著者
岡本 一毅 奥西 淳二 渡邉 幸彦 西原 豊 池田 雅裕
出版者
一般社団法人 日本環境感染学会
雑誌
日本環境感染学会誌 (ISSN:1882532X)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.68-72, 2010 (Released:2010-06-05)
参考文献数
12
被引用文献数
2 1

現在,アルコールベースの消毒薬は手指衛生において重要な役割を担っている.しかし,臨床的なニーズを充足できていない点も有している.その一つとして,近年その感染拡大が社会問題となっているノロウイルスなどのノンエンベロープウイルスに対する薬効が挙げられる.今回,我々はアルコールに有機酸と亜鉛化合物を組み合わせた処方を用いノンエンベロープウイルスに対する薬効(in vitro)と皮膚刺激性(in vivo)に着目した検討を行った.アルコールに有機酸を添加した処方では,ネコカリシウイルスに対して接触時間30秒以内に4 log以上の不活化効果を示したが,アデノウイルスに対しては消毒用エタノールと同程度の薬効であった.一方,アルコールに有機酸と亜鉛化合物を添加した場合,ネコカリシウイルスとアデノウイルスの両ウイルスに対して30秒以内に4 log以上の不活化効果を示し,消毒用エタノールよりも優れた薬効を示した.また,ウサギ皮膚を用いてこれら処方の皮膚刺激性試験を実施した結果,アルコールに有機酸と亜鉛化合物を組み合わせた場合,刺激をほとんど示さないことが明らかとなった.このように,アルコールに有機酸と亜鉛化合物を組み合わせた処方は,ノンエンベロープウイルスに対して従来にない有効性を示すと共に,スキンケアの観点から皮膚への刺激にも配慮した新しいアルコールベースの消毒薬を創出できる可能性が示唆された.
著者
池田亀鑑 著
出版者
岩波書店
巻号頁・発行日
vol.第2部 國文學に於ける文獻批判の方法論, 1941
著者
加國 尚志 北尾 宏之 榊原 哲也 古荘 真敬 村井 則夫 吉川 孝 村上 靖彦 川瀬 雅也 神田 大輔 谷 徹 野間 俊一 佐藤 勇一 田邉 正俊 田口 茂 伊勢 俊彦 小林 琢自 浜渦 辰二 和田 渡 亀井 大輔 池田 裕輔 廣瀬 浩司 林 芳紀 青柳 雅文 松葉 祥一
出版者
立命館大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

2017年度は講演会、ワークショップを開催することができた。講演会、ワークショップについては、マーティン・ジェイ氏(カリフォルニア大学名誉教授)を招聘し、本共同研究研究分担者が翻訳した『うつむく眼』(The Downcast Eyes)について、ワークショップと講演会を開催した。ワークショップでは同書の翻訳を担当した研究分担者6名(亀井大輔氏、青柳雅文氏、佐藤勇一氏、神田大輔氏、小林琢自氏、田邉正俊氏)がそれぞれの視点から同書について発表を行い、ジェイ氏がそれに意見を述べ、討議を行った。また講演会ではジェイ氏は西洋の視覚文化と東洋の視覚文化とを比較考察し、「間文化性」と「視覚」について共同研究を行ってきた本共同研究にとって大きな寄与をもたらした。同じく2017年度には、共同研究の年度別研究テーマである「倫理」について考察するために、共同研究のテーマを「水俣」として、ワークショップを行った。研究分担者の吉川孝氏がコーディネーターを務め、発表者として福永真弓氏(東京大学)、佐藤靜氏(大阪樟蔭女子大学)が発表を行った。このワークショップにより、「水俣」という具体的な事件から、「実践」についての現象学的倫理を考察する可能性が開かれた。これらの研究に加え、研究分担者による研究も進捗し、著書 本、論文 本、学会発表 本が成果公表され、共同研究の成果を挙げることができた。また本共同研究が二年前に行ったワークショップの論文を『立命館大学人文科学研究』(立命館大学人文科学研究所発行)に掲載することができた。
著者
池田 孝則
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.122, no.6, pp.527-538, 2003 (Released:2003-11-20)
参考文献数
35
被引用文献数
33 38

イベルメクチン(ストロメクトール)は放線菌Streptomyces avermitilisの発酵産物アベルメクチン類から誘導された半合成の環状ラクトン経口駆虫薬である.イベルメクチンは線虫Caenorhabditis elegans(C. elegans)の運動性を濃度依存的に阻害した.C. elegansの膜標本には,イベルメクチンに高親和性の特異的結合部位が存在し,イベルメクチン類縁体のこの結合部位に対する親和性とC. elegansの運動抑制作用の間には,強い正の相関が認められたことから,イベルメクチンの抗線虫活性には,本部位に対する結合が重要であることが示唆された.C. elegansのpoly(A)+RNAをアフリカツメガエルの卵母細胞に注入すると,イベルメクチンにより不可逆的に活性化されるクロライドチャネルの発現が確認された.本チャネルの薬理学的性質から,イベルメクチン感受性のチャネルはグルタミン酸作動性クロライドチャネルであることが示された.このグルタミン酸作動性クロライドチャネルについては,2つのサブタイプ(GluCl-αおよびGluCl-β)がクローニングされ,それらがグルタミン酸作動性クロライドチャネルを構成していることが示唆された.