著者
小林 美也子 新井 一仁 石川 晴夫
出版者
日本矯正歯科学会
雑誌
Orthodontic waves : journal of the Japanese Orthodontic Society : 日本矯正歯科学会雑誌 (ISSN:13440241)
巻号頁・発行日
vol.57, no.4, pp.258-267, 1998
参考文献数
39
被引用文献数
11

本研究の目的は, 抜歯・非抜歯の診断や頭蓋下顎機能障害との関連において注目され, 歯科矯正診断における重要な指標のひとつであるSpeeの彎曲の深さについて三次元的に分析し, 日本人正常咬合者の咬合の形態的特徴を一層明らかにすることである.教室で開発した非接触三次元形状計測システムを用いて, 本学の学生および教職員約3, 500名の中から選択した正常咬合者30名(男女各15名, 平均年齢23.2歳, 標準偏差3.5歳)の矯正用診断模型について計測を行った.水平基準平面は切歯点と左右側の第一および第二大臼歯の遠心頬側咬頭頂を通過する咬合平面とし, 両咬合平面に対する切縁中央と咬頭頂の垂直的な距離をSpeeの彎曲の深さおよびSpeeの彎曲に最も適合した球を算出し, 平均値と標準偏差を求めた.Speeの彎曲が最も深かったのは第二大臼歯を後方基準点とした基準平面に対する第一大臼歯の近心頬側咬頭頂で平均1.28mm, 標準偏差0.60mmであった.また球の半径は72.4mmから3498.9mmの範囲, 中央値は158.2mmであった.以上のことから, 本研究で選択した日本人正常咬合者のSpeeの彎曲の深さは, 以前の報告よりも平坦であること, Speeの彎曲は第二大臼歯で個人差が最も大きいこと, 左右側差は認められないこと, 第二大臼歯近心頬側咬頭頂においては, 女性は男性に比較して統計学的に有意に深いこと(p<0.01), ならびにSpeeの彎曲に最も適合した球の半径には大きい個人差が認められることなどの特徴が明らかとなった.
著者
丹野 智博 堀江 和正 小林 高彰 森田 昌彦
雑誌
研究報告バイオ情報学(BIO)
巻号頁・発行日
vol.2013-BIO-34, no.25, pp.1-5, 2013-06-20

層状ニューラルネットにおいて,入力するアナログ値を多次元の 2 値パターンに変換すると,多変数関数近似器としての性能が大きく向上することが報告されている.本研究では,このパターンコーディングをパターン分類問題に適用した場合の有効性について検討する.2 次元 2 クラス分類問題を対象として数値実験を行った結果,単純パーセプトロンに適用してもあまり効果はないが,さらに多層化する (多層パーセプトロンに適用する) か,選択的不感化を行うことによって,非常に複雑な決定境界を容易に学習できるようになることがわかった.また,境界の複雑さを表す指標を提案し,それが分類誤差と高い相関をもつことを示した.この指標は,パターンコーディングを適用すべきか,どの分類器を用いるべきかを判断するのに有用だと考えられる.
著者
小林 亮 加賀 雅文 得田 英和 昌子 浩登
出版者
物性研究刊行会
雑誌
物性研究 (ISSN:05252997)
巻号頁・発行日
vol.85, no.4, pp.461-498, 2006-01-20

本講義ノートは2005年6月15日から17日に、京都大学大学院理学研究科で行われた、広島大学大学院理学研究科小林亮先生による集中講義「パターン形成の数理」をまとめたものである。本講義では、パターン形成の数理について、反応拡散系を中心に、具体例を踏まえ授業を進めていただいた。また数多くの動画やイラストを用い、視覚的にも理解しやすく展開していただいた。反応拡散系のみならず、さまざまな現象に応用可能なフェイズフィールドモデルや、生物に見られるフィボナッチ数列に関する話題も含まれ、自然のパターン形成メカニズムをどのように捉え、研究を行うかを教示していただいた。また、授業中に見せていただいた動画をWebに載せた。(URL http://www2.yukawa.kyoto-u.ac.jp/〜busseied/lecture_note/kobayashi/index.html)を適宜参照してください。
著者
若林 明彦
出版者
日本哲学会
雑誌
哲学 (ISSN:03873358)
巻号頁・発行日
vol.1995, no.46, pp.201-209,8, 1995-10-01 (Released:2009-07-23)
参考文献数
21

