著者
大関 崇 吉富 政宣
出版者
安全工学会
雑誌
安全工学 (ISSN:05704480)
巻号頁・発行日
vol.52, no.3, pp.162-172, 2013-06-15 (Released:2016-07-30)
参考文献数
13

太陽光発電システムが持つ上記の特徴は,電源構成の豊富さや新規雇用創出といったメリットを社会にもたらす一方,ハザードをも内包している.各種構成要素から発生するリスクとして,電気火災,電気感電,構造物飛散,設計・施工時の人身事故などが想定される.太陽光発電システムを本格的にエネルギー源として利用するためには,メリットをより拡張しつつ,これらリスクに関して,個人財産および公衆安全の観点から許容可能なところまで低減する必要がある.本稿ではこれらのリスクのうち,直流電気火災に注目し,事前の火災防止・抑止の観点と,発生後の消火活動における消防士保護の観点におけるリスク等を概説することで安全工学の研究者の方々と太陽光発電システムの現状について情報共有することを目的とする.
著者
関谷 勇司 中村 遼 岡田 和也 堀場 勝広
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 B (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.J98-B, no.4, pp.333-344, 2015-04-01

現在のネットワークを取り巻く状況は,クラウドやビッグデータの普及,並びにスマートフォンやIoTといったデバイスの増加により,次の世代への変革を迎えようとしている.それにともない,これらの技術を支えるインフラである,ネットワークに求められる機能や性能も,従来の要求とは異なったものとなる.そのため,新たな要求に応えることのできるネットワークアーキテクチャが必要とされる.そこで本論文では,この新たなネットワークアーキテクチャの構築とその可能性について述べる.本論文にて提案する新たなネットワークアーキテクチャは,SDNとNFVを用いて構築される.まず,SDNとNFVに関して,その概念と技術並びに現状を解説し,最新の動向について述べる.また,Interop Tokyoにて行われた実証実験を通じて得られた,SDNとNFVの課題について述べ,その解決法について議論する.最後に,新たなネットワークアーキテクチャを構築するための技術課題と展望についてまとめる.
著者
猪狩 賢蔵 鈴木 信也 関 博志 野村 嘉奈子 外園 弥生 吉田 蘭子 阪上 貴子 伊藤 智一 荒瀬 透 林 誠一
出版者
一般社団法人日本医療薬学会
雑誌
医療薬学 (ISSN:1346342X)
巻号頁・発行日
vol.47, no.4, pp.179-184, 2021-04-10 (Released:2022-04-10)
参考文献数
11

Postoperative nausea and vomiting (PONV) are common and unpleasant postoperative complications. Although guidelines recommend preventative measures according to PONV risk, anesthesiologists do not always follow the guidelines. In this study, we investigated whether the pharmacists’ proposal of a PONV prevention method to anesthesiologists in accordance with the guidelines affected the decision-making of anesthesiologists and subsequent PONV development. Two hundred and five patients who underwent gynecological surgery at Keiyu Hospital were included in this study, and the number of preventative measures selected by an anesthesiologist and frequency of PONV complications before and after the pharmacists’ intervention were determined. After the intervention, the number of preventative measures implemented by the anesthesiologist increased in the PONV moderate- and high-risk groups (P < 0.01) and incidence of PONV in patients decreased [odds ratio 0.362 (95% confidence interval 0.174 - 0.726) (P < 0.01)]. It is the intention of anesthesiologists for pharmacists to evaluate PONV risk and propose preventative measures that comply with guidelines to anesthesiologists. The results of this study show that the proposal of pharmacists on PONV prophylaxis affects anesthesiologists’ decision-making and is effective in preventing PONV.
著者
関野 由香 柏 絵理子 中村 丁次
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.63, no.3, pp.101-106, 2010 (Released:2010-07-22)
参考文献数
20
被引用文献数
14 4