以上の結果からイベルメクチンは,線虫の神経又は筋細胞に存在するグルタミン酸作動性クロライドチャネルに特異的かつ高い親和性を持って結合し,クロライドに対する細胞膜の透過性が上昇して神経又は筋細胞の過分極を引き起こし,その結果,線虫が麻痺を起こし死に至るものと考えられた.ヒツジおよびウシの感染実験において,イベルメクチンは,Haemonchus,Ostertagia,Trichostrongylus,Cooperia,Oesphagostomum,あるいはDictyocaulus属に対し,投与量に依存した強い駆虫効果を示した.糞線虫属Strongyloidesに感染したイヌ,ウマおよびヒトに対しても,駆虫活性が報告されている.本邦における第III相試験では,糞線虫陽性患者50例を対象に本剤約200 µg/kgが2週間間隔で2回経口投与された.投与4週間後に実施された2回の追跡糞便検査による駆虫率は98.0%(49/50例)であった.
著者
秋保 亮太 縄田 健悟 池田 浩 山口 裕幸
出版者
日本社会心理学会
雑誌
社会心理学研究 (ISSN:09161503)
巻号頁・発行日
pp.1705, (Released:2018-11-10)
参考文献数
29

Implicit coordination is attracting attention from the viewpoint of the efficiency of team activities. Factors affecting implicit coordination have not been clarified because the empirical research that has been done is insufficient. This study investigated the effect of team after-event review and shared mental model on implicit coordination through a laboratory experiment. We conducted the experiment using a coordinating task. 144 students teamed up in pairs, with 72 teams participating. We found that team after-event review promoted team performance of implicit coordination. However, shared mental model had no relevance to team after-event review or team performance of implicit coordination. Our findings will help to understand the efficiency of team activities.
著者
平石 界 池田 功毅
出版者
日本認知科学会
雑誌
認知科学 (ISSN:13417924)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.146-153, 2023-06-01 (Released:2023-06-15)
参考文献数
2

ReproducibiliTea Tokyo, a Tokyo branch of a worldwide journal club movement on open and reproducible science, was introduced. We present how it came about, how it operates, and the topics discussed in the past three years since its inception in 2020. We hope the report serves as an example of the management of an online academic community in the post Covid-19 era.
著者
池田 めぐみ 池尻 良平 鈴木 智之 城戸 楓 土屋 裕介 今井 良 山内 祐平
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.203-212, 2020-10-10 (Released:2020-10-15)
参考文献数
28
被引用文献数
1

本研究の目的は,上司による業務プロセスへのフィードバックとジョブ・クラフティング,若年労働者の職場における能力向上の関連を明らかにすることである.そのために,インターネット調査を行い取得したデータをもとに,構造方程式モデリングを用い,仮説の検証を行った.分析の結果,第1に,上司による業務プロセスへのフィードバックがジョブ・クラフティングの全ての因子及び職場における能力向上の全ての因子に正の影響を与えること,第2に,ジョブ・クラフティングの次元によって,影響を与える能力に違いがあることが確認された.以上より,若年労働者の職場における能力向上および,ジョブ・クラフティングを促す上で,上司による業務プロセスへのフィードバックが有効である可能性が示唆された.
