著者
中島 功 猪口 貞樹 木ノ上 高章 片山 正昭 尾崎 清明
出版者
東海大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2009

位置情報と個体識別ができるS帯2.4-500kbps伝送速度の鳥装着用パケット送受信機の開発し、総務省の型式認定を申請した。山階鳥類研究所で渡り鳥に装着し、その鳥がわが国に帰還すれば、データが採取でき危機管理に役立てる。H5N1の感染地域、ロシア、モンゴルでの鳥インフルエンザ関連の生態環境、電波伝搬環境を分析し、将来の危機管理としての鳥インフルエンザ予防に役立てる統合研究をおこなった。
著者
鈴森 康一 脇元 修一 安積 欣志
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2014-04-01

現在の人型ロボットと実際の人の身体の駆動機構は大きく異なっており,これが両者の運動特性に様々な違いを生んでいる.しなやかで「生き物らしい」運動特性を持ったロボットを実現するには,十分な収縮能力を持ち,集積して超多自由度機構を駆動できる「人工筋肉」の実現が鍵になる.本研究では,①「電気駆動」と「多繊維構造」を特徴とする「次世代マッキベン人工筋肉」を実現し,②「筋骨格ロボット機構」に適用してその可能性を実証することを目的としている.①マッキベン人工筋肉の電動化に関しては,本年度は,プロトン交換膜表面の電極形成の工夫により,1~2秒程度の速さで動作する「電動細径マッキベン筋肉」の動作に成功した.電気駆動に関しては,安定した製造方法と反応速度の向上については今後検討する必要があるものの,ほぼ当初の目的であった動作性能を実現することができた.多繊維化に関しては,紡錘状筋肉を対象に多繊維化に伴う筋肉間の干渉をモデル化し,細径人工筋肉単体の特性と多繊維化した場合の特性を理論と実験から検討し,多繊維化により収縮率が10%程度上昇することを示した.②筋骨格ロボット機構に関しては,一昨年度の脚,腕,昨年度の顎の動作実現に加え,首および脛骨へ適用,動作に成功し,超冗長駆動システムの駆動が本多繊維人工筋で行えることを実証した.以上のように,②については,研究が当初計画より約1年前倒しに当初目標を達成し,①の電動化については安定した製造方法と反応速度の向上については今後検討する必要があるものの,4年間でほぼ当初の目的を達することができた.今後はさらに高性能化を目指して油圧駆動に取り組みたい.
著者
刈屋 武昭 佃 良彦 前川 功一 山村 能郎 乾 孝治 田野倉 葉子 神薗 健次
出版者
明治大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2011-11-18

第1に、金利、国債価格、社債価格、信用リスクの変動にかかわるクロスセクション分析モデルを展開し、金融危機を含む期間に対して、多様な分析を行った。中でも、日本、米国、欧州5か国の国債分析、日本社債を中心とした社債別の信用リスク指標と市場格付け法を開発し、それに基づく企業別、業種別の倒産確率の期間構造を導出した。第2に、さらに時系列分析として、国債価格予測モデルの定式化と予測とその日本国債価格への応用、動学的変動相関モデルによる東南アジア諸国の債券利回りの世界債券市場の中での共和分性の検証、また為替レート変動分析に関して分散変動回帰モデルにおいて構造変化点の推定法などの研究を行った。
著者
大西 武雄 小松 賢志 丹羽 太貫 内海 博司 渡邉 正己 法村 俊之
出版者
奈良県立医科大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2000