社会環境の変化にともない, 夜間生活が一般化してきている。本研究では, 夜遅い時刻の食事摂取が, 食事誘発性熱産生 (DIT) に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした。喫煙習慣のない健康な女子大学生 (平均年齢20.5±1.2歳) 33名を対象に, 一律500 kcalの食事を, 7: 00, 13: 00, 19: 00に摂取する朝型と, 13: 00, 19: 00, 1: 00に摂取する夜型の2種類設定し, クロスオーバー法にてDITを測定, 評価した。朝型では7: 00の食事のDITが, 他の時刻の値に比べて有意に高く (p<0.05), 夜型では深夜1:00の食事のDITが, 他の時刻の値に比べて有意に低くなった (p<0.01) 。3食分のDITを合計した3食合計DITは, 夜型が朝型より有意に低くなった (p<0.01) 。このことから, 朝食を欠食し夜食を摂取した夜型化は, DITの低下により1日のエネルギー消費量を減少させ, 肥満の一要因になる可能性が示唆された。
著者
井口 広靖 平手 博之 長沼 愛友 関谷 憲晃 小笠原 治 上村 友二 星加 麻衣子 藤掛 数馬 太田 晴子 祖父江 和哉
雑誌
第46回日本集中治療医学会学術集会
巻号頁・発行日
2019-02-04

【背景】ストレス心筋症の多くは典型的なたこつぼ型の左室壁運動を呈するが、約2割は非典型的な左室壁運動を呈し、逆たこつぼ型となるのは全体の2%程度である。一方、ギラン・バレー症候群とストレス心筋症の合併はまれである。今回、逆たこつぼ型心筋症を合併したギラン・バレー症候群の症例を経験した。【臨床経過】75歳の男性。発熱、下痢を主訴に他院受診、カンピロバクター腸炎と診断された。抗菌薬治療で速やかに改善したが、発熱から1週間後に両上肢の脱力が出現、翌日には両下肢の脱力により歩行困難となった。さらに翌日には、呼吸状態が悪化、気管挿管人工呼吸器管理となったため当院に転院搬送され、ICU管理となった。前医での気管挿管後より血圧低下あり、当院搬送時には昇圧薬の持続投与が行われていた。ICU入室時の12誘導心電図でV1からV4誘導でST上昇を認め、経胸壁心臓超音波検査で左室基部の壁運動低下と心尖部の過収縮があり、逆たこつぼ型心筋症と診断した。同日施行した神経伝導検査で末梢神経伝導速度の延長があり、ギラン・バレー症候群と診断、転院1日目から二重膜濾過血漿交換を5日間施行した。左室壁運動については、駆出率(modified Simpson法)は1日目から3日目を通して55%前後で著変なかったが、左室基部の壁運動は経時的に改善し、左室流出路の速度時間積分値は1日目に12cmと低下していたものが、2日目は17cm、3日目は19cmと改善を認めた。3日目には昇圧薬の持続投与は中止した。7日目より免疫グロブリン静注療法を5日間施行したが、短期的な筋力回復は認めず、長期の人工呼吸器管理が必要と判断し、8日目に気管切開を行った。9日目よりステロイドパルス療法を3日間施行した後、12日目に人工呼吸器管理のまま一般病棟へ退室した。昇圧薬中止後の循環動態は終始安定していた。【結論】ギラン・バレー症候群患者で循環動態が悪化した場合、まれではあるがストレス心筋症の合併を疑う必要がある。
著者
関谷 直也
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集F6(安全問題) (ISSN:21856621)
巻号頁・発行日
vol.68, no.2, pp.I_1-I_11, 2012 (Released:2013-01-30)
参考文献数
15
被引用文献数
5

