著者
森 玲奈 村上 正行
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会研究報告集 (ISSN:24363286)
巻号頁・発行日
vol.2021, no.2, pp.24-31, 2021-07-03 (Released:2021-07-05)

本研究では,大学院生のより詳細な教育状況・学修状況の把握を目的として,都内の私立X大学大学院生を対象に半構造的インタビューを行い,大学院生活の躓きと乗り越えを明らかにすることを目指す.本稿では大学院生17名に行った半構造化インタビューの結果について述べる.大学院生は不可避な研究生活における躓きを研究室・ゼミや指導教員以外のリソースからの支援を活用し乗り越えていることが明らかになった.
著者
桑山 隆志 横田 成彬 可児 毅 村上 尚史 松井 慶太 中村 清吾
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.11-18, 2023 (Released:2023-01-27)
参考文献数
12

【目的】メトロニダゾールゲル(ロゼックス®ゲル0.75%:以下,本剤)について,長期使用時を含む使用実態下の安全性と有効性に関する情報を収集する目的で使用成績調査を実施した.【方法】がん性皮膚潰瘍部位の殺菌・臭気の軽減のために本剤を初めて使用する患者を中央登録方式にて登録した.観察期間は最長1年とした.【結果】安全性解析対象は301例であった.副作用発現割合は3.32%(10/301例)で,すべて非重篤であった.全般改善割合は73.7%(205/278例)であった.最終観察時の医師評価によるにおい改善割合は80.2%(203/253例)で,患者の治療満足割合は70.1%(82/117例)であった.【結論】使用実態下において,本剤ががん性皮膚潰瘍部位の殺菌・臭気の軽減に対し,安全かつ有効な治療薬であるとともに,本剤の使用により,患者の高い治療満足度が得られることが明らかとなった.
著者
松田 裕之 矢原 徹一 竹門 康弘 波田 善夫 長谷川 眞理子 日鷹 一雅 ホーテス シュテファン 角野 康郎 鎌田 麿人 神田 房行 加藤 真 國井 秀伸 向井 宏 村上 興正 中越 信和 中村 太士 中根 周歩 西廣 美穂 西廣 淳 佐藤 利幸 嶋田 正和 塩坂 比奈子 高村 典子 田村 典子 立川 賢一 椿 宜高 津田 智 鷲谷 いづみ
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
保全生態学研究 (ISSN:13424327)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.63-75, 2005-06-30 (Released:2018-02-09)
被引用文献数
22

【自然再生事業の対象】自然再生事業にあたっては, 可能な限り, 生態系を構成する以下のすべての要素を対象にすべきである. 1生物種と生育, 生息場所 2群集構造と種間関係 3生態系の機能 4生態系の繋がり 5人と自然との持続的なかかわり 【基本認識の明確化】自然再生事業を計画するにあたっては, 具体的な事業に着手する前に, 以下の項目についてよく検討し, 基本認識を共有すべきである. 6生物相と生態系の現状を科学的に把握し, 事業の必要性を検討する 7放置したときの将来を予測し, 事業の根拠を吟味する 8時間的, 空間的な広がりや風土を考慮して, 保全, 再生すべき生態系の姿を明らかにする 9自然の遷移をどの程度止めるべきかを検討する 【自然再生事業を進めるうえでの原則】自然再生事業を進めるうえでは, 以下の諸原則を遵守すべきである. 10地域の生物を保全する(地域性保全の原則) 11種の多様性を保全する(種多様性保全の原則) 12種の遺伝的変異性の保全に十分に配慮する(変異性保全の原則) 13自然の回復力を活かし, 人為的改変は必要最小限にとどめる(回復力活用の原則) 14事業に関わる多分野の研究者が協働する(諸分野協働の原則) 15伝統的な技術や文化を尊重する(伝統尊重の原則) 16目標の実現可能性を重視する(実現可能性の原則) 【順応的管理の指針】自然再生事業においては, 不確実性に対処するため, 以下の順応的管理などの手法を活用すべきである. 17事業の透明性を確保し, 第3者による評価を行う 18不可逆的な影響に備えて予防原則を用いる 19将来成否が評価できる具体的な目標を定める 20将来予測の不確実性の程度を示す 21管理計画に用いた仮説をモニタリングで検証し, 状態変化に応じて方策を変える 22用いた仮説の誤りが判明した場合, 中止を含めて速やかに是正する 【合意形成と連携の指針】自然再生事業は, 以下のような手続きと体制によって進めるべきである. 23科学者が適切な役割を果たす 24自然再生事業を担う次世代を育てる 25地域の多様な主体の間で相互に信頼関係を築き, 合意をはかる 26より広範な環境を守る取り組みとの連携をはかる
著者
村上 しほり 大場 修 砂本 文彦 玉田 浩之 角 哲 長田 城治
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.82, no.739, pp.2441-2450, 2017 (Released:2017-09-30)
被引用文献数
1