(1)センサー・緩照射は、NOを介したバイスタンダー効果により蓄積誘導された正常型p53の衰退を促進し、このp53の衰退促進はHdm2による分解促進であることが示唆された。(福井医大・松本)・低線量放射線照射により誘発されたDNA二重鎖切断の認識は、NBS1がはじめに損傷部位のヒストンを認識してヌクレアーゼを損傷部位にリクルートして、次にヌクレアーゼが損傷DNAに結合する二段階機構が明らかになった。(広大・小松)(2)情報伝達・あらかじめの低線量放射線の線量と、次の致死線量の被曝までのインターバルがマウス個体における適応応答に重要であることを明らかにした。(奈良医大・大西)・極低線量の放射線は細胞核由来の情報伝達経路は活性化せず細胞膜由来のERK1/2を経由する細胞内シグナル伝達系を活性化し、ヒストンH3のリン酸化を起こすことがわかった。(長崎大・渡辺)(3)適応を含む機能発現・放射線高感受性のマウス胸腺リンパ腫由来3SB細胞は、低線量照射後短時間の内にアポトーシスで死滅するが、線量率効果が見られなかった。(広大・鈴木)・低線量率照射での生存率上昇は、KU70欠損では観察されず、RAD54及びATM欠損細胞では観察され、低線量率照射回復は相同組換えではなく非相同組換えが主要な経路であることを明らかにした。(京大・内海)・p53依存性アポトーシスを介した組織修復機構がDNA修復機構と協調して働けば、低線量(率)放射線による少々の遺伝子損傷は効率的に排除され、その蓄積は起こらないことを明らかにした。(産業医大・法村)・低線量放射線により誘発される突然変異の質は、生殖腺細胞では欠失型変異の誘発が少なく、体細胞組織とは異なるDNA修復機構をもっていることが示唆された。(東北大・小野)・低線量放射線照射した精子のDNA損傷は遅延的に体細胞突然変異を誘発した。(京大・丹羽)
著者
猿渡 洋 鹿野 清宏 戸田 智基 川波 弘道 小野 順貴 宮部 滋樹 牧野 昭二 小山 翔一
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2011-04-01

本研究では、高次統計量追跡による自律カスタムメイド音声コミュニケーション拡張システムに関して研究を行った。具体的なシステムとして、ブラインド音源分離に基づく両耳補聴システムや声質変換に基づく発声補助システムを開発し、以下の成果が得られた。(1)両耳補聴システムに関しては、高精度かつ高速なブラインド音源分離及び統計的音声強調アルゴリズムを提案し、聴覚印象の不動点を活用した高品質な音声強調システムが実現できた。(2)発声補助システムに関しては、データベース間における発話のミスマッチを許容する声質変換処理を開発した。実環境模擬データベースを用いてその評価を行い、有効性を確認することが出来た。
著者
牛首 文隆 成宮 周 吉田 進昭 平田 雅一
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1995

8種類のプロスタノイド受容体遺伝子のエクソン内にネオマイシン耐性遺伝子を組み込んだターゲティング・ベクターをそれぞれ129ola由来胚性幹細胞(ES細胞)に導入し、相同細換えを起こした。C57BL/6マウスの胚にES細胞を注入後、擬妊娠したICRマウスの子宮に戻してキメラマウスを作出した。キメラマウスをC57BL/6マウスと交配し、F1マウスを得た。組換えalleleをもつF1ヘテロ接合体同士を交配し、F2ホモ接合体を得た。結果、8種類の各プロスタノイド受容体欠損マウスが得られた。また、遺伝的背景を均一にする目的で、各プロスタノイド受容体欠損マウスをC57BL/6マウスに繰り返し交配する戻し交配を行った。現在、一部のプロスタノイド受容体欠場マウスで房し交配が完了し、他のものは継続中である。また、balb/cやDBA1マウスなどへの戻し交配も予定している。IP欠損マウスの解析により、PGI_2は心血管系での抗血栓作用以外に炎症反応の場での血管透過性の亢進や疼痛の伝達等非常に重要な役割を持つことが示された。FP欠損マウスの解析では、分娩時にPGF_<2α>がまず黄体退縮を引き起こし、これが血中プロゲステロン濃度を低下させ、続いて子宮でのオキシトシン受容体の発現を誘導するという一連の機構が解明された。EP4受容体欠場マウスの解析により、PGE_2はEP4受容体を介して出生直後の動脈管の閉鎖に重安な役割を果たすことが示された。以上、本研究によりプロスタノイド受容体欠損マウスの作成がなされ、その解析を通してプロスタノイドの重要な生理・病態生理的役割の一端が解明された。今後、これらの結果が各プロスタノイドの示す多彩な作用を選択的に制御する薬物の開発とその適用の指標に資することが期待される。
著者
岩澤 美帆 別府 志海 玉置 えみ 釜野 さおり 金子 隆一 是川 夕 石井 太 余田 翔平 福田 節也 鎌田 健司 新谷 由里子 中村 真理子 西 文彦 工藤 豪 レイモ ジェームズ エカテリーナ ヘルトーグ 永瀬 伸子 加藤 彰彦 茂木 暁 佐藤 龍三郎 森田 理仁 茂木 良平
出版者
国立社会保障・人口問題研究所
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2013-04-01

