著者
鵜飼 正敏 横谷 明徳 藤井 健太郎 斉藤 祐児 福田 義博 島田 紘行 住谷 亮介 安廣 哲 深尾 太志 南 寛威
出版者
東京農工大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2009

DNAの放射線損傷と損傷を回避するための細胞系の自発的修復とを熱力学的緩和過程の観点から統一的に研究するための分光法の開拓を目的として、既存の液体分子線・シンクロトロン放射光電子分光法を発展させるとともに、新規に、光励起とは相補的な高速電子線エネルギー損失分光システムを開発した。また、光励起と電子エネルギー損失に後続して誘起される分子の非定常状態とその反応を時間発展的に観測するための分光学的研究法を開発した。
著者
廣瀬 明 酒谷 誠一
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2003

本研究は、われわれが提案し世界をリードしている「複素ニューラルネットワーク」の理論に基づいて、対人プラスチック地雷を適応的に可視化するレーダシステムを構築することを目的として進められた。このレーダシステムは、人間の脳に似た機能を持ち、しかし一歩進んで、人間が持たない複素振幅情報を適応的に扱う能力を持ったニューラルネットワークを核としている。その結果、これまで事実上不可能であった浅く(0〜3cm)埋設されたプラスチック地雷の可視化に成功した。現在は次段階の研究であるフィールド試験(地雷原に似た状況での模擬地雷可視化)の計画を進めている。構築・開発に成功したこのシステムは、次の3つの部分から成る。(1)高空間密度・広帯域の集積アンテナによるハンドセット 新たなアンテナ・エレメントすなわちWalled-LTSA(walled linearly-tapered slot antenna)を提案・設計した。このアンテナ・エレメントは、小さい開口面積を持つため高密度に2次元的に集積化が可能であり、また広帯域を有しているため周波数掃引に好適である。この集積アンテナによって連続電磁波を放射し、また地中からの反射波を位相感受方受信機で2次元的に受信する。そして、その周波数を掃引することによって、空間および周波数空間の3次元空間での複素振幅データを得ることを可能にした。(2)複素画像を適応的に区分する複素自己組織化マップ(Complex-valued self-organization map : CSOM)モジュール また、得られたデータの複素3次元テクスチャを適応的に区分するCSOM適応クラス分けモジュールを開発した。反射波は2次元×周波数の3次元のテクスチャ情報を持っている。CSOMモジュールは、この複素テクスチャに基づき画素を適応的に分類し、画像を区分する。その結果、プラスチック地雷領域を他の土石領域や金属片を含む領域などと分離して、別のクラスに分類することに成功した。(3)地雷クラスを同定する複素連想記憶モジュール さらにCSOMによって分類されたクラスのうち、どのクラスがプラスチック地雷であるか、同定する必要がある。われわれは、これを2段階の複素連想記憶を提案・構築するによって実現に成功した。まず計測取得画像に含まれる特徴ベクトル(クラスを表現している)のセットに対して、それに近い特徴ベクトル・セットを有する教師画像を連想記憶的に探索する。次に、最も近かった教師画像の特徴ベクトルのうち、プラスチック地雷のクラスに相当する計測結果クラスを複素連想記憶で探索する。この2段階探索によって、効果的にプラスチック地雷クラスを同定することができた。
著者
黒木 裕士 中川 泰彰 小林 雅彦 岡 徹
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

本研究では、骨軟骨移植術および関節軟骨損傷に行われているリハビリテーションの科学的根拠を明確にすることを目指した。ヒトでは、骨軟骨移植術後1年で正常の膝機能を回復することが明らかとなった。家兎では、同手術後1年で正常の関節軟骨の組織所見が得られた。
著者
三成 賢次 松川 正毅 高橋 明男 高田 篤 茶園 成樹 松本 和彦 中山 竜一 養老 真一 福井 康太 仁木 恒夫 水島 郁子 佐藤 岩夫 佐藤 岩夫
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2005

