著者
木村 草太
出版者
首都大学東京
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

アメリカ法とドイツ法の研究から、平等権と平等原則の内容を整理した。また、アメリカの最高裁判所、ドイツの憲法裁判所の判例研究からこの分野の訴訟における道具立てを整理した。これらを前提に、非嫡出子の法定相続分、ムスリム情報収集事件、公務員の政治活動、憲法における外国人の地位、アメリカ憲法第14修正の最新判例、自治体間の平等、一票の格差、同性婚、夫婦別姓について研究し、その成果を論文まとめた。
著者
横堀 伸一
出版者
東京薬科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

尾索動物の複数ミトコンドリアゲノムの全塩基配列の決定を行い、一次配列とそれ以外の高次情報に基づいて分子系統解析を行い、尾索動物の進化経路を明らかにすることを試みた。5種の尾索動物ミトコンドリアゲノムの全塩基配列を決定し、そのゲノムの多様性(遺伝子構造、コードする遺伝子の種類等)を明らかにした。また、分子系統解析から、タリア綱とホヤ綱腸性目の近縁性を示唆した。
著者
小川 剛生
出版者
慶應義塾大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

2019年度は今川義元の生誕500年に当たる。そこで黒田基樹によって企画された論文集『今川義元』に、「今川文化の特質-和漢聯句を視座として」と題して論文を執筆した。この論文は、当該研究の成果をもとに、義元が主催したり、あるいは参加した和漢聯句・漢和聯句の催し四度を取り上げて、その開催事情・句意・連衆などを整理し、その意義を述べたものである。これによって、和漢聯句が、たんに文化のみならず、朝廷・幕府との交渉や領国支配といった政治的な活動においても、極めて重要な役割を果たしていることを実証できたと考えられる。それはまた戦国国家を構成する人々、すなわち国衆、内衆、さらに在国する公家衆、また五山・妙心寺派の禅僧とが教養も階層も異にしながら、同座しての交歓や交渉がしばしば和漢聯句・漢和聯句によって可能となり、彩られていた事情を強く示唆するのである。こうした和漢聯句の流行の前提には、中国宋元版の韻書の将来、五山版などの刊行が深く関係する。これらを活用した事例がいつまで遡るか、調査研究を進めた。とりわけ宋末に成立した分類体通俗韻書である、分門纂類唐宋時賢千家詩選に着目し、南北朝中期、頓阿が開催した句題百首が、その源泉をこれに仰いでいる事実を明らかにした。これは論文「頓阿句題百首の源泉-宋末元初刊の詩選・詩話・類書との関係を中心に」(藝文研究117)として公表した。さらに7月12日から14日にかけては、国文学研究資料館の教員と合同で、九州国立博物館での「室町将軍」の展示見学、および九州大学附属図書館の雅俗文庫、祐徳稲荷神社(鍋島直朝の蔵書)、福源寺(佐賀県鹿島市)の滴水文庫(梅嶺道雪の蔵書)における室町期漢文学文献の調査を行って、多くの知見を得ることができた。また10月1日は川越市立中央図書館・遠山記念館の調査を行い、11月23日は京都大学文学部における和漢聯句研究会に参加した。
著者
原田 浩二 小泉 昭夫 Steinhauser Georg 新添 多聞
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

福島第一原子力発電所におけるがれき撤去作業に伴う原子炉3号機建屋からの放射性物質放出量を基にした大気拡散シミュレーションを行い、2013年8月に南相馬市で実測された大気中濃度、降下量を再現した。粉じんが降下したとされる南相馬市原町区10地点で、撹乱されていない箇所での土壌試料21検体について放射性ストロンチウム、プルトニウム分析を実施し、放射性ストロンチウムは比較的高い地点が見られるなど挙動、拡散は異なる可能性が示唆された。これらの結果から、二次拡散における粗大粒子の拡散は降下物量に有意な影響を与え、コメをはじめとする農産物汚染を引き起こしうることが示された。
著者
石川 准 松原 聡 湯瀬 裕昭 菊池 尚人 松原 洋子 山口 翔 南谷 和範 河村 宏
出版者
静岡県立大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2012-04-01

