著者
村澤 昌崇 羽田 貴史 阿曽沼 明裕 白川 優治 藤墳 智一 立石 慎治 安部 保海 堀田 泰司 大場 淳 渡邉 聡
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

今年度は以下の研究を進展させた。①大学組織に関する基礎研究の一環として、昨年度に引き続き、Bess&DeeのUnderstanding College and University Organizationの翻訳勉強会を進めた。②所属組織保有の過去の調査データをマージして二次分析に生かすための検討を行った。併せて東洋経済新報社刊『大学四季報』のデータを購入し、東洋経済新報社とのコラボレーションにより、大学の外形特性と生産性・競争的資金獲得との関係に関する計量分析を行い、2018年2月2日RIHE公開セミナーにおいてその成果を報告した。③方法論の見直し・新手法の適用可能性を検討し、その成果を分担研究者との連名で高等教育学会編『高等教育研究』の依頼論文(2017年6月刊行)、研究協力者との連名でディスカッションペーパーシリーズ(広島大学高等教育研究開発センター刊)として刊行した。④研究分担者により、大学の機能最適化に関する数学モデルで用いられる機能分化指数を用い,カリフォルニア及びニューヨークの大学群の機能の経年変化の分析を行い,UC Berkeley 公共政策大学院高等教育研究センターのリサーチペーパーとして発表した。⑤研究分担者により、大学組織の基本単位である学部に着目し,特に改組を行った人文社会系学部を取りあげ,当該学部の教員構成を分析した。その成果は、2017年度の日本高等教育学会にて報告された。⑥研究分担者により、シンガポールの高等教育の将来像を示す「SkillsFuture」政策およびシンガポール工科大学(SIM)の過去10年の発展の経緯と今後の戦略についての情報収集を行った。さらに、フランスにおける大学組織の在り方や統合・連携等についての調査研究を行い、大学の統合・連携の進展が進行しつつあり、全ての大学が統合又は地域毎に連携しなければならないことが明らかになった。
著者
伊藤 進一郎 福田 健二 中島 千晴 松田 陽介
出版者
三重大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

1980年以降、日本ではブナ科樹木に萎凋枯死が発生し、被害は拡大している。この被害は、カシノナガキクイムシが伝搬するRaffaelea quercivoraによって発生することが明らかとなった。本研究では、アジア地域でカシノナガキクイムシ科昆虫に随伴するRaffaelea 属菌を調べ、それらの病原性を明らかにすることを目的とした。その結果、タイ、ベトナム、台湾で採集したカシノナガキクイムシ科昆虫からはRaffaelea属菌類が検出された。それらの菌類は、ミズナラに対して親和性があること、またタイの1菌株がミズナラに対して病原性を示すことが明らかとなった。
著者
大石 和徳 山領 豪 森田 公一 井上 真吾 熊取 厚志
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

フィリピン、マニラ市において78例のデングウイルス二次感染症患者(DF40症例、DHF38症例)の急性期と回復期の末梢血血小板数とPAIgGおよびPAIgMを測定し、血小板数のみならず重症度との相関を検討した。急性期に血小板数は減少するのに対し、PAIgG,PAIgMは増加し、それぞれは血小板数と有意な逆相関を示した。また、PAIgMの増加はDHF進展と有意に相関することが判明した。一方、急性期患者の末梢血血小板の溶出液中には健常者と比較して高い抗デングウイルス活性を検出した。デングウイルス二次感染症において、抗デングウイルス結合活性を有する血小板に付随した免疫グロブリンはその血小板減少機序と重症度に重要な役割を果たすことが推察された。また、血漿中thrombopoetin(TPO)は急性期に増加することから、デングウイルス二次感染症において、デングウイルス感染に伴う巨核球減少が関与することが示唆された。次に、顕著な血小板減少を伴うデングウイルス感染症患者34例(DF18例、DHF16例)を対象として、高用量静注用ヒト免疫グロブリン(IVIG)を0.49/kg/日を3日間投与し、血小板減少の進行阻止あるいは回復促進効果が認められるか否かを前向き比較試験として実施した。入院直後にウイルス学的診断の確定した34症例を封筒法により無作為にA群(IVIG投与+輸液療法)17例、B群(輸液療法のみ)17例の2群に分類した。2群の性別、年齢(平均15歳)、重症度、末梢血血小板数に有意差は認められなかった。A群において、IVIG投与に伴う明らかな副反応は認められなかった。これらの結果から、急性デングウイルス感染症は、ITPとは異なり網内系細胞のFcレセプターを介した血小板クリアランスは主要な血小板減少機序でないことが示唆された。さらに、分化したTHP-1細胞を用いてin vitroの血小板貪食能測定法をフローサイトメトリーを用いて確立した。
著者
阿子島 功 坂井 正人 渡邊 洋一 本多 薫 坂井 正人 渡邊 洋一 本多 薫 PAZOS Miguel OLAECHEA Mario
出版者
山形大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

