著者
藤崎 清孝 立居場 光生
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

次世代の高速衛星通信・放送の回線品質安定化を目標に、マルチビーム衛星に対して以下の結果を示した。(1)降雨が回線に与える影響を気象予測データから予測し、送信電力制御等を行う対策は有用である。(2)効果的補償には、より短時間の降雨予測と対応が必要である。(3)短時間に強い雨が降る場合には、送信電力の制御だけでなく、符号化率や伝送速度の変更などの対策も必要である。また、大気が回線品質に与える影響を評価し、アンテナサイズが大きくなると大気揺らぎの影響が無視できないことを示した。
著者
野間 晴雄 森 隆男 高橋 誠一 木庭 元晴 伊東 理 荒武 賢一朗 岡 絵理子 永瀬 克己 朴 賛弼 中俣 均 平井 松午 山田 誠 山元 貴継 西岡 尚也 矢嶋 巌 松井 幸一 于 亜 チャン アイン トゥアン グエン ティ ハータイン チャン ティ マイ・ホア 水田 憲志 吉田 雄介 水谷 彰伸 元田 茂光 安原 美帆 堀内 千加 斎藤 鮎子 舟越 寿尚 茶谷 まりえ 林 泰寛 後藤 さとみ 海老原 翔太
出版者
関西大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2010-04-01

東アジア世界に位置する歴史的地域としての東シナ海,日本海,黄海・渤海・中国東北地方,広義の琉球・ベトナム,朝鮮半島の5つの部分地域として,環東シナ海,環日本海沿岸域の相互の交流,衝突,融合,分立などを広義の文化交渉の実体としてとらえる。それが表象された「かたち」である建築,集落,土地システム,技術体系,信仰や儀礼,食文化等を,地理学,民俗建築学,歴史学・民俗学の学際的研究組織で,総合的かつ複眼的に研究することをめざす。いずれも,双方向の交流の実体と,その立地や分布を規定する環境的な側面が歴史生態として明らかになった。今後はこの視点を適用した論集や地域誌の刊行をめざしたい。
著者
安光ラヴェル 香保子 滿田 直美 鈴木 恵太 栄徳 勝光 菅沼 成文 GILLBERG Christopher
出版者
高知大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究は、自閉症など発達障害児の早期発見をできるだけ早く正確に行われるようにすることを目的として、生後3日前後の新生児を小児科医が診察し、また観察方法を統一させて母子のコミュニケーションの様子をビデオ撮影を行った。平成29年度末までに41名の参加者を募り、平成30年6月現在、小児科医診察時と母子コミュニケーション時のスコアの分布や相関等を分析中である。今後、平成31年度7月より、1歳の発達状況を調査し、生後3日目との関連がないかを分析する予定である。
著者
福田 正弘
出版者
長崎大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1997

本研究は、個々の子どもに焦点を当て、彼らが形成している日常的社会認知の姿とその発達過程を明らかにすることを目的としている。そのため、4年間の継続調査を実施した。調査対象は、1997年度時点で、第2学年生108名と第3学年生107名である。また、4年間同じ質問表を使用した。質問は、日常生活の様々な文脈で自身の販売するレモネードの価格を決定する12の問、例えば、「サッカーの試合を観るために、多くの人が集まっているとき、あなたはレモネードの値段を上げますか、下げますか?」「運動会に参加するために、多くの子どもが集まっているとき、あなたはレモネードの値段を上げますか、下げますか?」から成っている。本研究の結果は次のようである。1)両児童グループの正反応率は、複雑な文脈よりも単純な文脈における方が高かった。複雑な文脈には、意思決定時に考慮しなければならない複数の条件、例えば、道徳、同情、人物の特徴が含まれている。従って、子どもの日常的社会認知の発達は、文脈を構成している考慮すべき条件に関係している。2)4年間に渡る個々の子どもの反応の変化には、2つのパターンがある。第1は、子どもの反応が年齢とともに、正反応に集中していくパターンである(パターン1)。第2は、子どもの反応が正反応と非正反応の間を行ったり来たりするパターンである(パターン2)。パターン2は、特に複雑な文脈によく見られた。それゆえ、子どもの社会認知の発達経路は、子どもが思考している文脈に関係がある。
著者
木田 徹也 島ノ江 憲剛 渡邉 賢
出版者
熊本大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

