著者
岩崎 洋平 西村 壮平 小薗 和剛
出版者
熊本高等専門学校
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究では,複合現実技術を利用したMR 実験室を構築した。この実験室では,ARToolKitにより複合現実環境を実現し,実験機器や結線をCGオブジェクトとして,現実環境(机上)に重畳表示あるいは液晶ディスプレイに表示する。これにより,安全性の高い実験環境を容易に構築することができる。また,マーカを操作のためのユーザインタフェースとして扱うことにより,現実の実験と同様に,複数の実験者がグループで協力しながら実験を実施できる環境を提供することが可能となった。さらに,実験結果を仮想的に表現することで,外乱などの影響を受けない状態での結果を,分かりやすく実験者に提示し,効率的な学習のための実験環境を提供することが可能となる。
著者
馬場 直志 石垣 剛 田村 元秀 三浦 則明
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

本研究では、我々が提案した偏光差分型ステラコロナグラフによる、太陽系外惑星の直接検出装置の開発実験を行った。恒星からの光は、一般にランダム偏光(無偏光)と考えられる。一方、惑星からの光は、恒星光の反射・散乱光となるため部分偏光した光となる。直行する2つの偏光成分で観測し、その差を取ると無偏光成分は相殺され、部分偏光している成分が残留する。これが偏光差分法であり、部分偏光している太陽系外惑星光を抽出できる。しかし、単なる偏光差分では、大きな強度を持った恒星光の2つの直行偏光成分間にわずかな差がある場合、その差は微弱な太陽系外惑星の偏光差分よりも大きくなってしまう。このために、効率的に太陽系外惑星光を抽出できなくなってしまう。我々は、単なる偏光差分ではなく、偏光度から太陽系外惑星光を識別することを行った。偏光度は、偏光差分値をその点の全強度で割ったものであり、無偏光の光は強度が強くとも偏光度は零に近づく。一方、部分偏光している光は、その偏光度に応じた値となる。我々は、太陽系外惑星像を検出するシミュレーション実験を行った。この実験において、太陽系外惑星モデル光の偏光度を50%、惑星と恒星との角距離を4.8λ/D(λは中心波長、Dは望遠鏡の口径)、強度比を1.1×10^<-5>とした。単なる偏光差分の像では、惑星像は明瞭ではなかったが、偏光度で表示した像ではスペックル雑音との相違が明らかとなった。本研究では、偏光差分法に基づいて、イメージングのみならず、太陽系外惑星の対物分光を目指した実験も行った。偏光度解析により、惑星モデル光のスペクトルを恒星モデル雑音光スペクトルから分離抽出できた。
著者
高野 幹久 永井 純也 湯元 良子 永井 純也 湯元 良子
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

初代培養ラット肺胞上皮II型・I型細胞を用いて、アルブミンの輸送について比較解析したところ、取り込みはII型のほうがI型に比べて高く、またクラスリン介在性エンドサイトーシスによることが明らかとなった。一方、インスリンの取り込みは両細胞で同程度であり、クラスリンの関与は小さかった。ラット肺胞上皮II型由来のRLE-6TN細胞においてもインスリンはエンドサイトーシスによって取り込まれ、その取り込みはカチオン性ポリアミノ酸によって促進された。カチオン性ポリアミノ酸の効果は、ラットを用いたin vivoインスリン経肺投与実験でも認められた。これらの知見は新たな経肺投与製剤の開発のための情報として重要である。
著者
石川 誠 山野 英嗣 朴 鈴子 豊田 直香 羽田 聡 不動 美里 黒澤 浩美 平林 恵 木村 健 松村 一樹 西澤 明 竹内 晋平 西村 大輔
出版者
京都教育大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

生涯を心豊かに生きるための基盤作りとして,学校と地域の美術・博物館が相互の知見を共有し,知的財産(コレクション)を活用した鑑賞学習を多様に試行して七つの実践モデル(CD-ROM)にまとめた。従来,学校で扱いにくいかった分野にも対象を広げ,映像やワークショップ・プログラム,「書」など,実践に一つの道筋を付けたといえる。また,こどもの鑑賞過程で「見る」と「つくる」の密接な関係が確認され,実践計画の立案に示唆が得られた。この成果を公開討論会で問い,社会的な評価を受けている。
著者
舛本 直文 王 一民 任 海 MACNAMEE Micheal BARNEY Robert MACDONALD Gordon
出版者
首都大学東京
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