ペルー中南部海岸沙漠のナスカ台地とその周辺の地上絵は、B.C.1~A.D.8世紀頃のナスカ期の文化遺産であり、1994年に世界遺産に指定されたが、詳細な測量図が作成されているのは動植物図像が集中しているナスカ台地の一部のみであり、ナスカ台地全域にわたる地上絵の分布の全体像については必ずしも明らかではなかった。地上絵の成り立ちの解明や今後の保全計画の基礎となる資料を整備する目的で、高精度人工衛星画像解析や現地調査によって分布図作成を行い、自然地理学、考古学、認知心理学などの観点から考察した。ナスカ台地全域の地上絵の分布図が作成されたことにより、自然地形との関係や、地上絵が制作された文化的背景、また現在進行している地上絵の破壊状況などを明らかにすることができる。
著者
久我 清 浦井 憲 入谷 純 永谷 裕昭
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1995

現在の一般均衡理論(GE),就中,伝統的な企業理論がその記述に重要な理論構成要素であるはずの予算制約式・販売・産出投入・在庫活動等の記述を行っていない。そのような非現実的なあり方を改めて,企業は財を所有し,家計のように予算制約式をもち,産出投入・販売購入・在庫設備投資計画を策定し実行する森嶋(1950,1992,1996)型の構造をもつものと規定した。現在のGEにおける均衡解の存在とそのパレト効率性命題が企業を単なる利潤最大化原理に依る組織と見る法人擬制説に依存している事とは対照的に,我々は市場の構造を多期間型一時的均衡として追求し,企業がいずれの期間においても収支条件の制約下にあり,財所有を行う組織として利潤の現在価値の流れの総和を最大化するものと規定するとき,「厚生経済学の基本定理」が受ける制約を価格メカニズムの本質論として展開した。家族とその家計行動についても,複数のリーダーがそれぞれ異なった価値観をもって家族の意思形成を統合するメカニズムを一般均衡理論的に活写し,家族意志への連帯と個人の自由意志の共存の可能性を検証し,併せて,予算制約式のみならず,家計も産出投入・販売購入・在庫設備投資計画を策定し実行する経済活動主体たちの集まりとして規定した。このような流れと従来のアプローチを統合的な視野から検討することもまた重要である。完全予見的な動学理論において,明らかに企業というものの像は単純化されすぎており,また一時的一般均衡理論においては市場の非完備性という問題が(そもそも完備性などありえないという立場から議論が始まっているがゆえに)議論の中心にはならず,それゆえ市場構造が明確でないという欠点が存在する。一時的一般均衡モデルと完全予見型の非完備市場一般均衡モデルとを統合的に扱うことによって,動学的経済の運行を描く最も普遍的な枠組みを提供し,同時にその範疇に入らないものを浮き彫りにしたという作業は,本研究課題における重要な成果の一つである。租税論は従来法人の資産所有を認めないモデルすなわち法人擬制説にしたがって商品課税と効率性について検討してきたが,法人実在説を念頭に置けば,法人の資産所有が明瞭に考察されねばならない。この点で,企業の予算制約の有無が,法人実在説と法人擬制説のどちらの立場をとるかへの分岐点となるが,我々の研究プロジェクトでは,法人実在説にもとずいて法人所得への課税がどの経済主体への相対的に重い課税になるかという租税帰着を研究した。
著者
和田 裕文 光田 暁弘 浅野 貴行 光田 暁弘
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

