著者
山内 恭 森本 真司 青木 周司 菅原 敏
出版者
国立極地研究所
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

南極域成層圏における温室効果気体の分布と変動を明らかにするため、 様々な改良を加えた小型成層圏大気サンプラーを南極・昭和基地から小型気球を用いて飛揚し、 14-29km の4 高度においてそれぞれ10.7 から7.0L(標準状態)の大気試料を採取することに成 功した。大気試料の精密分析によって、CO2、CH4、N2O、SF6 濃度、及びO2/N2 比、Ar/N2 比の鉛直 分布と経年変化が明らかになった。
著者
油布 佐和子 越智 康詞 紅林 伸幸 中澤 渉 川村 光 山田 真紀
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究は、今世紀に入って加速的に進行した新自由主義的な教育改革が教職に及ぼす影響を分析することを目的としている。15年間の時系列調査を分析した結果、教職観や役割認識などに変容が見られ、教師が「組織の一員としての教師」への志向性を強めていることが明らかになった。しかしながらこれを、新自由主義的な理念への賛同と解釈するのは妥当ではない。そうではなくて、外部に見えにくく理解されがたい<教師という仕事>を、新自由主義的教育改革が可視化する側面を持っていることによるものではないかと推測された。
著者
山口 弘純
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究では地下街やビル屋内での人々の位置・行動情報を,特別な測距デバイスやインフラを必要とせず,高精度かつリアルタイムに推定する技術(位置行動推定技術)と,それに基づき位置情報サービスを提供するミドルウェアの設計開発を行った.スマートフォンが備える加速度センサー・ジャイロ,電子コンパスの情報を取得し,センサーデータを活用した位置推定技術を開発実装し,イベントスペースや商業施設等を含む様々なアプリケーションシナリオにおけるシミュレーション実験ならびに実証実験を実施することでその有効性を示した.
著者
田村 俊作 三輪 眞木子 池谷 のぞみ 齋藤 泰則 越塚 美加 河西 由美子 齋藤 誠一
出版者
慶應義塾大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

公共図書館の課題対応型サービスが定着するための条件を明確にすることを目的に各種調査を行い,以下の点を明らかにした。(1)サービスは複合的であり,重点の置き方は図書館により異なる。(2)図書館員はサービスの多様性を容認している一方,業務負担の増大に対して根強い抵抗がある。(3)従って,課題対応型のサービスに対する図書館員の理解と参加,および必要な技能の獲得が鍵となる。(4)また,関連組織との協働型の連携がサービス展開に効果的である。
著者
中崎 清彦 苅田 修一
出版者
静岡大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

コンポスト原料中に含まれる油脂分の分解を促進する高速コンポスト化の研究過程で、油脂分が活発に分解されているときにアンモニア臭の発生が劇的に低減される。コンポスト化における窒素の収支を詳細に検討し、アンモニア臭の低減効果は油脂の分解中間体にアンモニアが中和されるためのではなく、油脂分解菌の菌体合成にアンモニアが使用されるためであることを確かめた。また、トリブチリンを含有するLBTR培地上で油脂分解微生物を計数したところ、油脂分解微生物はコンポスト化中盤以降に増殖し、アンモニア臭低減効果の発現とよく一致する結果が得られた。なお、LBTR培地上で優勢な好熱性細菌LT1株、およびLT4株を単離し同定した。さらに、微生物叢をDGGE解析装置で解析したところ、油脂分解菌LT1株、およびLT4株と協同して作用する微生物として、新たな微生物DOM-1の存在を確認するとともに、遺伝子の配列情報からDOM-1を同定した。DOM-1は油脂含有培地での生育が確認されず、現在まで純粋培養を確立するに至っていないが、油脂を含まず、アンモニア臭低減効果も見られないコンポスト化ではDOM-1が検出されないことから、DOM-1は油脂分解菌LT1株、およびLT4株との相互作用を及ぼしながら共存しているものと考えられた。また、油脂分解微生物、および油脂分解微生物と協同して働く微生物の初期濃度を高めるために、油脂が活発に分解されているコンポストの製品を種菌として返送したところ、油脂の分解を早めアンモニア臭低減にも効果があることを明らかにした。
著者
小沢 修司 山森 亮 平野 寛弥 堅田 香緒里 鎮目 真人 久保田 裕之 亀山 俊朗 小林 勇人 村上 慎司 村上 慎司
出版者
京都府立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009-04-01

