著者
田中 若葉 大谷 忠
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
科学教育研究 (ISSN:03864553)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.206-214, 2021 (Released:2021-07-16)
参考文献数
17
被引用文献数
1

This study examined the relationship of the human resources in the STEM field that were nurtured through school education with an analysis of the current state of the labor force in the STEM field in order to investigate the ideal way of STEM education in Japan. The results showed that the Japanese STEM human resources analyzed through a comparison with the United States accounted for about 6% of the labor force, which was about the same as that of the United States. In addition, the characteristics of the engineers included in Japan’s main STEM human resources showed that the number of information processing/communication engineers and medical engineers increased in recent years. Engineers who specialized in the humanities and science fields have also become important in addition to the human resources development of conventional engineering. Regarding STEM human resources in Japan from the viewpoint of human resource development, it was found that the development of engineers in specialized fields other than that of conventional engineering was added in an overlapping manner.
著者
田中 雄一郎
出版者
学校法人 聖マリアンナ医科大学医学会
雑誌
聖マリアンナ医科大学雑誌 (ISSN:03872289)
巻号頁・発行日
vol.50, no.4, pp.205-213, 2023 (Released:2023-05-16)
参考文献数
17

ロボトミーはモニスのノーベル賞受賞で奇跡の治療として市民権を得る。しかし受賞からわずか3年後に,クロルプロマジンというロボトミーに対する最も強力なライバルが現れる。ロボトミーの負の側面,すなわち手術死亡率の高さや人格の変化などが問題点として顕在化しロボトミーに対する世間の風向きが変わる。ロボトミーに批判的な映画や様々な社会スキャンダルが登場し奇跡の治療が悪魔の手術に転落する。ロボトミーに対する社会の評価の変貌を読み解く。
著者
新開 統子 増本 幸二 白根 和樹 堀口 比奈子 根本 悠里 伊藤 愛香里 田中 尚 相吉 翼 佐々木 理人 千葉 史子
出版者
特定非営利活動法人 日本小児外科学会
雑誌
日本小児外科学会雑誌 (ISSN:0288609X)
巻号頁・発行日
vol.56, no.6, pp.966-970, 2020-10-20 (Released:2020-10-20)
参考文献数
13

【はじめに】外傷による打撲と手術に伴う皮下組織の腫脹・疼痛に対し,通導散を用いて良好な結果を得た症例を経験したので報告する.【症例1】14歳男児,自転車走行中にトラックと接触し全身を打撲した.受傷後1日目から打撲部の腫脹疼痛に対し通導散と頭痛に対し五苓散を5.0 g/日で開始し,経過良好で受傷後3日目に退院した.打撲部の腫脹は受傷後6日目で軽快したため,通導散と五苓散を2.5 g/日に変更し,13日目には消失した.通導散は13日間投与した.【症例2】10歳男児,木村氏病が疑われた左下顎部の腫瘤を摘出した.顔面創部周囲の腫脹と疼痛に対し,通導散を術後1日目から2.5 g/日で7日間投与した.初回は苦味のため服用できなかったが,術後2日目からは服用でき,創部周囲の腫脹は術後2日目をピークに減少し,術後9日目には消失した.【まとめ】通導散は,局所の炎症や浮腫,疼痛を軽減させ,急性期に用いる漢方として有用であると考えられた.
著者
佐野 昌典 菅原 冬樹 田中 修
出版者
日本きのこ学会
雑誌
日本応用きのこ学会誌 (ISSN:13453424)
巻号頁・発行日
vol.9, no.4, pp.161-170, 2001-12-25 (Released:2018-04-20)
参考文献数
9
被引用文献数
1