結婚の形成と解消の変化を理解するために、(1)変化・差異の記述、(2)説明モデルの構築と検証、(3)変化の帰結の把握に取り組んだ。横断調査、縦断調査データの分析のほか、地方自治体に対するヒアリング調査を行った。若い世代ほど結婚が起こりにくく、離婚が起こりやすい背景には近代社会を生きる上で必要な親密性基盤と経済基盤という両要件が揃わない事情が明らかになった。要因には地域の生活圏における男女人口のアンバランスや縁組み制度の衰退、強すぎる関係、男女非対称なシステムと今日の社会経済状況とのミスマッチが指摘できる。一方で都市部や高学歴層におけるカップル形成のアドバンテージの強化も確認された。
著者
建林 正彦 村松 岐夫 森本 哲郎 品田 裕 網谷 龍介 曽我 謙悟 浅羽 祐樹 大西 裕 伊藤 武 西澤 由隆 野中 尚人 砂原 庸介 堤 英敬 森 道哉 藤村 直史 待鳥 聡史
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2009

本研究では、現代の民主主義における政党組織の共通性と各国固有の特徴とその規定要員を明らかにするために、日本の民主党、自由民主党の政党本部、各地の地方組織(都道府県連合会)に対する聞き取り調査と、都道府県議会議員に対するアンケート調査を行い、これらの情報・データをもとに国内比較、国際比較の観点を加えつつ、研究会を積み重ねながら様々な分析を行った。
著者
松田 素二 鳥越 皓之 和崎 春日 古川 彰 中村 律子 藤倉 達郎 伊地知 紀子 川田 牧人 田原 範子
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2009

現代人類学は、これまでの中立性と客観性を強調する立場から、対象への関与を承認する立場へと移行している。だが異文化のフィールドへの「関与」を正当化する論理は何なのだろうか。本研究は、生活人類学的視点を樹立してこの問いに答えようとする。そのために本研究は、日本・東アジア、東南アジア、南アジア、アフリカの 4 つの地域的クラスターと、自然・環境、社会・関係、文化・創造という三つの系を設定し、それぞれを専門とする研究者を配して「生活世界安定化のための便宜」を最優先とする視点による共同調査を実施した。
著者
小野田 正利 佐藤 晴雄 吉川 武彦 野田 正人 古川 治 楠 凡之 松本 剛 和井田 節子 岩切 昌宏 山野 則子 瀧野 揚三 西川 由紀子 新井 肇 小林 正幸 山下 晃一 岩永 定 入澤 充 嶋崎 政男 清水 和夫 清水 和夫 嶋崎 政男
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2009

2000 年代に入ってわが国の学校現場では、教職員と保護者の間に時として激しい対立やトラブルが生じようになり、それらをどのように解決していくか、あるいは減少させていくかという課題が生まれてきた。本研究は、このような問題現象が増加している理由や背景の分析はもちろんのこと、具体的にどのようにすれば、トラブルが大きくならずに解決につながっていくかを考察したものである。このために研究者のメンバーの専門領域をより学際的なものとし、教育学だけでなく、法律学、精神医学、臨床心理学、福祉学などの幅広いものとして構成した。そこで得られた研究成果を、全国の12か所でシンポジウムとワークショップを開催する形で発表したが、これらの成果の多くは、6つの書籍などの成果物として結実した。
著者
村上 章 中畑 和之 西村 伸一 藤澤 和謙 小林 晃 鈴木 誠
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2014-04-01

地震災害リスクと豪雨災害リスクを統合したアセットマネジメントシステムの構築につき、任意年の地震リスク=損失額×地震損失確率を算定し、最終的にLCC=供用年内のリスク+改修費用+維持管理費用を得る。LCCを最小化することで最適な改修および維持管理方法を決定する。この解析を複数の対象地域(ため池群の流域とその下流地域)で実施し、一連の分析を統合化した意思決定システムを完成させた。上記の研究成果は、論文や口頭発表を通じて公表した。さらに、一般市民向け研究成果公開事業「京都大学アカデミックデイ」にて発表・説明した。
著者
宮坂 道夫 鳥谷部 真一 山内 春夫 栗原 隆 後藤 清恵 坂井 さゆり 細見 博志 田澤 立之 足立 智孝 中田 光 甲斐 克則
出版者
新潟大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2010-04-01