MnAsは室温で巨大磁気熱量効果を示す物質である. 最近ブラジルのグループによってMnAsに圧力を加えると磁気熱量効果が極めて大きくなることが報告された. 本研究ではこの超巨大磁気熱量効果の検証を行った. その結果超巨大磁気熱量効果は測定の問題で生じた現象で本質的な性質でないことが明らかになった. また, 超巨大磁気熱量効果の起源といわれている格子のエントロピー変化を定量的に評価することに成功した, その値は全エントロピー変化の高々10%であることも明らかになった.
著者
丸山 浩明 宮岡 邦任 仁平 尊明 吉田 圭一郎 山下 亜紀郎 ドナシメント アンソニー
出版者
立教大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

アマゾンに建設された代表的な日本人移住地であるマウエスの日系人農場をおもな事例として、氾濫原(ヴァルゼア)と台地(テラフィルメ)という異質な生態空間を巧みに利用した、低投入持続型農業(LISA)を基幹とする住民の複合的な生活様式を明らかにした。事例農場は、ヴァルゼアとテラフィルメの両方に牧場を所有し、船で牛を移牧して周年経営を実現している。一定期間浸水する前者は乾季、浸水しない後者は雨季の放牧地である。テラフィルメ林は、焼畑農業や狩猟採集の場でもある。また、船を使った行商は現金収入を得る重要な農外就業であった。河川環境を利用した複合経営は、アマゾンでの生活の持続性や安定性の基盤となってきた。
著者
野崎 守英 加藤 敏 弘 睦夫 加藤 信朗 中村 昇 土橋 茂樹 田中 久文 清水 正之
出版者
中央大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2000

言葉には価値を示す言葉と事実を示す言葉とがある。その二つの性格が一つの言葉のうちで重なる場合もある。本研究では、言葉のそうした面について、参加者のさまざまな視角を提示し重ね合わせることを通して、倫理的な価値の多様なあり方の諸相を検討することを試みた。三年間の共同研究を経て明らかになったことを要約すると次のようになると思える。価値語・評価語のあり方にかかわって考えを進めるあり方には、大旨、少なくとも三つの方向がある。第一にあるのは、価値を含む言葉はそもそもどのような組成を備えて成り立つ、と見定めるのが妥当なのか、事実を示すとみなされる語と価値を示す語とは、どんな位相の差を示すものとしてあるのか、あるいはそうした位相の違いといったものなどはそもそもないと定める視点を立てることもできるのかどうか、といった点について、事を抽象する方向に眼を据えて思索を試みる、といった質の究明である。第二にあるのは、徳目としてしばしば話題にされる質の概念、あるいはもう少し広い幅で、人の価値指針となるような概念の成り立ちや意味を問う、といった視点からの究明である。儒学が倫理思想の体裁をとって問題にされる際には、そうした側面がとりわけ立ち上がることになる。旧来、この面の検討は、かなりなされることがあった、といえる。第三としてあるのは、広く日常にも用いられている言葉のうちに含まれている価値指示のあり方(たとえばさまざまな形容詞のうちに籠められているさまざまな価値内包性といったあり方)について、その意味内包のいろいろな方向の検討を試みるといった質の究明である。仔細は、報告集の参加者の論文のうちに見られる。
著者
廣瀬 勝己 青山 道夫 小村 和久 津旨 大輔 熊本 雄一郎
出版者
気象庁気象研究所
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