Die beiden Begriffe "docta ignorantia" und "coincidentia oppositorum" bei Nikolaus Cusanus and die Idee der Humanitat bei Pico della Mirandora ubten Einfluβ auf die Humanitat bei Ernst Cassirer und den Aufbau seiner Philosophie. Auf der einen Seite entdeckte Cassirer die sym-bolische Funktion der menschlichen Erkenntnis in jenen beiden Begriffen bei Cusanus and erwies die Harmoniezwischen den verschiedenen symbolischen Formen durch ein methodisches Prinzip, "coincidentia oppositorum". Auf der anderen Seite bekam er bei Pico die Glaube an die reine Schopferkraft des Menschen and an die Autonomic dieser Schopferkraft, namlich die Idee daβ der Wille zur Gestaltung das Sein bestimmt and setzt.
著者
吉野 博 小林 仁 久慈 るみ子 佐藤 洋
出版者
東北大学
雑誌
萌芽的研究
巻号頁・発行日
1999

本研究では衣服内の空気は動くものとして捉え、建物内部の換気量測定法であるトレーサーガス法を、衣服内換気量の測定に適用できるかどうかについて検討を行った(1)簡易温熱マネキンの製作:簡易温熱マネキンは、表面温度のコントロールのために、サーミスタ温度計をマネキン表面(胸部・背部・上腕部・前腕部・大腿部・下腿部)に貼付し、体幹部以外は左右別々に、発熱を制御できるようにスライダックを通して調整を行った。(2)ガス発生方法の検討結果:測定はトレーサーガスとしてCO_2を用い、定量発生法で行った。実験室内の温熱環境条件は、室温20.1℃〜24.5℃である。実験被服は、塩ビフィルム製の袖なしワンピース型とした。ガス発生方法の検討の結果、チャンバー(150*90*90cm)を用い間接的にガスを発生させる方法を考案した。チャンバーでの測定結果では、衣服内ガス濃度と外気のガス濃度との差は550〜670ppmの範囲にあるが、各実験において、同一条件下では衣服内のガス濃度は一様に分布し、各実験ごとの測定点間のガス濃度の標準偏差は±6.37ppmと小であった。この方法によると、チャンバー内でガスを完全拡散させることが可能となり、チャンバー内と衣服内のガス濃度はほぼ一定となることがわかった。また、室温が高くなると換気が促進されて、衣服内ガス濃度は低くなり、両者は反比例する。また、実験の再現性は高く、衣服の着せ替えによる影響はなかった。マネキン平均表面温度とチャンバー内温度の差と衣服内平均ガス濃度についてみると、温度差が大になると、やや衣服内濃度が高くなる傾向にあることがわかった。塩ビ衣服の換気量を求めたところ、発生量は平均0.065L/min.であることから、6〜7m^3/h.であると算出される。以上の結果より、チャンバーを用いて間接的にガスを発生する方法は有効であると考えられる。
著者
林 知里 權 娟大 宮崎 智
雑誌
研究報告バイオ情報学(BIO)
巻号頁・発行日
vol.2013-BIO-34, no.2, pp.1-6, 2013-06-20

ゲノム解析が進んだ結果,ゲノム DNA 中にはタンパク質の遺伝子以外の分子情報をコードしている領域や発現の制御に関わる領域が存在することが明らかになった.これらの領域の中で,主な機能として発現制御等に関わる RNA 分子の遺伝子をコードしている領域があり,この領域から転写された RNA は non-coding RNA(ncRNA) と呼ばれている.ncRNA は他の遺伝子の転写制御に関わりを持つと考えられているが,未だその機能が解明されていないものも多い.一方で,ある疾患に特異的に発現する ncRNA が発見されており,ncRNA が創薬ターゲットになる可能性を持っている.また,現在発見されている ncRNA の多くはタンパク質遺伝子間に存在するが,あるタンパク質遺伝子のイントロンに ncRNA が存在することが分かっている.本研究では,タンパク質遺伝子と ncRNA のゲノム上の位置関係に着目し,疾患関連遺伝子を制御する創薬ターゲットとしての ncRNA を予測することを目的とする.本稿では,イントロンに存在する ncRNA に着目した生物種間での比較結果を報告する.
著者
小林 宜子
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究は、イングランド国王ヘンリー八世の忠臣であった人文主義者ジョン・リーランド、および彼と親交のあった宗教改革期の複数の好古家の文学的活動に焦点を絞り、彼らが試みた国民文学の伝統の創出とカノン形成の企てを考察したものである。また、彼らの活動の根底にあった国民主義的な人文主義の思想がエリザベス朝の詩人たちを経てトマス・ウォートンの『英詩史』へと継承されていった過程を辿ることにより、宗教改革期から18世紀後半に至るまで連綿と受け継がれることになった英文学史観の批判的な再検証を試みた。
著者
木村 光 林田 直澄
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究. 研究発表大会概要集 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
no.56, pp.366-367, 2009-06-20

