著者
松下 恭之 水田 有彦
出版者
九州大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1994

当科でおこなった骨結合型インプラントと天然歯との連結症例で破折したものを走査電顕にて観察を行ない、いずれも金属疲労が主因であることが明らかとなった。そこで未使用のインプラント体について繰り返し疲労試験を行ない、単体使用では疲労はおきない程度の強度を有していると考えられた。しかしながら天然歯と連結した場合には、天然歯への荷重がインプラントネック部での最大引張応力値の増加に関与していることが示唆された。またことにその支台となる天然歯の周囲骨レベルが減少することがインプラントネック部で引張応力の集中をまねき、破折することが示唆された。次に三次元有限要素法解析により、1-インプラントシステム(天然支台歯1本とインプラント1本からなる3ユニットブリッジ)では、天然歯とインプラントとはリジッドな連結をするのが最も骨内応力を緩和できることが示唆された。半固定性の連結ではアタッチメントの位置が近心でも遠心でも、またメール・フィメールの位置関係が変化しても、骨内応力に大きな違いはみられなかった。さらに2-インプラントシステム(天然支台歯2本とインプラント2本のブリッジ)ではインプラント同志を連結して、天然歯とはつながない、フリースタンディングの状態とすることが骨内応力の緩和、上部構造の長期安定にもっとも効果のあることが示唆された。
著者
岡部 篤行 佐藤 俊明 岡部 佳世 中川 貴之 今村 栄二 松下 和弘 長野 一博 石渡 祥嗣 飴本 幸司 林 良博 秋篠宮 文仁
出版者
公益財団法人 山階鳥類研究所
雑誌
山階鳥類学雑誌 (ISSN:13485032)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.30-39, 2006-09-30 (Released:2009-02-13)
参考文献数
5

当報告書は,無線LAN位置システム(以下システム)を放し飼いニワトリの軌跡追跡に適用可能かどうかを調べた結果を報告するものである。システムは,連続的な地面上にいるニワトリの位置を1 mのグリッド交差点上の点として表し,ニワトリの軌跡はその点列として表す。システムは,ニワトリの位置を1秒ごとに記録することができる。実験は8羽のニワトリと2羽のホロホロチョウを170 m×90 mの広さの公園に放って5日間にわたりその軌跡を観察した。分析に利用可能なデータは3日間得られた。システムによって得られる位置のデータは雑音を含むため,位置データは確率変数として扱った。データ分析により,位置の精度は,確率0.95で2.6 m,すなわち,真の位置が,観察された位置を中心に半径2.6 mの円の中にある確率が95%であると判明した。ニワトリの生活圏は,その場所にニワトリがいた確率密度関数として表現した。その関数はバンド幅が2.6 mのカーネル法で推定をした。軌跡は移動平均で推定した。実験の結果,システムは放し飼いニワトリの軌跡追跡に適用できることが判明した。
著者
長谷 博子 松下 調子 明田 喜仁 大八木 薫博 熊谷 崇行 野浪 亨
出版者
一般社団法人日本歯科理工学会
雑誌
歯科材料・器械 (ISSN:02865858)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.16-20, 2004-01-25
被引用文献数
11

二酸化チタン光触媒を利用して,義歯に付着した歯石やヤニの除去が可能であるかメチレンブルー,ヘマトポルフィリンおよびたばこのヤニを染色モデルとして検討した.二酸化チタンと微量の酸で二酸化チタン洗浄剤を調製した(以下二酸化チタン洗浄剤という.).この二酸化チタン洗浄剤により,lOppmのメチレンブルーを2分間で5ppm以下に脱色することができた.また二酸化チタン洗浄剤によりヘマトポルフィリンで染色した試験紙をL^*値は60程度から90近くに増加させた.a^*値は20近くから0以下に減少させ,ヘマトポルフィリンの赤褐色を完全に脱色することができた.更に,たばこのヤニは二酸化ヂタン洗浄剤による洗浄後のΔL^*値は14.43と高い値を示し,Δa^*,Δb^*値も-8.35と-8.15とそれぞれ脱色することができた.よって本研究により,安全かつ簡単に義歯を痛めることなく洗浄できることが期待できる.
著者
永木 正和 木立 真直 納口 るり子 茂野 隆一 松下 秀介 川村 保 広政 幸生 長谷部 正 坪井 伸広
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1999