本研究は、【1】医療倫理学の統合的方法論の構築、【2】統合的方法論の実践可能性の検証、【3】統合的方法論の法制度的整合性の検証を目標にしてきた。5年間の研究により、統合的方法論を「修正版四分割表」および「ナラティヴ検討シート」として完成させた。これらにより、原則論に基づくジョンセンらの方法と我々が構築してきたナラティヴ倫理による方法を統合して、臨床現場で実践可能な方法論を提示することができた。また、ハンセン病問題、終末期医療、遺伝子医療等についての臨床倫理の検討方法や諸外国との比較法制度論に関する成果等が得られた。
著者
薛 進軍 園田 正 臼井 恵美子 萬行 英二 安達 貴教 厳 善平 戴 二彪 本台 進 柳原 光芳 杉田 伸樹 岑 智偉 南 亮進 Li Shi Knight John Xin Meng Cai Fang Wei Zhong Vakulabharanam Vamsi
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2011-04-01

中国は高度成長を続け,世界第二の経済大国となった一方で,巨大な所得格差が存続し,住民のデモや少数民族の暴動も頻発し,社会が不安定な状態にある。また,安い労働力で支えられた高度成長は,急速な賃金上昇と労働不足でブレーキがかかり始めている。これらの問題は,国際経済,特に日本経済にも大きな影響を与え始めている。こうした問題は,労働移動に関するルイスの転換点,所得分配に関するクズネッツの転換点と密接な関係をもち,経済転換期における典型的な現象としてとらえられる。本研究は,中国で実施されたパネル調査のミクロデータに基づいて二つの転換点を検討し,転換点の中国経済への意義と国際経済への影響を分析する。
著者
野村 彰夫 森川 公夫 川原 琢也 斉藤 保典
出版者
信州大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1996

局地気象情報取得のための昼夜連続観測可能な可搬型バイスタティックイメージングライダーの開発を行った.システムの基本構成として,送信系はNd:YAGレーザを用いた車載型とした.送信レーザ波長は532nm,繰り返し10Hz,最大出力200mJである.受信系は冷却型高感度CCDカメラに高速ゲート.イメージング・インテンシファイヤーを組み合わせ,高速シャッターを可能とした.高速ゲートとレーザ射出タイミングを同期させることにより,受信散乱光強度を減少することなしに背景光強度を1/5000にまで減少させることができ,昼間観測においても良好なSNRでレーザ光の散乱飛跡を画像として捉えることを可能とした.本システムを用いて4回のフィールド観測を行い,実用化に向けてのシステムの問題点と有用性について検討を行った.3日〜10日間の昼夜連続フィールド観測を実施し,その間,地上から高度3kmまでのエアロゾル,霧および雲底高度の鉛直プロファイルを時間分解能1〜2分でカラーコード化した時間変化をディスプレイ上に表示した.特に最終目標である長野冬季オリンピックのアルペン競技が行われた八方尾根会場におけるフィールド観測では,モノスタティックライダーとの共同観測を10日間実施した.連日の悪天候の中での気象予報が困難を極めていたが,昼夜連続観測を行っていたライダー観測データは,早朝に競技の実施を判断する気象担当官から多いに役立ったと高い評価を受けた.以上から,本研究は当初の計画を完全に実施することができ研究成果をあげることができた.フィールド観測から局地気象情報を得るための有用な観測手段になりうることも実証できた.
著者
本田 智則 田原 聖隆 竹内 憲司 稲葉 敦 西野 成昭
出版者
国立研究開発法人産業技術総合研究所
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究では、分散型電源及び既存電源を協調させつつ、長期安定的に稼働可能な電力システムの構築を目指し研究を実施してきた。再生可能エネルギー発電設備についてのLCA(Life Cycle Assessment)を実施し環境負荷の定量化を行った。また、インセンティブ制度設計にあたっては特に省エネが遅れている家庭部門に着目しHEMSデータを活用しライフスタイル別のエネルギー消費実態を特定すると同時に実験経済学の手法によって電力需用者の省エネインセンティブについての知見を得ることができた。仮想電力取引市場設計にあたっては各市場毎のライフスタイル変容が重要な課題であると言う今後の課題を得た。
著者
木下 一彦
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2014-04-01