本研究は、法曹の新職域として注目が集まっている弁護士業務の調査研究を行い、これに法領域横断的な理論的検討を加えることを通じて、近未来における法曹新職域のグランドデザインを提示することを目的とする研究プロジェクトであった。本研究では、諸外国の法曹とその養成課程に関する現状と課題を明らかにするとともに、主として最先端の企業法務を対象とする聞き取りおよびアンケート調査を実施し、法曹の職域の今後に関する模索的な研究を行った。本研究で特に力を入れたのは、全国2000社を対象とする「企業における弁護士ニーズに関する調査」、大阪弁護士会会員の約半数にあたる1500名を対象とする「弁護士業務に関するアンケート調査」、そして全国の企業内弁護士259人を対象とする「組織内弁護士の業務に関するアンケート調査」という3つのアンケート調査であった。それゆえ、本研究では、主として企業関連の弁護士の新しい職域の動向を明らかにすることとなった。
著者
石井 淳蔵 嶋口 充輝 栗木 契 西川 英彦 松井 剛 村下 訓 水越 康介 岸谷 和広 清水 信年 宮内 美穂 金 雲鎬 棚橋 豪 小田部 正明 山本 奈央 吉田 満梨
出版者
流通科学大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2006

本研究では、マーケティング競争下におけるデザイン戦略の重要性について、近年注目されつつある「ロバストデザイン」を核概念として、理論的・歴史的・実証的な研究が実施された。その主要な研究成果として、デザイン概念についての再構築が行われるとともに、競争優位性をもつデザイン戦略の現実と意義、そしてその背景としてのマーケティング競争のメカニズムが明らかにされた。
著者
木村 俊一 澤木 勝茂 井上 昭彦 鈴木 輝好 辻村 元男 鈴木 淳生 高嶋 隆太 八木 恭子 後藤 允 中野 張
出版者
関西大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

「OR指向ファイナンス」とは,数理ファイナンス理論をオペレーションズ・リサーチ(OR)における意思決定支援という観点からそのモデル作りを見直そうという本研究の基本概念である.この基本概念の下に,5つの研究テーマ(1) オプション価格評価;(2) 仕組債の価格評価;(3) 数理ファイナンス理論 (4) 企業ファイナンスにおける価値評価;(5) リアルオプションに対する数理モデルの開発とそれらの応用に関する研究を行い,数多くの国際的な研究成果を得た.
著者
長沼 毅 今中 忠行 伊村 智 内田 雅己 大谷 修司 神田 啓史 黒沢 則夫 幸島 司郎 高野 淑識 東條 元昭 伴 修平 福井 学 星野 保 宮下 英明 吉村 義隆
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2006

本研究は地球環境の健康診断「国際極年」の中核計画として実施されたものである。地球環境変動のうち温暖化の影響は南北両極、特に環境変動に鋭敏に応答する微生物の生態に顕著に現れる。そこで本研究では初めて総合的な極地微生物の生態調査を行った。極域および高山氷河域に生息する微生物の種類と現存量および固有種・汎存種を調べることで、今後の変遷を評価する上で必要になる「国際極年参照データ」を残すことができた。
著者
原 朗 山崎 志郎 加瀬 和俊 金子 文夫 岡崎 哲二 寺村 泰 西野 肇 池元 有一 伊藤 正直 植田 浩史 柳 沢遊 沼尻 晃伸 山口 由等 渡辺 純子
出版者
首都大学東京
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

本共同研究では、制度設計と市場経済の関係性の観点から、20世紀の日本経済を概観し、高度成長期の特徴を捉えた。このため、世界経済およびアジア経済の枠組み、日本の産業構造、産業組織、経済政策、企業間関係、労働市場、消費動向、消費者意識の変化について分析した。その結果、戦後世界の安定化と日本と対アジア関係の再構築、産業政策と産業調整、企業間取引、消費構造の高度化など1950年代から60年代に現れた制度設計と市場経済の安定的で特徴的な様相を明らかにした。
著者
丸野 俊一 藤田 敦 藤田 豊 安永 悟 南 博文 加藤 和生
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1996