1.国内研究本年度は研究最終年度にあたるため、各分担者間の研究分担課題の最終微調整、課題の確認、補足的な調査活動、および研究会での研究成果の報告を内容とする活動を行った。国内調査等は個別補完的に行うものとし、小規模にとどめた。2.海外交流、海外調査(1)韓国の農産物・食品流通は日本と類似の展開が認められている。わが国の韓国からの輸入依存が高まる可能性が高いとの認識から、以前より韓国の研究者集団(韓国生鮮農産物新流通研究会)と交流をもっていたが、相互研究発表の形でソウルにおいて「日韓共同シンポジューム」を開催した。情報システムと物流システム(特にロジスティックス)の構築が主要な議論となった。(2)日韓シンポジュームの後は韓国農村で生鮮野菜の流通システムを調査した。3.秋以降は数次の研究会(主に筑波大学にて)(1)筑波大学で公開研究会を開催し、分担者は順次研究報告した。最後の2月の研究会では、本研究全体の統一コンセプトの再確認、ならびに総体的な結論について討論した。(2)研究成果を要約的に言及すると、方法論的には産業組織論であるが、主として川下に切り口を置くアプローチをとった。ちょう度、食品の安全性問題や風評被害が発生した時期であり、これまで市場経済学やマーケッティング経済学ではあまり重視されてこなかった「製品品質の1つとしての安全性」、「製品に付加する1つのサービスとしての安心」を市場流通させるための不可欠な商品属性であることを見いだし、これを取引理論、情報理論を手がかりにした経済学理論を構築した。また、経済学の範疇を超えて、消費者倫理に関しても、一定の考え方を提示できた。(3)ホーム・スキャン・データ等の新しいデータ利用等から、この時期に発生した食品の品質事故問題、また伝統食品対遺伝子組み換え食品の対比での商品の認証や差別化流通に関するタイムリーな消費者行動の実証分析をなし得た。(4)消費者行動の多様化に対応して国内流通・加工業が顧客をターゲット化しており、それが商品に付随する品質やサービスの多様化、市場を主導している小売り市場の多様化、海外からの原料農産物積極輸入の背景が解明された。国内小売業の競争戦略、品質管理戦略に端を発して流通システムが海外からの輸入急増を導いていた。海外での市場再編動向の最新事情も入手した。4.本研究の成果と公表の仕方今年(平成14年)6月末を目処にして専門著書としての公刊を予定している。各分担者はさらなる研究成果の精緻化と推敲に取り組んでいるところである。
著者
松下 暢子
出版者
川崎医科大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2001

1.ニワトリB細胞株DT40からジーンターゲティングによってFANCG、FANCD2、FANCCの欠損細胞を作製した。これらの欠損細胞はいずれも、クロスリンク薬剤感受性などヒトのFA患者細胞と類似した表現型を示し、FAのモデルと考えて適切と思われた。2.以下のアッセイを用いて相同組み換え(HR)におけるFA遺伝子の役割を検討した。(1)ジーンターゲティング効率をいくつかの遺伝子座へのターゲティングベクターを用いて解析すると、FANCGでは数10%程度の軽度の低下、FANCD2では90%以上のはっきりした低下が見られた。(2)染色体にノックインした人工組み換え基質SCneoに制限酵素I-SceI発現によって二重鎖切断を誘導できる。その修復がHRによってただしくおこなわれれば、活性のあるneo耐性遺伝子が再構成され、G418存在下に培養しコロニー形成数をカウントする事によりHRによる修復を測定可能である。Neo耐性コロニー数はFANCG欠損で9分の1、FANCD2欠損で約20分の1に低下していた。このdefectはニワトリFANCG、FANCD2の発現によって正常化可能であった。(3)放射線照射0〜3時間後にM期に入って来る細胞はS期の末期からG2期にかけて照射されたものと考えられる。この時期に行われるDNA二重鎖切断修復は主にHRによるものであることがわかっている。このとき見られる染色体断列をカウントするとFA遺伝子欠損細胞では野生型に比べ明らかに増加が見られた。このデータはFA遺伝子のHRにおける役割と矛盾しないと言える。以上のデータは、FA遺伝子のHR修復における役割を明確に示したはじめてのものである。
著者
屋代 智之 松下 温
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.42, no.7, pp.1781-1789, 2001-07-15
被引用文献数
20 8