海洋研究開発機構 海洋地球研究船「みらい」が2003年から2004年に実施した南太平洋を含む世界一周航海ですでに得られたデータを組み込んだ、海洋のマルチトレーサーデータベースを完成させることができた。放射性セシウムの新しいソースタームと解像度を上げた海洋大循環モデルによる再現計算を行った。データベースを利用して解析したところ、^<239,240>Pu/^<137>Cs 比が、表層から水深約1000mまで指数関数的に増加していることを見出した。世界で始めて、南太平洋、南大西洋およびインド洋の薄明領域(水深100m-1000m)の粒子状配位子の分布を求めることができた。
著者
早川 尚男 川崎 猛史 齊藤 国靖 大槻 道夫
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

2017度は4回研究メンバー全員が集まった研究成果発表会を開き、そのうちの一回はアメリカのO'Hern教授を招いた国際会議形式を取り、本研究課題を推進した。出版論文は13(謝辞記載有りは11)であり、投稿中のプレプリントは4本である。これらの数は昨年並であるが、High Impact Factorへの発表論文が2つあり、そのうちの1本は日経新聞をはじめとした各種メディアに大いに取り上げられて注目された。国際会議の招待講演は5件(全て海外)、国内の招待講演は5件であった。主な研究成果として(1)シアシックニングの運動論をある程度濃いサスペンションへの適用の成功, (2) ジャミング点近傍でのサスペンションレオロジーの理論の発展、(3) シアジャム状態のプロトコル依存性の明示とシアシックニングとの関係の明示、(4)粘着性粉体のレオロジー;特に凝集不安定性、(5)粉体パイルの緩和 (6) パッキングへの摩擦のサイズ分布の影響、(7)剪断粉体系での異方的なエネルギースペクトルの緩和、 (8)摩擦のある粉体ジャム系でのシアモディラスの不連続な変化等を明らかにした事等が挙げられる。その他、非ガウスゆらぎの量子系への適用、幾何学的位相がある場合に非断熱的効果によってOnsager関係式が破れる事にも成果を挙げている。その他、現在研究が進展中でかつ論文執筆準備中の研究内容は非ガウスノイズの影響を受けた多体問題と2体有効相互作用に関する理論的研究、粉体環境中のトレーサー粒子間に働く有効相互作用、摩擦のある系のシアシックニングの理論等である。
著者
矢澤 修次郎 伊藤 公雄 長谷川 公一 町村 敬志 篠原 千佳 油井 清光 野宮 大志郎 山本 英弘 細萱 伸子 陳 立行 金井 雅之 L.A Thompson 菊澤 佐江子 西原 和久 Pauline Kent
出版者
成城大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

二つのこれまでに行われたことの無い質問紙調査を行い、世界における社会学の国際化に関する基礎データを取得することができた。そのデータを分析することによって、ヨーロッパ社会学と東アジア社会学の間には社会学の国際化に関してはそれほど大きな差は認められないこと、しかし社会学の国際化の形態に関しては、ヨーロッパの場合には国際化が研究者のキャリアにおいて通常のことになっているのに対して、東アジアでは最大限のコミットメントを要する出来事であること、また東アジア内部では、台湾・韓国タイプ(留学と研究者になることがセットである)と中国・日本タイプ(両者がセットではない)とが分かれることが明らかになった。
著者
八木 年晴 戸田 勝巳
出版者
高知大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

ビタミンB_6の仲間であるピリドキサミン(PM)には抗糖尿病合併症機能がある。PMを多く含む食品は抗糖尿病合併症機能が期待される。そこで、まず食品中のPMを定量できる高感度の定量法を開発した。そして、代表的な食品中の含有量を明らかにした。ついで、PMの機能の機構を明らかにするため、ラットにPMを投与して分析をおこない、PMには大量に投与すると糖新生を昂進する作用があることがわかった。
著者
向井 茂 金銅 誠之 森 重文 中山 昇 井出 学 大橋 久範 髙木 寛通
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010-04-01