(1) イオンチャネルの手動開閉チャネルコンダクタンスが高く単一チャネル電流の測定が容易なBKチャネル、広く研究されており開閉が電位だけで制御されるシェーカーチャネル、などを対象として、捕捉効率の高い操作用ハンドルの導入を試みた。すでに、チャネル配列の電位センサー部に外来たんぱく質を挿入することにより、そのたんぱく質自身の存在がチャネルの開閉を制御することを示したが、このたんぱく質の位置をさらに外力で操作できれば、より明確な解釈が可能になる。そこで、この外来たんぱく質のチャネルと反対側に、アビジン結合部位を導入することを試みている。また、つい最近発表された、高効率で膜電位を計測できる蛍光プローブを、チャネルに融合させる試みも開始した。いずれも、基盤研究(S)に引き継ぐ。(2) F1-ATPaseのATP加水分解および燐酸解離のタイミングの決定どちらのタイミングもすでに分かったつもりになっていたが、最近の研究により振り出しに戻った感がある。そこで、加水分解しにくいATPアナログ(蛍光性)や、解離が遅くなることが示唆されている燐酸アナログを用いて、再検討をはじめた。基盤(S)に引き継ぐ。(3) Reverse gyraseの反応機構DNAの螺旋をさらにきつく巻き上げる酵素reverse gyraseにつき、酵素を助けるつもりで磁石によりDNAを巻き上げたところ、酵素はそれを戻してしまうようである。まだ予備的な結果なので、継続する。
著者
白井 裕泰 小野 泰 林 英昭 藤田 香織 栗子 岳大 奥山 智也 大西 裕也 大関 貴史 榎本 将紀 佐々木 雄也 菊池 智也 清水 元紀 山田 悠人 谷川 弘子 齋藤 嘉一 朝光 拓也 高橋 定信 高橋 和弘 高橋 直弘 千葉 恒介
出版者
ものつくり大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2010-04-01

阮朝フエ王宮における昭敬殿の上部構造を以下の方法によって復原した。①昭敬殿と隆徳殿の柱間寸法の比較および基壇構造の比較によって昭敬殿が隆徳殿と同一規模、同一形式であることを明らかにした。②昭敬殿の復原は、隆徳殿の寸法計画、建築技法、細部意匠を踏襲することによって実施した。③隆徳殿と同様に復原設計に倣って原寸図を作成し、その寸法を基準に施工した。④昭敬殿の基壇は、地盤の地耐力を考慮して、隆徳殿基壇修理と同様に、各柱礎石下にレンガ積独立基礎を新設した。⑤昭敬殿の軸部および屋根の組立は、隆徳殿の施工に倣って行われた。⑥昭敬殿復原の参考資料として、復原図、基壇詳細図、原寸図、竣工写真などをまとめた。
著者
グルゲ キールティ・シリ 山下 信義 秋庭 正人
出版者
独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2012-04-01

2014年にチェンナイより採集した河川水・底質試料について医薬品及び有害化学物質の分析を行った。先進国では過去50年以上にわたって汚染が進行している有機過フッ素化合物や有機シロキサンについては、インドの汚染は始まったばかりであることが柱状底質試料を用いた歴史的復元により明らかとなった。医薬品ではイブプロフェンの濃度が最も高く、薬剤耐性菌への関与が疑われるキノロン剤のオフロキサシン濃度が次いで高濃度であった。また、同じ底質試料の変異原性強度の空間的と鉛直分布を、コメットアッセイを用いて、多環芳香族炭化水素(PAHs)、およびそのハロゲン化物を指標として判定した。チェンナイ市・クーム川の底質は石油起源のPAHsによる高度な汚染が検証された。底質の変異原性の強さは、PAHsの汚染度に関連していた。また、4種類の下水汚泥の抽出物を雄性マウスに摂取させ、肝臓の遺伝子発現の変化をマイクロアレイ解析した。200以上の遺伝子について、それぞれの下水処理施設に特有な異なる誘導が見いだされ、排水の性質は排出元に大きく影響されることが示唆された。さらに、これまでに分離した446株の大腸菌のうち、セフォタキシムやイミペネムといった人の治療に汎用されるβ-ラクタム剤に耐性を示す169株(38%)の薬剤耐性因子等を詳細に解析した。12の抗菌剤に対する薬剤感受性を調べたところ2剤を除いて50%以上の耐性菌分布率を示した。また、全ての菌は3剤以上に耐性を示し、最も分布率が高かったのは10剤耐性菌(25%)であった。β-ラクタマーゼ遺伝子型別のうち、CTX-M型の分布率が66%と最も高く、次いでTEM、OXA、CIT型の分布率がそれぞれ約40%であった。無作為に選んだ36の環境水サンプルに由来する49プラスミドの全塩基配列を解読し、β-ラクタマーゼ遺伝子を含む各プラスミドの系統と薬剤耐性遺伝子の分布を明らかにした。
著者
麻田 豊 藤井 毅 石田 英明 ムイーヌッディーン アキール 萩田 博 粟屋 利江 AQEEL Moinuddin ムイーヌッディーン アオール ムイーヌッディーン アキ アキール ムイーヌッディ
出版者
東京外国語大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1997