日本の防災対策は「想定」を前提とした訓練,ハザードマップ,防災教育や災害時の情報伝達などの手段で避難を促すというソフト対策に過度に重点が置かれている. 結果,ありとあらゆるところに想定を設け,それにのっとって対策を整えるという「想定主義」に陥っている.そして避難についても,現実的な解を見つけるというより「原則車避難禁止」「危機意識をもって急いで逃げれば被災は回避できる」といった避難の課題を人々の防災意識に帰結する「精神主義」が跋扈している.また,あらゆる災害対策の前提となる被災の原因の検証についても,メディアで言われていることや思い込みで仮説を構築し,そこから改善策を検討・導出してしまう「仮説主義」に陥っている.だが,実際に調査検証が進むに従って,そもそも仮説自体が誤っているといったことが多くみられる. これら日本の防災対策の問題点は東日本大震災を踏まえても何も変わっていない.「想定」を重視するのではなく行動の規範を考えること,精神論だけを強調するのではなくハード対策とソフト対策のバランスという原点に立ち返ること,メディアの論調や思い込みではなく,予断を持たず,徹底的に東日本大震災の被災の現実に,科学的実証的に向き合うことが求められる.
著者
平山 大作 藤井 範久 小池 関也 阿江 通良
出版者
一般社団法人日本体力医学会
雑誌
体力科学 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.59, no.2, pp.225-232, 2010 (Released:2010-05-27)
参考文献数
24
被引用文献数
2 3

The purpose of this study was to investigate the changes on mechanical work of the lower limb joints during baseball pitching in a simulated game. One male college baseball pitcher threw 15 pitches in an inning for 9 innings (135 pitches) in an indoor pitcher's mound with two force platforms. Rest time between innings was 6 minutes. Three-dimensional positions of 47 reflective markers attached to subject were tracked by an optical motion capture system (Vicon Motion System 612, Vicon Motion Systems) with eight cameras (250Hz). For subject 75 fastball pitches (1st, 3rd, 5th, 7th, and 9th innings) were chosen for analysis.As the main results, the hip joint extension absolute and negative work of the stride leg decreased with increasing the number of pitches. The ankle joint extension absolute and negative work of the stride leg increased with increasing the number of pitches. These results suggest that the hip joint extension torque of the stride leg was needed to maintain for higher performance in baseball pitching.
著者
伊藤 正次 嶋田 暁文 荒見 玲子 手塚 洋輔 松井 望 鈴木 潔 関 智弘
出版者
首都大学東京
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2015-04-01

本研究は、多元的に分立している国・自治体の行政機関相互の連携・協働の実態を把握し、効果的な連携手法を探究することを目的としている。研究の第3年度目となる平成29年度においては、前年度に引き続き研究会を開催してメンバーの視座の共有を図ったほか、学会の公募企画に応募し、研究成果の発信とピア・レビューの機会を得た。同時に、自治体に対する合同のヒアリング調査を実施した。具体的には第1に、平成29年5月28日に開催された日本行政学会に公募企画「多機関連携の行政学」を応募し、学界への研究成果の発信を行った。同企画では、研究代表者の伊藤正次、研究分担者の松井望、鈴木潔がそれぞれ報告を行い、青木栄一・東北大学大学院准教授を討論者に迎え、討論を行った。第2に、研究会を開催した。まず、日本公共政策学会の開催に合わせ、平成29年6月18日に富山市で通算第6回の研究会を開催した。そこでは、各自の研究分担の内容に関する中間報告を行い、研究全体のとりまとめに向けたスケジュール等を確認した。また、日本政治学会の開催に合わせ、9月24日に九州大学東京オフィスで通算第7回の研究会を開催し、研究分担内容の中間報告とそれに基づく討論を行った。さらに、後述の大牟田調査に合わせ、通算第8回研究会を平成30年3月6日に福岡市で開催し、次年度の研究方針に関する調整を行った。第3に、研究メンバー全員による調査を実施した。平成30年3月5日に大牟田市役所を訪問し、動物園行政、高齢者福祉行政等に関する多機関連携の現状と課題について聞き取りを行った。
著者
小暮 敏明 巽 武司 佐藤 浩子 伊藤 克彦 関矢 信康 並木 隆雄 寺澤 捷年 田村 遵一
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.61-68, 2007-01-20 (Released:2008-09-12)
参考文献数
14
被引用文献数
3 1