3ヶ年間の成果の概要をまとめる以下のようになる。1. 新たなMK式議論尺度の開発: これまでディスカション状況に積極的に参加し、創造的な問題解決行動を遂行していく上で不可欠なスキルや態度やモニタリング能力などを測定すす客観的な尺度がなかたので、新たに3つのコンポーネント(議論スキルの側面,モニタリングの側面,態度・価値の側面)から成り立つMK式議論尺度を開発した。また外部基準尺度を用いてその信頼性や妥当性を検証した結果、信頼性、妥当性は極めて高く、尺度の標準化へ向けての確信が得られた。2. 議論過程のモデル化: ディスカッション過程がどのように展開していくかについて、特にモニタリングに焦点を定め、モニタリングについて3位相モデル(pre-monitoring,monitoring in action,post-monitoring)を提案し、各位相ではどのような側面や内容が思考吟味の対象になるか、またそこで必要とされる思考特性とはどのようなものかについてのモデル構成を行った。3. モニタリング訓練効果: 自己反省的思考、前提の問い直し、常識への疑いなどを吟味することが創造的思考を育む上で不可欠であるという仮説の基に、複眼的思考を育成するようなモニタリング訓練を行い、議論スキルた議論に取り組む姿勢や態度の変容過程を検証した。4.「話し合い」活動に対する素朴認識: 大学生や小学生を対象に、「話し合い」活動に対する取り組みの姿勢や、話し合い活動の意義や価値に対する素朴認識を検討した。特に、教育現場では「話し合い活動」がどのように行われているのか、また子供たちはどのようにその意義や問題点を認識しているかについて体系的な調査研究を行い、対話型授業を効果的に展開していくための教授プログラムや教授環境設計の指針を示した。5. LTD学習法の実践: LTD学習法の手続き的知識やスクリプトを精緻化し、教育現場でその実践を繰り返し、LTD学習法が対人関係技法の開発や創造的・批判的思考の促進や他者への共感的理解の促進などに効果的であることを実証した。
著者
岩崎 稔 八尾師 誠 大川 正彦 今井 昭夫 工藤 光一 金井 光太朗 小川 英文 米谷 匡史 篠原 琢 藤田 進 岩田 重則
出版者
東京外国語大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2006

国民国家内とそれを越える広域的空間として、南北アメリカ、アイルランド、ドイツ(旧東ドイツを含む)、オーストリア、フランス、イタリア、ベトナム、北朝鮮、韓国、中国、沖縄、日本を選択し、それらの「想起の文化」つまり過去の想起のあり方が、グローバル化・新自由主義の影響によって、大きく変容を遂げていることを、理論・方法論の構築ならびに事例解釈・思想史的分析を通じて明らかにした。それらの成果は世界各地の国際シンポジウム等で発表され、論文・著作として公刊された。
著者
安藤 譲二 山本 希美子
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2003

本研究では血流に起因するメカニカルストレスである剪断応力の生体作用を明らかにするために、血管内皮細胞の剪断応力の受容機構と遺伝子応答の包括的解析を行った。内皮細胞は剪断応力の強さの情報をATP作動性のカチオンチャネルであるP2X4を介する細胞外Ca^<2+>の流入反応に変換して伝達することが判明した。P2X4の欠損マウスを作製したところ、このマウスの内皮細胞では剪断応力による細胞外Ca^<2+>の流入反応が消失し、引き続いておこる一酸化窒素産生が減弱することが示された。また、P2X4欠損マウスでは正常マウスに比べ血流増加による血管拡張反応が減弱し、血圧が上昇していた。さらに、血流の減少による血管径の縮小反応がP2X4欠損マウスで障害を受けていた。このことから、P2X4を介する剪断応力の受容機構は血流依存性の血管のトーヌスや血管のリモデリングの調節に重要な役割を果たしていることが明らかになった。剪断応力に反応する内皮遺伝子についてDNAマイクロアレイによる包括的解析を行ったところ、動脈レベルの15dynes/cm^2の層流性の剪断応力に対し内皮遺伝子全体の約3%が反応して発現が変化することが判明した。このことは約600の遺伝子が剪断応力に応答することを意味している。また、クラスター解析で得た継時的な遺伝子の反応パターンは単一ではなく、多様であることが示された。さらに内皮遺伝子の応答が層流と乱流で異なることが明らかになった。例えば、層流に対してウロキナーゼ型プラスミノーゲンアクチベータ(uPA)遺伝子の発現が低下するが、乱流では増加することが示された。この場合、層流は転写因子GATA6を介する転写抑制とmRNAの分解促進を、一方、乱流はmRNAの安定化を介してuPA遺伝子の発現を修飾していた。
著者
相田 美砂子 大野 啓一 岡田 和正 勝本 之晶
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2004

