著者
今井 康貴 永田 修一 豊田 和隆
出版者
佐賀大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

本研究では,高い精度を有する,渦法による浮体構造物の非線形波浪中挙動解析法の開発を目的に,自由表面下で振動する2次元没水平板の問題に,Random-Wal k法およびCore-Spreading法に基づく渦法計算を適用し,平板に作用する流体力について検討を行った.その結果,Core-Spreading法および物体近傍での渦層モデルを用いることで,これまでの波浪問題に適用されてきたRandom-Walk法に基づく手法より実験結果と近い結果が得られた.
著者
杉田 浩一 今井 美樹 山下 光雄
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.30, no.4, pp.321-328, 1997-11-20
被引用文献数
4

The changes of the meaning of "cooking" were studied with descriptions about its definition, objective and method, selected from the special books on food science since Meiji era. These changes were divided into five periods based on their characteristics. It was summarized as follows. (1) From early years through middle years of Meiji era : Food scientists theoretically taught the people how to cook meat as new food materials. It was reflected in the definiton of "cooking". (2) From later years of Meiji era through Taisho era : Three kinds of cooking ; Japanese, Western, Chinese and their mixtures were popularized among people in their common meals. So the definition of "cooking" reflected such various standpoints (3) From later years of Taisho era through early years of Showa era : People attached importance to the rational cooking with the high degree of nutritional efficiency, and the change of food components during cooking was investigated. (4) The early period after the end of the World War II : Practical use of food materials and improvement of nutritional lives were required, and the studies on theoretical cooking were promoted. The science of cookery with engineering was proposed. (5) In the later years after the end of the war : The advance of food production and food service businesses into the cooking field contributed to diversifying Japanese diet. The range of the definition of "cooking" expanded. "Cooking" enhanced its range from menu planning to dining table composition, and the theory of cooking to meet the changing lifestyle now are studied.
著者
談 麗玲 今井 範子
出版者
社団法人日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.54, no.10, pp.841-854, 2003-10-15
被引用文献数
2

本研究では,世代同居家族を調査対象とし,親世代,子世代の生活スタイルと同居に対する意識を明らかにしようとした.結果を要約すると,以下のとおりである.(1)炊事,洗濯等の家事行為は,家族の協力で行う場合と,片方の世代に負担が偏る場合の2つの傾向がみられた.洗濯物については,成都では,下着などの洗濯物にプライバシーを感じるという生活意識の存在が明らかになった.(2)食事状況について,ほとんどの世代同居家族は,平日,休日ともに,毎日少なくとも1回程度は親世代と子世代が一緒に食事し,依然として親と共に食事することを重視していることが確認された.(3)8割の世代同居家族は,生活時間のずれが気にならないとしているが,生活時間が気になる2割の家族では,気になる時間帯は,「起床時間」「就寝時間」という生活習慣に関わる時間帯が多い.(4)月々の生活費は子世代のほうが負担している傾向がみられるが,住宅の購入費は,親世代が多く負担している傾向がみられる.経済面で多くの親世代は子世代に支援していることがわかる.(5)定年退職した大部分の親世代は,昼間に,子世代の手伝いをしている.生活の楽しみとして,女性のほうが「家事をする」者が多いのに対して,男性の方が個人趣味として「スポーツ」などをする者が多い.「女主内,男主外」という伝統的な性別分業意識はまだ根強く残っていることがうかがえる.(6)同居の動機については,親世代は,「養児防老」という伝統的観念から,「年を取ったから」ということを大きな動機としており,高齢期に子供との同居を当たり前のこととする親世代の意識がうかがえる.子世代の同居動機は多岐にわたるが,その中で「親の健康が心配なため,面倒をみなければならない」という義務意識からくるものが大きな動機になっている.(7)同居の長所として,「養児防老」「児孫繞膝」という伝統的観念から,子世代との関わりを同居の長所として高く評価している.子世代は,同居の親世代からの助けが得られる点のほか,「寂しくない」という精神面も多くあげ,親と同居することは「天倫之楽」とされ,家族を大事にするという伝統は継承されていることがうかがえる.同居の短所は,親世代,子世代ともに「性格が合わないといざこざが起きる(親)」「性格が合わないと日常会話が苦痛であり,ストレスになる(子)」というような精神的な面が大きい.(8)親世代,子世代とも,同居志向が多い.別居を志向する親世代,子世代とも「ごく近い距離に住みたい」という希望が多く,6割を占め,近居志向がみられた.(9)自分が病気になった場合,また,親が病気になった場合,7割の者が在宅介護を望んでいる.親族の介護をより支援するために,「家庭病床(家庭に医師や看護婦が派遣される)」などの在宅介護のサービスが,今後一層充実される必要がある.
著者
舟橋 啓臣 今井 常夫 神部 福司 妹尾 久雄
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

