著者
重田 眞義 伊谷 樹一 山越 言 西 真如 金子 守恵 篠原 徹 井関 和代 篠原 徹 井関 和代 峯 陽一 西崎 伸子
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2007

本研究プロジェクトは、エチオピアにくらす人々によって絶え間なく創り出される様々な知(=在来知)の生成過程をこれまで認識人類学がふれなかった「認識体系と社会的な相互交渉の関係」と、開発学が扱わなかった「有用性と認知の関係」の両方を射程に入れて、グローカルな文脈に位置づけて解明した。さらに、この研究であきらかになった点をふまえて、研究対象となる社会への成果還元に結びつくような研究活動を展開した。
著者
渡辺 尚 小花 貞夫 水野 忠則 萬代 雅希 石原 進 四方 博之 渡辺 正浩
出版者
静岡大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

アンテナの指向性を利用したユビキタスインフラを開発することを目的とし、可変指向性を利用したメディアアクセス制御(MAC)、ルーティングの高度化、テストベッドの開発と実証実験等を行った。より具体的には、指向性MAC,ルーティングプロトコルの高度化としては、(1)マルチレート環境に適した指向性MACプロトコル、(2)指向性隠れ端末問題やデフネス問題を低減するルーティング、(3)複数メインローブとネットワークコーディングを利用したマルチキャスト、メインローブとヌルを同時利用するマルチレートMACなどを開発した。また、テストベッドの開発と実証実験としては、(1) UNAGIとMICA moteを用いた階層型ネットワークの構築と実験、(2)特定実験試験局免許を取得したUSRP2/GnuRadioによる実験などを行った。以上の成果を国内外の学会等で発表した。
著者
舩橋 晴俊 寺田 良一 中筋 直哉 堀川 三郎 三井 さよ 長谷部 俊治 大門 信也 石坂 悦男 平塚 眞樹 小林 直毅 津田 正太郎 平林 祐子 金井 明人 仁平 典宏 土橋 臣吾 宮島 喬 壽福 眞美 池田 寛二 藤田 真文 鈴木 宗徳 羽場 久美子 茅野 恒秀 湯浅 陽一 須藤 春夫 佐藤 成基
出版者
法政大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2011-05-31

本年度は, 年度途中で廃止になったが, それでも, 下記の研究実績を上げることができた。【公共圏とメディアの公共性班】法政大学サスティナビリティ研究所内の「環境報道アーカイブス」に蓄積した東日本大震災及び福島原発関連の映像に付されたメタデータの分析を行った。分析から, 震災・原発関連番組の論点の変化や報道対象地域の偏りなどを見出した。【エネルギー政策班】『原子力総合年表一福島原発震災に至る道』を2014年7月に公刊した(すいれん舎刊)。また, 青森県下北半島における核燃料サイクル事業の動向を把握するため, 『東奥日報』を基に詳細年表を作成し, 地域社会の長期的な構造変動を追跡可能な情報基盤を整えた。エネルギー戦略シフトに関し, 各地の市民団体の調査および支援を実施した。【年表班】英文環境総合年表(A General World Environmental Chronology)を刊行した。英文による包括的な年表は世界初の試みであり, 環境問題に関する国際的なデータベース構築の第一歩を記した。また, その年表の成果をもとに, 7月に国際シンポを開催し, 各国の研究者との交流を図った。【基礎理論班】2013年12月に開催した国際シンポと講演会を基に, 論文集『持続可能な社会に向かって―ドイツと日本のエネルギー転換(仮題)』(法政大学出版局, 2015年)の編集作業を継続している。並行して, 『ドイツ・エネルギー政策の形成過程1980~2014―資料集』(新評論, 2015年)の本文編集作業はほぼ終了し, 現在は巻頭論文を執筆中である。【食・農と包括的コミュニティ形成班】学内の「食・農」に関する社会的活動拠点でもある「スローワールドカフェ」の活動に関与しながら, 個別に研究を進めてきた。研究成果は, 社会学部授業科目「社会を変えるための実践論」と「多摩地域形成論」に一定程度反映させてきている。
著者
橋本 俊次 大塚 宜寿 山本 敦史 高澤 嘉一 柏木 宣久 田邊 潔 頭士 泰之 姉崎 克典 大原 俊彦 半野 勝正
出版者
国立研究開発法人国立環境研究所
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2014-04-01