100名の参加者による共同自炊型電子図書館実証実験を行った。情報提供施設に裁断・スキャン・OCR作業を委託し、3年間で1052冊をテキスト化した。参加者へのアンケート調査を毎年実施し、満足度や課題について分析を行った。参加者のコミットメントとインセンティブに影響を与える要素を検証するため、見出しマークダウン対応の読書アプリの作成や、OCR認識精度向上のための誤り補正ソフトウェアの開発を行い、その有効性を検証した。アメリカのBookshare、フランスの国立国会図書館、ジュネーブ国際電気通信連合において現地調査を実施し、電子書籍のアクセシビリティを推進するための制度・政策に関して知見を得た。
著者
三浦 典正
出版者
鳥取大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

癌細胞を形態上は正常形質に回帰させるヒトマイクロRNAを発見した。それは未分化型肝癌細胞の肝組織形成、奇形腫形成で発見し、そのメカニズム解析を本検討で行った。脱分化誘導の実態を、導入後3日目、5日目、7日目と経時的にそのDNAメチル化レベル及びRNAメチル化レベルを検討し、脱メチル化誘導が原因が重要な原因の1つと考えられた。メタボローム解析では、5日目にsilencingされ、その2日後にiPS細胞レベルの別の種類の細胞になることが分かった。520dの標的遺伝子の検討では、ELAVL2をはじめとする計3種類をルシフェラーゼアッセイで同定し得た。癌細胞は正常細胞になり得る初めての報告である。
著者
野尻 美保子 兼村 晋哉 阿部 智広
出版者
大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2011-04-01

[1]LHC 実験の新粒子探索では、大きなバックグラウンドとなるQCD 相互作用が問題になるが、その QCDの特性を研究し新粒子を探索する新しい方法を多数提案した。[2]宇宙に存在することが明らかな暗黒物質を含む模型について総合的に検討を行い、LHCでの模型の検証可能性を明らかにした。[3]ヒッグス粒子の発見に伴いRandall-Sundrum 模型, 超対称模型等についてHiggs の性質の測定で新物理を詳細を明らかにできることを示した。電弱対称性の破れの背後の物理や標準理論で説明できない諸現象(暗黒物質、バリオン数生成、ニュートリノ質量)とヒッグス物理の関係を研究した。
著者
福田 一彦
出版者
福島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

3歳から5歳までの保育園児を対象に、保育園での昼寝の効果を検討する目的で、平日から週末にかけて、活動量記録装置(ActiWatch)を用いて活動量の連続記録を行った。4歳児では、週末に自宅で自発的に昼寝をとる子どもの割合は3割を下回る。活動量のデータから、自然な状態で昼寝をしない子どもに約1時間半の午後の長い昼寝を課すことで、夜間睡眠の開始時刻が1時間以上後退することが明らかとなった。
著者
東 俊佑
出版者
北海道博物館
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01

この研究では、サハリン(樺太)西海岸のウショロ場所(現在のロシア・サハリン州、オルロヴォ)のアイヌの給料、手当の額が個人ごとに記された帳簿『北蝦夷地用』の内容を分析した。この帳簿の分析から、次の3つのシステムの存在が明らかとなった。第一は、「給料勘定」である。これは、13~59歳を対象に、会所がアイヌを労働に従事させるシステムであった。第二は、「撫育」である。「撫育」とは、5~12歳、及び60歳以上を対象に、一人につき1日米2合を支給するしくみであった。第三は、高齢者、鰥寡孤独者、長病者を対象とした特別な「撫育」である。これは長寿の人や生活困窮者に「手当」を支給するしくみであった。
著者
金子 明 皆川 昇 城戸 康年 加賀谷 渉 上坂 侑子
出版者
大阪市立大学
雑誌
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
巻号頁・発行日
2018-10-09

本研究計画は、ケニア・ヴィクトリア湖内島嶼におけるイベルメクチンとアルテミシニン併用療法の集団投薬による介入試験によって、マラリア伝播へのインパクトを検証し、新規媒介蚊対策としてのイベルメクチンによるマラリア制圧の概念実証を目指すものである。現在、イベルメクチンの対照として、新規媒介蚊対策法である天井式蚊帳の検証を進めている。本年度は、新型コロナウイルス感染症拡大のため、現地への渡航、研究推進が制限されたが、現地共同研究者ならびに現地NGOへの業務委託により、遠隔での研究推進の体制が整備された。この体制により、天井式蚊帳の大規模なクラスター無作為化群間比較対照試験(CRCT)をムファンガノ島において実施する準備が進められた。2000家族、10,000人の情報と家屋構造の情報を収集し、CRCTに必要なクラスター設計を行った。来年度中には介入を開始し、その評価を行う予定である。また並行して、媒介化対策法の検証において、交絡因子となりうる他の介入試験(室内残留型殺虫剤噴霧(IRS))の効果を、内陸部において検証した。ホマベイ郡とUSAIDのプログラムによりIRSが4年間実施された内陸部ではRDTによるマラリア感染率が50%から10%まで減少、低度流行が維持されているが、IRSが1年目で中断されたムファンガノ島では、同様の減少後の伝播再興が確認され、介入の中断により即時的な再興が起こりうるリスクが示唆された。こうした最高の危険性にイベルメクチンによる集団投薬、あるいは天井式蚊帳がどのように対処できるかを、来年度の検証事項とする予定である。
著者
松田 利彦
出版者
国際日本文化研究センター
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

