著者
関 隆晴 釜谷 聡 森口 秀樹 生田 享介 石川 聡子 岡崎 純子
出版者
大阪教育大学
雑誌
大阪教育大学紀要. V, 教科教育 (ISSN:03893480)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.195-202, 2005-09-30

教育大学としての社会貢献活動の一つとして,本学では2002年度より柏原市の小学校に布ける森林体験学習を支援してきた。この取組は1993年以来,柏原市と大阪府中部農と緑の総合事務所が柏原市内の小学校を対象に行なってきた森林体験学習を,小学校への総合的な学習の時間導入を契機に,大阪教育大学への協力要請に基づいて開始したものである。大阪府においては大阪府新農林水産業振興ビジョンにおける「大阪の彩を創ろう」の一環として,中部農と緑の総合事務所が柏原市で取り組む「教育連携タイプ」の地域の森づくり活動である。本学においては,新たな時代に求められる実践的な教員の資質能力を持った学生の育成を目指す活動事例ともなっている。いくつかの機関が連携して協働事業を展開する場合,各機関の目指す目標が一致するとは限らない。それぞれが異なる目標を持って関わる協働事業の実践事例として,柏原市高尾山創造の森をフィールドとした森林体験学習のこれまでの活動を整理・分析することにより,各機関がそれぞれの明確な目標を持って協働事業に取り組むことの重要性を指摘する。
著者
大山 博 寺島 彰 山岡 義典 松井 亮輔
出版者
法政大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

韓国の社会的企業制度はまだ課題も多いことも明らかにした。しかし、わが国では長年、福祉的就労と一般就労という二分法的な制度運用で、その問題が多いことが指摘されてきたが、社会的企業制度は、両者の架け橋的な役割を果たすものとして、わが国でも社会的意義が大きいことがいえる。(2)滋賀県と箕面市の制度は障害者を中心的に対象としており、韓国の脆弱階層より狭くなっている。今日、社会的排除へのインクルージョンが求められており、財政負担問題も含めて国レベルでの制度化が必要である。(3)地域での社会的企業創設に関しては、現在の福祉的就労の状況から、商品開発、生産管理、販路開拓、流通と販売手法などの共同化を図り、さらには、専門性あるスタッフをコーディネーターとして配置した中間支援組織が重要であることを明らかにした。
著者
中西 久枝 内藤 正典 嶋田 義仁 伊勢崎 賢治 大坪 滋 末近 浩太 吉川 元 立山 良司 中村 覚
出版者
同志社大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2010

中東の紛争では、中東の内外からの外部勢力の介入が紛争の長期化をもたらす実態が明らかになった。また、紛争防止策として、(1)国家再建時にすべての勢力をそのプロセスに包含すること、(2)イスラーム社会組織が果たす社会サービスの分配機能への着目、(3)難民や避難民の保護と共生のしくみを域内で構築すること、(4)民主化への移行期は、治安・雇用の創出・市民社会の政治参加への拡大などの課題への舵取りが紛争の再燃防止になること、などが挙げられる。
著者
豊川 慎
出版者
日本ピューリタニズム学会
雑誌
ピューリタニズム研究 (ISSN:18816630)
巻号頁・発行日
no.4, pp.40-52, 2010-02-28

It is well known that A.D. Lindsay (1879-1952) found out one of sources of the modern democracy in the Protestantism, especially in the seventeenth-century England Puritanism. In order to address the complex interactions between the modern democracy and Protestantism including Puritanism, in this article I critically explore A.D. Lindsay's theory of democracy and its relation with Puritanism, focusing on his democratic theory on discussion, consent, voluntary association and so on. By doing so, I will reconsider issues on the Post-war democracy in Japan where Lindsay's political thought had been translated and introduced before and after the Second World War.
著者
荒木 崇 遠藤 求 山口 礼子
出版者
京都大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2007