ITSを実現するためには,移動体である車両が周囲の車両や道路側設備と確実な通信を行うことが必要となる.従来は周囲の車両との通信は車々間通信,路側機器との通信は路車間通信と,それぞれ別個のものとして設計,開発が行われてきたが,車両が安全に走行するためには,両者はともに不可欠な通信手段である.本論文では,CDMAを用いて車々間通信と路車間通信を統合した通信システムを構築するためのプロトコルI--WarpIIを提案する.I--WarpIIでは,車々間通信にDPAと呼ばれる動的に符号系列を割り当てる方式を用い,それを拡張する形で路車間通信も可能とする.路車間,車々間通信が統合されることにより,それぞれの通信システムでの問題点の解決が容易となる.路車間通信では,シャドウイングの解決が最も重要な課題であるが,I--WarpIIでは,これを解決するために代行登録という手法を導入し,加えて車々間通信を活用することでシャドウイングによる通信断絶を最小限に抑えることを可能とする.車々間通信は通信相手がインフラではなく,別の車両であるため,ある程度車載機器が普及するまでは通信機器が意味をなさないという問題点がある.I--WarpIIでは,そのような場合でもインフラが整備されれば路車間通信として利用可能であり,初期の普及が大幅に容易になると思われる.To realize ITS, it is necessary that each vehicle has a function ofreliable communication with surrounding vehicles and roadsideequipments. The traditional ways of design and development ware realizedas a different technique, nevertheless both communications areindispensable to ensure the safety driving.In this paper, we propose a novel protocol I--WarpII to construct thecommunication system which integrates inter-vehicle communication (IVC)and vehicle-to-roadside communication (VRC).With I--WarpII, VRC is realized by extends of IVC method calledDPA (Dynamic PN-code Assignment). A solution of the problem with eachcommunication system becomes easy by integrating. By using I--WarpII,a shadowing problem that causes serious VRC error is solved by the methodnamed registration proxy. In addition, the use of IVC should be madepossible to restrain the effects of communication error of VRC caused bythe shadowing problem. In IVC, there is a problem that communicationequipment doesn't make sense until the equipment comes into wide use becausea partner of communication is not an infrastructure but another vehicles. If an infrastructure is prepared even in such a case,it can be used for VRC, and it considers that early diffusion of IVCequipment becomes drastically easier with I--WarpII.
著者
藤田 禎三 ターナー マルコム リード ケネス エゼコビッツ アラン 水落 次男 小林 邦彦 松下 操 TURNER Malcolm w REID Kenneth b m
出版者
福島県立医科大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1994