日本統治下朝鮮では、米ロックフェラー財団の働きかけのもと、医学校・大学医学部改革を通じた公衆衛生改革が構想され、そのもとで公衆衛生学が形成されていく。1910年代においては、ロックフェラー財団は宣教師系私立学校であるセブランス医学専門学校への支援の可能性を考えていたが、1920年代以降は、日本植民地初の京城帝国大学の創建に着目し、初代医学部長志賀潔と接触しながら、朝鮮を日本帝国における公衆衛生改革の拠点にしうると考えるに至った。このようなロックフェラー財団のもたらした実際の改革、水島治夫のアメリカ派遣、そしてその遺産を戦後日本と韓国にまで射程を伸ばしながら検討した。
著者
奥野 淳也
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2011

平成25年度の中心的課題は、北欧諸国の中央地方改革を、福祉国家形成・再編の政治過程との関係性に着目しながら、分析する作業である。昨年度は、スウェーデンのレギオン設置改革の考察を主たる論題としたが、本年度はそれに引き続き、分析対象をデンマークにも広げ、北欧近接比較の観点から検討することを試みた。北欧諸国を一つの「北欧モデル」論で語る論調がある一方で、その類似性の中の差異に着目した秀逸な比較研究がこれまで多く出されてきた。その厚い基盤を吸収しつつ、福祉国家再編期の北欧二国の政治現象を比較の枠組みの中で捉えるべく、その準備の考察を進めた。成果は、2014年6月の日本比較政治学会において報告されることが予定されており、目下その用意を進めている段階である。また、両国の福祉国家形成のプロセスについて、その収敏一分岐(類似性と差異性)のダイナミズムを、歴史的な時間軸の中に置き直し、その位置づけを考究する作業にも取り組んでいるが、これに関しては、学位請求論文執筆時までの続行課題としたい。北欧における市民社会論・国家社会関係をめぐるトピックスを検討する作業も、関連文献の収集. 読解を、引き続き、行っていく。
著者
中村 滋延 矢向 正人 西田 紘子
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

作曲家今史朗(コン・シロウ)は1940年代から1977年に没するまで創作活動を福岡で行っていた.早くから電子音楽に取り組み,前衛的な音楽を次々と作曲・発表していた.しかし彼は福岡以外ではまったく知られていない.福岡においても,死後,彼は忘れられた作曲家になってしまった.私は偶然のキッカケで彼の作品の楽譜と録音を預かることになった.そこではじめて彼の作品に触れ,その作品のレベルの高さに驚嘆した.彼の作品の素晴らしさを多くの人に知らせたい.そのために,本発表では,彼の作曲活動の軌跡を明らかにし,代表的な作品を分析紹介した.今史朗は当時の前衛音楽の歴史を体現した作曲家である。
著者
打出 喜義 杵淵 恵美子 水野 真希
出版者
金沢大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2010

日本では「掻爬」(D & C)法が主流とされながら、その実態は不明であった。我々は日本の中絶実態を明らかにするため、産婦人科医および看護者を対象に調査を実施した。その結果、D & Cが今でも最も使われている方法であること、WHOが標準的だとする2つの初期中絶法(吸引と薬物)のいずれも、日本ではあまり使われていないこと等が初めて明らかになった。より安全で信頼のおける医療を提供するため、知識を広め認識を改める必要がある。
著者
十字 猛夫 朴 京淑 金 相仁 朴 明姫 竹内 二士夫 徳永 勝士 PARK Myong Hee KIM Sang In PARK Kyoung Sook
出版者
東京大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1990

