著者
中根 俊成 溝口 功一 阿部 康二 熱田 直樹 井口 保之 池田 佳生 梶 龍兒 亀井 聡 北川 一夫 木村 和美 鈴木 正彦 髙嶋 博 寺山 靖夫 西山 和利 古谷 博和 松原 悦朗 村松 慎一 山村 修 武田 篤 伊東 秀文 日本神経学会災害対策委員会
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.60, no.10, pp.643-652, 2020 (Released:2020-10-24)
参考文献数
57

東日本大震災の甚大な被害を踏まえて日本神経学会の災害対策活動はスタートした.2014年,正式に日本神経学会災害対策委員会が発足し,災害支援ネットワーク構築と指揮発動要件設定を行い,模擬訓練を実施した.2016年の熊本地震で我々は平常時の難病患者リスト作成,個別支援計画策定の重要性を認識し,避難所等における難病患者のサポートのあり方を検討した.2017年,我々は災害対策マニュアルを刊行し,難病患者の災害時調整役として各都道府県に神経難病リエゾンを配置することを定めた.神経難病リエゾンの役割は「被災地の情報収集・発信」,「医療支援調整」,「保健活動」であり,平常時と災害時の活動が期待される.
著者
青木 愛子 石井 里子 大倉 一晃 髙橋 真帆 酒泉 裕
出版者
一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
雑誌
医学検査 (ISSN:09158669)
巻号頁・発行日
vol.72, no.3, pp.446-451, 2023-07-25 (Released:2023-07-25)
参考文献数
15

症例は100歳女性。心窩部痛を主訴に当院を受診した。受診時,意識清明だったが,顔面蒼白で血圧低下を認めたため輸液が開始された。血液検査のために提出された採血検体は強い溶血を呈しており,再採血を含め3回の採血を行ったが,いずれも著明な溶血が認められた。また,尿定性で潜血3+,尿沈渣でRBC 1個未満/HPFと溶血の存在が示唆された。その後,症状の改善がみられず,意識レベルの低下,頻呼吸を認め,敗血症性ショックの疑いで緊急入院となった。入院時に血液培養2セットを採取し,meropenem(MEPM)にて治療が開始されたが,急速に全身状態は悪化し,入院12時間後に永眠された。採取された血液培養の2セット全てからClostridium perfringensが検出され,死亡時画像診断で肝臓に不整なガス像が認められた。
著者
髙木 俊雄
出版者
明治大学
巻号頁・発行日
2022

Article
著者
鈴木 智康 小野 孝也 髙橋 賢 野田 和彦
出版者
公益社団法人 腐食防食学会
雑誌
Zairyo-to-Kankyo (ISSN:09170480)
巻号頁・発行日
vol.68, no.5, pp.112-115, 2019-05-10 (Released:2019-10-25)
参考文献数
7
被引用文献数
5 4

物理現象としての結露時におけるACM(Atmospheric Corrosion Monitor)センサの出力挙動と腐食量の関係を明らかにするため種々の試験を行った.結露時のセンサ出力は降雨でのぬれや付着塩の吸水と比較して挙動が異なるため,切り分けて評価する必要があることがわかった.いずれの現象においても,その場測定(in situ)によって得られた出力と腐食量には相関が認められたので,ACMセンサ出力から短時間での腐食速度の推定が可能と考えられる.
著者
乙竹 秀明 東 いぶき 久保川 哲 近藤 亮一郎 有田 龍太郎 沼田 健裕 大澤 稔 菊地 章子 髙山 真 石井 正
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.70, no.4, pp.419-429, 2019 (Released:2020-03-06)
参考文献数
21
被引用文献数
2 2

漢方薬を用いたランダム化比較試験(RCT)を,日本東洋医学会は漢方治療エビデンスレポート(EKAT)としてまとめている。本研究では,漢方薬の RCT の現状と変遷を検討することを目的として,EKAT の分類法(研究デザイン,介入方法,研究目的,掲載雑誌の信頼度,出版年)を考案し,416本の RCT の分類と比較を行った。研究デザインで分類すると二重盲検 RCT(DB-RCT)は全体の8.9%と少なかったが,その86.5%がプラセボを用いた試験であった。標準治療のない疾病に対し漢方薬の効果を評価した研究の6割以上が DB-RCT であり,漢方薬への期待がうかがえた。近年になるにつれて,封筒法 RCT や準 RCT の割合が減少する一方,インパクトファクターの付く雑誌への掲載割合が増えており,質の高い漢方研究が行われ評価されてきていると示唆された。本研究は医学部医学科第2学年問題発見・解決型実習で行われた。
著者
鎌田 尚希 大木 あかり 荒井 将太 武田 将太郎 齋藤 杏 大澤 優輝 髙田 茉知 山本 貴士 武川 直樹 青木 良輔
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.69, no.4, pp.4_1-4_8, 2023-03-31 (Released:2023-03-30)
参考文献数
13