固相吸着法などで採取した大気や水試料を加熱脱着法により直接、測定装置に導入することで、迅速かつ網羅的な分析を可能にした。膨大な種類の化学物質を分離測定するために多次元ガスクロマトグラフィ-飛行時間型質量分析法を用いた。測定データから任意の物質情報を抽出あるいは除去する手法を開発し、特に質量欠損の利用は、炭化水素由来のマススペクトルをほぼ完全に除去可能にした。未知物質の同定には質量分解能3万程度の測定が有効であった。非負制限因子分解(NMF)法の応用により、連続するモニタリングデータから差を検出する手法を開発した。また、データ比較のためには必須の保持時間合わせの手法も新たに開発した。
著者
新田 栄治 西谷 大 井上 和人 渡辺 芳郎 BUI Chi Hoan CHAIKANCHIT CHALIT Chaik
出版者
鹿児島大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1997

メコン流域の先史時代から初期国家成立にいたる文明化現象について、ベトナム南部、タイ東北部、ラオス南部、カンボジアのメコン流域とその近隣地域で考古学的調査と研究を行った。ベトナム南部においては、メコン・デルタおよびドンナイ川流域の調査を行い、各地で前3世紀以降、河川毎に地域的統一化現象が起きていることを確認した。タイ東北では首長の威信財であったと考えられる銅鼓資料の収集を行い、合わせてメコンおよび支流のムン川、チー川、ソンクラーム川の流域と各河川の合流点が、メコンと支流の河川交通とコーラート高原内陸部とメコン本流およびベトナム沿岸地域との交通の重要な地域であったことを確認した。ラオス南部チャンパサック県の調査では,メコンの河川交通遮断地であるコーン瀑布上流域の河川交通上での経済的、政治的意義を調査した。カンボジアではプノンペン一帯での河川交通の意味を調べるため、メコン、トンレサップ等4つの河川の合流点を考古学的に調査し、博物館資料として保存してあるカンボジアの青銅器、特に銅鼓を中心に資料収集を行った。現地調査の結果、メコン流域とその支流域には、東北タイに代表される鉄や塩、森林産物などの内陸産物を集荷また出荷するセンターが前3世紀ころから誕生したこと、これらのセンターの首長の威信財として東南アジアの代表的青銅器であるヘーガー1式銅鼓が受容されたこと、このような経済的、政治的拠点は、メコン本流とその支流の交通と運輸の拠点、つまり合流点、遮断点、島などに形成されたことが明らかとなった。これらの拠点的地域の中から後1世紀以降の都市の成立さらには国家形成へと進むものがあった。
著者
竹中 千春 網谷 龍介 磯崎 典世 戸田 真紀子 田村 慶子 小川 有美 中田 瑞穂 津田 由美子 合場 敬子 森本 泉 小嶋 華津子 柄谷 利恵子 勝間 靖 浪岡 新太郎 中村 文子 河本 和子 木村 真希子 中村 唯 小倉 清子 サンギータ ラマ アニー ダンダヴァティ ウルバシ ブタリア パメラ フィリポーズ
出版者
立教大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

ジェンダー研究の提起した概念や理論を導入し、国際政治学・国際関係論の再構築をめざすプロジェクトである。グローバリゼーションの波を被る国家や社会、および「国際体制(International Regime)」の変動について、成熟社会・成長社会・危機社会における政治過程と政治現象の事例分析をもとに、現代世界における「ジェンダー・ダイナミクス(gender dynamics)」を分析した。
著者
石川 隆 山沖 和秀 矢崎 義雄 加藤 裕久 鈴木 亨 塩島 一朗 小室 一成 山沖 和秀
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1996