著者
三木 文雄 小林 宏行 杉原 徳彦 武田 博明 中里 義則 杉浦 宏詩 酒寄 享 坂川 英一郎 大崎 能伸 長内 忍 井手 宏 西垣 豊 辻 忠克 松本 博之 山崎 泰宏 藤田 結花 中尾 祥子 高橋 政明 豊嶋 恵理 山口 修二 志田 晃 小田島 奈央 吉川 隆志 青木 健志 小笹 真理子 遅野井 健 朴 明俊 井上 洋西 櫻井 滋 伊藤 晴方 毛利 孝 高橋 進 井上 千恵子 樋口 清一 渡辺 彰 菊地 暢 池田 英樹 中井 祐之 本田 芳宏 庄司 総 新妻 一直 鈴木 康稔 青木 信樹 和田 光一 桑原 克弘 狩野 哲次 柴田 和彦 中田 紘一郎 成井 浩司 佐野 靖之 大友 守 鈴木 直仁 小山 優 柴 孝也 岡田 和久 佐治 正勝 阿久津 寿江 中森 祥隆 蝶名林 直彦 松岡 緑郎 永井 英明 鈴木 幸男 竹下 啓 嶋田 甚五郎 石田 一雄 中川 武正 柴本 昌昭 中村 俊夫 駒瀬 裕子 新井 基央 島田 敏樹 中澤 靖 小田切 繁樹 綿貫 祐司 西平 隆一 平居 義裕 工藤 誠 鈴木 周雄 吉池 保博 池田 大忠 鈴木 基好 西川 正憲 高橋 健一 池原 邦彦 中村 雅夫 冬木 俊春 高木 重人 柳瀬 賢次 土手 邦夫 山本 和英 山腰 雅宏 山本 雅史 伊藤 源士 鳥 浩一郎 渡邊 篤 高橋 孝輔 澤 祥幸 吉田 勉 浅本 仁 上田 良弘 伊達 佳子 東田 有智 原口 龍太 長坂 行雄 家田 泰浩 保田 昇平 加藤 元一 小牟田 清 谷尾 吉郎 岡野 一弘 竹中 雅彦 桝野 富弥 西井 一雅 成田 亘啓 三笠 桂一 古西 満 前田 光一 竹澤 祐一 森 啓 甲斐 吉郎 杉村 裕子 種田 和清 井上 哲郎 加藤 晃史 松島 敏春 二木 芳人 吉井 耕一郎 沖本 二郎 中村 淳一 米山 浩英 小橋 吉博 城戸 優光 吉井 千春 澤江 義郎 二宮 清 田尾 義昭 宮崎 正之 高木 宏治 吉田 稔 渡辺 憲太朗 大泉 耕太郎 渡邊 尚 光武 良幸 竹田 圭介 川口 信三 光井 敬 西本 光伸 川原 正士 古賀 英之 中原 伸 高本 正祇 原田 泰子 北原 義也 加治木 章 永田 忍彦 河野 茂 朝野 和典 前崎 繁文 柳原 克紀 宮崎 義継 泉川 欣一 道津 安正 順山 尚史 石野 徹 川村 純生 田中 光 飯田 桂子 荒木 潤 渡辺 正実 永武 毅 秋山 盛登司 高橋 淳 隆杉 正和 真崎 宏則 田中 宏史 川上 健司 宇都宮 嘉明 土橋 佳子 星野 和彦 麻生 憲史 池田 秀樹 鬼塚 正三郎 小林 忍 渡辺 浩 那須 勝 時松 一成 山崎 透 河野 宏 安藤 俊二 玄同 淑子 三重野 龍彦 甲原 芳範 斎藤 厚 健山 正男 大山 泰一 副島 林造 中島 光好
出版者
Japanese Society of Chemotherapy
雑誌
日本化学療法学会雜誌 = Japanese journal of chemotherapy (ISSN:13407007)
巻号頁・発行日
vol.53, no.9, pp.526-556, 2005-09-25

注射用セフェム系抗菌薬cefozopran (CZOP) の下気道感染症に対する早期治療効果を評価するため, ceftazidime (CAZ) を対照薬とした比較試験を市販後臨床試験として実施した。CZOPとCAZはともに1回1g (力価), 1日2回点滴静注により7日間投与し, 以下の結果を得た。<BR>1. 総登録症例412例中最大の解析対象集団376例の臨床効果は, 判定不能3例を除くとCZOP群92.0%(173/188), CAZ群91.4%(169/185) の有効率で, 両側90%, 95%信頼区間ともに非劣性であることが検証された。細菌性肺炎と慢性気道感染症に層別した有効率は, それぞれCZOP群90.9%(120/132), 94.6%(53/56), CAZ群93.3%(126/135), 86.0%(43/50) で, 両側90%, 95%信頼区間ともに非劣性であることが検証された。<BR>2. 原因菌が判明し, その消長を追跡し得た210例での細菌学的効果は, CZOP群89.5%(94/105), CAZ群90.5%(95/105) の菌消失率 (菌消失+菌交代) で, 両群間に有意な差はみられなかった。