シュレッダーで2ミリ角に細断した段ボールを,5種のキノコ,クモギタケ,ヒラタケ,エノキタケ,ブナシメジ,エリンギの栽培に,100パーセントおが粉に変わる素材として用いることを試みた.菌糸の増殖,子実体形成までの日数,子実体収量について,おが粉,段ボールを培養素材とした場合を比較検討した.その結果,クモギタケとヒラタケの菌糸増殖,子実体形成までの栽培日数,子実体収量は,段ボールの培養基材により,良い傾向が見られた.また,他の3種のキノコも,2種の培養基材により,培養日数に差が生じる傾向は見られなかった.しかし,段ボールの培地によって子実体収量が増加する傾向を示した.
著者
田中 義孝
出版者
日本高圧力学会
雑誌
高圧力の科学と技術 (ISSN:0917639X)
巻号頁・発行日
vol.17, no.3, pp.238-244, 2007 (Released:2007-08-30)
被引用文献数
3 3

The quality of cutting of diamond anvils from the stone crystal has a decisive influence on high-pressure generation using a diamond anvil cell (DAC). Recently, we have established a high-precision processing technology for the cutting. The development enabled to design a simple and convenient DAC without any adjustment mechanism to parallelize culet-faces of opposite anvils. The current situation in the manufacturing floor is also reported on.
著者
宮澤 史穂 田中 章浩 西本 武彦
出版者
日本認知科学会
雑誌
認知科学 (ISSN:13417924)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.122-130, 2012 (Released:2013-12-27)
参考文献数
25
被引用文献数
1

The purpose of this study was to examine the relationship between pitch rehearsal and phonological rehearsal with regard to working memory. We conducted a dual-task experiment using musical tones and speech sounds. A standard-comparison task was the primary task and a suppression task was the secondary task. The participants were asked to engage in articulatory or musical suppression while they maintain speech sounds (phonological information) or musical tones (pitch information). Under articulatory suppression, the participants were asked to say “a, i, u” repeatedly; under musical suppression, they were asked to hum in three pitches (e.g., do, re, mi) repeatedly. The results revealed that articulatory suppression decreased the performance of recognition of phonological information but not of pitch information. Moreover, musical suppression decreased the performance of recognition of pitch information but not of phonological information. This implies that ariticulatory suppression selectively interfered with the rehearsals of speech sounds, and musical supersession selectively interfered with the rehearsals of musical tones. Consequently, the results suggest that pitch rehearsal is independent from phonological rehearsal.
著者
田中 智大 山崎 大 吉岡 秀和 木村 匡臣
出版者
水文・水資源学会
雑誌
水文・水資源学会誌 (ISSN:09151389)
巻号頁・発行日
pp.37.1817, (Released:2023-08-31)
参考文献数
21

局所慣性方程式は,効率よく洪水氾濫解析を実行できる基礎方程式として2010年頃に提案されて以来,数多くの数値モデルに使われている.著者らは,局所慣性方程式がなぜ高い数値安定性を有するのか,また,その安定性条件はどのように決定されるのかについて,数学的解析とモデル実装の両面から研究に取り組んできた.本稿は,約10年間に渡り取り組んできた一連の研究をレビューし,拡散波方程式との比較,摩擦項の離散化手法による安定性への影響,安定性と精度を両立する離散化手法の提案,という3つの視点で成果を整理する.数理解析の概要を説明するとともに,局所慣性方程式をモデルに実装するユーザー視点での要点をまとめることを目的とする.さらに,水文・水資源学会の研究グループ発足といった原著論文では記すことが難しい共同研究進展の契機についても,時系列で振り返って研究ノートの形で記録する.
著者
山下 衛 田中 淳介 山下 雅知
出版者
Japanese Association for Acute Medicine
雑誌
日本救急医学会雑誌 (ISSN:0915924X)
巻号頁・発行日
vol.8, no.7, pp.273-287, 1997-07-15 (Released:2009-03-27)
参考文献数
88