2008年北京大会、2010年バンクーバー冬季大会、2010年シンガポール・ユース大会を対象に調査研究した。北京大会では国際聖火リレー問題および愛国主義教育との関連から平和教育が十分ではなかった。バンクーバー大会では国際聖火リレーの禁止およびオリンピック教育における平和運動の不十分さから平和メッセージの発信不足。シンガポール・ユース大会でも平和的メッセージの発信の不十分さ。以上が明らかとなった。
著者
岩崎 徹也
出版者
信州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

中東・イスラム地域におけるイスラム原理主義台頭の経済的根拠としては、石油の高価格を前提に、石油化学、石油精製などエネルギー集約型重化学工業を基軸に国内開発を促進しようとした産油国型開発戦略が、需給緩和・OPECカルテル機能低下により破綻したところへ、人口爆発が重なったことによる過剰人口問題、とりわけ若年層の雇用問題が重要な要素として挙げられる。経済開発の低迷と石油ブーム期以降の医療機関の整備による人口増加により、結果として若年層の雇用問題が顕在化し、アラブ民族主義や社会主義の破綻によって青年層の不満はイスラム原理主義へ向かうこととなった。産油国型開発が破綻した現在、発展途上国開発の成功モデルは、外国資本の直接投資に依存した輸出指向型開発戦略しかないが、中東地域の政治は安定せず、石油の輸出・収入の影響によりコスト・為替レートは、他の途上国と比べて一般的に高く、同地域への直接投資は、アジア、中南米などと比べ、著しく少ない。産油国をはじめとする中東諸国でも、近年、構造改革を実施する一方、直接投資受入れのための投資保障措置の拡大などの施策を行っているが、必ずしも十分なものではない。中東地域の諸国の多くは、君主制や共和制の形式をとった軍事独裁政権で、福祉による国民融和は不可欠だが、財政均衡化のためには、増税や福祉関連支出の削減が必要である。しかし、福祉の削減は国民の不満を拡大し、同地域の一層の不安定化につながる可能性もある。膨大な低コストの労働力を有する中国の輸出指向型工業化が進展する現在、中東地域で構造改革が進展し、労働コストが多少低下したにしても、同地域に外国資本が重点的に投資をするという可能性も低い。当面、産油国としては、他ならぬ中国の世界市場参入・高成長を一因とする資源需給の逼迫を利用しつつ、石油収入を増加させ、国内開発を促進するという戦術をとることになろうが、70年代型の開発戦略は破綻しており、新戦略の模索を続けざるを得ないだろう。
著者
中川 光弘 加賀 爪優 桑原 祐史 信岡 尚道 田附 明夫 長澤 淳 金澤 卓弥 上林 篤幸 上林 篤幸 井上 荘太朗
出版者
茨城大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

アジア農業モデルを開発し、農業部門への気候変動の影響予測を行い、その適応戦略を検討した。またGISやリモートセンシングを使ってアジア沿岸域への気候変動の影響予測と土地利用のあり方を検討した。農業部門への気候変動の影響は、既にアジア各地で現れているが、それが食料問題として深刻化するのは特に輸入依存度の高い最貧国であり、世界農産物市場を介して主要国の農業政策の影響も加わって、複合的な形で現れることが明らかになった。
著者
渡辺 秀樹
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