個々の菌別の菌消失率は, CZOP群91.1%(113/124), CAZ群90.8%(108/119) で両群問に有意な差はみられなかったが, 最も高頻度に分離された<I>Streptococcus pneumoniae</I>の消失率はCZOP群100%(42/42), CAZ群89.5%(34/38) で, CZOP群がCAZ群に比し有意に優れ (P=0.047), 投与5日後においてもCZOP群がCAZ群に比し有意に高い菌消失寧を示した (P=0.049)。<BR>3. 投薬終了時に, CZOP群では52,4%(99/189), CAZ群では50.3% (94/187) の症例において治療日的が達成され, 抗菌薬の追加投与は不必要であった。治療Il的遠成度に関して両薬剤間に有意な差は認められなかった。<BR>4. 随伴症状の発現率はCZOP群3.9%(8/206), CAZ群5.0%(10/202) で両棊剤間に有意な差はなかった。臨床検査値異常変動として, CAZ群に好酸球増多がCZOP絆より多数認められたが, 臨床検査値異常出現率としては, CZOP群31.6% (65/206), CAZ群32.2% (65/202) で, 両群間に有意な差は認められなかった。<BR>以上の成績から, CZOPは臨床効果においてCAZと比較して非劣性であることが検祉された。また<I>S. pneumoniae</I>による下気道感染症に対するCZOPの早期治療効果が確認された。
著者
小林 宏行 武田 博明 渡辺 秀裕 太田見 宏 酒寄 享 齋藤 玲 中山 一朗 富沢 麿須美 佐藤 清 平賀 洋明 大道 光秀 武部 和夫 村上 誠一 増田 光男 今村 憲市 中畑 久 斉藤 三代子 遅野井 健 田村 昌士 小西 一樹 小原 一雄 千葉 太郎 青山 洋二 斯波 明子 渡辺 彰 新妻 一直 滝沢 茂夫 中井 祐之 本田 芳宏 勝 正孝 大石 明 中村 守男 金子 光太郎 坂内 通宏 青崎 登 島田 馨 後藤 元 後藤 美江子 佐野 靖之 宮本 康文 荒井 康男 菊池 典雄 酒井 紀 柴 孝也 吉田 正樹 堀 誠治 嶋田 甚五郎 斎藤 篤 中田 紘一郎 中谷 龍王 坪井 永保 成井 浩司 中森 祥隆 稲川 裕子 清水 喜八郎 戸塚 恭一 柴田 雄介 菊池 賢 長谷川 裕美 森 健 磯沼 弘 高橋 まゆみ 江部 司 稲垣 正義 国井 乙彦 宮司 厚子 大谷津 功 斧 康雄 宮下 琢 西谷 肇 徳村 保昌 杉山 肇 山口 守道 青木 ますみ 芳賀 敏昭 宮下 英夫 池田 康夫 木崎 昌弘 内田 博 森 茂久 小林 芳夫 工藤 宏一郎 堀内 正 庄司 俊輔 可部 順三郎 宍戸 春美 永井 英明 佐藤 紘二 倉島 篤行 三宅 修司 川上 健司 林 孝二 松本 文夫 今井 健郎 桜井 磐 吉川 晃司 高橋 孝行 森田 雅之 小田切 繁樹 鈴木 周雄 高橋 宏 高橋 健一 大久保 隆男 池田 大忠 金子 保 荒川 正昭 和田 光一 瀬賀 弘行 吉川 博子 塚田 弘樹 川島 崇 岩田 文英 青木 信樹 関根 理 鈴木 康稔 宇野 勝次 八木 元広 武田 元 泉 三郎 佐藤 篤彦 千田 金吾 須田 隆文 田村 亨治 吉富 淳 八木 健 武内 俊彦 山田 保夫 中村 敦 山本 俊信 山本 和英 花木 英和 山本 俊幸 松浦 徹 山腰 雅弘 鈴木 幹三 下方 薫 一山 智 斎藤 英彦 酒井 秀造 野村 史郎 千田 一嘉 岩原 毅 南 博信 山本 雅史 斉藤 博 矢守 貞昭 柴垣 友久 西脇 敬祐 中西 和夫 成田 亘啓 三笠 桂一 澤木 政好 古西 満 前田 光一 浜田 薫 武内 章治 坂本 正洋 辻本 正之 国松 幹和 久世 文幸 川合 満 三木 文雄 生野 善康 村田 哲人 坂元 一夫 蛭間 正人 大谷 眞一郎 原 泰志 中山 浩二 田中 聡彦 花谷 彰久 矢野 三郎 中川 勝 副島 林造 沖本 二郎 守屋 修 二木 芳人 松島 敏春 木村 丹 小橋 吉博 安達 倫文 田辺 潤 田野 吉彦 原 宏起 山木戸 道郎 長谷川 健司 小倉 剛 朝田 完二 並川 修 西岡 真輔 吾妻 雅彦 前田 美規重 白神 実 仁保 喜之 澤江 義郎 岡田 薫 高木 宏治 下野 信行 三角 博康 江口 克彦 大泉 耕太郎 徳永 尚登 市川 洋一郎 矢野 敬文 原 耕平 河野 茂 古賀 宏延 賀来 満夫 朝野 和典 伊藤 直美 渡辺 講一 松本 慶蔵 隆杉 正和 田口 幹雄 大石 和徳 高橋 淳 渡辺 浩 大森 明美 渡辺 貴和雄 永武 毅 田中 宏史 山内 壮一郎 那須 勝 後藤 陽一郎 山崎 透 永井 寛之 生田 真澄 時松 一成 一宮 朋来 平井 一弘 河野 宏 田代 隆良 志摩 清 岳中 耐夫 斎藤 厚 普久原 造 伊良部 勇栄 稲留 潤 草野 展周 古堅 興子 仲宗根 勇 平良 真幸