本研究は、研究者と市民のネットワーク形成から生み出された議論を通じて、ベーシック・インカムに関する三つの目的を総合的に検討した。第一に、生存権・シティズンシップ・互酬性・公共性・フェミニズム思想といったベーシック・インカムの要求根拠を明らかした。第二に、ベーシック・インカムに関する政治的・財政的実現可能性を考察した。第三に、現行の年金や生活保護のような所得保障制度の問題点とベーシック・インカムにむけた改良の方向性を議論した。
著者
錦戸 典子 山﨑 恭子 三橋 祐子 白石 知子 掛本 知里
出版者
東海大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010-04-01

現代社会が求める保健師に必要な専門能力と育成方策を明らかにすることを目的に、これまで研究が遅れている産業保健分野の保健師(産業保健師)を中心に検討した。一企業において産業保健師に求められる専門能力を明らかにするとともに、その向上を目指した育成プログラムを開発・試行し、実際に効果があることを検証した。また、より汎用的に産業保健師に必要な専門能力を明確化・構造化することを目指して、熟練産業保健師への個別インタビューならびにフォーカス・グループ・インタビュー調査を実施し、支援過程に沿った各場面において産業保健師として必要な専門能力の詳細を明らかにした。
著者
高田 潤一 山口 しのぶ 廣瀬 幸夫 山岡 克式
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

ラオス人民民主共和国ルアンパバーンでは,伝統的な建造物と植民地時代の建造物が融合した優れた街並みが1995年に世界遺産に指定された.しかし,2007年に行われた世界遺産センターの調査では,違法建築の急増による危機遺産化の懸念が示唆された.従来の手作業による建築許可・管理では十分な情報分析が不可能な状況である.本研究では後発途上国という条件を踏まえた世界遺産管理のための持続可能な地理情報システムの利用に関して研究を行った.
著者
長崎 暢子 篠田 隆 田辺 明生 石井 一也 油井 大三郎 酒井 啓子 清水 耕介 井坂 理穂
出版者
龍谷大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究は、近年再評価されつつあるガーンディーに関する文献購読、史資料調査、および現地調査(インドのアフメダーバード、ワルダー、イギリスの大英博物館、南アフリカのダーバンなど)を行い、ガーンディーの歴史的役割の重要な一端(非暴力的な紛争解決)の詳細とその影響を明らかにすることが出来た。具体的には、彼は、当時の南アフリカに存在した紛争(人種差別)を非暴力的に解決する「方法としての非暴力」をこの時代に編み出し、それによって有色人種(インド人 & 中国人)に対する白人の人種差別の一角を崩すことに成功したのである。のみならず、この方法は、北欧、中東(イラン)の紛争解決、米国の人種差別反対運動にも影響を与えた。
著者
神田 隆 寺崎 哲也
出版者
山口大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

研究代表者の教室で世界に先駆けて樹立したヒト血液神経関門構成細胞株を用い、ヒト末梢神経疾患での血液神経関門(BNB)破壊メカニズムを検討した。ヒト免疫性末梢神経疾患患者の一部では、血清成分にBNBを破綻させる因子が含まれることが証明された。また、糖尿病性ニューロパチーで血清に高値となるAGEは、VEGFとTGFを介してBNBを破壊することが明らかとなった。バリアー構成内皮細胞膜に局在するトランスポーターは、新規治療の標的となり得ることが示唆された。
著者
松岡 裕美 岡村 眞
出版者
高知大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

宝永南海地震(西暦1707年)のように南海地震と東南海地震が連動する巨大型南海地震の再来周期を明らかにすること目的として、土佐湾沿岸域の津波堆積物の調査を行った。その結果、土佐市蟹ヶ池において過去2000年間の履歴を解明することができた。この結果は日向灘沿岸域で明らかにされている履歴と良い一致を示し、巨大型南海地震は300-350年程度の周期で発生していることが明らかになった。
著者
増田 智恵 乾 滋 團野 哲也 川口 順子 村上 かおり 與倉 弘子 岡部 秀彦 岡部 秀彦 松平 光男 永島 秀彦 杉山 元胤 小林 昌史 古田 和義 後藤 大介
出版者
三重大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