3年間に1)古英詩の詩語と定型句の意味と系譜、2)動物名人間比喩義の収集分類と構造性の考察、3)研究基礎資料となる英語各種辞書における定型表現と比喩義の扱いの比較を続けてきた。第1分野は柱となる研究で、20年来取り組んで来た古英詩Beowulfのメタファー研究を進め、英文論文2点を雑誌に発表、博士論文を基に古英詩の比喩と定型表現研究書を出版した。論文1点は日本中世英語英文学会の機関誌、学会創立20周年記念号に寄稿を依頼されたもので、それを機にミュンヘン大学Hans Sauer教授より本詩の日本人研究文献表の作成を依頼された。論文は後にBeowulfの研究ハンドブックや最新校訂版に言及されることになって英語史学界に成果を広く認められた。第2分野では3年間で英語鳥名および犬科の名詞群の人間比喩義の体系を明らかにし、特定メタファー表現としては諺的直喩表現"as dead as a dodo"の発生と変化・拡散過程を中世英語の類似表現から論を起こし、19〜20世紀の200年のスパンで示した。両方の研究テーマおよび成果は先行研究が全くない当該研究者のオリジナル論考である。発表論文に対する反応および進捗状況を見て、英語動物名メタファー研究は、他の動物名に拡大して深化させる価値と必要があると判断し、これを研究テーマとする新たな科学研究費補助金研究を申請、採択されて継続中である(平成19〜22年科学研究費補助金基盤(C)(2)英語における動物比喩の総合研究:その歴史・構造・ジャンル(課題番号19520421))。第3の分野は辞書学とメタファー研究の複合で、比喩義や定型表現の独特な説明で名高い英和辞書『熟語本位英和中辞典(齊藤秀三郎)』を参照することが多かったため、研究副産物の形でこの辞書の英文序文の比喩・イディオムの使用法を解読した。これは後に英文書評論文に発展してヨーロッパの歴史的言語研究誌Historigraphia Linguistica(2006)に掲載された。3年間の研究では本来の古英詩文体研究が進み、重要テーマ、英語動物名の比喩体系研究が見出された。研究成果は出版論文・著書・学会口頭発表により公にされて反響を呼び、学界を刺激し一定の評価も得て、今後のBeowulf関係のシンポジウム企画・司会や英語連語研究のシンポジウムの講師を依頼されている。内外の古英詩研究者、英語メタファー研究者、英語辞書編纂者、諺・定型句研究者に新たな知見と資料を提供するものであると信ずる。
著者
西山 孝 楠田 啓 日下部 吉彦
出版者
京都大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1987

資源量を評価するにあたって、埋蔵量、生産量、需要、用途、価格、代替品、備蓄、地質などが基礎的事項となっている。しかしこれらの諸量は、物理的量や化学的組織のような絶対的な基準はなく、相対的なもので、社会情勢、経済状況の変化によって大きな影響を受けている。このため資源需給予測はつねにあいまいな要素を多く含んでいる。このあいまいさを軽減し信憑性の高いものにするためには鉱物資源の現状を的確に把握し、評価を下すことが必要である。上記のような考えにもとづき、本研究ではまず希金属資源についての現状を文献により調査した。初年度の昭和62年度は主に硫化鉱物として産する希金属を、昭和63年度は主に酸化物として産する希金属を、さらに平成元年度は硫化物、酸化物以外の鉱物で産する希金属に分けて調査をすすめ、合計35の鉱物種についてまとめた。この調査過程で、希金属資源は、基本的に2つの異なるグル-プ、すなわち、独自の探鉱開発、製錬の行われている金属とベ-スメタルの製錬の中間精製物を出発物質としてバイプロダクトされているものに分けて考えることが重要で、とくに希金属資源量の把握、安定供給を論ずるときにはこの違いは大きく、もっとも基本的な事項となっていることが明らかとなった。たとえばビスマスは鉛や銅製錬の、カドミウムは亜鉛の、さらにタリウムはカドミウムのバイプロダクトとして回収されており、これらの希金属の供給を考える場合、十分な量の製錬中間精製物をベ-スメタルが提供できるかどうかが問題であり、枯渇の問題はベ-スメタルの問題に置き換えて考える方が現実的な面を多くもっている。このような事情から、ベ-スメタルのアルミニウム、鉄、銅、鉛、亜鉛、錫の現状についても調査しあわせて記載した。
著者
張 晴原 浅野 賢二
出版者
筑波技術短期大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1997