放射線による構成塩基の直接的損傷を調べるため、モデル分子として2-アミノ-3-メチルピリジンを対象とし、その窒素および炭素内殻領域での解離を調べた。その結果、特に窒素内殻イオン化が起こる励起エネルギーにおいて、窒素原子周りでの解離が顕著となる特徴的な反応が観察された。この系に対して提唱した解離機構は、2-, 3-, 4-ピコリンを用いた同様の実験によって支持された。DNA構成塩基のモデル分子として2-アミノピリジン類をとりあげ,紫外光による直接的損傷がどのように生じるのかについて,実験と理論計算から取り組んだ。低温マトリックス赤外分光システムに紫外線照射光学系を組み込み、光反応を追跡したところ,紫外光励起によってアミノ-イミノ互変異性が生じることを明らかにした。間接的損傷として,活性酸素による核酸塩基の修飾塩基をとりあげた。それらが,どのようなメカニズムでDNA損傷につながるのかを明らかにするために,精度の高い非経験的分子軌道法およびQM/MM法を用いた理論化学計算を行った。突然変異を引き起こす修飾塩基としてよく知られている8-オキソグアニンは,互変異性体の相対的安定性がグアニンとは大きく異なり,このことが突然変異能の一つの原因であることを明らかにした。DNA塩基の互変異性化に対する溶媒効果については,これまで系統的に調べられていなかった。そこで,様々な溶液中におけるモデル塩基の互変異性化を,赤外分光法と量子化学計算によって調べた。その結果,ピリドンやピリミジミノンおよびそれの誘導体の互変異性は溶媒の極性に大きく依存することを明らかにした。これらの結果は,DNA損傷をもたらす別の要因として,外部環境によるDNA塩基の互変異性化促進が重要であることを示している。
著者
鈴木 修 渡部 加奈子 野澤 秀樹 権守 邦夫
出版者
浜松医科大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2005

1. LC-TOFMS装置の立ち上げと習熟: 導入したLC-TOFMS装置は、最新鋭のもので、制御システムはかなり進化している。TOFMS装置自体も従来の四重極型やイオントラップ型とは原理的に異なっている。最近になって、ようやく本装置を自由に使いこなせるようになった。2. マジックマッシュルームからのサイロシンとサイロシビンの検出: きのこ毒の中で、低分子かつ強力な有害活性を有す物質である。まずこれらの物質の抽出法を確立し、LC-TOFMSとLC-Qq-TOFMSの両モードで分析比較したところ、両モードにおける検出限界に余り差はなく、いずれも注入量で約20pgであった。現在異性体であるブフォテニンを内部標準とし、実験を継続しているところである。3. 強力きのこ毒アマニチン類のLC-TOFMSによる分析: ドクツルタケやシロタマゴテングタケに含まれるアマニチン類は、特に毒性が強く、数ミリグラムでヒトを死亡させるほどである。従って、この毒素を生物学的化学兵器として使用する事も可能と考えられる。この毒素類は分子量900以上の環状ペプチドで独特の構造を持つ。従って、同じく環状ペプチド構造を持つシクロスポリンAを内部標準物質として用い、まずはα-アマニチンの分析法を構築した。検出限界は注入量で、50pgと高感度であった。4. MALDI質量分析イメージングシステムの立ち上げと法医学的応用: 本科学研究費補助金で導入したABI社製QSTAR XL TOFMS装置にはオプションとして、イメージングシステムを立ち上げる事が可能であるため、そのシステムを立ち上げた。現在慢性覚せい剤やコカイン中毒モデルラットを作製し、慢性中毒症状発現メカニズムを解明すべく、鋭意実験を行っている。
著者
中村 太士 森本 幸裕 夏原 由博 鎌田 磨人 小林 達明 柴田 昌三 遊磨 正秀 庄子 康 森本 淳子
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2007