混合導電性を示すペロブスカイト型酸化物を用いた空気からの酸素分離は、電極や外部回路を必要とせず、濃度勾配のみで簡便に酸素を分離できるため、省エネルギー性が高く環境に優しい酸素富化技術として期待されている。本研究では、Co系の膜に代わり、高い特性と安定性を有するBa0.95La0.05FeO3について、膜構造の最適化による酸素分離特性の向上を詳細に検討した。その結果、La1-xSrxFeO3やBa0.3Sr0.7FeO3を酸素放出層として用いることで、大きく酸素透過速度が向上することを見出した。さらに、酸素の安定同位体18O2を用いたトレーサー拡散実験を行い酸素拡散メカニズムについて調査した。
著者
高木 友博
出版者
明治大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1999

1.理論基礎検討(1)連想記憶方式の基本的考え方を調査すると同時に,オントワジーの基本的考え方および応用事例の調査を行い,ファジィ集合による両者の融合方式について検討した.その際特に下記の観点で成果を得た.・双方向連想記憶以外の連想機構の導入:CFSにおいて概念同士の説明関係をうまく表現するためホップフィールドニューラルネットの使用を試み,断片知識同士の分離性,層状に制約されない知識表現の可能性を確認.・順序性の導入手法:クロックの推移をノードに割り当てることにより,時間を表現できることを確認した.(2)テキストによる概念の表現方式とマッチング方式およびパターン情報とシンボル情報のマッチング方式.2.プロトタイプシステムの開発以下の応用領域における,プロトタイプシステムを開発し,いずれも人間の感覚により近い結果を得られることを確認した.(1)番組推薦:デジタルTV放送において視聴者が過去に見た番組のEPG(Electric Program Guide)に含まれる重要語から視聴者の好みをオン下ロジー内に学習により形づくり,新しく視聴候補となる番組の選好度を求め番組推薦を行う.(2)音楽検索:手紙文からその雰囲気をオントロジーを用いて認識し,それに近い雰囲気の曲を選択する.(3)検索エンジン:「冬」「スポーツ」といったキーワード入力から「スキー」や「スケート」といった具体的概念を含むホームページにまで検索対象を拡張.またスコアリングを伴った検索を行う.(4)文書分類:文章中に直接含まれる単語の出現頻度による類似性評価ではなく,間接的な語に置き換え,概念的な距離を測ることにより,より人間の感覚に近い分類を行う.(5)画像検索:感覚的表現のキーワード(例:ゴージャス)からの,花の画像検索プロトタイプシステムを構築た.その結果,人間の感覚にあった検索が行われることが確認された.
著者
北村 知昭 西原 達次
出版者
九州歯科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

本研究では,歯髄・根尖歯周組織の局所的・連続的再生療法を確立す るため,基礎研究としてFGF2徐放性ゼラチン粒子やヒアルロン酸スポンジによる新生象牙質形成誘導,象牙芽細胞様細胞の熱耐性・炎症応答・BMP2-Smadシグナル伝達経路,およびBMP2誘導性骨芽細胞分化への半導体レーザーの影響を解析するとともに,臨床における歯髄・根尖病 変組織の採取方法樹立の基盤となる顕微鏡下治療技術を確立した.
著者
玉木 俊明
出版者
京都産業大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

近世のヨーロッパでは、国境を意識しないコスモポリタンな商人によって、商業情報が伝達された。その中心は、アムステルダムであった。アムステルダムから同質的な商業情報がヨーロッパ各地に拡散し、ヨーロッパは同質的な情報空間となった。それに対しイギリスは、ロンドンを中心にして人為的に形成された「帝国」の内部で、国家の力によって情報が拡散した。このようなアムステルダムとロンドンとの違いは、近世と近代の違いであった。
著者
梶 光一 高橋 裕史 吉田 剛司 宮木 雅美 鈴木 正嗣 齊藤 隆 松田 裕之 伊吾田 宏正 松浦 由紀子 上野 真由美 及川 真里亜 竹田 千尋 池田 敬 三ツ矢 綾子 竹下 和貴 吉澤 遼 石崎 真理 上原 裕世 東谷 宗光 今野 建志郎
出版者
東京農工大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2009