1. CSXとGATA-4によるANP遺伝子の転写調節 ヒトCSXcDNAおよびマウスGATA-4cDNAを発現ベクターに組み込みANP遺伝子のプロモーター領域を含むレポーター遺伝子とともにCOS-7細胞に導入しtrans-activation活性を解析した。CSXによるANP遺伝子の転写亢進には、転写開始点上流-100bpおよび-250bpに存在するCSX結合配列が重要であり、CSXとGATA-4を同時に発現させると、ANP遺伝子の転写は相乗的に亢進し、その協調作用には-250bpに存在するCSX結合配列が必要であった。さらに、CSXとGATA-4はin vivoおよびin vitroにおいて蛋白同士が直接会合した。以上より、心筋に発生早期より発現し異なるDNA binding motifを持つ転写因子であるCSXとGATA-4が、直接的な蛋白-蛋白相互作用を介してANP遺伝子の転写を協調的に制御することが明らかにされた。2. CSX1過剰発現マウスの解析 CSX1過剰発現マウス(Tg)を作製し解析した。Tgは生存及び生殖可能であり、外奇形や成長障害、心不全症状を認めず、心重量の増加も認めなかった。Tgにおいて心臓と骨格筋にCSX1 mRNAの過剰発現が認められた。内因性Csxの発現はCSX1 の過剰発現により有意に増加を認めた。以上より、TgにおけるANPの誘導はCSX1の直接の作用である可能性が考えられた。また、内因性Csxの発現が増加していたことからCsxの発現調節に正の自己調節機構があることが示唆された。3. Csx/Nkx2.5と会合する新たな転写因子Zf11の発見と解析 ヒトCSX遺伝子cDNA全長を用いtwo-hybrid systemにてマウス胎生17日のcDNA libraryをスクリーニングした。20個のうち1個はC2H2型のzinc fingerを11個と核移行シグナルを持つ転写因子と考えられ、Zf11と名づけた。two-hybrid systemではCsxのN-末端とhomeo domainが会合に必要と考えられ、pull down assayではZf11のzinc finger domainが会合に重要であった。マウスのES細胞において、分化前および分化誘導後3日では発現がなく、6日目以降より発現が認められた。8日目よりミオシン等の収縮蛋白の発現が認められ、自発収縮が始まることより、Zf11はこれらの心筋特異的な収縮蛋白などの発現に関与していると考えられた。Whole mount in situ hybridizationにおいて、Zf11は心臓の形成されるマウス胎仔8日目頃より心臓の原基において発現していた。
著者
矢ケ崎 典隆 山下 清海 加賀美 雅弘 根田 克彦 山根 拓 石井 久生 浦部 浩之 大石 太郎
出版者
日本大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2011-04-01

多民族社会として知られるアメリカ合衆国では、移民集団はいつの時代にも異なる文化を持ち込み、それが蓄積されて基層(古いものが残存するアメリカ)を形成してきた。従来のアメリカ地誌は表層(新しいものを生み出すアメリカ)に注目した。しかし、1970年代以降、アメリカ社会が変化するにつれて、移民の文化を再認識し、保存し、再生し、発信する活動が各地で活発化している。多様な文化の残存、移民博物館、移民文化の観光資源化に焦点を当てることにより、現代のアメリカ地誌をグローバルな枠組みにおいて読み解き直すことができる。アメリカ合衆国はまさに「世界の博物館」である。
著者
大仁田 義裕 加藤 信 小森 洋平 酒井 高司 橋本 義武 小池 直之 田中 真紀子 入江 博 宇田川 誠一 谷口 哲也 GUEST Martin 田丸 博士 江尻 典雄 安藤 直也
出版者
大阪市立大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2005

微分幾何学における部分多様体論は,ガウス以来の歴史の長い学問分野で,常に他の諸分野と関わりながら発展してきた.本研究課題は,有限次元および無限次元リー理論,幾何学的変分問題,可積分系理論,幾何解析等の分野と関わり,伝統的な方法を踏まえ無限次元的手法まで視点を広げて,部分多様体論の研究を広範かつ集中的に組織・推進した.有限次元および無限次元等径部分多様体,ラグランジュ部分多様体のハミルトン変分問題,調和写像と可積分系等を研究推進,新しい方法と結果を与えた.また,この研究領域における国際的な協力体制を整備し,若手研究者たちの活動も大いに促進した.
著者
佐藤 哲也 坂本 和子 森本 一成 浦川 宏 大谷 芳夫 松本 裕司 梶原 莞爾 石田 泰一郎
出版者
京都工芸繊維大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2009

本研究では,人間の視感覚によって感じる印象・感情,また,質感がどのようなものであるかを数量的に解析し,消費購買活動にどの程度寄与しているのか考察した.印象と質感ついては,人間の視感覚の本質的な部分の研究を行うとともに,計測手法や統計手法を用いることで,色彩,光沢感などの客観評価の可能性を見出し,生活者が受ける印象については,モノや生活空間から受ける印象の数量的な解析を行い,その特徴を見出した.たとえば,衣服の見た目の風合いは,衣服を見る角度によって変化し,変角分光光度計で計測される反射率や明度によって捉えられることを見出した.また,実際の消費購買活動の研究では,視感覚の消費購買活動への影響について実験・調査を行い,視感覚から得られる情報が消費購買活動に影響を与えていることを見出した.
著者
小澤 徹 小池 茂昭 田中 和永
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2009-04-01