森林、河川、農地生態系について、物理環境を基盤とした生息場評価手法を確立した。また、それぞれの生態系において、生息場の連結性や歴史的変化、倒木などの生物的遺産を考慮する新たな復元手法を開発し、実験的に成果を得た。また、魚類、昆虫、植物、両生類、鳥類、貝類、哺乳類など様々な指標生物を設定し、モニタリングや実験結果によりその成否を評価する手法を確立した。環境経済学や社会学的立場から、再生事業や利用調整地区の導入に対する地域住民、利用者の考え方を解析し、将来に対する課題を整理した。
著者
森 欣司 藤原 英二 久保田 稔 呂 暁東 森山 甲一
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2007

本研究では、必要な情報サービスを得られるためには、状況に応じてユーザが動的に集まり協力して処理を行なう「コミュニティ」アーキテクチャを提案し、これに基づき、コミュニティ通信・処理技術を提案した。1. コミュニティメンバが個別に変化するサービス要求・機能・情報を持つ分散環境下において、機能不完全なサブシステムが存在する場合にもシステム全体の稼働を保証する自律分散システムコンセプトに基づき、各サブシステムがそれぞれの持つ機能・情報の部分的な共有を繰り返すことにより連携し、高信頼で柔軟な通信・処理を統一的に捉えるデータ指向型システムアーキテクチャを提案した。2. コミュニティ内のネットワークがサービスのレベルに応じて通信範囲を限定しながら自律交信する技術、とユーザが要求するサービスをネットワーク内にて逐次検索を行い、サービス提供者の応答の伝幡によってユーザ要求の拡散を抑制する技術を提案した。3. サービス提供者やユーザの分布等の状況を反映し、サービス情報が配布・共有されるコミュニティエリアを動的に構築する技術、コミュニティメンバのダウンなどの障害が起きたときに、所定の情報配布エリアに対して必要な情報を配布することができるノード間自律協調技術、とサービスの質とそのアシュアランス性を保証するため、各ノードが自律的に冗長ノードの確保と構造の再構築を行なうための自律負荷漸近調整技術を提案した。実際に自律分散コミュニティシステムプラットフォームを構築し、このプラットフォームによって、インターネットを介した研究協力者との共同実験を行い、提案技術の有効性を検証した。
著者
森田 浩 刀根 薫 福山 博文 上田 徹 廣津 信義 関谷 和之 実積 寿也 刀根 薫 福山 博文 上田 徹 廣津 信義 実積 寿也 関谷 和之 高橋 新吾 篠原 正明
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2006

DEAにおける理論と応用の両面からの展開とその融合研究を行った。ネットワークDEAや不確実性下のDEA、評価指標の開発などの理論的貢献とこれらの成果の多様な分野への適用による事例研究における応用面での貢献を得ることができた。さらに、国際シンポジウムの開催や外国人研究者の招へいなどによる国際交流の活性化および国内におけるDEA研究の中心的役割を果たすことができた。
著者
山口 佳三 石川 剛郎 清原 一吉 泉屋 周一 佐々木 武 佐藤 肇 大仁田 義裕 中居 功
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1999