和漢薬が奏効した線維筋痛症 (FMS) の二例を提示し, FMSの臨床像と甘草附子湯証との類似点を考察した。症例1は52歳, 女性で2001年左手関節痛を自覚, その後両側の肘, 肩, 足関節痛とその周囲の筋痛が出現。近医リウマチ科で精査を受けたが異常はなくFMSと診断された。NSAIDsが無効のため, 04年当科を紹介受診した。桂枝二越婢一湯加苓朮加防已黄耆湯葛根を投与, 内服2ヵ月で疼痛は半減。06年3月VASは20%となりNSAIDsは不要となった。症例2は58歳, 女性で10年前から左肘痛を自覚。2004年から項頸部痛や両側上肢, 肩の疼痛が出現し, 近医整形外科を受診。頸部X-rayや神経学的に異常がなかったためNSAIDsで経過観察となった。05年3月症状が不変のため4月に当科を紹介受診。炎症反応が陰性でACRのFMS分類基準に適合した。甘草附子湯の3ヵ月の服用でVASは30%となりADLは向上した。
著者
藤澤 隆一 高橋 宏明 大関 京子 田中 由美子 奥住 捷子 増田 道明
出版者
一般社団法人 日本環境感染学会
雑誌
日本環境感染学会誌 (ISSN:1882532X)
巻号頁・発行日
vol.29, no.3, pp.183-188, 2014 (Released:2014-08-05)
参考文献数
8