男女年齢を問わず3次元人体計測から仮想的に衣服用人台の生成と立体裁断による個人対応の基本ドレスとパンツのパターンを作成し,仮想衣服製作によるバーチャル試着を可能にして自己的・他者的な着心地確認までをほぼ自動化できた。同時に衣服選択・試着の視覚的支援体制や管理機能用としての3次元ファッションシステム開発用の人体の相同モデル化,体形イメージ分類,動作機能,デザイン感性,素材の感性予測などの情報を構築した。
著者
松元 俊 佐々木 司 吉川 徹
出版者
公益財団法人労働科学研究所
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

看護師の労働負担の実態と軽減策について、16時間2交代勤務と8時間3交代勤務の違い、16時間2交代夜勤における仮眠の効果、8時間3交代勤務における日勤短縮の効果を調べた。その結果、16時間夜勤では日勤-深夜勤の組合わせのある8時間夜勤と比べて疲労感に差がみられず、生活の質も改善していなかった。また生体リズムが日勤志向型を維持する16時間夜勤は,どの時刻帯に仮眠を取っても夜勤後半の眠気の訴えが多く患者の安全に係る潜在的な問題をはらんでおり,とりわけ後仮眠条件で問題が突出していた。8時間3交代勤務における半日勤-深夜勤への変更は夜勤前の睡眠時間を延長し、夜勤中の疲労感を抑制した。
著者
椎名 紀久子 嶋津 格 南塚 信吾 森川 セーラ 寺井 正憲 只木 徹
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本科研は、母語としての日本語と外国語としての英語で「批判的に思考」し「論理的に発信」できる力を小中高大で系統的に育成する指導システムを構築し、具体的な教材開発と授業提案を行うことであった。批判的思考の定義や研究史を踏まえたうえで研究を行った結果、外国語教育の分野だけでなく、倫理哲学と歴史学においても、批判的思考力育成のための教育方法をある程度提起することができた。
著者
加納 千恵子 衣川 隆生 小林 典子 酒井 たか子 小野 正樹
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2000

非漢字圏学習者の漢字語彙処理能力を字形識別力、意味理解力、読み処理能力、書き処理能力、用法処理能力、音声処理能力などの観点から測定するための標準テストを開発した。平成12年度は、筑波大学留学生センター及び米国カリフォルニア大学サンディエゴ校(UCSD)において予備テスト(第1版テスト)の実施・検討を行い、本テストに関する資料を準備し、次年度以降のテスト実施に協力してくれる機関、教育関係者に連絡を行った。平成13年度は、本テスト(第2版テスト)を完成し、筑波大及びUCSDにおいて実施、受験者のデータを収集した。また、テスト資料および実施マニュアルを作成し、本研究の協力校として米国ハワイ大学の日本語教育担当者に配布、3月に打合せと研究成果報告を行った。平成14年度は、第2版テストの結果の分析・考察を行って標準化を図り、その研究成果を米国カリフォルニア大学サンディエゴ校で7月11日〜14日に開催された第3回「日本語教育とコンピュータ」国際会議『CASTEL/J2002』において発表した。またその成果に基づいて、テスト問題の形式、内容を修正・改訂し、WEB上で受験可能な漢字語彙力測定テストのプロトタイプ版(第3版テスト)を完成した。そして筑波大の日本語コースにおいてこのWEB版テストを実施し、受験データを収集した。さらに、3月に韓国の慶熙大学校国際教育院を訪問し、現地の日本語教育関係者との意見交換および情報収集を行って、テスト受験者として想定している非漢字圏学習者の中に韓国人学習者を含めるかどうかを検討した。平成15年度は、WEB版テストの外部公開を目指し、筑波大においてさらに受験データを収集、テスト画面および内容の改善を行った。WEB版(プロトタイプ版)漢字語彙力測定テストは、海外の協力機関においては動作環境の確保が難しくまだ実施できていないが、最終年度に当たり、研究成果報告書および「受験のためのマニュアル」資料を作成して印刷した。
著者
岡 佳子 岡村 喜史 岸本 香織 西口 順子 杣田 善雄
出版者
大手前大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究は、日本の宗教とジェンダーを考えるうえで重要な尼門跡文書の分析を通じて、近世社会における尼僧と尼寺の役割を明らかにすることを目的に、(1)慈受院門跡所蔵の「総持院触留」の研究、(2)尼僧を中心とした女性ネットワークの研究(3)比丘尼御所、霊鑑寺門跡の工芸品の調査、以上の3点から研究活動を行った。4ヶ年の期間内に33回の尼寺研究会を開催し、元禄11年~享保21年までの「総持院触留」28冊を講読し、6回の霊鑑寺工芸品調査を実施して人形約170件・染織品約70件・陶磁器約100件の調査データを得ることができた。その成果を纏め、2013年3月に、研究論文6、「総持院触留史料集」を収載した研究報告書を刊行した。本研究によって尼寺を背負う立場にある尼僧たちが積極的に社会に関わっていく姿が明確になった。
著者
増井 志津代 大塚 寿郎 高柳 俊一 飯野 友幸 金山 勉 石井 紀子
出版者
上智大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