大韓民国ソウル市に在住する30家系,家族員計150名より血液試料を得て,HLAーA,B,C,DR,DQ型,及びHLAに連鎖する補体成分C4,B因子(BF)のアロタイプを検査した。なお、各家族には,少なくとも3人の子供がいることを条件とした。この結果から両親集団におけるMHC(主要組織適合性複合体)ハプロタイプ計120本を決定した。なお,これは韓国人のHLA分布に関する最初の大規模な家系調査である。この結果より,韓国人における代表的なMHCハプロタイプを求め,さらに,すでに我々が行なってきた日本人や北部中国人での結果と比較した。その概要は以下のようにまとめられる。1)韓国人で見出されたMHCハプロタイプは,我々が以前に調査した日本人や北部中国人で見出されたMHCハプロタイプと基本的に類似しており,ヨ-ロッパ人で報告されているMHCハプロタイプとは全く異なる。2)しかしながら,より詳細に見ればこれら東アジアの諸集団の間にも有意な差が認められる。すなわち,日本人・韓国人・北部中国人におけるMHCハプロタイプの頻度分布を比較すると,日本人と北部中国人の関係が最も遠く,韓国人は両者の中間に位置し,やや日本人により近い特徴をもつことが明らかとなった。3)以下,具体例をあげる。まず,韓国人で最も多いMHCハプロタイプ,Aw33ーB44ーBFFーC4A3ーC4B1ーDRw13ーDQw1は8%の頻度で見出された。このMHCハプロタイプは日本人でも2番目に多いハプロタイプであるが,中国人ではまれなものであった。このように,日本人と韓国人で共に頻度が高い一方,中国人ではまれなMHCハプロタイプとしては,A24ーCw7ーB7ーBFSーC4A3+3ーC4B1ーDR1ーDQw1や,A2ーCw11ーBw46ーBFSーC4A4ーC4B2ーDRw8ーDQw1,あるいはA11ーCw4ーBw62ーBFSーC4A3ーC4B1ーDR4ーDQw3などが見出された。4)日本人で最も多いことが知られているMHCハプロタイプ,A24ーBw52ーBFSーC4A3+2ーC4BQOーDR2ーDQw1は韓国人でも比較的高い頻度で見出された。我々はこのMHCハプロタイプを北部中国人でも高い頻度で見出している。このように,3集団に共通して見出されたMHCハプロタイプとしては,A2ーCw11ーBw46ーBFSーC4A4ーC4B2ーDR9ーDQw3があるが,このハプロタイプの場合には,日本人と韓国人でやや頻度が低くなっていた。5)上記3)と対照的に,北部中国人で最も多いMHCハプロタイプ,Aw30ーCw6ーB13ーBFSーC4A3ーC4B1ーDR7ーDQw2は韓国人でも4%以上の頻度で見出されたが,このハプロタイプは日本人ではごくまれなものである。6)以上のような結果より,我々は東アジア諸集団におけるMHCハプロタイプの分布状況から組先集団の複数の移動,拡散ル-トを推定した。まず第一に中国地方から朝鮮半島を経由して北九州および本州中央部に至るル-トである。これは,A24ーBw52ーBFSーC4A3+2ーC4B1ーDR2ーDQw1を持つ集団で代表される。7)第2に朝鮮半島から日本海を越えて,本州中央部の日本海側に至る移住ル-トである。これには,Aw33ーB44ーBFFーC4A3ーC4B1ーDRw13ーDQw1や,A24ーCw7ーB7ーBFSーC4A3+3ーC4B1ーDR1ーDQw1あるいはA11ーCw4ーBw62ーBFSーC4A3ーC4B1ーDR4ーDQw3などを持つ先組集団が含まれていたと考えられる。8)第3に,中国北部から南下し,朝鮮半島にもやって来たが,日本列島には殆ど到達しなかったグル-プがあったものと考えられる。このグル-プが持っていたMHCハプロタイプが,Aw30ーCw6ーB13ーC4A3ーC4B1ーDR7ーDQw2であったと考えられる。以上のように,家系調査に基づくMHCハプロタイプの分布調査は,互いに近縁な集団間の遺伝的関係を探るために,極めて有力なマ-カ-となることが分かった。
著者
岩井 洋
出版者
関西国際大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2001