物理現象を記述するモデル方程式として、場の古典論、流体力学、プラズマ物理をはじめ様々な分野に現れる重要な非線型楕円型偏微分方程式について、今まで個別に用いられることの多かった変分解析、非線型常微分方程式、粘性解理論の手法を総合的に駆使することにより、定在波の安定性や爆発現象を深く説明する方法論を確立し、さまざまな応用を見出した。
著者
日比谷 紀之 木田 新一郎 升本 順夫
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2014-04-01

インドネシア通過流(ITF)は、インドネシア多島海の海面水温や水塊の性質を大きく変化させることで、海盆規模の気候変動をコントロールすると考えられている。本研究では、高解像度数値実験を実施し、同海域における潮汐混合の定量化を行うとともに、そのITFへの影響を議論した。数値実験の妥当性は、既存の乱流観測との比較・検討を通じて検証した。数値実験の結果、ITFの東流路において海面水温や水塊の性質が著しく変化すること、さらにそれらの変化が多島海内の狭い海峡内で励起された内部潮汐波の砕波に伴う鉛直混合や、直径数キロメートルのサブメソスケール渦に伴う水平混合に起因するものであることなどが明らかとなった。
著者
松崎 浩之 笹 公和 堀内 一穂 横山 祐典 柴田 康行 村松 康行 本山 秀明 川村 堅二 瀬川 高弘 宮原 ひろ子 戸崎 裕貴
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2010

南極ドームふじアイスコア中の過去72万年にわたる宇宙線生成核種記録を加速器質量分析で分析した。特徴的な宇宙線イベント(ラシャンプ、ブレーク、アイスランドベイズン)を詳細に解析したところ、宇宙線生成核種(特にベリリウム10)の記録が、グn一バルなイベントの記録となっていることが証明された。これにより、古環境研究における、より信頼性の高い年代指標を確立する道が拓けた。
著者
櫻井 鉄也 北川 高嗣 多田野 寛人 佐々木 建昭 長嶋 雲兵 池上 努 立川 仁典
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2009

本研究では, 次世代計算機環境における大規模シミュレーションを実現するために, 特に並列化が困難な内部固有値問題の解法を対象として, 複素周回積分を用いた固有値解法の実用技術を開発した.ここで開発した解法を, マルチコアによる大規模並列環境向けのソフトウェアとして実装した.開発したソフトウェアを複数の応用分野の問題を対象として適用し, 実用性を想定して性能改善を行った.
著者
佐藤 英明 三木 敬三郎 久和 茂 内藤 邦彦 塩田 邦郎
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1995

胚性幹細胞を介した遺伝子導入による形質転換動物の作出法は、標的遺伝子改変ができることなどから、従来の前核へのマイクロインジェクション法(染色体のどの位置に導入遺伝子が挿入するかコントロールすることがむずかしい)に比べてきわめて有効であり、方法の確立が望まれているか、ブタおにいて研究を進めるためには胚性幹細胞、特に生殖系列キメラを形成する肺性幹細胞の樹立が必要である。本研究では生殖系列キメラを形成する胚性幹細胞の樹立を目的として実験を行ったが、成果は次の通りである。(1)卵母細胞の体外成熟、体外受精、体外発生により、成熟未受精卵、胚盤胞期胚を安定して作出する培養敬を開発した。(2)体外で作出した胚盤胞期胚からマウスの胚性幹細胞と形態の一致する多分化能をもつ細胞株を樹立した。(3)樹立した細胞株は脱出胚盤胞に接着させるとキメラを形成した。(4)胚性幹細胞の維持に必要な生理活性物質(白血病抑制因子誘導体など)を同定した。(5)胚性幹細胞を除核未受精卵に移植する方法を開発し、再構築胚の培養法を考案した。
著者
渡邊 悟 深井 克明 長岡 俊治 羽柴 基之 高林 彰 森 滋夫 YAMAZAKI Yoshihisa 山崎 由久 和田 佳郎
出版者
藤田保健衛生大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1995