筆者らが開発した簡易人口推計法に基づいて,2050年までの中国のGDP,エネルギー消費量および食糧消費量の推計を行っている。中国の1人あたりGDP実質成長率は1990年の10%から2025年に3%に,さらに,2035年には2%になるように仮定すれば,2050年のTFR別のGDPはそれぞれ32兆元,35兆元および40兆元となり,1990年の17倍,19倍および22倍になる。統計データによれば,中国の1990年の1次エネルギー消費原単位は373Toe/百万元(1947Toe/百万\に相当)であり,同時期のアメリカの391Toe/百万\,日本の150Toe/百万\と比べてはるかに高い。その原因として,エネルギー利用技術レベルの低さによるエネルギー効率の悪さや製造業を中心とした産業構造が考えられる。したがって,エネルギー利用技術の開発や技術移転,省エネルギーの促進,産業構造の転換などによって,1次エネルギー消費原単位を先進国の1990年レベルまで引き下げる可能性が十分あると思われる。中国のエネルギー原単位が1990年から同一比率で低下し,2050年には200Toe/百万\(1990年実質価格)(38Toe/百万元)になるように仮定すると,1次エネルギー消費量を求めることができる。2020年までは,中国のエネルギー消費量が増加し続け,2022年以降は減少に転じる。その原因として,2020年以降はGDPの成長率が低下し,エネルギー消費原単位の低下率(省エネルギー率)が3.64%で一定であるためと考えられる。1990年における中国1人あたりの食糧消費量は375キロであり,1990年からの最初の35年間は0.75%,次の10年間は0.60%,以降2050年までは0.40%の率で増大するとすれば,合計特殊出生率が1.70,1.87および2.10のとき,2050年の食糧消費量はそれぞれ7.2,8.0,9.2億トンとなり,1990年の1.7倍,1.9倍,2.1倍である。
著者
柳井 晴夫 亀井 智子 中山 和弘 松谷 美和子 岩本 幹子 佐伯 圭一郎 副島 和彦 中野 正孝 中山 洋子 西田 みゆき 藤本 栄子 安ヶ平 伸枝 井上 智子 麻原 きよみ 井部 俊子 及川 郁子 大久保 暢子 小口 江美子 片岡 弥恵子 萱間 真美 鶴若 麻理 林 直子 廣瀬 清人 森 明子 奥 裕美 外崎 明子 伊藤 圭 荘島 宏二郎 植田 喜久子 太田 喜久子 中村 洋一 菅田 勝也 島津 明人 金城 芳秀 小林 康江 小山 眞理子 鶴田 恵子 佐藤 千史 志自岐 康子 鈴木 美和 高木 廣文 西川 浩昭 西山 悦子 野嶋 佐由美 水野 敏子 山本 武志 大熊 恵子 留目 宏美 石井 秀宗 大久保 智也 加納 尚美 工藤 真由美 佐々木 幾美 本田 彰子 隆 朋也 中村 知靖 吉田 千史 西出 りつ子 宮武 陽子 西崎 祐史 山野 泰彦 牛山 杏子 小泉 麗 大西 淳子 松本 文奈 鶴見 紘子
出版者
聖路加看護大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

近年、看護系大学の急増と医療の高度化に伴い、卒業までに取得すべき看護実践能力の評価の重要性が増加している。その一環として、臨地実習に入る直前の段階までに看護学生が取得すべき知識・能力を正しく評価しておくことは看護実習の適正化のための急務の課題である。このような状況に鑑み、申請者は、2008~2010年に科学研究費補助金を受け、看護系大学の学生が臨地実習以前に必要とされる知識・能力の有無を検証することを目的として、看護学18領域から約1500の多肢選択式形式の設問を作成し、730名の学生に紙筆形式のモニター試験、および、220名の学生に対するコンピュータ試験(CBT:Computer Based Testing)を実施し、その結果を比較し、全国看護系大学共用のコンピュータ試験の有用性を確認した。
著者
関谷 和之 安藤 和敏
出版者
静岡大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

相互評価であるAHP, ANP, DEAにおける理論と応用の両面からの展開とその融合研究を行った。一対比較行列に対する最小χ二乗法の開発, 固有ベクトル法による超行列分析の開発, 多重DEA解に対する対処などの理論的貢献とこれらの成果の多様な分野への適用による事例研究における応用面での貢献を得ることができた。これらの研究成果は、国内外の科学雑誌に掲載され, 国際会議等で口頭発表を実施した.これらの研究活動により, 国際交流の活性化し, 国内における意思決定法の研究の中心的役割を果たすことができた。
著者
伊藤 洋介
出版者
東北大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

中性子星連星系などの相対論的連星系からの重力波の直接観測には、連星の運動方程式を高精度で求めておく必要がある。本研究では、ポスト・ニュートン近似法を用いて、第1原理から導出された方程式としては世界最高精度である3.5次精度の運動方程式の導出に成功した。また、時空に特異線が存在しないという要請を課すことにより、アインシュタイン方程式と無矛盾な電磁場が存在する時空における点電荷の運動方程式を導出した。
著者
辻 平治郎 辻 斉
出版者
甲南女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1998