本研究の目的は、いわゆる「カルト」への入信と、集団内において信仰が維持されるメカニズムを、「嗜癖」(addiction)という概念を導入することで明らかにしようとするものである。なお、本研究は、特定教団を対象とした実証的研究というよりかは、「カルト」研究に新しい視点を導入するための、文献資料による基礎的枠組みの構築をめざすものである。本年度は、平成13年度における研究、すなわち、(1)「嗜癖」概念の検討、(2)「カルト」への入信と信仰維持における個人レベルでの「嗜癖」の解明、を基盤とし、個人の宗教的「嗜癖」を促進する組織的な仕組みの解明を中心に研究を行なった。従来、「カルト」における入信と信仰の維持を論じる際、「受動的な心理的操作」(マインド・コントロール)か「能動的選択」(合理的選択)か、という二分法的な視点が用いられてきた。本研究では、マインド・コントロール理論と合理的選択理論という、対立する二つの立場を架橋するために、「嗜癖」概念と組織論的な視点を導入した。その結果、入信に際しては、ある程度の主体的な選択行動がみられるが、入信後は、容易に脱会できないような組織的な仕組み、すなわち宗教的「嗜癖」を促進するような仕組みが作り上げられ、さらにこの仕組みは、教義・儀礼や日常の宗教実践によっても補強されていることが明らかになった。したがって、本研究では、マインド・コントロールか合理的選択かという、二者択一の選択ではなく、両者を統合したモデルに向けての基盤を構築したといえる。
著者
鈴木 珠水 馬醫 世志子
出版者
群馬パース大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

県内21校の高校生を対象に質問紙調査を行い、4,630名(有効回答率80.2%)から協力を得た。QEESI(化学物質過敏症のスクリーニング検査)で「化学物質暴露による反応」≧40、「症状」≧20、「日常生活の支障の程度」≧10の3条件が揃った対象者は415名(8.9%)であった。これを高リスク群とし、その他を対照群として化学物質過敏症の関連因子を検討したところ、「女性」、「アトピー性皮膚炎がある」、「金属アレルギーがある」、「手足の冷えがある」、「疲労を感じやすい」、「新築入居経験がある」、「異臭を感じている」、「自覚ストレスが多い」ことが化学物質過敏症の発症に関係すると考えられた。
著者
宝達 勉 高野 友美 土岐 朋義
出版者
北里大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

猫伝染性腹膜炎(FIP)はネコ科動物の致死性ウイルス感染症である。未だにFIPに対する有効な治療方法は報告されていない。我々は抗FIPV薬の検討と共に、新たに同定した抗FIPV薬を猫に投与して、FIPV感染に対する影響を調べた。その結果、細胞内コレステロールの輸送阻害薬であるU18666Aが野外に多く存在するI型FIPVの増殖を強力に抑制することを発見した。また、U18666Aを投与した猫においてFIP発症が抑制または遅延する可能性を確認した。さらに、獣医臨床で抗真菌薬として一般的に使用されているイトラコナゾールがU18666Aと同様の抗ウイルス作用を示すことを発見した。
著者
岡野 八代 野口 久美子 合場 敬子 影山 葉子 内藤 葉子 石井 香江 牟田 和恵
出版者
同志社大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究の成果は、歴史的に、ほとんどの社会で女性たちが担ってきたケア実践、すなわち、育児や家事、介護や看護の経験から、女性の身体性がいかに社会的に構築されてきたかを分析し、身体をめぐる脆弱性の社会的意味や女性たちの意思決定のあり方に新しい光を当てた。本研究を通じて発表された論文・著書は、これまで社会的に過小評価されるか、社会的弱者へと押しつけられがちなケア実践を再評価するために、思想的、歴史的、そして実践現場のなかで、ケア実践の意味を新たに問い返した。
著者
日野林 俊彦 赤井 誠生 金澤 忠博 大西 賢治 山田 一憲 清水 真由子
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

2011 年 2 月に日本全国より 45,830 人の女子児童・生徒の初潮に関わる資料を収集した。プロビット法による日本女性の平均初潮年齢は 12 歳 2.3 ヵ月 (12.189 歳)で、現在 12 歳 2.0ヵ月前後で、第二次世界大戦後二度目の停滞傾向が持続していると考えられる。初潮年齢は、睡眠や朝食習慣のような健康習慣と連動していると見られる。平均初潮年齢の地域差は、初潮年齢が各個人の発達指標であるとともに、進化的指標でもあり、さらには国内における社会・経済的格差や健康格差を反映している可能性がある。