1).マンノース結合蛋白(MBP)はマン-スやN-アセチルグルコサミンに結合特異性を持つ血清レクチンの一つで、補体活性化能が有り、生体防御上重要な役割を演じている。MBPによる補体活性化のメカニズムに関しては次の2つの説が提唱されている。一つは、補体第一成分C1と同様にMBPはC4,C2の分解にプロテアーゼ成分としてC1の亜成分C1rとC1sを用いるとする考え方である。これはイギリスのReid博士らのMBP-C1r/C1s複合体が形成し得ることを示した再構成実験に基づく。一方,我々の連休からヒト血清MBP画分からC4,C2分解活性能を有するプロテアーゼMASP(MBP-associteel sereine pntease)が単離されたことより、MBPはMBP-MASP複合体を形成して働いているとする見方である。生体的でMBPによる補体活性化(レクチン経路)のメカニズムを解明する上で、MBPとC1r/C1s,MBPとMASPなどの結合性が重要な手がかりとなる。そこで、MBP-MASP,C1の亜成分間の結合性を結合定数の測定により検討した。Reid博士らの調製したC1と我々の調製したMBP-MASPを材料として蛋白成分間の結合状態を調べる装置であるBiacoreを用いてMBP-MASP,MBP-C1r/C1s,C1g-MASP,C1q-C1r/C1s各々の結合定数を求めたところ、これらの値はほぼ同程度てあることが判明した。血清中よりMBP-MASP,C1q-C1r/C1sのみ得られることを考慮すると以上の結果は、これら2つの複合体は何らかの制御機構を受けてin vivoで形成される可能性を示唆している。2).MBP欠損患者が高頻度(白人で5-7%)で知られており、幼児における易感染性との関連が報告されている。これらMBP欠損患者のMBP遺伝子では塩基230の点突然変異でコドン54がGGC→GACに変化していることが明らかにされている。これはMBP蛋白のグリシン(G)がアスパラギン酸(D)への置換につながる変異であり、この結果,変異MBPは合成されても生体内で分解が速いものと推定されている。アメリカのEzekouitg博士らは正常タイプのMBP(MBPG)と変異MBP(MBPD)のリコンビナント体を作製して両MBPの性状を検討した。その結果MBPGがヒト血清中の補体活性化能を示したのに対して、MBPDには本活性が損われていた。そこで,このような活性の違いの原因を解明する目的でMBPとMASPとの反応性に着目して検討を行った。その結果、EZRkouitg博士の調製したリコンビナントMBPのうち、MBPGはヒト血清MBPと同様にMASP共存下、補体成分C4,C2分解を伴なう補体活性化能を示したが、MBPDにはその活性が見られなかった。更に、MBPとMASPとの結合性を検討したところ、MBPGはMASPと結合したのに対して、MBPDは結合しなかった。以上の結果より、MBPDに補体活性化能が損なわれている原因として、MASPとの結合活性がないことが明らかとなった。(投稿中)。3).リウマチ患者血清中のIgGの多くは、非還元末端のガラクトースが欠損して次のN-アゼチルグルコサミン残基が末端に位置している異常な糖鎖構造をしている。MBPはN-アセチルグルコサミンに親和性を持つので、このガラクトース欠損IgGにMBPが結合すると補体活性化をおこし、それがリウマチの病態と関連がある可能性が考えられる。そこで、リウマチ患者血清IgGへのMBPの結合性を調べたところ、正常人のIgGに比べて、より多くのMBPが結合することがわかった。更に、このMBP結合性IgGをプロテインGカラム及びMBPカラムを用いて単離後、MBP-MASPによる補体活性化能をC4消費を指標に調べたところ、明らかな活性化を示した。また、このIgGはIgMタイプのリウマチ因子と複合体を形成していた。これらの結果より、リウマチ患者血清中の異常な糖鎖構造をもつIgGを含大複合体がMBP-MASPを介したレクチン経路の活性化を起すことが明らかとなった。
著者
河野 俊行 小島 立 早川 吉尚 大杉 謙一 久保田 隆 松下 淳一 早川 眞一郎 佐野 寛 野村 美明 神前 禎 中野 俊一郎 多田 望 西谷 祐子
出版者
九州大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2004