It is not correct with the neighboring environment of the city to have the long history more than harf a century, and various problems produce the Toyohashi railroad Azumada main line. I studied an ideal method of LRT in conformity to the current city enviroment and society and I could enter the field of vision and studied the improvement of the public institution in the future city. In this study, I suggested a home of 2 stories to a vehicle of 2 stories. The getting on and off of the passenger is hereby possible smoothly between a short time. I can use the user with a pedestrian bridge with an elevator in succession.
著者
小林 孝雄
出版者
文教大学
雑誌
人間科学研究 (ISSN:03882152)
巻号頁・発行日
no.26, pp.67-75, 2004-12-20

The purpose of this article is to examine the definitions of empathic understanding made by Rogers(Rogers, 1957. 1959. 1975). He defined empathic understanding (or being empathic) as a "state" at first, and later as a "process". Some qualities of descriptions as follows were pointed out. The definition as a process includes descriptions about `to do', but some descriptions express the actions that can not be directly realized. The definition as a state describes the quality of subjective experiences that can be directly realized in nature, but have problem how to realize `as if' quality. The definition as a state is useful yet to consider realizing the therapists' conditions. And the definition as a process is useful rather in clinical practices.
著者
小林 宏光 安河内 朗 綿貫 茂喜 中山 栄純
出版者
石川県立看護大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2000

心拍変動解析の手法は数学的には高度化してきているが,これが必ずしも生理学的指標としての心拍変動測定の精度・信頼性の向上につながっていない。我々は以前から心拍変動測定における呼吸コントロールの必要性を主張してきており,現状では専門の研究者の間では一定の理解が得られていると思われるが,市販されている心拍変動解析ソフトウェアではこの点に配慮したものは存在しない。本課題は、心拍変動測定・解析のためのソフトウェアを開発することを目的とするものであるが,周波数解析の手法などは従来からあるシンプルで確立した手法を用い,一方で呼吸の影響やデータの時間的整合性などに関しては十分な配慮した設計を行い,この指標の実際の測定における信頼性の向上につなげることを目標とする。本課題ではそれぞれに特徴を持つ3種類の心拍変動測定・解析システムを開発した。開発されたソフトウェアは,できるだけハードウェア環境に依存しないよう心がけて作成したが,AD変換を要するシステムでは特定の計測ボードに依存する部分が存在する。しかし,逆に心電計に関しては汎用性を持つので,心電計と解析ソフトウェアが一体となったメーカー製のシステムと比べれば,汎用性の面でもメリットがあると思われる。POLAR S-810を用いたシステムは,特定の心拍計に依存したシステムであるが,この機器の価格が非常に安いため,多人数の同時測定には特に適していると思われる。呼吸の影響やデータの時間的整合性に対する配慮はメーカー製の製品で最も欠けている点であるが,これらの点についても一定の配慮をした設計を行った。今回開発したソフトウェアは,まだ改良の余地を残すものではあるが,現段階でも十分な有用性を持つものであると思われる。
著者
本多 朔郎 長尾 敬介 山元 正継 北 逸郎 高島 勲 秋林 智
出版者
秋田大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1989