出版者
Japanese Society of Chemotherapy
雑誌
日本化学療法学会雜誌 = Japanese journal of chemotherapy (ISSN:13407007)
巻号頁・発行日
vol.43, pp.333-351, 1995-07-31
被引用文献数
2

新規キノロン系経口合成抗菌薬grepafloxacin (GPFX) の内科領域感染症に対する臨床的有用性を全国62施設の共同研究により検討した。対象疾患は呼吸器感染症を中心とし, 投与方法は原則として1回100~300mgを1日1~2回投与することとした。<BR>総投与症例525例のうち509例を臨床効果判定の解析対象とした。全症例に対する有効率は443/509 (87.0%) であり, そのうち呼吸器感染症432/496 (87.1%), 尿路感染症11/13 (84.6%) であった。呼吸器感染症における有効率を疾患別にみると, 咽喉頭炎・咽頭炎19/22 (86.4%), 扁桃炎17/18 (94.4%), 急性気管支炎53/58 (91.4%), 肺炎104/119 (87.4%), マイコプラズマ肺炎17/19 (89.5%), 異型肺炎5/5, 慢性気管支炎117/133 (88.0%), 気管支拡張症48/63 (76.2%), びまん性汎細気管支炎17/19 (89.5%) および慢性呼吸器疾患の二次感染35/40 (87.5%) であった。<BR>呼吸器感染症における細菌学的効果は233例で判定され, その消失率は単独菌感染では154/197 (78.2%), 複数菌感染では22/36 (61.1%) であった。また, 単独菌感染における消失率はグラム陽性菌48/53 (90.6%), グラム陰性菌105/142 (73.9%) であり, グラム陽性菌に対する細菌学的効果の方が優れていた。呼吸器感染症の起炎菌のうちMICが測定された115株におけるGPFXのMIC<SUB>80</SUB>は0.39μg/mlで, 一方対照薬 (97株) としたnornoxacin (NFLX), onoxacin (OFLX), enoxacin (ENX) およびcipronoxacin (CPFX) はそれぞれ6.25, 1.56, 6.25および0.78μg/mlであった。<BR>副作用は519例中26例 (5.0%, 発現件数38件) にみられ, その症状の内訳は, 消化器系18件, 精神神経系13件, 過敏症3件, その他4件であった。<BR>臨床検査値異常は, 490例中49例 (10.0%, 発現件数61件) にみられ, その主たる項目は, 好酸球の増多とトランスアミナーゼの上昇であった。いずれの症状, 変動とも重篤なものはなかった。<BR>臨床効果と副作用, 臨床検査値異常の安全性を総合的に勘案した有用性については, 呼吸器感染症での有用率422/497 (84.9%), 尿路感染症で10/13 (76.9%) であり, 全体では432/510 (84.7%) であった。<BR>以上の成績より, GPFXは呼吸器感染症を中心とする内科領域感染症に対して有用な薬剤であると考えられた。
著者
伊藤 裕子 相良 順子 池田 政子 川浦 康至
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.74, no.3, pp.276-281, 2003-08-25 (Released:2010-07-16)
参考文献数
27
被引用文献数
32 22