本領域は平成16年度に開始し平成21年度が最終年度であった。しかし全体の取り纏めのために本補助金を申請したところである。その取り纏め事項の主な事柄としては、全体の取り纏め的業績発表と、集積した判例データの今後の活用方策を明らかにすることの二点であった。前者については各班の代表者による分野別レポートを取り纏め、Japanese Yearbook of International Law 53巻に掲載されたところである。後者については、1001件の判例英文データを取りそろえたプロジェクトはこれまでになく、このデータの価値を維持するためには新判例を継続的に翻訳して加えてゆくことが必要となるところ、領域終了後補助金なしでそれを可能にするための方策が必要であった。そこでそのための方策として、民間企業にデータを移管し、営利ベースで継続することが最も持続性が高いと判断された。そこで複数の民間業者と協議を重ね、本報告書執筆時点では一社に絞られた。2008年の経済危機の影響でリーガルビジネスは多大な影響を受けた。この経済危機と日本政府が導入した破たん企業救済策がリーガルビジネスに与えた影響は大きく、それを踏まえた持続可能な営利ベースのモデルの協議に予想以上の時間が必要となった。ほぼ1年かけて試行錯誤してきたが、ようやく形が見えてきたところである。また最近、この企業のアメリカ本社の担当役員とテレカンファレンスを行い、さらに協議を進めえたところである。
著者
安田 喜憲 笠谷 和比古 平尾 良光 宇野 隆夫 竹村 恵二 福澤 仁之 林田 明 斉藤 めぐみ 山田 和芳 外山 秀一 松下 孝幸 藤木 利之 那須 浩郎 森 勇一 篠塚 良司 五反田 克也 赤山 容造 野嶋 洋子 宮塚 翔 LI Xun VOEUM Vuthy PHOEURN Chuch
出版者
国際日本文化研究センター
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2006

年縞の解析による高精度の気候変動の復元によって、モンスーンアジアの稲作漁撈文明の興亡が、気候変動からいかなる影響を受けたかを解明した。とりわけメコン文明の一つであるカンボジアのクメール文明の興亡については、プンスナイ遺跡の発掘調査を実施し、水の祭壇をはじめ、数々の新事実の発見を行った。稲作漁撈文明は水の文明でありアンコールワットの文明崩壊にも、気候変動が大きな役割を果たしていたことを明らかにした。
著者
松下 富春
出版者
中部大学
雑誌
中部大学生命健康科学研究所紀要 (ISSN:18803040)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.79-85, 2008-03

骨の損傷を治療する場合に用いられる人工骨は種々あるが、骨の力学的および生物学的特性に類似の特性をもつ人工材料は存在しない。純チタン粉末を用いて作成した焼結チタン多孔体は気孔率を適正に調整すれば、強度や弾性率が骨の力学的特性に近づき、また生体活性処理を施すと骨伝導能や骨誘導能が発現することから、人工骨材料として有望である。
著者
松下 哲也 西垣 正勝 曽我 正和 田窪 昭夫 中村 逸一
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.44, no.8, pp.1970-1982, 2003-08-15
被引用文献数
2

アルゴリズム公開型の電子透かしを利用して,著作者から管理の依頼があったディジタルコンテンツの不正コピーが掲載されている違法ホームページを一般ユーザの協力により発見する仕組みを提案する.すべてのユーザが不正者を見つける「賞金稼ぎ」となりうる本方式によれば,不正者はだれに自分の犯罪を発見されるか分からず,不正者にとって大きな脅威になると思われる.また,世界中には無数のホームページが存在するため,これらすべてを公的機関などが一極集中管理することは事実上,不可能である.提案方式はすべての一般ユーザによる究極の分散チェック機構と位置付けることができ,インターネットにおけるディジタルコンテンツの管理に適した仕組みであるといえよう.本論文では本方式と関連方式を比較し,本方式の有効性を検討するとともに,インターネットにおけるコンテンツ監視に関する問題について考察する.This paper proposes a distributed copyright protection system for registered digital content which is based on the idea of bounty hunting. The system employs a digital watermark method in which all information for extracting watermarks can be opened, so that any Web page visitor can verify the authenticity of the content on the Web page he/she is visiting. It allows, essentially, every net surfer to be a kind of bounty hunter who finds illegal content or Web pages. We believe this type of self-policing system is necessary because it is impossible for a limited number of trusted parties to check the vast number of Web pages over the Internet. Moreover, in the proposed system, illegal Web page owners can not know if or when they have been discovered, as each and every visitor has the potential to discover and report them. Therefore, this distributed-type check of the proposed system promises to be a much greater deterrent than a centralized-type check could ever be. Thus, a copyright protection on the Internet is successfully achieved by the system. This paper shows the efficiency of a bounty hunting-based copyright protection system by comparing it with the related systems, and discusses about how to achieve effective copyright protection by the system.
著者
松下 哲也 西垣 正勝 曽我 正和 田窪 昭夫 中村 逸一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ISEC, 情報セキュリティ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.211, pp.53-60, 2002-07-11