フロリゲン(花成ホルモン)の実体がFTタンパク質であること、輸送される主要な形態は蛋白質であってmRNAではないことを明らかにした。FTタンパク質の長距離作用能と輸送能において重要なアミノ酸残基を見いだし、輸送とその調節機構を解明するための糸口を得た。FTタンパク質のパートナーであるFD蛋白質のリン酸化を実証し、14-3-3タンパク質を介した複合体形成に必須であることを示した。フロリゲンの新たな役割として、側芽分化と側枝伸長の調節を見いだし、BRC1タンパク質が側芽・側枝におけるフロリゲン複合体の活性調節因子であることを明らかにした。
著者
林 暎得 四手井 綱英
出版者
一般社団法人日本森林学会
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.56, no.4, pp.122-127, 1974-04-25
被引用文献数
6

アカムツの種子におよぼす動物の影響に関する調査を上賀茂の京大演習林, 滋賀県の日野町有林と田上国有林および京都府立大の大枝演習林で1972年7月から1973年6月まで行った。林外・林縁および林内で発芽率の差は見られなかったが, 林外では稚樹の発生は林縁や林内にくらべてはやかった。天然更新稚樹の本数密度は林縁から林内に入るにしたがって減少していた。林内の動物の影響は種子の密度と関係なく常に高い被食率(90〜100%)が詔められた。一方, 林外や林孔の場合には密度の増加にしたがって被害も大きくなった。林縁から林内に入るにしたがって動物による被害は大きくなった。そしてこのことが林内で稚樹が少ない一つの原因ではないかと思われる。調査地において林内の動物の影響は林縁・林外・林孔にくらべて常に多かった。そして動物による被害の内訳をみると鳥によるものが一番多く, 次にノネズミ, そして土壌昆虫の順であった。昆虫の影響はわずかであった。現在まで帯状皆伐はアカマツの天然更新の作業法として推奨されてきたが, 動物による被害のあらわれ方からみても有利であろうと考えられる。すなわち帯状伐採地は光条件を良くすること以外に種子に対する動物の影響を緩和することによってアカマツの更新を容易にしていると思われる。
著者
秋野 裕信 石田 泰一 伊藤 靖彦 棚瀬 和弥 磯松 幸成 村中 幸二 森 啓高 金丸 洋史 岡田 謙一郎
出版者
泌尿器科紀要刊行会
雑誌
泌尿器科紀要 (ISSN:00181994)
巻号頁・発行日
vol.43, no.4, pp.257-262, 1997-04
被引用文献数
6

1983年10月~1995年6月迄に福井医科大学において治療した腎盂尿管癌40例に関して臨床的検討を行った.平均年齢は65歳,男女比は1.5であった. 1)組織型は全例移行上皮癌で,深達度では壁内浸潤(pT1とpT2)を12例,壁外浸潤(pT3とpT4)を19例に認めた.リンパ節転移は12例に,遠隔転移は4例に認められた. 2)腎盂・尿管壁内脈管侵襲としてリンパ管侵襲を63%に,静脈侵襲を46%に認め,その頻度は深達度,異型度と関連した. 3)膀胱癌の併発を21例に認めた. 4)全症例での5年生存率は57.1%で,深達度,脈管侵襲が予後と有意に関連していたWe reviewed 40 patients with renal pelvic and/or ureteral transitional cell carcinomas, consisting of 24 males and 16 females with a mean age of 65 years. The histopathological stage of surgically removed specimen was pTa in 6 patients, pT1 in 7, pT2 in 5, pT3 in 11 and pT4 in 6. Three patients with Tis and 2 with T3 did not undergo surgery. Of 35 patients pathologically examined, lymphatic and venous invasions were detected in 22 (63%) and 16 (46%), respectively, and were associated with pathological stage and grade. Overall the 5-year actuarial survival rate was 57.1%. Tumor staging and vascular invasion had a prognostic significance on the treatment outcome, but not metachronous or synchronous bladder cancer, identified in 55% of the patients. Adjuvant chemotherapy appeared to improve the survival of the patients with tumors pT2 or higher, grade 3 or vascular invasion without metastases.
著者
大野木 碧 斎藤 英雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HIP, ヒューマン情報処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.536, pp.83-88, 2006-01-13