Enriques曲面は古典的で非常に興味深い代数曲面である.ルート不変量にE7型格子をもつものを詳しく調べ、モジュラー不変量を用いて標準的楕円fibrationの定義方程式を書き下した.大橋久範と共同で,Enriques曲面にMathieu 型の半シンプレクティック作用をもつ有限群を分類し,Nikulinと金銅による有限自己同型Enriques曲面の分類の発展として,自己同型群が概アーベルなEnriques曲面を分類した.どの研究もEnriques曲面のルート不変量の厳密な定式化が成功の鍵である。高次数偏極K3曲面については,種数16のK3曲面のモジュライの単有理性を証明した.
著者
横山 正 鈴木 創三 渡邉 泉 木村 園子ドロテア 大津 直子
出版者
東京農工大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

福島県二本松市の放射性Csによる農耕地汚染実態の解明と植物-微生物相互作用によるその除去の加速化を検証した。二本松の優占粘土の雲母は、有機酸で固定したそれを放出した。阿武隈川流域の河川堆積物のその濃度は、秋季に減少し春季に増加した。水田ではオタマジャクシでその濃度が高く、イノシシ筋肉中のそれは自然減衰以上の減少を示した。また、鳥類の精巣や卵巣にその蓄積が見られた。畑の可給態のそれは2013年には1~5%に減少したが、森林土壌では3~13%を示した。植物はPGPR接種で、その吸収量を増大させたが、雲母が固定した分を吸収できず有機酸を生成するカリウム溶解菌の併用で、植物の吸収量を増加させられた。
著者
大澤 義明 鈴木 敦夫 白波瀬 佐和子 古藤 浩 田村 一軌 大津 晶 宮川 雅至 古藤 浩 田村 一軌 大津 晶 宮川 雅至 尾崎 尚也
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

本研究では, 高速道路や新幹線など空間的に線的に伸びる社会基盤施設整備に関して, 選挙民が投票で集団意志決定する場合, 施設がどこにどれだけ配置されるのかを空間的に導出し, どの程度経済的に効率的なのかあるいは公平なのか, を考察した. 投票ゲームによる配置と社会的な最適配置とを比較するなどを通して, 投票という集団意志決定がどの程度経済的に悪化させるのか, そして不公平にするかを理論的に評価した. さらには, 道路という社会基盤建設では, ステークホルダーは多様である. ゲーム理論のナッシュ均衡, 多目的計画問題でのパレート最適, 地理ネットワーク評価での地理値を用いて, 高速道路建設の影響を均衡という複眼的見地から理論的に論じた.
著者
土谷 敏治 井上 学 大島 登志彦 須田 昌弥 田中 健作 田中 耕市 山田 淳一 今井 理雄 中牧 崇 伊藤 慎悟
出版者
駒澤大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

超高齢社会において,モビリティ確保は重要な課題である.自動車依存が進展する中,公共交通維持の困難性が高まっている.本研究では,大都市圏縁辺部を中心に,市民の日常的な移動行動と公共交通機関の利用実績などの分析を通じて,公共交通機関の現状と問題点,公共交通機関利用促進の課題,新たな公共交通機関の可能性などについて検討した.その結果,茨城県ひたちなか市,埼玉県滑川町,徳島県上勝町,北海道函館市の調査によって,公共交通機関の利用者特性や利用実態,公共交通機関に対する市民の評価とその地域差,市民への情報提供の必要性,NPOによる新たな交通サービスの可能性,市民活動の重要性が明らかになった.
著者
濱田 麻矢 宇野木 洋 松浦 恆雄 福家 道信 絹川 浩敏 西村 正男 今泉 秀人 藤野 真子 三須 祐介 星名 宏修 大東 和重
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-11-18

日中戦争勃発の1937年から東アジアに冷戦体制が確立する1952年までを対象にして、中華圏における文化文芸の諸相に、文学テクスト・メディア分析・体制分析という三つの角度からアプローチした。2011年には移民研究についての勉強会を行い、2012年には40年代の女性形象についてシンポジウムを行った。また2013年は名古屋で、2014年には北京で研究集会を行い、文学、映画、演劇、音楽、などのメディアについて、日・中・台・米・シンガポール・マレーシアの研究者が集まり、横断的な討論を行った。なお、この研究成果は現在翻訳中で、2015年に論文集として出版予定である。
著者
高橋 裕次 小宮 木代良 丸山 士郎 佐々木 利和 小野 真由美 池田 宏 山口 俊浩
出版者
独立行政法人国立博物館東京国立博物館
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