タイの地熱は、ヒマラヤ造山帯の後背地の安定地塊上に発達するもので、火山活動を伴っていない。しかし、高い地殻熱流量で特徴づけられ、沸騰泉を含む多数の温泉が認められる。そのような非火山性の地熱活動の熱源・湧出機構等を解明し、火山性地熱で発達した探査法の有効性を検証するため、以下のような項目の調査・研究を行い次のような成果を得た。(1)温泉・土壌ガスの分析ーー第1次の調査では、主要地熱地域について研究を行い、地熱貯留層に関連するとみられる断裂付近では、CO_2ガス中の^<13>C同位体の異常およびラドンガスの濃集が認められ、地下の高温を示すH_2ガスも一部の地域の温泉に伴ってみられるのみで、全体としては少なく、火山性地熱とは異なった傾向を示した。第2次の調査では、広域的なガス特性を求めるため、北部地域全体の約40ケ所の温泉付随ガスを採取し、He同位体比(^4He/^3He)を主体に検討した。分析は現在進行中であり、詳細な議論はできないが、深部断裂が発達する花崗岩体の周辺部でHe同位体比が高いことが確認され、同時にマントル物質の寄与の可能性が指摘された。(2)ガンマ-線による探査ーータイの地熱貯溜層を構成する花崗岩は放射性元素の含有量が高く、地熱流体の上昇通路となる断層の位置検出には最適である。また、典型的な岩相については、地下の地質を推定することもできた。(3)新期火山岩の解析ーー第四紀後期の玄武岩溶岩について、アルカリ元素等の分析を行い、マグマの形態、深さ等の情報の推定を行った。その結果、マグマは基本的に深部の独立したマガマ溜まりからもたらされており、熱源としての寄与はそれほど大きくないと推定された。しかし、層序的な解析から、年代値は既存の70万年(KーAr年代)より若く、年代的に熱の寄与を無視することはできないと思われる。(4)岩石中の放射性元素の分析ーー花崗岩を中心に約100個の試料を採取し、放射性元素(U,Th,K)の分析を行った。その結果、日本の花崗岩の5ー10倍という非常に高い含有量が記録され、その値から計算された発熱量として8ー18HGUが得られた。この値は、地下3ー5kmで300℃という高温を可能にするものである。(5)変質岩の年代測定ーー変質岩は石英脈、方解石脈を主体に年代測定を行い、現在の地熱徴侯地以外では数10ー100万年を超える古い年代が得られ、非火山性地熱が長期間継続することが確かめられた。(6)流体包有物の測定ーー年代測定を行ったのと同じ石英脈、方解石脈試料について測定を行い、ボ-リング・コアでは現在の地下温度とほぼ同じ値が得られた。(7)貯留層モデルの作成ーー最も開発の進んでいる地域について、坑井位置、水位、温度、圧力などのデ-タをもとに貯留層のコンピュ-タモデリングを行い、510,3510,8610年後の貯留層の状態を推定した。また、より広域的なモデル計算のため、可能な地下温度分布、岩石物性の変化等のデ-タを収集した。以上の結果および昭和63年度に実施した現地調査のデ-タを総括すれば、タイの地熱は主として放射性元素の崩壊熱による高温部を通過した水が熱の供給を受け、高温になったものと思われるが、He同位体や、若い玄武岩の存在から火成起源の熱の寄与もあるものと思われる。探査法については、非火山性地熱でも火山性地熱とほぼ同じ手法が利用できることが明らかとなったが、放射能探査が特に注目された。残された問題として、異常に高いHe同位体比の原因、流体包有物から予想される地下温度が地化学温度計で求められた温度より低いことなどがあるが、今回の調査が本研究の最後であり、今後の室内実験結果により最も適切な成因を提示したい。
著者
道廣 睦子 小林 廣美 若井 和子 佐藤 静代 齋藤 智江 竹内 美樹 森崎 由佳
出版者
徳島大学医学部
雑誌
JNI : The Journal of nursing investigation (ISSN:13483722)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.20-27, 2012-03