洞爺湖中島のエゾシカ個体群は、2度の爆発的増加と崩壊を繰り返して、植生に不可逆的な変化をもたらせた。その後落葉に周年依存するようになり、2008-2012年の間、高い生息密度(45~59頭/km^2)を維持していた。落葉はかつての主要な餌であったササよりも栄養価は低いが、生命・体重の維持を可能とする代替餌として重要であり、栄養学的環境収容力の観点から高密度を維持することが可能な餌資源であることが明らかになった。
著者
長谷部 弘 高橋 基泰 平井 進 山内 太 柘植 徳雄 佐藤 康行 村山 良之
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究では、17~19世紀近世日本における村落社会(長野県上塩尻村ほか)を基準として、16~18世紀におけるイングランド村落社会(ケンブリッジシャー)と北西ドイツ村落社会(東部北海沿岸地方)とについて、現地の研究者の協力を得て、実証的比較研究を行った。近世日本村落を構成した共同性の重層的構造からみると、16~18世紀の英独両農村社会の事例については、史料制約性による直接比較の困難性があり、従来共同体とされてきた「村落」や「家族」についての再解釈が必要であり、従来親族ネットワークやサーバント制度、そしてマルク共同体等土地共有共同体の再検討が必要であることが確認された。
著者
岩崎 鋼 菊池 昭夫
出版者
独立行政法人国立病院機構西多賀病院
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

抑肝散のハンチントン病(HD)における不随意運動などに対する効果を検証するため、two-way crssover studyを行った。Total UHDRS(p=0.067)及びMaximalChorea(p=0.055)及びMaximal Dystonia(p=0.073)について投与により有意な変化を示す傾向が認められた。本研究に於いて抑肝散はHD患者におけるUHDRS、とりわけChorea並びにDystoniaを改善する可能性が示唆された。
著者
CUSTANCE Oscar
出版者
独立行政法人物質・材料研究機構
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

走査型熱顕微鏡(SThM)は、熱カンチレバーをプローブとした原子間力顕微鏡(AFM)の一種である。カンチレバーで発生した熱は、ナノスケールでの表面及び熱抵抗を観測、ならびに半導体基板のパターニングとデバイスファブリケーションのプロトタイプのための数ナノメートルハーフピッチのマスクの製造に使用することができる。このプロジェクトの主な目標であった「ミリピードプロジェクト」用にIBMが開発した加熱カンチレバープローブ技術を我々の専門と組み合わせ、SThMの分解能の限界をプッシュする原子分解能AFMを開発することに成功した。
著者
山崎 文雄 丸山 喜久
出版者
千葉大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2006

本研究の目的は,反発度法(シュミットハンマー)によるコンクリート強度の非破壊計測,常時微動観測による地盤卓越周期の計測,および壁・柱の量による建物剛性の違いを常時微動観測による建物固有周期で推定し,安価で短時間に耐震性能を把握する方法を開発することである。これまでに,常時微動観測によって地盤の卓越周期を推定し,それらの観測結果と余震記録(強震と弱震)を用いて本震の応答スペクトル,計測震度を推定する方法を提案し,その推定精度を確認した。今年度は,広島県内の鉄筋コンクリート造学校校舎2棟を対象に,常時微動観測と数値モデルを用いた固有値解析によって,耐震補強前後での固有周期の変化を明らかにした。表層地盤と建物の振動特性を考慮して,耐震補強効果を確認するため,前後の固有周期の変化に着目して耐震補強前後で常時微動観測を実施した。その結果,耐震補強により固有周期の変化があり,常時微動と数値解析のいずれからも同様の値が示された。観測を行った2つの建物は,柱とそれにとりつく壁の間にスリットを入れ靭性の向上と,鉄骨ブレースやRCフレームを増設することにより建物の剛性の向上を目的としている。常時微動観測から靭性の向上について把握することは困難であるが,剛性の上昇の程度に関しては固有周期の変化から推測が可能である。従って常時微動観測をこれまでの耐震診断や数値解析と併用することで,耐震改修の効果を精度よく評価できるものと考える。
著者
中門 亮太
出版者
早稲田大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究では、パプアニューギニアにおける土器づくり民族誌調査を通して、土器型式の時期的変化・地理的分布を齎す社会的背景を探ることを目的とした。土器型式の変化においては、親族組織を通じたヒト・技術の移動が大きな影響を及ぼす。地理的分布に関しては、親族組織のつながりや製作技法に差異によって、各地域で在地の型式が成立し、分布圏を持つことが窺える。一方で、型式を超えて存在する儀礼形態が、異系統土器の共存を齎すことが想定される。これらの知見は、縄文土器型式においては、粗製土器や精製土器、特殊遺物などの広がり方と比較しうる。民族考古学的視点から、その背景には親族組織や儀礼形態の存在を垣間みることができる。
著者
加藤 敏弘 岡本 研二 吉野 聡 森田 勝
出版者
茨城大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010-04-01