本研究課題の最大の目的である、江戸幕府旧蔵資料の所蔵情報の把握を行うために、資料を所蔵している諸機関について情報収集を行い、所蔵の確認をした。さらに、江戸幕府旧蔵資料を引継いで管理していた東京国立博物館において、基礎的な情報を把握するため、収蔵品に関する様々なデータの整理をした。また、「浅草文庫」の目録や、帝室博物館の収蔵品目録、明治10年に博物館が作成した『博物館書目』をとおして、江戸幕府の引継ぎ資料の全体像を把握するための詳細調査を実施した。収集した江戸幕府旧蔵資料の所蔵情報をもとに、「江戸幕府旧蔵資料データベース」(暫定版)を作成した。収録したのは、東京国立博物館、宮内庁書陵部、国立公文書館内閣文庫、静岡県立図書館の所蔵する資料である。その点数が厖大であり、必ずしも現物1点ごとに詳細なデータの収集の実施はできなかったが、現在の江戸幕府旧蔵資料の概要を十分示すことができた。東京国立博物館の所蔵する漢籍、洋書については、これまで本格的な全体調査が行われていなかったが、今回、悉皆調査を行い、印記などを確認して、江戸幕府旧蔵資料と考えられるものをデータベースに収録した。東京国立博物館には、データに「伝来未詳」とされ、はっきりと江戸幕府旧蔵とは言えないまでも、その形態や特質から、江戸幕府に関係したであろうと推測できる資料もある。この点については今後の課題としたい。以上の研究によって、明治5年に湯島聖堂に集められた江戸幕府旧蔵資料の全貌を解明する手がかりができた。本研究報告書では、作成したデータベースや調査結果から、研究分担者・研究協力者が、江戸幕府旧蔵資料に関する個別研究も行った。しかし、本研究は江戸幕府旧蔵資料を明らかにする上での基礎的な作業であったといえる。今後は、江戸幕府旧蔵資料に関する各分野の個別研究を行う上で、本研究成果が基本的資料となると言えるであろう。
著者
益田 実 細田 晴子 齋藤 嘉臣 橋口 豊 青野 利彦 三宅 康之 妹尾 哲志 清水 聡 小川 浩之 池田 亮 鳥潟 優子 三須 拓也 山本 健 芝崎 祐典
出版者
立命館大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究では、巨視的視点から冷戦史の全体像を把握するための新たなパラダイムの構築を意図しながら、1940年代半ばから1980年代初頭までを対象とする米英仏独西中など関係諸国アーカイブ史料の実証分析により、同盟政治・脱植民地化・文化的変容という冷戦期における三つの中長期的な変動と冷戦との関連を明らかにすることに努めた。中心的な研究成果としては研究代表者および分担者全員により益田実・青野利彦・池田亮・齋藤嘉臣編著『冷戦史を問いなおす』(ミネルヴァ書房、2015年)を執筆刊行し、さらに同書に関する公開書評会を開催し、そこでの議論を踏まえた発展的研究課題を形成した。
著者
藤吉 康志 工藤 玲 川島 正行 林 政彦 宮崎 雄三 青木 一真 山本 真之
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

地上リモートセンサーと同時にグライダーでのin situ 観測を実施することによって、大気境界層内の各種物理量が整合的に変動することが確認できた。さらに、大気境界層上端に発生した強い乱れは、小さな積雲の縁に存在する極めて狭い下降流によってもたらされていたことが分かった。また、エアロゾルの時空間分布と光学的特性の変動要因を解明するため、エーロゾルの量と光吸収特性の鉛直分布を導出するアルゴリズムを開発し、日射による加熱量を推定した。アルゴリズムの検証は、滝川で行ったグライダー観測データで行った。その結果両者にはまだ不一致が見られ、さらなるin situ観測との比較が必要であることが明らかとなった。