This paper aims to clarify the GHQ military disposition which changed rapidly and nationwide location of Dependent Housing (army family house) and the numerical transformation process in the occupied Japan by the U.S. document. Soon after Japanese people had begun to convert the building stock which was left after WWII, occupation forces were stationed in each place and began the requisition. The occupation forces requisitioned the building which was judged to be available locally in the short term and they rehabilitate it and used. D.H. was built approximately 12,000 houses, and about 70% was built newly in Japan. The construction of D.H. was hurried, and because material was short, it was often supplied in black markets. And, by grasp of the numerical transformation process of D.H., the different requisition situation and situation of distribution became clear in each district. 9 districts where there were dependents more than 200 households as of June 1, 1948 are as follows in decreasing order. Tokyo, Yokohama area, Tachikawa, Osaka area, Kobe, Johnson, Yokota, Nagoya area, Kyoto. It's that there was the large-scale new construction enlargement is more than 50 in there having been enlargement in 8 districts in 12 districts belonging to the 5th Air Force, 5 districts (Nagoya, Tachikawa, Johnson, Itazuke, Itami) of those to understand from the numerical changes from June 1948 to October 1950. Enlargement was not seen in the district that belonged to the 11th AirBorn Division (Sapporo, Hachinohe, Jinmachi), the 1st Cavarly Division (Asaka, Nagai, Ota, Omiya), BCOF (Etajima, Miho, Hofu, Fukuyama), Navy (Totsuka), the 5thA/F (Kisarazu, Chitose, Kanoya) and the 24th Infantry Division (Kumamoto, Beppu). From the number of new construction and rehabilitation and the numerical transformation, it was inferred that the situation peculiar to the occupied area had an influence on the judgment of the requisition and the D.H. construction. Procurement demands of the occupation forces disturbed inflection of building stock of the city space attacked by the war damage. It's the fact that we can't overlook in thinking about after the war of each city. The requisition house rebuilt as a general tendency became the derequisition earlier than new construction. The new D.H. has many examples removed with the return of the requisition, and there are many still uncertain points because there is little number of the existence. In this study, it was clarified that correlation of military unit deployment and D.H. of the occupation forces by the cross-reference of records of the both Japan and the United States. The result of this study will make the base that pushes forward the study on history of city and building in each occupied area.
著者
加野 芳正 矢野 智司 湯川 嘉津美 鳶野 克己 村上 光朗 古賀 正義 越智 康詞 松田 恵示 毛利 猛 櫻井 佳樹 西本 佳代
出版者
香川大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

マナーに関する理論研究と実証的研究を平行して進めてきた。その結果、以下のような知見が得られた。(1)法律や道徳と比較したときにマナーは独自の領域を構成している。(2)マナー(あるいは礼儀作法)は人と人を結びつけ、公共的な社会に参加していく上で不可欠なものである。(3)マナーは文明化や社会の近代化とともに私たちの社会に出現してきた。(4)日常生活におけるマナーとしては挨拶を重視する人が多い、また、家庭でのマナー教育に焦点を絞れば、食事の場面を重視する人が多い。(5)どのようなマナーが求められるかは、文化によって規定されている。
著者
久末 遊 久松 定智 村上 裕
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.70, no.4, pp.235-238, 2019-12-25 (Released:2019-12-25)
参考文献数
30