クッシング症候群は、コルチゾルの過剰産生を認める症候群であり、高血圧、耐糖能異常、中心性肥満、満月様顔貌、免疫不全などの重篤な臨床症状を呈する。本邦におけるクッシング症候群の原因の多くは、コルチゾル産生副腎皮質腺腫(CPA=cortisol producing adenoma)であるがその発症機序は明らかにされていない。本研究では、CPA組織において特異的に発現増強あるいは減弱している遺伝子群をRDA(Representational Difference Analysis)を用いて同定し、その機能を明らかにすることによりCPAの発症機序を解明することを目的とした。CPAとそれに隣接する正常副腎から抽出したRNAを用いRDAを行い、CPAに特異的に発現しているcDNA群をクローニングした。その結果、グルタチオン-S-トランスフェラーゼ(GST-A1)及びDiminuto遺伝子が同定された。これらのmRNAの発現は、CPAに強く認められ、隣接正常副腎では殆ど発現が認めらなかった。副腎由来の細胞株H295Rを用い、GST-A1が副腎細胞の増殖に重要であることをこの酵素の特異的な阻害剤であるエタクリン酸を用いて明らかにした。一方、Diminuto遺伝子は、コレステロール産生に関わる酵素をコードすることが報告され、我々は、この発現が副腎皮質刺激ホルモンにより増加することをラットを用いた研究より初めて明らかにした。この結果は、Diminuto遺伝子産物による副腎におけるコレステロール産生がコルチゾル産生に重要であること示唆した。
著者
盛永 審一郎 加藤 尚武 秋葉 悦子 磯部 哲 今井 道夫 香川 知晶 忽那 敬三 蔵田 伸雄 小出 泰士 児玉 聡 小林 真紀 坂井 昭宏 品川 哲彦 松田 純 山内 廣隆 山本 達 飯田 亘之 水野 俊誠
出版者
富山大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

1)20世紀に外延的に同値された神学的-哲学的概念としての「尊厳」と政治的概念としての「権利」は内包的に同一ではないということ。また、「価値」は比較考量可能であるのに対し、「尊厳」は比較考量不可であるということ。2)倫理的に中立であるとされたiPS細胞研究も結局は共犯可能性を逃れ得ないこと、学際的学問としてのバイオエシックスは、生命技術を押し進める装置でしかなかったということ。3)20世紀末に登場した「身体の倫理」と「生-資本主義」の精神の間には何らかの選択的親和関係があるということ。
著者
今井 晃樹 内田 和伸 今井 晃樹
出版者
独立行政法人国立文化財機構
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

平城宮第一次大極殿院の〓積擁壁の設計方法を検討した結果、同心3円と偏心円を用いて設計施工していることがわかった。これはキトラ古墳の石室天文図の内規・赤道・外規・黄道と同様の構造である。古代中国では宮殿は宇宙を象って造営していることが歴史史料にあり、日本でもその設計思想を学んだことが明らかとなった。また、同心円の中心に置かれるのが高御座であることなどから、高御座は地軸を意識した記紀神話の「天の御柱」を象るものと考えることができた。
著者
藤井 良知 阿部 敏明 田島 剛 寺嶋 周 目黒 英典 森 淳夫 佐藤 肇 新納 憲司 砂川 慶介 横田 隆夫 秋田 博伸 岩田 敏 佐藤 吉壮 豊永 義清 石原 俊秀 佐野 友昭 中村 弘典 岩井 直一 中村 はるひ 宮津 光伸 渡辺 祐美 久野 邦義 神谷 齊 北村 賢司 庵原 俊昭 桜井 實 東 英一 伊藤 正寛 三河 春樹 久保田 優 百井 亨 細井 進 中戸 秀和 西村 忠史 杉田 久美子 青木 繁幸 高木 道生 小林 陽之助 東野 博彦 木野 稔 小林 裕 春田 恒和 黒木 茂一 大倉 完悦 岡田 隆滋 古川 正強 黒田 泰弘 武田 英二 伊藤 道徳 松田 博 石川 純一 貴田 嘉一 村瀬 光春 倉繁 隆信 森田 秀雄 森澤 豊 浜田 文彦 辻 芳郎 横尾 哲也 林 克敏 冨増 邦夫 木戸 利彦 上原 豊 森 淳子 森 剛一 内田 哲也 大塚 祐一 本廣 孝 半田 祥一 山田 秀二 沖 眞一郎 吉永 陽一郎 荒巻 雅史 織田 慶子 阪田 保隆 加藤 裕久 山下 文雄 今井 昌一 鈴木 和重 岡林 小由理 金子 真也 市川 光太郎 曽田 浩子 清水 透子 長田 陽一 木葉 万里江 石橋 紳作 高橋 耕一 杉山 安見児 三宅 巧 荒木 久昭 垣迫 三夫 前野 泰樹 下飛田 毅 高岸 智也 松隈 義則 平田 知滋 田中 信夫 永山 清高 安岡 盟 林 真夫 天本 正乃 津村 直幹 小野 栄一郎 神薗 慎太郎 中嶋 英輔 永光 信一郎 野正 貴予 松尾 勇作 樋口 恵美 長井 健祐 末吉 圭子 橋本 信男 弓削 健 久保田 薫 川上 晃 渡辺 順子 藤澤 卓爾 西山 亨 岩永 理香子 牛島 高介 山川 良一 山村 純一 富永 薫 臺 俊一 安藤 寛 久田 直樹 藤本 保 元山 浩貴 丸岡 隆之 伊達 是志 杉村 徹 西依 淳 朝木野 由紀 山田 克彦 是松 聖悟 早川 広史 佐々木 宏和 木村 光一 山田 孝
雑誌
The Japanese journal of antibiotics (ISSN:03682781)
巻号頁・発行日
vol.48, no.7, pp.921-941, 1995-07-01
被引用文献数
19
著者
青沼 裕美 神代 伸彦 今井 浩 上林 彌彦
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.38, pp.1056-1057, 1989-03-15