医療現場における手袋の使用は,接触感染防止の対策上有効かつ簡便な方法として奨励されている.一方,手袋は手の汚染を完全に防止するものではなく,不適切な使用により微生物の伝搬につながる可能性がある.本研究では,医療現場において日常的に使用する手袋着用の手指衛生教育を目的とした新たな実習を試みた.2008~2011年度に微生物学実習を受講した医学部学生を対象とした.手袋着用前の手指の汚染除去法の違いにより,学生を4群に分けた.それぞれ手指の汚染除去を行った後,手袋を装着し30分間作業を行った.手袋装着前および作業前後の手指雑菌をスタンプ法にて採取・培養し,手指の衛生状態を評価した.コロニー数の集計結果から,手袋着用前の手洗い・手指消毒により,手袋装着作業時の手指雑菌数が有意に減少した.芽胞形成菌では,クロルヘキシジングルコン酸塩スクラブを用いた手洗いが擦式アルコール製剤による手指消毒よりも優れていた.また,手袋を外した後の手指消毒は効果的であることが示された.実習の対象となる学生は年度により異なるが,得られた結果に年度間のバラツキは認められなかった.この方法は,手袋使用時の手指消毒のタイミングとその効果が視覚的に得られ,手指衛生に関する実践的な認識に寄与すると考えられた.
著者
小林 宏行 武田 博明 渡辺 秀裕 太田見 宏 酒寄 享 齋藤 玲 中山 一朗 富沢 麿須美 佐藤 清 平賀 洋明 大道 光秀 武部 和夫 村上 誠一 増田 光男 今村 憲市 中畑 久 斉藤 三代子 遅野井 健 田村 昌士 小西 一樹 小原 一雄 千葉 太郎 青山 洋二 斯波 明子 渡辺 彰 新妻 一直 滝沢 茂夫 中井 祐之 本田 芳宏 勝 正孝 大石 明 中村 守男 金子 光太郎 坂内 通宏 青崎 登 島田 馨 後藤 元 後藤 美江子 佐野 靖之 宮本 康文 荒井 康男 菊池 典雄 酒井 紀 柴 孝也 吉田 正樹 堀 誠治 嶋田 甚五郎 斎藤 篤 中田 紘一郎 中谷 龍王 坪井 永保 成井 浩司 中森 祥隆 稲川 裕子 清水 喜八郎 戸塚 恭一 柴田 雄介 菊池 賢 長谷川 裕美 森 健 磯沼 弘 高橋 まゆみ 江部 司 稲垣 正義 国井 乙彦 宮司 厚子 大谷津 功 斧 康雄 宮下 琢 西谷 肇 徳村 保昌 杉山 肇 山口 守道 青木 ますみ 芳賀 敏昭 宮下 英夫 池田 康夫 木崎 昌弘 内田 博 森 茂久 小林 芳夫 工藤 宏一郎 堀内 正 庄司 俊輔 可部 順三郎 宍戸 春美 永井 英明 佐藤 紘二 倉島 篤行 三宅 修司 川上 健司 林 孝二 松本 文夫 今井 健郎 桜井 磐 吉川 晃司 高橋 孝行 森田 雅之 小田切 繁樹 鈴木 周雄 高橋 宏 高橋 健一 大久保 隆男 池田 大忠 金子 保 荒川 正昭 和田 光一 瀬賀 弘行 吉川 博子 塚田 弘樹 川島 崇 岩田 文英 青木 信樹 関根 理 鈴木 康稔 宇野 勝次 八木 元広 武田 元 泉 三郎 佐藤 篤彦 千田 金吾 須田 隆文 田村 亨治 吉富 淳 八木 健 武内 俊彦 山田 保夫 中村 敦 山本 俊信 山本 和英 花木 英和 山本 俊幸 松浦 徹 山腰 雅弘 鈴木 幹三 下方 薫 一山 智 斎藤 英彦 酒井 秀造 野村 史郎 千田 一嘉 岩原 毅 南 博信 山本 雅史 斉藤 博 矢守 貞昭 柴垣 友久 西脇 敬祐 中西 和夫 成田 亘啓 三笠 桂一 澤木 政好 古西 満 前田 光一 浜田 薫 武内 章治 坂本 正洋 辻本 正之 国松 幹和 久世 文幸 川合 満 三木 文雄 生野 善康 村田 哲人 坂元 一夫 蛭間 正人 大谷 眞一郎 原 泰志 中山 浩二 田中 聡彦 花谷 彰久 矢野 三郎 中川 勝 副島 林造 沖本 二郎 守屋 修 二木 芳人 松島 敏春 木村 丹 小橋 吉博 安達 倫文 田辺 潤 田野 吉彦 原 宏起 山木戸 道郎 長谷川 健司 小倉 剛 朝田 完二 並川 修 西岡 真輔 吾妻 雅彦 前田 美規重 白神 実 仁保 喜之 澤江 義郎 岡田 薫 高木 宏治 下野 信行 三角 博康 江口 克彦 大泉 耕太郎 徳永 尚登 市川 洋一郎 矢野 敬文 原 耕平 河野 茂 古賀 宏延 賀来 満夫 朝野 和典 伊藤 直美 渡辺 講一 松本 慶蔵 隆杉 正和 田口 幹雄 大石 和徳 高橋 淳 渡辺 浩 大森 明美 渡辺 貴和雄 永武 毅 田中 宏史 山内 壮一郎 那須 勝 後藤 陽一郎 山崎 透 永井 寛之 生田 真澄 時松 一成 一宮 朋来 平井 一弘 河野 宏 田代 隆良 志摩 清 岳中 耐夫 斎藤 厚 普久原 造 伊良部 勇栄 稲留 潤 草野 展周 古堅 興子 仲宗根 勇 平良 真幸
出版者
Japanese Society of Chemotherapy
雑誌
日本化学療法学会雜誌 = Japanese journal of chemotherapy (ISSN:13407007)
巻号頁・発行日
vol.43, pp.333-351, 1995-07-31
被引用文献数
2