1.南アジア近代諸語文献の所蔵調査を行う目的で、初年度の平成9年度においては、ヨーロッパ大陸では特にロシアとフランスに的を絞り、サンクトペテルブルグの東洋学研究所とパリの国立図書館において予備調査を行った。イギリスではロンドンの東洋学・旧インド省コレクション(OIOC)とロンドン大学東洋アフリカ研究学院(SOAS)をはじめ、マンチェスター、エディンバラの図書館、また、インド・パキスタンでは各都市の文書館を精力的に訪問し、各言語による中世の写本や19世紀の刊本の文献所在調査・検索調査を遂行した。2.2年度目の平成10年度は、前年度のロシアとロンドンのOIOCとSOASにおいて重点的に文献所蔵調査を実行するとともに、ドイツとチェコにまで調査範囲を広げることができた。特に、ドイツではこれまで知り得なかった、写本に関する有益な知見を得ることができた。3.最終年度の平成11年度は、ヨーロッパではスペインとオランダ・ドイツを中心に調査を行った。インド・パキスタンにおいては、大都市の機関や図書館のみならず、これまで未訪問でありその所蔵状況が判明していなかった大小さまざまの図書館や文書館をできるだけ多く訪問した。また、各地のイスラーム聖者廟やモスクに附属する図書館および旧藩王国の図書室にまで調査範囲を拡大した。各年度において、最も基礎的な資料でありながらこれまで収集を怠ってきた各言語の写本・刊本目録の収集に力を注いだ。4.3年間の海外調査では、特にインド・イスラーム関係(ウルドゥー語・ペルシア語・アラビア語による)の写本目録類をかなりの量、収集することを大きな目的とした。これら写本目録は通常の図書流通ルートにのらないため入手が極めて困難であり、発行元の図書館をひとつひとつ訪問して収集することは今回のようなプロジェクトが組織されて初めて可能になったといえる。収集された目録類は量的にも我が国最大のコレクションであろう。ほかに、マラーティー語・パンジャービー語・マラヤーラム語の写本・刊本に関するかなり密度の高い所蔵情報が得られた。これらは分冊1の報告書として、また個別テーマ書誌として、カースト族諸関係およびインドの言語問題関係の文献目録を分冊2の報告書としてまとめることができた。
著者
岩久 正明 福島 正義 岡本 明 子田 晃一 児玉 臨麟 吉羽 邦彦 鮎川 幸雄
出版者
新潟大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1999

本研究は、ウ蝕への系統的対応のためのクリニカルカリオロジーを確立することを目的として、これまでの一連の研究成果を総合的に検討するとともに臨床対応へのシステム化を図ることである。主要な結果は以下のとおりである。1.ウ蝕の各ステージにおける病態の分析・診断(1)レーザーによるウ蝕診断法ついてその有用性を明らかにした。(2)ウ蝕治療後における抗原提示細胞の局在とその動態を免疫組織化学的に検索した結果・修復処置後も長期間残存するが明らかにされた。2.感染症としてのう蝕への対応(1)ウ蝕象牙質から高頻度に検出されるPseudoramibacter alactolyticusの遺伝学的多様性が明らかにされた。(2)in vitroにおける人工的バイオフィルム形成モデルを確立し、抗菌剤効累の判定におけるその有用性を明らかにした。3.ウ蝕治療(1)Er: YAGレーザーよる歯質蒸散部の微細形態、切削効率、および歯髄反応について検討し、その臨床応用への有用性が明らかにされた。(2)象牙質・歯髄複合体の修復、再生メカニズムの解明の一環として、直接覆髄処置後ならびに歯牙移植実験モデルにおける硬組織形成過程を免疫組織化学的に観察し、この過程における非コラーゲン性タンパクの関連性を明らかにした。(3)難治性感染根管症例への対処法として、混合抗菌剤の応用を検討し、根管内貼薬の基材としてのプロヒレングリコールの有効性が認められた。4.術後の再感染予防再発予防のための抗ウ蝕性修復材に関する研究の一環として、各種フッ素徐放性修復材料による歯質の強化(耐酸性)が明らかにされ、臨床応用への有効性が示唆された。5.術後指導、定期診査、リスク評価要介護高齢者の口腔ケアのために新たに開発された口腔ブラシのプラーク除去効果と臨床応用への有用性が示唆された。