地理データベースはマルチメディア・データベースのなかでも特に応用範囲が広く,各方面で研究開発がすすめられつつある.しかし地図は文字と図形という異種メディアを一つの画面中に2次元的に表示するため,それらの相互作用から文字の"可読性"(読みやすさ)に問題が生じる.一般的に考えて字の読めない地図からは有用な情報が得られるとは言えない.本稿では,従来の地図システムにおける文字の処理方法を検討した上,われわれが現在構築中の可読性を重視したシステムについて述べる.
著者
若林 芳樹 岡本 耕平 今井 修 山下 潤 大西 宏治 西村 雄一郎 池口 明子
出版者
首都大学東京
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

本研究は,日本で本格的にPPGIS(参加型GIS)を実践していくための方法論的基礎を確立することを目的として,内外での既存の実践例を調査した上で,日本の実情に即したPPGIS の応用の仕方を検討した。研究にあたっては,課題を次の四つのサブテーマに分けて取り組んだ:(1) PPGISの理論的・方法論的枠組み(2) PPGIS のための技術開発(3) PPGIS の実践例の調査(4) PPGISの実践的応用。
著者
津田 悦史 尼子 雅敏 今井 智仁
出版者
防衛衛生協会
雑誌
防衛衛生 (ISSN:00065528)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.25-28, 2005
被引用文献数
1
著者
今井 範子
出版者
奈良女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1999

日本の都市住宅における今後の畳空間の平面計画とインテリア計画に資するため、大都市圏域である首都圏、関西圏、名古屋圏、福岡圏と、地方都市の熊本圏に立地する住宅の居住者を対象とし、畳空間の現況と住意識に関する調査を実施した。平面における畳室の現況については、例えば、首都圏では畳数は少なく、関西圏では相対的に多いというように顕著な地域差が認められた。畳室の使われ方については、熊本圏では畳室の接客機能が他地域よりも認められるというように地域による違いを明らかにした。畳空間に対する居住者の意識についても、地域と年齢階層などによる差異が明らかになった。畳の必要性や愛着意識などに対し、首都圏ではその薄らぎが他地域よりも認められた。しかし、全地域をとおして畳に対する根強い愛着意識の存在を明らかにした。「畳空間の新しいデザインのあり方」を文献調査から検討し、次世代に継承しうる新しい畳空間のデザインの必要とそのあり方を提示した。さらに、新しい畳空間デザインの居住者の嗜好性を検討した結果、地域差なく、新しいデザインの受け入れが認められた。今後の日本の都市住宅における畳空間の発展方向として、生活機能面からは、接客機能やくつろぎ機能を有する空間としての方向を提示し、そのデザインについては、伝統性を踏まえながら現代性をとりいれた新しいデザインの必要とそのあり方を提示した。
著者
桜井 裕邦 今井 桂子
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告アルゴリズム(AL) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.1999, no.26, pp.47-52, 1999-03-15
参考文献数
9