本研究は看護大学生のボランティア活動の実態を把握し,ボランティア活動の継続意志と,ボランティア活動成果・継続動機との関連を明らかにすることを目的とした.調査対象者はA県B大学看護学科学生1・2・3年生の230名で質問紙調査を実施した.有効回答は162名であった.看護大学生の約8割が大学入学前にボランティア活動の経験があり,大学入学後ボランティア活動をしていない学生は全体の8割で,理由として機会がない,忙しくて時間がない,アルバイトしている等があげられた.ボランティア活動を継続したい学生ほど,人生が明るく喜びが広がるなどの意欲向上や人間関係の広がりがあるなどの成果を認識しており,ボランティアの継続動機につながっていた.しかし,多くの学生に継続意志があるにも関わらず,大学入学後にボランティア活動をしている学生は約2割であった.「機会がない」を理由にしている場合は機会があれば積極的に活動することにつながることが考えられる.ボランティアの情報提供を行い,ボランティアの活動成果が実感できるような働きかけが必要であることが示唆された.
著者
森脇 広 新東 晃一 小林 哲夫
出版者
日本第四紀学会
雑誌
第四紀研究 (ISSN:04182642)
巻号頁・発行日
vol.30, no.5, pp.329-338, 1991-12-25 (Released:2009-08-21)
参考文献数
63

This paper outlines the previous studies of many Quaternary gigantic pyroclastic flow deposits widely distributed in Kyushu in terms of Quaternary studies: (1) age, distribution, and source, and (2) influence on the Jomon Culture of Kyushu in the Holocene and on late Pleistocene slope erosion of Yaku and Tane islands.Seven gigantic pyroclastic flows are recognized in the late Pleistocene: Koya (source: Kikai caldera, age: 6, 300yBP), Ito (Aira caldera, 21, 000-22, 000yBP), Aso-4 (Aso caldera, 70, 000yBP), Nagase (Kikai caldera, 75, 000yBP), Ata (Ata caldera, 85, 000yBP), Aso-3 (Aso caldera, 105, 000yBP) and Torihama (Ata caldera, 100, 000-150, 000yBP) pyroclastic flows. Co-ignimbrite ash falls associated with all of them are found in distal areas more than 1, 000km distant from their sources. The ages, estimated by stratigraphic positions of those ash falls as well as radiometric datings, indicate that the eruptions of gigantic pyroclastic flows concentrate in the early stage of the late Pleistocene. Those pyroclastic flows showing circular distribution extend to a distance of 100-150km from the source.In contrast, the age, distribution, and source of middle-early Pleistocene gigantic pyroclastic flows are not sufficiently clarified, except for the Aso-2, Aso-1, Kakuto and Shimokado pyroclastic flows in the late stage of the middle Pleistocene.A clear difference in Jomon pottery between the layer above K-Ah ash associated with Koya pyroclastic flows and that beneath it, is widely recognized in Kyushu, suggesting that Koya pyroclastic flows eruption played an important role in the change in Jomon culture.We can often recognize slope deposits, including blocks of Nagase pyroclastic flows deposits in Yaku and Tane islands. This may suggest that unstable conditions occurred on the slopes over a wide area around the Kikai caldera owing to this eruption.
著者
HE Wen-Rong TAKAGI Koichiro YOSHIMOTO Takanobu NARUSE Mitsuhide NARUSE Kiyoko DEMURA Hiroshi NAKABAYASHI Masao TAKEDA Yoshihiko 赫 文栄 高木 耕一郎 吉本 貴宣 成瀬 光栄 成瀬 清子 出村 博 中林 正雄 武田 佳彦
出版者
東京女子医科大学学会
雑誌
東京女子医科大学雑誌 (ISSN:00409022)
巻号頁・発行日
vol.66, no.5, pp.330-337, 1996-05-25

