がやや細長く背面突起があまり発達していないこと, 小顎鬚第2節の基部がかなり膨大なことでTabanusアブ属と区別されるが, 最も大きな特徴は幼虫と蛹の特異的な形態にある。新属の名称は, 高橋弘博士に献名されたもので, なお和名のツナギアブは, 岩手県下におけるイヨシロオビアブの俗称である。ツナギアブ属の日本産9種の検索表を掲げた。