The red imported fire ant, Solenopsis invicta Buren, was first recorded from Japan during 2017. Since then, the Biodiversity Center, Ehime Prefectural Institute of Public Health and Environmental Science (BCEJ) has received a total of 70 reports about ants suspected to represent this species from the citizens of Ehime Prefecture. In addition, BCEJ conducted monitoring surveys for the ants at four ports of entry (Mishima-kawanoe Port, Matsuyama Port, Niihama Port, and Imabari Port) in Ehime Prefecture on 10 July 2017. Samples obtained during these surveys and submitted by citizens were identified to genera and evaluated for their status as non native invasive species by staff at BCEJ, and the results were delivered immediately to concerned individuals at the sources. Subsequently, samples were further identified to 21 species within 14 genera and four subfamilies by the first author. Results include seven exotic species, S. geminata (Fabricius), Monomorium chinense Santschi, M. pharaonis (Linnaeus), Trichomyrmex destructor (Jerdon), Pheidole indica Mayr, Tetramorium bicarinatum (Nylander), and Tapinoma melanocephalum (Fabricius), new distributional records for Shikoku for T. destructor (Jerdon), and new records for Ehime Prefecture for M. pharaonis (Linnaeus) and Lasius meridionalis (Bondroit). In addition to ants, 14 out of 70 reports referred to Myrmarachne elongata Szombathy, which is a salticid spider that mimics and superficially resembles ants.
著者
平川 幸子 義澤 宣明 村上 加菜 河合 理城 滝澤 真理 佐藤 理 高木 俊治 鈴木 元
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.36-42, 2017-02-25 (Released:2017-03-03)
参考文献数
5
被引用文献数
8

2011年3月11日に発生した東日本大震災に伴う原子力発電所事故直後から環境中および露地野菜,原乳,水道水等から,ヨウ素131が検出された.事故時の福島県民の内部被ばく線量の把握は健康管理上重要であるが,その後,国際機関等においてさまざまな仮定に基づく内部被ばく線量評価が行われた.例えば事故後に福島県において食品の出荷制限等が行われた点などを考慮せずに,従来どおりの食品の経口摂取が行われた仮定で推計が行われた.このため本研究では,住民の内部被ばく線量の推計において保守的な仮定が採用された従来の事故直後の推計値に含まれる不確実性をできるだけ排除するため,避難地域での実際の食品摂取量の正確性を高めることを目的とした.具体的には,より精度の高い食品からの内部被ばく線量推計を行う基礎資料として,福島県内で平成23年3月11日の事故直後から3月末までに避難した13市町村の住民の避難のパターンや,当時の食生活のパターンを明確にした.調査結果からは,事故直後に避難者が摂取した食品等の多くは事故前からの備蓄品または被災地外からの支援物資であったことが確認された.さらに,対象野菜の出荷制限,水道水の摂取制限のほか,流通施設の被災,小売店舗の閉鎖,等の状況からヨウ素131で汚染された食品等が大量に消費される状況ではなく,一般に広く流通した可能性は低いことが示唆された.一方,水については,内部被ばくの要因となりうる水道水等の摂取状況が確認されたことから,その摂取状況等について検討を行った.
著者
野村 実広 村上 道夫 小野 雄也
出版者
東京大学生産技術研究所
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.69, no.3, pp.171-175, 2017-05-01 (Released:2017-05-30)
参考文献数
18

近年,気候変動と犯罪の関連への懸念が増している.本研究では,1967 年から2011 年までの東京都における気温と犯罪件数の関係を調査した.強姦と猥褻が夏季に多いことが判明した.強姦と猥褻の月別犯罪件数比(当該年における1 カ月あたりの平均件数に対する当該月の犯罪件数の比)は,それぞれ冬季,夏季に平均気温の上昇とともに有意に上昇した.気温の上昇は強姦と猥褻のリスクの増加をもたらす可能性があることが示唆された.
著者
村上 道夫 大沼 進 柴田 侑秀 高田 モモ 小林 智之 後藤 あや 保高 徹生
出版者
一般社団法人 日本リスク学会
雑誌
リスク学研究 (ISSN:24358428)
巻号頁・発行日
pp.SRA-L-22-021, (Released:2022-12-26)
参考文献数
30

The environment surrounding surveys requiring the cooperation of participants has been changing, with increasing awareness of the need to protect personal information and the use of online surveys. Issues such as how to respond to inquiries from participants, what should be communicated to relevant bodies in advance about the survey, and how to provide incentives and feedback to participants are important to ease tension and prevent conflicts between participants and researchers, or between researchers and relevant bodies, and to increase the public trust in researchers and the science. Based on the authors’ experiences, this letter summarizes notes for conducting surveys that require participants’ cooperation. As the social impact of research has been gaining increasing attention, it is expected that practical tips and views on conducting field surveys are widely shared.
著者
村上 宣寛
出版者
富山大学人間発達科学部
雑誌
富山大学人間発達科学部紀要 = Memoirs of the Faculty of Human Development University of Toyama (ISSN:1881316X)
巻号頁・発行日
vol.11, no.2, pp.119-128, 2017-03-15