エンドセリン-1(ET)は培養血管内皮細胞より発見された強力な血管収縮性ペプチドであり,低酸素環境下でその産生が増加することが知られている.ETはその受容体とともに胎盤で発現することから,慢性胎児低酸素症の胎盤血流調節因子としてのETの関与を明らかとするために,ラット胎盤でのET遺伝子発現を検討した.今回我々は,妊娠18日齢のSprague-Dawleyラットの片側の子宮動脈を結紮し,非結紮側を対照として結紮の6,12,24,48,72時間後に胎盤を摘出後,RNAを抽出した.RT-PCR法によるサザンプロット解析によりET遺伝子発現を検討した,また,比較として母体低栄養による胎児発育遅延を妊娠18日から21日までの72時間,水分のみを与えることによる飢餓により作製し,胎盤のET遺伝子発現を同様に検討した.その結果,子宮動脈結紮後,胎仔体重,ならびに胎盤重量は24時間以降で減少を示し,72時間ではそれぞれ対照の62%(n=31, p<0.01),75%(n=31, p<0.01)となった.一方,母体低栄養では胎仔体重,ならびに胎盤重量はそれぞれ対照の79%(n=20, p<0.01), 83%(n=20, p<0.05)と減少した.ラット胎盤のETmRNA relative abundance (preproET-1/GAPDH; mean±SEM)は慢性胎児低酸素症モデルでは対照群と結紮群でそれぞれ0.128±0.011 vs 0.237±0.022 (p<0.01)と結紮群で約2倍の有意の増加を示した.一方,母体低栄養モデルでは胎盤のET mRNA relative abundanceは対照群と低栄養群とでそれぞれ0.135±0.010, 0.145±0・006と差を認めなかった. 以上より,子宮動脈結紮によって惹起された慢性胎児低酸素症モデルにおいて,胎盤のET遺伝子発現の増加を確認した.子宮動脈結紮により母体からの胎児への栄養の物質輸送の障害が胎盤のET遺伝子発現に関与している可能性は,母体低栄養によるIUGRにおいて胎盤のET遺伝子発現に差が認められなかったことから否定的と考えられた.以上より,ETは低酸素負荷に反応して胎盤局所で産生,放出されるautocrmeあるいはparacrme因子として胎盤血管の収縮にあずかっていると考えられた.A vasoactive peptide, endothelin-1 (ET-1) has been identified in the mammalian placenta. Its increase in the fetal circulation was demonstrated not only in acute but also in chronic fetal hypoxia in human. The aim of this study was to examine the effect of chronic fetoplacental hypoxia induced by uterine artery ligation on ET-1 gene expression in the rat placenta. Unilateral uterine artery ligation was performed to the pregnant Sprague-Dawley rats on Day 18 of gestation and the pregnancy was terminated on Day 21 of gestation. The effect of maternal starvation on the placental ET-1 messenger ribonucleic acid (mRNA) levels was also examined for comparison with the same time period. Relative abundance of the placental ET-1 mRNA was determined by quantitative reversed transcriptase polymerase chain reaction coupled with Southern blotting. Both maternal starvation and uterine artery ligation significantly reduced fetal and placental weight. In contrast, the placental ET-1 mRNA levels increased 2-fold by the uterine artery ligation whereas those in the maternal starvation group did not. Thus, it is unlikely that the reduced meterno-fetal transfer of nutrients by the uterine artery ligation could enhance the placental ET-1 gene expression. These results suggest that the enhanced placental ET-1 gene expression upon chronic fetoplacental hypoxia may contribute to the pathophysiology of the placental circulation in the fetal growth retardation.
著者
小林 果
出版者
京都大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2010

本研究課題ではもやもや病の多発家系を用いて家族性もやもや病の責任遺伝子を特定すること、細胞生物学的解析と遺伝子改変動物の作成により遺伝子の機能を明らかにすることで発症機構の解明を行うことを目的とする。24年度は、昨年度もやもや病感受性遺伝子として同定したmysterin(RNF213)遺伝子のノックアウトマウスの作成と形質の評価を主に行った。近年のもやもや病と糖尿病の合併性を示す報告より、mysterinの機能を明らかにするために、mysterin欠損が糖尿病モデルマウスに与える影響を検討した。具体的にはmysterinを欠損するノックアウトマウス(mysterin-/-)を作成した後、小胞体ストレスによる糖尿病モデルマウスであるAkitaマウス(Ins2+/C96Y)と交配を行い、mysterin KO/Akitaマウス(mysterin-/-,Ins2+/C96Y)を得て糖尿病に関連する形質の解析を行った。その結果、mysterin欠損はAkitaマウスの血清および膵島インスリン量を増加させることで、摂食量の低下、小胞体ストレスの低下を通じて糖尿病を改善することが示された(Biochem Biophys Res Commun 2013)。小胞体ストレス応答の1つとして、異常タンパク質の分解を促進する小胞体関連分解(ERAD)がよく知られている。Akitaマウスの膵β細胞ではERADにより異常プロインスリンのみならず正常プロインスリンの分解も促進していることが報告されており、mysterin欠損はERADによるプロインスリン分解を抑制する可能性がある。本研究は、mysterinがERADに重要な役割を果たす可能性を示唆しており、今後さらに検討を重ねることでmysterinの機能の一端が明らかにできることが期待できる。
著者
山下 未知子 林 春男
出版者
地域安全学会
雑誌
地域安全学会論文集 (ISSN:13452088)
巻号頁・発行日
no.3, pp.189-198, 2001-11
参考文献数
8
被引用文献数
2