ゴール型の運動課題を誘発するゲームの条件を明らかにし、複数のミニゲーム(手合わせゲーム等)を開発した。その運動課題に応じた評価の観点を含む単元計画を立案し、中学2年生に実施したところ、高い評価を得た。また、ボールを持たないときの動きの指導について、バスケットボールを部活動で指導している教員を対象に調査したところ、子どもたちがゲームの中で工夫するより前に学習すべき内容を先取りして教えてしまう傾向がみられ、指導観の変容には時間がかかることが明らかになった。
著者
高梨 克也 坊農 真弓 原田 なをみ 高梨 克也 堀内 靖雄 片桐 恭弘 神田 和幸 細馬 宏通 原田 なをみ 堀内 靖雄 神田 和幸 細馬 宏通 坊農 真弓 城 綾実
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

対面コミュニケーションの基本的単位である「発話」の構造について, 実際に収録されたデータを用いて分析した. 「発話」は言語だけでなく, ジェスチャーや視線などの非言語表現も含んだマルチモーダルな複合体である. そのため, 本研究では, 聴覚モダリティを用いる音声言語と視覚モダリティによる手話を比較し, 各モダリティの特徴を解明した. また, 言語の文法構造がコミュニケーションのやり取りを形成する際にどのように利用されるかを解明した.
著者
玉蟲 敏子 五十嵐 公一 野口 剛 三戸 信惠 渡辺 雅子
出版者
武蔵野美術大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究の成果として特筆されるのは、17世紀の宮廷で制作された和歌を伴う画帖・屏風絵が、絵画ばかりでなく書の料紙の装飾や縁裂の装飾なども重視して制作されていた事実を明らかにしたことである。伊達家伝来の狩野探幽・安信等合筆「百人一首画帖」には明清風の木版摺料紙や伝統的な金銀箔散し・墨流の技法が複合的に用いられ、その表現は仁清の色絵陶器にも共通している。山本素軒筆「明正院七十賀月次図屏風」の表装は七十賀の記録と一致しており、当時のまま伝承されていることが判明した。ともに17世紀後半の京都の装飾感覚を示し、その成立事情から宮廷文化に対する武家方の憧憬や、緊張した当時の朝廷と幕府の関係などがうかがえる。
著者
中島 功 猪口 貞樹 木ノ上 高章 片山 正昭 尾崎 清明
出版者
東海大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2009

位置情報と個体識別ができるS帯2.4-500kbps伝送速度の鳥装着用パケット送受信機の開発し、総務省の型式認定を申請した。山階鳥類研究所で渡り鳥に装着し、その鳥がわが国に帰還すれば、データが採取でき危機管理に役立てる。H5N1の感染地域、ロシア、モンゴルでの鳥インフルエンザ関連の生態環境、電波伝搬環境を分析し、将来の危機管理としての鳥インフルエンザ予防に役立てる統合研究をおこなった。
著者
渡辺 佑基
出版者
国立極地研究所
雑誌
若手研究(A)
巻号頁・発行日
2009

北極海の生態系の頂点に立つニシオンデンザメとホッキョクグマという二種の捕食動物から詳細な行動データを得ることができた。ニシオンデンザメは遊泳速度や尾びれの動きがとても遅く、体の大きさの違いを考慮して比較すると、今まで調べられた魚類の中で最低レベルであることがわかった。北極海の冷たい水温により、本種の遊泳能力は大きく制限されていることが示唆された。ホッキョクグマは少なくとも4月の問は明確な日周性をもたず、一日の約半分の時間を活動的に動き回って過ごし、残りの半分の時間を休んで過ごすことがわかった。
著者
加藤 孝久
出版者
東京大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

フラーレン系ナノ構造体であるC_<60>やカーボンオニオンは優れた機械的・電気的特性を有することが期待されるものの、そのサイズ制御が困難であるため現状その応用がほとんど進んでいない.本研究では貴金属へのカーボンイオン注入法を用い、カーボンオニオンの粒子径の制御とその増大を試み、スパッタAg貴金属薄膜内へのCH_4プラズマイオン注入により、Ag結晶粒界におけるカーボンオニオンの形成が確認され、イオン注入後の真空アニール処理によって、その粒径は17. 4±1. 7nmに増大することが確認された.本研究により明らかとなったカーボンオニオンの粒子成長プロセスを応用することで、今後のマイクロメートルスケール巨大フラーレン粒子の合成が大いに期待される.