アルゴリズム公開型の電子透かしを利用して,一般ユーザが誰でも違法コンテンツを含むホームページを摘発することができる社会的機構を構築することを提案する.全てのユーザが不正者を摘発する賞金稼ぎとなり得る本方式によれば,不正者は誰に自分の犯罪を発見されるか分からず,不正者にとって大きな脅威になると思われる。また,世界中に無限のコンテンツが散在するインターネットにおいては,ホームページ上のディジタル著作物を一元管理することは事実上,不可能である.提案方式は全ての一般ユーザによる究極の分散チェック機構と位置付けることができ,インターネットにおけるディジタル著作物の管理方式に適していると言える.本稿では,本方式と関連方式を比較し,本方式の有効性を検討する.
著者
塩澤 秀和 西山 晴彦 松下 温
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.48, pp.127-128, 1994-03-07

我々は、従来から、「絵」を検索するには「絵」を描いて見せるのが最も自然な方法である、という立場からレイアウト検索というものを提案してきた。しかし、略画を描くだけではその雰囲気のようなものを十分に表すことができない。人間は画像を表現するとき、それから受ける「明るい」であるとか「どんよりしている」であるといった「印象」を付加する。絵だけでなく、言葉をもちいることで、人間はあいまいでおおざっぱなイメージを表そうとするのである。この結果のもとに、我々は画像テータベースにおけるの表現形式と検索方式について、新たな方法を提案する。その2本の柱が「レイアウト検索」と「印象語による検索」である。
著者
松下 義則 佐野 孝幸 元田 武文 谷口 朗子 フセイン セイエド・イクラム
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. FTS, フォールトトレラントシステム
巻号頁・発行日
vol.98, no.293, pp.141-146, 1998-09-22

DSP開発環境において、我々が用いた設計開発環境の支援ツールの中で、機能・論理検証を支援するツールの概略を紹介し、その有用性に関して検討する。そのツールの内容は、内部信号・レジスタをDPSの実行サイクル毎にログと比較し、不一致の場合に適切なエラーレポートを作成する、というものである。また、このDSPコアに導入されたテスト手法に関して報告し、その有用性あるいは問題点に関して検討する。テスト手法の内容は、PSAとフィードバックモードによるある種の自己診断機能である。
著者
市村 哲 谷 寛之 中村 亮太 井上 亮文 松下 温
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.15-25, 2005-01-15

近年,デジタルビデオカメラは小型化・軽量化しており,運動会や結婚式の撮影,旅行先での撮影など,きわめて幅広い分野で用いられている.しかしながら,いざ一般の人がビデオ編集をしてみてもなかなか満足できるような映像にならず,単調な映像の連続に感じられることが多い.一般撮影者の作成する映像は,単一角度から撮影した映像がほとんどであり,また,ビデオ編集に使う映像素材も自分自身が撮影した映像のみを用いていることが主たる原因の1 つである.本論文では,同じイベントに参加した複数撮影者の映像をサーバに集めて共有し,インターネット経由で映像編集できるようにするWeb システム「MediaBlocks」を提案する.MediaBlocks を利用すれば,同じイベントを撮影した人たちが映像素材を交換しあうことが容易にできるようになるため,たとえば,自分が撮影できなかったシーンを取り込むことや,プロフェッショナルの映像技法にそった多彩なビデオ編集が可能となる.MediaBlocks は,複数の撮影者が撮影した映像をサーバに集め,自動時間同期処理を施して整理し,Web ブラウザを利用してインターネット経由で映像編集できるようになっている.本論文では,システムの設計,実装,評価,改良について述べる.Recently, the spread of portable digital video cameras enabled us to easily record various family events. Although videotaping and video editing have got quite popular recently, the quality of the produced video has not been improved much. For instance, movies edited by nonprofessionals are likely to be a sequence of monotonous scenes. When editing home movies, users usually use video sources from their own single camcorder. This is one of the significant reasons why nonprofessionals can not create high-quality home movies. We developed MediaBlocks,a web-based video editing system for sharing personal video clips. In the system,video sources are collected from multi-users' camcorders via the Internet, shared among the users, and edited through each user's web browser. The system allows users to use other users' video clips, each of which is spontaneously videotaped by different digital video camcorder, and also enables them to create home movies according to the professionals' important editing rules. The system can extract the date and time information of video-recording from the digital video clips, and synchronize them automatically. Through evaluations of the system, we verified the effectiveness of our system.
著者
足立 幸男 竹下 賢 坪郷 實 松下 和夫 山谷 清志 長峯 純一 大山 耕輔 宇佐美 誠 佐野 亘 高津 融男 窪田 好男 青山 公三 小松崎 俊作 飯尾 潤 飯尾 潤 立岡 浩 焦 従勉
出版者
関西大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2006