In order to make disaster preparedness education effective, it is first required that the contents to be educated should be identified and then systematically represented. In this paper, we tried to develop a way to systematize the knowledge on earthquake disaster mitigation. First, we run an experiment in which undergraduate students were asked to identify the elements of the knowledge on earthquake disaster mitigation from the 22 existing video teaching materials. Next, we experts in earthquake disasters systematized these extracted elements to construct a system of knowledge on earthquake disaster mitigation by applying the method of Semantic Network, which has been studied as a way of Representing Knowledge in the fields of Artificial Intelligence and Cognitive Science.
著者
山中 由里子 池上 俊一 大沼 由布 杉田 英明 見市 雅俊 守川 知子 橋本 隆夫 金沢 百枝 亀谷 学 黒川 正剛 小宮 正安 菅瀬 晶子 鈴木 英明 武田 雅哉 二宮 文子 林 則仁 松田 隆美 宮下 遼 小倉 智史 小林 一枝 辻 明日香 家島 彦一
出版者
国立民族学博物館
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010-04-01

中世ヨーロッパでは、辺境・異界・太古の怪異な事物、生き物、あるいは現象はラテン語でミラビリアと呼ばれた。一方、中世イスラーム世界においては、未知の世界の摩訶不思議は、アラビア語・ペルシア語でアジャーイブと呼ばれ、旅行記や博物誌などに記録された。いずれも「驚異、驚異的なもの」を意味するミラビリアとアジャーイブは、似た語源を持つだけでなく、内容にも類似する点が多い。本研究では、古代世界から継承された自然科学・地理学・博物学の知識、ユーラシアに広く流布した物語群、一神教的世界観といった、双方が共有する基盤を明らかにし、複雑に絡み合うヨーロッパと中東の精神史を相対的かつ大局的に捉えた。
著者
荻原 庸平 小林 辰至
出版者
日本理科教育学会
雑誌
理科教育学研究 (ISSN:13452614)
巻号頁・発行日
vol.50, no.3, pp.43-56, 2010-03-03
参考文献数
15
被引用文献数
1

本研究は,初等教員養成課程の学生を対象として,新しく開発した月の運行モデル教材と観測を組み合わせた実践を行い,月の見え方の理解への効果を検討したものである。実践の内容は2つである。1つは月の定時観測の記録であり,学生自身に月の満ち欠けの様子を2週間にわたって記録させた。もう1つは新しく開発したモデル教材を使用した学習である。実践の前後で月の見え方の理解を問う質問紙調査を行った。その結果,以下のことが明らかとなった。(1)「見える月の形が,日によってちがっている理由」について,「月の公転」及び「太陽光の反射」の2つの観点を含めて記述できた学生の割合は,実践前に比べ有意に増加した。(2)「日没後,満月が見えるのはどの方角か」「日没後,三日月が見えるのはどの方角か」「日没後,上弦の月が見えている時の太陽と月の位置関係」の正答率は,いずれも実践前に比べ有意に増加した。(3)新しく開発した月の運行モデル教材と観測を組み合わせた実践を通して,初等教員養成課程学生の月の見え方に関する理解を改善できた。
著者
林 誠 安田 孝美 横井 茂樹
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MVE, マルチメディア・仮想環境基礎
巻号頁・発行日
vol.96, no.605, pp.1-8, 1997-03-19
参考文献数
9
被引用文献数
7

本研究では、天文現象の学習をインターネット上でインタラクティブに行うことができる天文教育システムを開発した。具体的事例として、1997年4月に太陽に最も近づくヘール・ボップ彗星に注目し、科学的根拠に基づいたCGシミュレーションを行った。これによって得られるCG画像、数値データをCGIやJava、JavaScriptといった技術を用いることで、インタラクティブにWWW上で利用することを可能とした。このシステムでは、リアルタイムでCG画像、数値データを作成することができるため、利用者の個別の要求に対応することが可能である。またビデオ会議システムとの併用による遠隔教育の実験を行い、その可能性について検討した。