In this study, a subjective well-being scale was developed, and its reliability and validity evaluated. The Subjective Well-Being Scale (SWBS) had twelve items which covered four domains. It was administered to 1005 adults and 520 college students. Results indicated that for the students, college life satisfaction and self-esteem had positive correlations with SWBS score. For the adults, marital satisfaction, workplace satisfaction, and household income satisfaction had positive correlations with the score. These findings showed considerable constructive validity for SWBS. In addition, internal consistency was sufficiently high, indicating the measure's high reliability. SWBS may be a simple but reliable and valid measure, and it is useful for examining subjective well-being of both adults and college students.
著者
池田 雅美
出版者
THE TOHOKU GEOGRAPHICAL ASSOCIATION
雑誌
東北地理 (ISSN:03872777)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.91-95, 1975 (Released:2010-04-30)
参考文献数
10

When one refers to 1/50, 000 topographical maps of Iwate Prefecture, the names of the settlements or localities seemingly related to Gôzoku (medieval village lords) habitations can mostly be found in the southern part.Among those names, “Tate” appears most conspicuously occupying 73% of all cases, and then follow “Shiro”, “Yôgai”, “Horinouchi”, and “Minowa”, in order of percentage respectively. “Tate” is seen to distribute mainly in the southern part of Iwate Prefecture especially in the area between Senmaya and Mizusawa. “Shiro” also occupies 61% of all those found in Iwate Prefecture. As for “Yôgai” and “Minowa”, they are exclusively found in the same area and nowhere else.The reason of the above mentioned distribution can be attributed to the historical fact that Gôzoku, descendants of the lord Kiyoshige Kasai used to live and govern the area in the Middle Age.The settlements of Gôzoku, from the morphological viewpoint, can largely be seen to distribute on the alluvial lowland along the River Kitakami in numbers and also at the hills along the Kitakami adjacent to the same alluvial lowland.