コンピューターグラフィクス(CG)により立体視可能なバーチャルリアリティ画像を作成し、ゴ-グル上に投影し、動的視覚刺激を行った際の立位姿勢の変化に関するを行った。体動揺の発生と前庭機能との関連を調べるため直線加速度負荷装置を用い、負荷加速度と視覚刺激CGの動きを解析することを目論んだ。平成7年度、8年度の2年間でCG作成が完成させ、更にこの間平成7年度は視覚刺激を用いない正弦波様の直線加速度負荷中の立位姿勢の変化について検討し、比較的低い負荷加速度(0.02-0.04G)では加速度に応じて体の揺れを生じるが、高い負荷加速度(0.06-0.06G)では頭の位置が安定しほぼ垂直位に固定され、前庭-頚反射の関与の大きい事が明らかにされた。解析には身体各部の動揺をビデオトラッカーにより記録し、頚部、躯幹、下肢の筋電図の記録により行った。平成8年度、9年度は専らバーチャルリアリティ画像による視覚刺激を立位姿勢の被験者にゴ-グルを介して与えた。ゴ-グルのスクリーン上に投影された運動画像の提示は姿勢動揺を誘発する。この姿勢動揺と運動画像によって生じる自己運動感覚(vection)との関係を解析した。その結果、視覚刺激の速度成分とvectionの大きさ及び体動揺の大きさにほぼ比例関係を認めた。しかし、周波数のみの変化には殆ど依存しない。正弦波刺激は予測反応がかなり早く現れる。体動揺は暗算負荷により大きな影響を受ける。この際、vectionもはっきりと減少することが明らかとなった。この様なvectionの成因には周辺視野における広い視野の運動感覚が必要であり、視野の運動が自分自身の運動と間違えるという、心理的な現象であり、引き起こされる体動揺が高次な神経活動による結果とみなすことができる。今後、更に視覚系と体動揺によって生じる前庭系との関連に関して解析を行う予定である。
著者
平島 崇男 中村 大輔 苗村 康輔 河上 哲生 吉田 健太 大沢 信二 高須 晃 小林 記之 臼杵 直 安本 篤 Orozbaev Rustam Svojtka Martin Janák Marian
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2013-10-21

本研究課題では、世界で最も冷たい超高圧変成帯であるキルギス、最も温かい超高圧変成帯であるチェコ、その中間型である中国東部に分布する超高圧変成岩を対象とし、地下60-100kmでの流体活動の実態を明らかにし、超高圧変成岩の上昇駆動に関与する深部流体の役割の解明を目指した。超高圧時の温度が1000Cを超えるチェコの研究では、超高圧変成岩が上昇中に減圧部分溶融し浮力を獲得したことを見出した。超高圧時の温度が800C以下のキルギスや中国では、超高圧時でもローソン石・クロリトイド・Ca-Na角閃石等の含水珪酸塩が安定であり、ローソン石などは減圧時に脱水分解し周囲に水を供給していたことを見出した。
著者
鹿島 薫 那須 裕郎 奥村 晃史 本郷 一美 高村 弘毅 吉村 和久 小口 高 西秋 良宏 茅根 創 三宅 裕
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

本研究は、これまで研究の遅れてきた中東および中央アジアにおける平野、盆地、湿地、湖沼などの陸地域における現地調査を行った。これらの地域では多数の遺跡が立地しており、それらを手がかりとして、最新の分析探査手法を用いながら、環境変動の実態を明らかとすることができた。そして地球環境が短期(10~100 年オーダー)で急激に変化してきたという事実とそれが遺跡立地に与えた影響を検証し、それらの結果から今後の地球環境の変動予測への応用を行った。
著者
山野 英嗣 尾崎 正明 稲賀 繁美 川島 智生 加藤 哲弘 河上 繁樹 中川 理 並木 誠士 廣田 孝 前田 富士男 増田 聡 藪 亨 新見 隆 出川 哲朗 中川 克志 松原 龍一 池田 祐子 小倉 実子 牧口 千夏 中尾 優衣 河本 信治
出版者
独立行政法人国立美術館京都国立近代美術館
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2009

本研究は、日本近代における建築、デザイン、工芸を対象としながらも、ジャンルを超え、そして国境を超えた動向について総合的に検証したものである。研究成果は、最終的に一冊の図書としてまとめた他、研究代表者が所属する美術館においても展覧会やシンポジウムを開催し、研究成果を広く発信した。東西の文化交流、そしてジャンル間を交差する表現への注目など、時宜を得たテーマとして、建築、デザインそして工芸の各領域において、新たな視点が提言されたと思われる。
著者
冨田 栄二 佐々木 浩一 赤松 史光 池田 裕二 河原 伸幸 明石 治朗
出版者
岡山大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2010

マイクロ波プラズマの性質を診断して、予混合バーナーおよび火花点火機関の着火に適用した。マグネトロンを電源に用いた場合から研究を始め、このプラズマ発信源を半導体に置き換えることによって安定したプラズマを生成することができた。エタノールのように含水性のある燃料に、マイクロ波プラズマを利用した着火システムは、含水の効果により有用であることが分かった。さらに、含水エタノール燃料の場合、レーザーブレークダウンによるプラズマ生成によっても着火を促進するなど有益な知見を得た。