近年特性論の主流となった5因子モデルは特性語を網羅的に収集し分類する「語彙アプローチ」から生れてきた。しかし日本では、これを輸入・翻訳した、研究はあるが、5因子との関連を見た語彙研究はほとんどない。そこで本研究では、日本語で語彙アプローチを試み、5因子が確認されるかどうかを研究してみた。まず、23名の研究者が特性語および特性語化できそうな語を広辞苑から抽出したところ、13,198語となった。次に、18名の研究者がこれらの語が「通じるか」どうかを1〜3の3段階で評定し、現代人にはほとんど通じない語(評定平均値1.5未満)を削除したところ、11,145語が残った。内訳は、名詞8,134語、動詞1,099語、形容詞646語、副詞77語、連体詞4語、慣用句1,185である。さらに18名の研究協力者がこの11,145語の「意味が分かるか」「使うか」の評定を行い、上記の「通じる」評定を加えた3種類の評定平均値が2.5以上のものを、日常的に使われる特性語として選出したところ、3,779語となった。また、この3種類の評定すべてが3となった語が400であったので、これらを尺度化して、自己評定データ(有効回答490名)をとり、因子分析を行ったところ、11因子が抽出された。これらは適切なまとまりを示していたが、欧米の5因子とはかなり異なっていた。このような結果になったのは、(1)日本語に特有の因子構造があるから、(2)400語のリストに真の特性語以外のものが含まれていたから等の理由が考えられる。実際、第2次データベースを特性語化して文法を基礎として整理してみると、(1)人物のタイプを表す名詞、(2)永続的な特徴を表す形容語(形容詞および名詞や動詞を形容語化したもの)、(3)動作的特徴を示す動詞(名詞+動詞を含む)に分化するので、真の特性語に限定すれば、5因子に近いものが抽出されたかもしれない。
著者
目黒 公郎 越村 俊一 高島 正典 近藤 伸也 村尾 修 庄司 学
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2006

本研究は,津波災害経験の乏しい発展途上国を主な対象として,効果的な津波防災対策を実施する際に必要な総合的な津波防災戦略のモデルを提案するとともに,いくつかの発展途上国への具体的な導入考えた場合の課題を整理した上で,津波警報システムを構築するものである.その結果、津波を探知し,警報を出し,住民を避難させるまで,総合的に支援するシステムを長期的に維持する基盤が整った.
著者
岡元 智一郎 高田 雅介 黒木 雄一郎
出版者
長岡技術科学大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

21世紀の安全・安心・快適な社会の構築のために、従来の科学技術の限界を突破し得るナノテクノロジーの展開が注目されている。その鍵となるのは、高品質ナノ結晶の合成にある。本研究では、金属やセラミックスを通電加熱することにより、その表面や近接する基板上に良質なナノ結晶が成長する現象に関して、その結晶成長機構を解明し、高品質のナノスケール構造体を精度良く効率的に且つ大量に合成するためのナノ結晶合成技術の確立に向けた研究を行った。
著者
長田 佳久 西川 泰夫 鈴木 光太郎 高砂 美樹 佐藤 達哉 鷲見 成正 石井 澄 行場 次朗 金沢 創 三浦 佳世 山口 真美 苧阪 直行 藤 健一 佐藤 達哉 箱田 裕司 鈴木 光太郎 櫻井 研三 西川 泰夫 鈴木 清重 増田 知尋 佐藤 隆夫 吉村 浩一 鈴木 公洋 椎名 健 本間 元康 高砂 美樹 仁平 義明 和田 有史 大山 正 鷲見 成正 増田 直衛 松田 隆夫 辻 敬一郎 古崎 敬
出版者
立教大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本研究では, 国内で行われてきた実験心理学研究に関連した機器や資料の現状の把握, 保管方法の検討及び活用方法に関して検討した。本研究活動の成果として,1) 国内の研究機関で保管されている機器の状態の把握,2) 廃棄予定の機器の移設,3) 機器・資料のデジタルアーカイブ化,4) 機器・資料の閲覧方法の検討の4つが挙げられる。これらの成果を通じて, 日本の実験心理学の歴史的資料を残し, 伝えるための手法に関する基盤を築いた。
著者
生原 喜久雄 戸田 浩人 石橋 整司 喜多山 繁 WU Jiling HUANG Baolong 呉 季陵 黄 宝龍
出版者
東京農工大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1998