環境ガバナンスを支える民主主義の理念と制度について検討をおこない、その結果、以下の点が明らかとなった。第一に、適切な環境ガバナンスを実現するには、将来世代の利害に配慮した民主主義の理念や制度のあり方を生み出す必要がある。第二に、政治的境界と生態系の境界はしばしば一致しないため、そうした状況のもとでも適切な環境ガバナンスが実現されるような制度的工夫(いわゆるガバナンス的なもの)が必要となるとともに、民主主義の理解そのものを変えていく必要があること。第三に、民主主義における専門家の役割を適切に位置づけるためにこそ、討議や熟議の要素を民主主義に取り込む必要があるとともに、そうした方向に向けた、民主主義の理念の再構築が必要であること。第四に、民主主義を通じた意識向上こそが、長い目でみれば、環境ガバナンスを成功させる決定的に重要な要因であること、また同時に、それを支える教育も必要であること。以上が本プロジェクトの研究成果の概要である。
著者
太田 憲治 本田 新九郎 大澤 隆治 永野 豊 岡田 謙一 松下 温
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告グループウェアとネットワークサービス(GN) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.1999, no.7, pp.61-66, 1999-01-25
被引用文献数
2

本稿では、仮想空間、並びに仮想空間上のオブジェクトの実感をより高める手法を紹介する。コンピュータネットワーク上に3DCGを利用した仮想空間を構築し、仮想空間上での活動、遠隔地にいる他者とのコミュニケーションが可能な場を提供する研究が盛んに行われており、我々も在宅勤務を支援するための仮想オフィスシステム"Valentine"の研究を行ってきた。しかし現在の仮想空間においては、画面を見ることによって情報を得ることがほとんどであり、得られる情報も現実世界で得られる情報と比較するとごくわずかである。また現実世界と仮想空間における行動はほとんどの場合異なっている。この現実世界と仮想空間との差が、仮想空間に対する実感の妨げになっていると考えられる。そこでValentineでは、ユーザの身振り情報をアバタに反映させることによりノンバーバル情報の伝達を行い、握手デバイスを用いた仮想握手を実現した。また、風力測定デバイスを作成し、画面上に息を吹きかけることによって仮想空罰上のオブジェクトを操作することを可能にした。In this paper, we propose the new technique which can let us realize a virtual space and object further. Now many researchers have constructed 3D virtual space, in which people can take a walk, do shopping, communicated with distributed members and so on. We also have built a virtual office system "Valentine" which supports home office workers. However in many systems users get almost all information only by watching picture, and it is much less than in the real world. There are many obvious differences between the action in the real world and the virtual space in most case. we can consider that those differences prevent us from realizing the virtual space. So in our office system we transmit "non-verbal information" by letting the avator reflect user's state and action, and realize "virtual handshake" by using the handshake device. We also make device that measures the strength of the wind. This makes it possible that users can handle objects in the virtual space by only blowing it.