本研究は、17世紀植民地時代から21世紀に至るまでのアメリカ史におけるキリスト教の果たした歴史的、社会的、文化的役割を特に土着化(Contextuahzation;Americanization)の視点から通史的かつトピカルに分析研究することを目指した。従来の神学的キリスト教研究や教派研究というよりも、キリスト教の果たした役割を宗教史の狭い領域的研究の枠組みから解放し、より広い歴史的、地理的、社会的状況におけるダイナミズムの中で検証し、アメリカ的キリスト教の特性、さらにアメリカ化の過程を詳細に検討することとした。さらに、アメリカ人宣教師による日本における宣教活動を追うことにより、アメリカニズムとキリスト教との関係にも注目した。タイムスパンを長期に設定することで、通事的な研究を目指し、日米から多様な研究者を集めた。初年度には、初期アメリカ研究者David D.Hall教授を招聘し、植民地時代ピューリタニズムについての研究会を開催した。平成18年度は、Richard W.Fox教授を迎え、アメリカ文化とキリスト教についての研究会を開いた。両教授とも、専門研究者との交流だけでなく、ひろく一般、学生に向けた講演も行ない、本領域における学的関心を広く喚起できた。Mark A.Noll教授は来日は果たせなかったが、福音主義とアメリカ政治の関係についての論文を最終報告書に寄稿した。研究代表者、分担者共に、日本とアメリカを往復し、国内外での研究交流をはかると共に、リサーチを勢力的に行ない、学会発表、論文出版により成果を発表した。報告書は今後、研究書としてまとめ、出版を予定している。
著者
尼ヶ崎 彬 副島 博彦 貫 成人 石渕 聡 荒谷 大輔 島津 京 丹羽 晴美 岡見 さえ
出版者
学習院女子大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

コンテンポラリーダンスは、1990年前後に世界各地で生まれ、わが国もその中心のひとつである。本研究は、その公演規模(社会的ニーズ)、美的質、社会基盤(政府などによる支援など)について、過去25年分10万件におよぶ統計資料作成、各国政府資料調査、聞き取りなどをおこない、各国の状況を明らかにした。その結果、公的支援が貧弱なわが国においても、公演数/支援額比においては見るべきものがあることなどが明らかになった。
著者
林 隆志 村上 和雄 林 啓子 河合 徳枝
出版者
(財)国際科学振興財団
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

笑いやすい体質作りのためのトレーニング法を開発し、その効果を分子生物学的に検証した。トレーニング後のコミックビデオ鑑賞で脳波・α2帯域成分(生命維持中枢部の活性を反映)が増加する被験者の笑い体験後で発現が変化している遺伝子を抽出しオントロジー解析した結果、発現増加している遺伝子は免疫系に関連し、発現減少している遺伝子は癌に関連する遺伝子であった。また、これらの被験者では、α2帯域成分の増加を認めない被験者と比較して、平常時の同一カテゴリーに属する遺伝子の発現にも差を認めた。
著者
玉田 芳史 河原 祐馬 木之内 秀彦 戸田 真紀子 木村 幹 岡本 正明 村上 勇介 藤倉 達郎 横山 豪志
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

民主主義が政治のグローバル・スタンダードになった今日でも、軍事クーデタは生じうることを複数の事例の比較研究から確認した.1 つには、政治の民主化が進んで、軍があからさまな政治介入を控えるようになっても、軍が政治から完全に撤退することは容易ではないからである.もう1 つには、クーデタに対する国際社会からの歯止めは、軍首脳が国際関係よりも国内事情を優先する場合には、あまり強く機能しないからである.