研究の目的は,微分方程式系をJet空間の部分多様体として,幾何学的対象ととらえて,接触同値問題を核に,微分幾何学および特異点論の手法で研究することにある。今年度は最終年であるので,当初に掲げたつぎの6つのテーマをそれぞれまとめる研究を行った。(1)二階一未知関数偏微分方程式系の接触同値問題,特にE.CartanによるG_2-modelを多変数に一般化したG_2-型偏微分方程式系の研究。(2)Monge-Ampere方程式の解の特異点と衝撃波の構成。(3)微分方程式系のsymbolより生じる階別Lie環の研究および高階有限型微分方程式系(完全積分可能系)の同値問題とその応用。(4)線形高階有限系微分方程式系の同値問題の射影部分多様体論とGauss-Schwarz理論への応用。(5)微分式系の種数の概念のWebb幾何による意味付け。(6)測地流が完全積分可能系となるRiemann多様体の構造解明。(1)の課題については、成果発表として,Duke大学Bryant教授,Columbia大学倉西教授,Minesota大学Olver教授を訪れ活発な討議と共同研究を行った。(2)の課題は、泉屋が,まとめを雑誌「数学」に発表した。(3),(4)の課題は、高階常微分方程式系の同値問題を含み、背足による線形可積分系の線形同値問題を接触同値問題に発展させる研究である。基本的な成果を今年,研究代表者が八ツ井とともに公表した。(4)については,背足の線形方程式系に対する剛性定理の射影幾何学的解釈を研究代表者が,Jun-Muk Hwang教授(KIAS)とともに,まとめた。(6)の課題は、Liouville曲面の一般化の研究であり、完全積分可能系の大局的理論である。清原が,今年はそのKahler版をまとめた。
著者
福田 眞作 下山 克 坂本 十一 菅原 和夫 棟方 昭博 中路 重之
出版者
弘前大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1999

食物繊維が人の消化吸収機能に及ぼす影響を以下のように検討した。(1)まず、小腸液灌流法を用いて回腸末端部の小腸液の食物繊維(難消化性澱扮とペクチン)含有量を測定し経口摂取したそれと比較した。(2)大腸内の発酵によるカロリー摂取状況を評価するために食物繊維(難消化性澱粉、ペクチン、セルロース、ラクツロース)摂取後の呼気ガス(水素とメタン)を測定した。(3)^<13>Cにより標識された中性脂肪をペクチンとともに摂取させ、呼気中の^<13>CO_2と^<12>CO_2を測定してペクチンの中性脂肪吸収に及ぼす影響を評価した。本研究で得られた主要な結果を列挙すると以下のようになる.1.内視鏡的逆行性腸管挿管法を用いた小腸液灌流法による食物繊維の回収実験で,食物繊維の一種である難消化性澱粉の回収率は平均値±標準偏差値で345±9.7%であった。これは難消化性澱粉の食物繊維としての価値が平均でわずか34.5%しかないことを示唆した。また個体差が非常に大きく約20%の幅がみられた。2.同様方法で同じく食物繊維の一種であるペクチンの回収実験を行ったところ,平均値±標準偏差値は88.4±10.5%であった。以上よりペクチンは難消化性澱粉に比較し,食物繊維としての価値はほぼ90%と高かった。しかし,難消化性澱粉と同様に20%以上の個体差がみられた.以上より食物繊維はその種類によって真の食物繊維としての価値は大きく異なり,また個人差が大きいことが明らかになった。このことは食物繊維の真の値がin vivo系で明らかにされるべきであることを示唆し,また個人によって異なる消化吸収システムが食物繊維の真の値に大きく影響するものと考えられた.3.食物繊維の大腸内における発酵パターンにはいくつか存在することが明らかになった。この相違は腸内細菌叢の種類と量、食物繊維の小腸通過時間・通過率及び食物繊維の種類に依存していると考えられた。4.短時間における食物繊維の脂肪の消化吸収に及ぼす影響は,想定されているほど大きくないことが明らかになった。食物繊維は1971年のバーキットの繊維仮説の提唱以来注目を浴びてきた。しかし,それは根拠のない健康ブームに乗っかった側面もあった。近年,食物繊維の種類分け,測定法が厳密化し,食物織維と健康に関する研究そのものも,より厳密化してきた。したがって,食物繊維の厳密な評価による,さらなる説得力のある研究が始まりつつある.本研究は食物繊維の評価を科学的に厳密に追及したものであり,今後のより成熟した食物繊維の研究に資するところ大であると信じる。