畳まれた長傘による歩行時のヒヤリハット事例が日本の行政機関からしばしば報告されているが,長傘の危険な持ち方に関する対策検討が少ない.代表的な危険な持ち方に,長傘を地面に対して水平に持つ横持ちが取り上げられる.その問題に対し,長傘の先端が地面に向かうように持つという持ち方の啓発活動が主な対策である.しかし,横持ち以外の持ち方の危険性や,危険な持ち方に至る人々の心理の探究が少ない.本稿では,2種類の長傘の持ち方調査と,調査結果に基づく3種類のプロトタイプを提案し,その使用感をヒアリングした.持ち方調査から長傘の先端をつけない持ち方を,あるいは周囲への迷惑がないと判断すると本人にとって楽な持ち方を優先する傾向が確認された.この知見に基づいて製作された各プロトタイプのヒアリングから,楽な持ち方に適したものが好まれる傾向があった.
著者
井邑 智哉 髙村 真広 岡崎 善弘 徳永 智子
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.87, no.4, pp.374-383, 2016 (Released:2016-10-25)
参考文献数
29
被引用文献数
3 5

We developed a scale to measure time management and assessed its reliability and validity. We then used this scale to examine the impact of time management on psychological stress response. In Study 1-1, we developed the scale and assessed its internal consistency and criterion-related validity. Findings from a factor analysis revealed three elements of time management, “time estimation,” “time utilization,” and “taking each moment as it comes.” In Study 1-2, we assessed the scale’s test-retest reliability. In Study 1-3, we assessed the validity of the constructed scale. The results indicate that the time management scale has good reliability and validity. In Study 2, we performed a covariance structural analysis to verify our model that hypothesized that time management influences perceived control of time and psychological stress response, and perceived control of time influences psychological stress response. The results showed that time estimation increases the perceived control of time, which in turn decreases stress response. However, we also found that taking each moment as it comes reduces perceived control of time, which in turn increases stress response.
著者
髙田 久実子 蛯子 慶三 木村 容子 伊藤 隆
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.67, no.2, pp.191-194, 2016 (Released:2016-08-18)
参考文献数
8
被引用文献数
2 2

近年,日本ではインターネット販売により,鍼灸師や医師以外の者が医家向けの管理医療機器を安易に購入し購入使用するケースも少なくない。プラスチックとシールが一体になった円皮鍼(以下パイオネックス®)は操作性がよく,これまでの報告では有害事象もテープによる皮膚炎程度で安全性が比較的高く広く普及している。今回,患者が貼付していたパイオネックス®を剥離した際にプラスチック部が破損し鍼先が身体に挿入されたままになり,伏鍼などの事故につながる可能性のあった事例を経験した。患者は自己判断で購入し長期間保管して使用期限を10ヵ月過ぎたパイオネックス®を約3週間貼付していた。プラスチックは性質上劣化をおこすものであり紫外線や水,衝撃などでも破損することがある。使用期限を守ることはもちろん,貼付期間が長くなると劣化が進む可能性があり,使用上の注意喚起が改めて必要と考え急ぎ報告する。
著者
石川 哲郎 三浦 瑠菜 田邉 徹 増田 義男 矢倉 浅黄 阿部 修久 髙津戸 啓介 奥村 裕
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
pp.22-00044, (Released:2023-07-07)
参考文献数
36

長期モニタリングデータを用いて,震災前後で仙台湾の水質環境(水温,塩分,DO,栄養塩類)に変化が生じているか検討した。震災後,震災前と比べ,栄養塩類とDOは低下し,水温と塩分は上昇する傾向が認められた。震災後の栄養塩類(DINとDIP)の減少は底層で大きく,春季に栄養塩に富む親潮系水の波及が減少した一方で栄養塩が少ない黒潮系水が波及するようになった影響や,震災で生じた底質の変化による夏季から秋季の底質からの栄養塩類の溶出の減少が要因として考えられた。