経口中毒物質の吸収を阻止することは中毒治療の基本原則である。活性炭投与,催吐剤投与,胃洗浄などの方法が古くから行われているが,いずれの方法が経口中毒物質吸収阻止に最も効果的であるかについては議論のあるところである。1980年代までは活性炭の投与方法やその吸着効果について十分検討されなかったことが,その原因のひとつである。この10年間に,活性炭の効果的な投与方法や投与量についてヒトを使って研究され,活性炭投与が中毒物質吸収阻止のために最も重要であり,そのなかでも頻回活性炭投与法が効果的であることが明らかになってきた。この論文では催吐や胃洗浄の方法を説明し,活性炭の中毒治療への重要性について述べる。
著者
大井 逸輝 河﨑 亮一 田中 健太郎 御影 雅幸
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.63, no.5, pp.305-312, 2012 (Released:2013-02-14)
参考文献数
8

漢方生薬「附子」は強毒性のブシジエステルアルカロイド(BDA)を含むが,生薬原料には BDA 含量の高いものがよいと考えられてきた。一方,第十六改正日本薬局方では減毒処理方法および BDA 含量の上限値が規定された。本研究では,古文献の附子の良品に関する記載内容を検討し,附子の形状と BDA 含量の関係について調査した。その結果,大型で角(細根基部肥大部)がある附子が尊ばれていたこと,また使用時は,原材料(子根)から細根基部肥大部(節・角)および根頭部(臍)を切り取る修治が行われていたことが明らかとなった。大型の附子は BDA 含量が低値に安定し,根頭部(臍)および細根基部肥大部(角)は子根本体に比べて BDA 含量が高いことが明らかになったことから,選品においても修治法においても BDA 含量を低くする目的があった可能性が示唆された。したがって,古来の良質品附子は毒性が低くかつ安定したものであったと考証した。
著者
佐藤 太一 山田 一隆 緒方 俊二 辻 順行 岩本 一亜 佐伯 泰愼 田中 正文 福永 光子 野口 忠昭
出版者
一般社団法人 日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.49, no.7, pp.579-587, 2016-07-01 (Released:2016-07-23)
参考文献数
35
被引用文献数
1 2

目的:痔瘻癌の臨床病理学的検討を行った.方法:1997年から2014年までに経験した痔瘻癌25例の臨床病理学的特徴と治療成績を検討した.結果:平均年齢は58歳(34~82歳),男性23例,女性2例であった.痔瘻癌の診断までの痔瘻罹病期間は中央値12年(1~50年)で,7例がクローン病合併例であった.確定診断に至った方法は,腰椎麻酔下生検が14例,内視鏡下生検が6例,局麻下生検が3例,細胞診が1例,開腹手術中の迅速組織診が1例であった.確定診断までの検査回数は平均2回(1~4回),診断までに要した検体数は平均7個であった.14例に腹会陰式直腸切断術,10例に骨盤内臓全摘術,1例にハルトマン手術が行われた.組織型は粘液癌が68%,リンパ節転移陽性症例が40%,4例に鼠径リンパ節転移を認めた.全25例における5年生存率は45.8%であった.根治度別にみると,根治度AB症例は根治度C症例と比べて有意に予後良好であった(P<0.0001).クローン病合併の有無で痔瘻癌を2群に分けて臨床病理学的因子を比較したが,クローン病合併例は癌診断年齢が有意に若いこと以外,2群間で有意差を認めなかった.結語:長期の難治性痔瘻症例は臨床症状の変化,悪化に着目し,痔瘻癌が疑われた場合は,積極的に生検組織診断を繰り返し行うことが重要である.切除可能な症例に対しては完全切除を目指した積極的な拡大手術が望まれる.
著者
藤原 靖弘 沢田 明也 橋本 篤 高嶋 信吾 田中 史生
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.117, no.12, pp.1081-1086, 2020-12-10 (Released:2020-12-10)
参考文献数
27
被引用文献数
1

症例は52歳女性.半年前より頻回のげっぷがあり,上部消化管内視鏡検査で異常を認めず,薬物抵抗性のため紹介.腹部単純X線では胃や小腸内に著明なガス貯留を認めず.診察中も頻回のげっぷが出現したが,会話中は認めなかった.高解像度食道内圧検査および食道インピーダンスpHモニタリングの解析より,excessive supragastric belchingと診断した.認知行動療法により,げっぷの回数は減少した.