新規キノロン系経口合成抗菌薬grepafloxacin (GPFX) の内科領域感染症に対する臨床的有用性を全国62施設の共同研究により検討した。対象疾患は呼吸器感染症を中心とし, 投与方法は原則として1回100~300mgを1日1~2回投与することとした。<BR>総投与症例525例のうち509例を臨床効果判定の解析対象とした。全症例に対する有効率は443/509 (87.0%) であり, そのうち呼吸器感染症432/496 (87.1%), 尿路感染症11/13 (84.6%) であった。呼吸器感染症における有効率を疾患別にみると, 咽喉頭炎・咽頭炎19/22 (86.4%), 扁桃炎17/18 (94.4%), 急性気管支炎53/58 (91.4%), 肺炎104/119 (87.4%), マイコプラズマ肺炎17/19 (89.5%), 異型肺炎5/5, 慢性気管支炎117/133 (88.0%), 気管支拡張症48/63 (76.2%), びまん性汎細気管支炎17/19 (89.5%) および慢性呼吸器疾患の二次感染35/40 (87.5%) であった。<BR>呼吸器感染症における細菌学的効果は233例で判定され, その消失率は単独菌感染では154/197 (78.2%), 複数菌感染では22/36 (61.1%) であった。また, 単独菌感染における消失率はグラム陽性菌48/53 (90.6%), グラム陰性菌105/142 (73.9%) であり, グラム陽性菌に対する細菌学的効果の方が優れていた。呼吸器感染症の起炎菌のうちMICが測定された115株におけるGPFXのMIC<SUB>80</SUB>は0.39μg/mlで, 一方対照薬 (97株) としたnornoxacin (NFLX), onoxacin (OFLX), enoxacin (ENX) およびcipronoxacin (CPFX) はそれぞれ6.25, 1.56, 6.25および0.78μg/mlであった。<BR>副作用は519例中26例 (5.0%, 発現件数38件) にみられ, その症状の内訳は, 消化器系18件, 精神神経系13件, 過敏症3件, その他4件であった。<BR>臨床検査値異常は, 490例中49例 (10.0%, 発現件数61件) にみられ, その主たる項目は, 好酸球の増多とトランスアミナーゼの上昇であった。いずれの症状, 変動とも重篤なものはなかった。<BR>臨床効果と副作用, 臨床検査値異常の安全性を総合的に勘案した有用性については, 呼吸器感染症での有用率422/497 (84.9%), 尿路感染症で10/13 (76.9%) であり, 全体では432/510 (84.7%) であった。<BR>以上の成績より, GPFXは呼吸器感染症を中心とする内科領域感染症に対して有用な薬剤であると考えられた。
著者
福島 卓矢 辻 哲也 中野 治郎 石井 瞬 杉原 進介 佐藤 弘 川上 寿一 加賀谷 斉 田沼 明 関根 龍一 盛 啓太 全田 貞幹 川井 章
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.143-152, 2023 (Released:2023-05-16)
参考文献数
24

【目的】がん診療連携拠点病院における入院がんリハビリテーション(リハ)治療の詳細を明らかにし,基礎データを確立することである.【方法】質問紙を用いた調査研究であり,リハ専門職種を対象に,施設概要,入院がんリハ実施の有無,Dietz分類,対象疾患,治療内容を調査した.【結果】Dietz分類の回復で最も関わりが多く,対象疾患は肺,大腸,血液,胃,肝・胆・膵がんの順に多かった.大腸や胃がんでは一般病院,血液がんでは大学病院,骨軟部腫瘍ではがん専門病院,口腔・咽頭・喉頭がんでは大学病院およびがん専門病院での実施割合が有意に高かった.治療内容は歩行練習が最も多く,次いで筋力増強練習,基本動作練習,日常生活動作練習,呼吸リハと続いた.呼吸リハにおいては,大学病院および一般病院での実施割合が有意に高かった.【結論】施設特性に応じて入院がんリハが実施されており,これらの効果検証と発展が課題である.
著者
関 剣平 Jinping Guan
出版者
国立民族学博物館
雑誌
国立民族学博物館研究報告 = Bulletin of the National Museum of Ethnology (ISSN:0385180X)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.283-314, 2002-11-20

中国茶史上,陸羽の『茶経』があまりにも重要な文献であるため,宋代以降の茶史は唐代の陸羽をもって茶の始源として叙述する傾向が強く,その前代の魏晋南北朝時代への注目が少なかった。しかし,『茶経』が説くように魏晋南北朝時代は喫茶風習の成立期として非常に重要である。そこで同時代の史料を精査し,「風流」と「倹」の思想を軸に喫茶文化の動向を考え,さらに同時代の各社会階層における喫茶風習の受容の状況を明らかにした。あわせて『茶経』の記事を再検討し,史料批判を行った。