急性高山病の主症状は頭痛か睡眠障害である。急性高山病が重篤化すると高所脳浮腫や高所肺水腫になる。急性高山病の場合は症状の進展を確認してよいが,高所脳浮腫や高所肺水腫の場合はただちに下山する。急性高山病を避けるには,標高2,500~2,800メーターへの移動に二日以上かけるとよい。急性高山病の予防・治療薬としてアセタゾラミドやデキサメタゾンがある。比較的安全な代替薬では非ステロイド系消炎剤がある。イチョウ,ビートの根,鉄サプリの効果は確認されていない。高所での激しい運動は急性高山病のリスク要因ではなく,高所での運動は,高所順応とは関係しない。極端な高所では体重の減少がさけられない。炭水化物が有利というエビデンスはなく,炭水化物60%程度のバランス・ダイエットでよい。筋肉の消耗を防ぐために,ロイシンのサプリが有利である。
著者
北野 聡 石塚 徹 村上 賢英 澤本 良宏 西川 潮 大高 明史
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
保全生態学研究 (ISSN:13424327)
巻号頁・発行日
pp.2126, (Released:2022-04-15)
参考文献数
34

2011年から 2020年にかけて長野県内の 6水域で特定外来生物シグナルザリガニ Pacifastacus leniusculusが新たに確認された。本種の定着が確認された水域は、標高 670 -1300 mのダム湖やため池、緩勾配河川であった。シグナルザリガニに共生するヒルミミズ類 Branchiobdellidaの種組成およびミトコンドリア DNA配列を分析した結果、 1水域は既往の県内産地からの導入、それ以外の水域については北海道・福島県産地からの導入あるいはこれら県内外の複数起源からの混合導入と推測された。今後、各水域のシグナルザリガニ個体群の個体数低減を図るとともに、これらの定着水域からの違法な持ち出しをしないよう普及啓発を進め、さらなる分布拡大を防ぐことが重要である。
著者
石川 禎浩 高嶋 航 小野寺 史郎 村上 衛 森川 裕貫 田中 仁 丸田 孝志 江田 憲治 瀬戸 宏 武上 真理子
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2015-04-01

2017年度は、研究分担者の協力を得て2015年4月に発足した毛沢東伝研究についての共同研究グループの研究会を継続実施した。研究グループによる研究例会は基本的に隔週金曜午後に京大人文研で定期開催し、年度内に15回開催することができた。例会では2015年以来収集してきた毛沢東伝に関するデータ、資料、様々な版本などを持ち寄って分析するとともに、毛沢東の国外における影響をとりあげるなど、日本の研究者にしかできないアプローチで実態解明を進めた。主な研究報告の中身は以下の通りである:高嶋航「毛沢東とスポーツ」、田中仁「現代中国政治における毛沢東経路の発生」、江田憲治「遊撃戦争とは何か?」、石川禎浩「『全連邦共産党(ボ)歴史小教程』と毛沢東の党史」、三田剛史「毛沢東統治下の経済学者」、瀬戸宏「毛沢東時代の知識分子像」、丸田孝志「毛沢東の伝記・物語の成立と展開」、村上衛「大躍進と日本」、小野寺史郎「中華人民共和国初期の「記念節日資料」中の毛沢東略伝について」、森川裕貫「「ハリコの虎」から「精神原子弾」へ」。研究の中間段階の公開とデータの収集、および学術交流を主目的として9月に本研究グループの主要メンバー7名が北京をおとずれ、毛沢東研究の本山とも言える中国共産党中央組織の党史関連部門とのコンタクトをはかった。結果として、先方の面会不履行により交流は実を結ばなかったが、党史関連の収集という目標は達成することができた。また、研究成果の将来における公表を見越して、5月に石川が北京の出版社との打ち合わせをおこなう一方、9月、12月、3月にも中国、ドイツにおいて、研究成果の報告や資料調査を進めた。そのうち、いくつかの研究成果は中国の学術刊行物に相次いで掲載されるにいたっている。このほか、京大人文研の所蔵する旧鱒澤彰夫氏所蔵の文化大革命期紅衛兵資料の整理を継続した。