中国にはおよそ63百万haの過湿地がある。その面積は世界の3番目で、その一部は森林育成がなされている。中国における過湿地での健全な森林を育成するため、江蘇省での地下水位別の池杉およびポプラのバイオマス、養分量、土壌の理化学的性質、根の生理生態、土壌微生物バイオマス等を調査し、過湿地造林地の生態的特性を明らかにした。池杉及びポプラの成長は地下水によって大きく異なり、池杉人工林の場合、高水位の強行直径は低水位の56%、樹高は69%、幹材積haは22%であった。同様の傾向がポプラにも見られた。年間リターフォール量と樹体増加量を合計して、地上部の年間養分吸収量を求めた。池杉の窒素の吸収量はポプラよりも多かった。カリウムを除いて地上部の養分吸収量の9割程度はリターフォールとして土壌へ還元された。深さ50cmまでの土壌の三相組成では、池杉では気相率は15%以下と低くかった。交換性に対する水溶性塩基の割合は、K、Ca、Mgではほとんど1%以下なのに対して、Naは50%以上であった。池杉の根は2ヶ月ぐらいの浸水であれば、浸水しない細根よりも高かった。しかし、浸水期間が3ヶ月以上になると、根の活性は低下した。高、中、低水位の気根数は14、6、4個/本であった。高水位の気根の形態や分布は中水位および低水位と比べて、大きく異なっていた。過湿地の微生物バイオマス炭素、窒素は日本の森林土壌の1/3と少なかった。雨季に測定した池杉の高水位のメタンのフラックスは9〜60mg/m^2・hと大きかった。一方、地下水位が表層土壌以下になると、メタンのフラックスは著しく減少した。
著者
高田 春比古 根本 英二 中村 雅典 遠藤 康男
出版者
東北大学
雑誌
萌芽的研究
巻号頁・発行日
2000

報告者らはこれまでに、i)歯周病関連細菌のLPS,口腔レンサ球菌ならびにCandida albicansより調製した細胞壁画分を、細菌細胞壁ペプチドグリカンの要構造に当たる合成ムラミルジペプチド(MDP)を前投与したマウスに静脈注射すると、アナフィラキシー様ショック反応を惹起すること、ii)LPSによるショック反応の背景には血小板の末梢血から肺等への急激な移行と、臓器での凝集・崩壊、それに続発する急性の組織破壊が起こっており、MDPはこのような血小板反応を増強すること、iii)さらに、一連の反応の成立には、補体が必須であることを明らかにしてきた。本研究の当初の計画では、マンナンを主要構成多糖とするC.albicansの細胞壁がmannose-binding lectin(MBL)と結合して、所謂レクチン経路を介する補体活性化を起こす結果、血小板崩壊に続発するアナフィラキシー様反応が起こるとの作業仮説の実証を目指していた。しかし、研究の途上で、マンノースホモポリマー(MHP)を保有するKlebsiella O3(KO3)のLPSに極めて強力なショック誘導作用を認めたので、先ず、MHP保有LPSを供試する実験を実施した。即ち、横地高志教授(愛知医大)より、KO3の他、E.coli O8とO9(いずれもMHPよりなるO多糖を保有)さらに、O8およびO9合成酵素をコードする遺伝子をE.coli K12(O多糖欠くR変異株)に導入して得た遺伝子組替えLPSの分与を受けて、MHP保有LPSが例外無く強力なショック反応と血小板反応を惹起すること、さらに、松下操博士(福島医大)の協力を得て、MHP保有LPSはヒトMBLと結合して、血清中のC4を捉えて、補体系を活性化することを証明した。
著者
藤岡 知昭 小原 航 兼平 貢
出版者
岩手医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

上部尿路上皮癌ではstageおよびgrade非依存性に新規腫瘍抗原MPHOSPH1およびDEPDC1蛋白は高い割合で発現していた。上部尿路上皮癌に対するペプチドワクチンの投与は安全であり、術後再発予防として有用である。その抗腫瘍効果には、TILが関与している。