著者
池田 龍一
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.64, no.5, pp.212-215, 2016-05-20 (Released:2016-12-27)
参考文献数
4

近年,固体でも液体でもない両者の中間的状態が存在することが明らかにされ,その特異な挙動が注目を浴びている。この状態においては,従来の固相,液相の概念からは予想できなかった物性が新たに見出されている。その新たな可能性に興味がもたれ,その応用研究も含めて種々の方面からの研究が行われ,データが蓄積されている。本論文では,種々の中間状態の概略を紹介し,それらの相互の関係について整理し解説する。
著者
浅野 さとえ 岡部 省吾 池田 美智子
出版者
日本皮膚科学会西部支部
雑誌
西日本皮膚科 (ISSN:03869784)
巻号頁・発行日
vol.53, no.5, pp.945-950, 1991-10-01 (Released:2011-09-29)
参考文献数
14

職場内で感染したと思われる2例の男子成人麻疹を経験した。症例1は23歳男子で高熱, 皮疹, 下痢を主訴として来院し同日入院。麻疹既往を主張したため, 伝染性単核症として治療されたが, 皮疹より麻疹が疑われた。入院翌日より, 呼吸困難出現, 心陰影の増大, CPKの上昇, 心電図所見より, 心筋炎合併と診断された。血清学的所見より, 麻疹と確定診断された。10日頃より複視と頭痛が出現, 外転神経麻痺と診断され, 麻疹後脳炎が疑われたが, 次第に軽快し約2ヵ月後治癒退院した。症例2は22歳男子で高熱, 血尿を主訴とし, 当院内科入院, 入院後皮疹出現, 翌日呼吸困難出現, 心筋炎合併の麻疹と診断された。症例1, 2はその後職場が同一であることが判明, 発症のずれが13日であることから症例2は症例1より感染したと考えられた。麻疹の合併症としては肺炎, 脳炎が良く知られているが, 心筋炎の合併は稀であり報告は少ない。心筋炎合併の2麻疹例を報告すると共に, 麻疹ウイルスの構造, 特殊性, 変異など, 近年注目されている事項について言及した。
著者
池田 貴夫 IKEDA Takao
巻号頁・発行日
2007-07-31

本論文は、北海道、サハリン、アムール川下流域に分布してきたクマ祭り(アイヌ語で「イオマンテ」、日本語で「クマの霊送り儀礼」、「飼育型クマ送り」などさまざまに表現されてきた。以下、「クマ祭り」と略記し、特に説明のない場合は、「クマ祭り」は仔グマの飼育を伴うクマ儀礼のことを指すこととする(1)。)をめぐり、クマ祭り研究の現状と課題を明らかにしたうえで、クマ祭り研究の基礎的資料であった民族誌とこれまでの研究成果を再検討することにより、民族文化情報とその表現(文化の担い手の表現、記録者の表現、研究者の表現)をめぐる諸問題に関して考察を及ぼし、そのことをとおしてクマ祭りの性格を多面的に明らかにし、今後のクマ祭り研究、アイヌ文化研究、さらには北方文化研究の進展に資することを目的とする。 ここで話題となる対象は、あくまでクマ祭りであるが、導き出される諸課題は、今後の民族学全体の進展に大きく関わってくる問題であると考えている。それは、本論文が、どのような学問分野においても意識していかなければならない「情報」や「表現」という問題をキーワードとして、クマ祭り研究の史的展開にいくつかの論点を発見し、まとめたものだからである。 アイヌ民族の中核的な儀礼、かつ伝統的な儀礼として研究されてきたクマ祭りではあるが(2)、北方地域のクマを扱う儀礼には、2種類のタイプがあるといわれている。1つは、狩猟先で仕留めたクマを丁重に扱い、祀るといういわゆる狩猟グマ儀礼で、これらはアイヌを含め、北ユーラシアや北米の諸民族の間に広く分布する。2つには、仔グマを手に入れ、一定期間飼育したクマをと殺して祀り、饗宴を催すという、いわゆるここで言う「クマ祭り」で、これらはアイヌ、ニヴフ、ウイルタ、ウリチ、オロチ、ネギダールなど北海道、サハリン、アムール川下流域諸民族に限られて、ヒグマを対象に行われてきた儀礼である。 周知のとおり、北方諸地域における2タイプのクマ儀礼の存在と分布を明確化したのは、A. I. ハロウェルの論文Bear Ceremonialism in the Northern Hemisphere[Hallowell 1926]である。そこでハロウェルは、北海道、サハリン、アムール川下流域諸民族で行われるクマ祭りは、比較的新しい時代に単純なものから手の込んだものに発達していったものであろうことを示唆したのである[Hallowell 1926:153-163]。一方、日本国内においては、概ね19世紀末頃から、アイヌのクマ祭り研究が進展し始める。特に、1960年代~1980年代にかけては、クマ祭りの学術的理解に向けての多様な研究が、民族学研究者を中心として展開された。 ところが、近年、民族学研究者がクマ祭り研究から距離を置こうとする傾向がみられる。一方では、民族学研究者は至る所でクマ祭りの説明を行わなければならず、クマ祭りはアイヌ文化の中核的な存在であり、クマをあるべき世界に送り帰す儀礼であるという通説を繰り返すだけでそれ以上踏み込んだ研究をしようとしていない。