本稿では3次元における凸多面体の表面に沿った近似最短経路問題に対し,HershbergerとSuriの2倍近似アルゴリズム[5]を計算機実験にて評価をおこなう.ChenとHanはO(n^2)時間で正確な距離を見つけるアルゴリズム[3]を示した.また,近似最短経路問題においては,単純なO(n)時間での近似アルゴリズムが[5]にて提案され,そのアルゴリズムは最適な距離の高々2倍の距離を与える.本稿ではこれらのアルゴリズムを実装し,理論値と実際の性能との比較をおこなう.In this paper, we consider the shortest path problem between two points on the surface of a convex polytope in three dimensions. Chen and Han presented an algorithm for determining the exact shortest path in O(n^2) time. For the approximate shortest path problem, a simple O(n) approximation algorithm are proposed in [5], and the algorithm produces a path of length at most 2 times the optimal. We implement these alogorithms and compare their theoretical and practical performances.
著者
中澤 隆雄 今井 富士夫 新西 成男
出版者
宮崎大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

ポーラスコンクリートは,その特徴である多孔性によって種々の優れた特性を有している。吸音機能もその1つであり,近年では吸音機能に関する研究も次第に活発に行われてきており,本研究では,これまで道路交通騒音の低減が可能なポーラスコンクリートの開発を目的の1つとして,インピーダンス管による垂直入射吸音率のデータの収集や吸音壁の等価騒音レベル低減効果に関して,実験的な研究を行ってきている。ポーラスコンクリート壁を作製するにあたって用いた火山性軽量骨材のぼら,石灰石およびフェロニッケルスラグ(以下,FNSと記述)の3種類の骨材ならびに2種類の目標空隙率20%と30%が騒音低減効果に及ぼす影響を検討した。騒音低減効果の検討にあたっては,普通騒音計を用いて得られた100〜2000Hzの範囲の各1/3オクターブバンドの周波数の等価騒音レベルを用いている。また,壁供試体から抜き取った直径約100mmのコアに対して,インピーダンス管による垂直入射吸音率も測定し,吸音壁から得られた等価騒音レベルとの関連についても検討を加えている。得られた結果を要約すると以下のとおりである。(1)使用骨材別にみると,FNSを用いた壁の騒音低減効果が最も高くなった。これは粒径が他の骨材よりも小さいために空隙径が小さくなり,実際の空隙率も他の骨材の場合より低めになった影響と思われる。(2)FNSを用いた場合,特に1000HZ以上の周波数に対して,回折行路差の影響を上回る騒音低減が生じていることからも,FNSの吸音効果が高いといえる。(3)ぼらおよび石灰石を用いた壁の騒音低減効果がFNSほど大きくないのは,これらの壁の内部空隙を音が透過する影響によるものと考えられる。(4)ぼらおよび石灰石を用いた場合の垂直入射吸音率は,500Hz近傍で第1の吸音ピークが生じているが,この周波数域での壁の等価騒音レベルの低減量がそれほど大きくないことからも,壁内部の空隙を音が透過する影響があると考えられる。(5)同一骨材を使用した壁の空隙率の影響をみると,空隙率が小さい方が等価騒音レベルの減量は幾分大きくなる傾向が認められた。
著者
密山 幸男 高橋 一真 今井 林太郎 橋本 昌宜 尾上 孝雄 白川 功
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 A (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.J93-A, no.6, pp.397-413, 2010-06-01

面積効率の向上を目指したヘテロジニアス構造を有する粗粒度再構成可能アーキテクチャは,アプリケーション分野を特化することで高性能化と小面積化を実現することができる.そこで我々は,対象アプリケーションをメディア処理に特化したヘテロジニアス粗粒度再構成可能アーキテクチャARAMを開発してきた.本論文では,ARAMによって複数の動画像復号処理を実現できることを示すため,MPEG-2デコーダ,MPEG-4デコーダ,H. 263デコーダを設計対象として,各処理過程のマッピングについて述べる.更に,動画像復号処理の高性能化要求に対して,ARAMのスケーラビリティと動画像復号処理の画素並列性を用いた性能拡張について述べる.またフィルタバンクのマッピングについて述べ,動画像復号処理以外にも適用できる機能拡張性を示す.
著者
馬場 健介 古原 和邦 岩村 恵市 鄭 玉良 今井 秀樹
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ISEC, 情報セキュリティ
巻号頁・発行日
vol.98, no.48, pp.61-69, 1998-05-15

ディジタルコンテンツの著作権保護システムを実現する手段として、電子透かし技術が数多く研究されている。一般に、画像の販売者のみが購入者情報を生成し、電子透かしを用いてその埋め込みを行なうようなシステムでは、流出画像が購入者が流出させたものか、販売者から流出されたものかを厳密に区別することはできず、何らかの方法で販売者のコンピュータから、ある購入者情報が埋め込まれた画像が漏洩されれば、不正行為を行なっていない購入者が不正であるとみなされる可能性がある。そこで本稿では、購入者情報の埋め込みに購入者自身が参加し、販売者側から購入者情報が漏洩しても購入者が不正とみなされないプロトコルを提案する。このプロトコルはディジタル画像だけでなく、音声や動画像といったディジタルコンテンツにも応用できる。