現在に至っては、クマ祭りは民族学にとって研究しづらい課題なのだろうか。民族学的視点からは、問題意識がもはや発生しないのだろうか(ほとんどが明らかになったということなのだろうか)。クマ祭りをめぐって、民族学がやらなければならないこと(民族学だからできること)は、もはやないのだろうか。 確かに、北ユーラシアや北米の諸民族の間には、クマやオオカミなどの陸獣、ワタリガラスやフクロウなどの鳥類、クジラなどの海獣などさまざまな動物を人間との関係で観念化し、狩猟や儀礼などで特別に取り扱う文化が広まっていた。そのために、クマのみを特別な存在として、研究を集中させることは危険である。先述の現状は、そのような反省もふまえた結果でもあるかもしれない。しかしながら、現実として、アイヌの中核的な儀礼として特別視され、さらには、少なくとも19世紀末頃以降、アイヌが執り行ってきた動物儀礼の多くがクマ祭りであったのは、アイヌと和人との交渉史の中で画一的なアイヌ文化観が形成されたからではないだろうか。 そのことをふまえずに、アイヌのクマ祭りに関し、旧来からの定説を繰り返すだけであるならば、現在の北方民族学のあり方に疑問を感じざるを得ない。むしろ、クマ祭りのイメージが画一化されてきた過程を検証しつつ、広く定着したイメージとは異なる新たな視点から情報を検討・発掘し、さらには個々の表現にみられるイレギュラーな現象をも1つさらにはクマ祭り研究を進めていくうえでの新たな表現方法の確立にまで考察がおよぶこととなろう。 この研究は、直接的にクマ祭りの起源論・成立論に踏み込むわけではない。また、クマ祭りをとりまく諸情報を網羅したものでもない。あくまでも、筆者がこの10年弱の間で行ってきたクマ祭りの研究の成果とそこから導き出された民族文化情報とその表現をめぐる諸課題が記されるだけである。しかしながら、本論文が、アイヌ文化史を考えるうえでの基礎として役に立つことができれば、さらには、現実としてある民族文化情報そのものを直視し、再検討する立場から、北方文化の理解と研究の再構築に寄与できれば、幸いであると考えている。
著者
富沢 大介 池田 心 シモン ビエノ
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:03875806)
巻号頁・発行日
vol.53, no.11, pp.2560-2570, 2012-11-15

囲碁における定石や将棋における定跡は,主にゲーム序盤で用いられる決まった手順の互角の応酬であり,長い時間をかけて研究・洗練された人智の結晶である.テトリスやぷよぷよなどの落下型パズルゲームの多くでも,展開を有利にするための定石形が存在し利用されている.これらのゲームを囲碁や将棋と比較すると,自分と相手双方に盤が存在し邪魔は間接的にしか行われない一方で,操作対象の与えられ方(俗にツモと呼ばれる)にランダム性があり,状況に応じて用いる定石や配置順を変えていかなければならない難しさがある.本論文では,関連性行列という形で状態と定石を表現する定石形配置法を提案し,これをぷよぷよにおける連鎖の構成に適用することでその有効性を示す. : In Go and Shogi, standard patterns and sequence of moves have been developed over the years by human players, mainly in the opening of the game. Such standard patterns, used by expert players to reach a winning position, also exist in tile-matching video games like Tetris and Puyo-Puyo. In tile-matching games, the interaction between the players is only indirect through separate boards, but the randomness of the tiles appearing in the game is a major difficulty, not found in Go or Shogi. In this paper, we propose a tile arrangement method for finding good moves in tile-matching games, through the use of a relevant matrix that represents the current situation and the knowledge of standard patterns. We show the effectiveness of the proposed method by applying it to the construction of chains in Puyo-Puyo. The resulting Puyo-Puyo AI player is significantly stronger.