集合写真を撮影する際, 2つの困難な点がある.1つは, 撮影対象となる人数が多いため1枚の写真にすべての人を収めるのが難しいという点である.2つめは, それぞれのタイミングで表情が変化するため, すべての人が同じ瞬間にベストショットの表情をすることが難しい点である.そこで本論文ではビデオカメラにより対象を撮影し, イメージモザイキングを用いて集合写真を合成する.そして, 提示された集合写真からユーザがインタラクティブに指定した人物の顔領域を交換できるシステムを提案する.本手法では, まず, KLT Feature Trackerによりフレーム間の対応点を抽出し, 画像間のホモグラフィを算出する.算出されたホモグラフィにを用いて, 画像をつなぎ合わせることによってシステム側がデフォルトの広角集合写真を提示する.ユーザは提示された集合写真に対して, 顔領域を交換したいと思った人物を指定し, それに対してシステムがホモグラフィを用いて入力動画像列から同一人物の顔領域を自動的に抽出する.そして, 抽出された交換顔領域の候補からユーザが交換する顔を指定することによって, インタラクティブな顔領域の交換を可能とした.
著者
甲元 啓介 伊藤 靖夫 秋光 和也 柘植 尚志 児玉 基一朗 尾谷 浩 DUNKLE L.D. GILCHRIST D. SIEDOW J.N. WOLPERT T.J. JOHAL G. TURGEON B.G. MACKO V. 田平 弘基 YODER O.C. BRIGGS S.P. WALTON J.D. 宮川 恒 朴 杓允 荒瀬 栄 BRONSON C.R. 小林 裕和 中島 広光
出版者
鳥取大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1996

1) リンゴ斑点落葉病菌の宿主特異的AM毒素の生合成に関与する遺伝子: 環状ペプチド合成酵素(CPS)遺伝子のユニバーサルPCRプライマーを利用して得たPCR産物は他のCPS遺伝子と相同性が認められ、サザン解析の結果、AM毒素生産菌に特異的に存在する配列であることが判明した。本遺伝子断片を用いた相同的組込みによる遺伝子破壊により、毒素非生産形質転換体が得られ、さらに野生株ゲノムライブラリーをスクリーニングして、完全長のAM毒素生合成遺伝子(AMT)のクローニングに成功した。AMTは13KbのORFをもち、イントロンはなく、毒素構成アミノ酸に対応するアミノ酸活性化ドメインが認められた。2) ナシ黒斑病菌のAK毒素生合成遺伝子: REMIによる遺伝子タギング法を用いて毒素生産菌に特異的に存在する染色体断片から、AKT1(脂肪酸合成)、AKT2,AKT3(脂肪酸改変),AKTR(発現調節因子)、AKTS1(AK毒素生合成特異的)の5つの遺伝子を単離した。また、AK毒素と類似の化学構造を有するAF及びACT毒素の生産菌も、本遺伝子ホモログを保有することが明らかとなった。3) トウモロコシ北方斑点病菌の環状ペプチドHC毒素の生合成遺伝子TOX2の解析が進み、特異的CPS遺伝子HTS1のほかに、TOXA(毒素排出ポンプ)、TOXC(脂肪酸合成酵素b*)、TOXE(発現調節因子)、TOXF(分枝アミノ酸アミノ基転移酵素)、TOXG(アラニンラセミ化酵素)などが明らかとなった。4) トウモロコシごま葉枯病菌のポリケチドT毒素の生合成遺伝子TOX1は、伝統的遺伝学手法では単一のローカスと考えられていたが、今回の分子分析でTOX1AとTOX1Bの2つのローカスからなり、それぞれ異なった染色体上に存在することが明確となった。5) ACR毒素に対する特異的感受性因子を支配している遺伝子(ACRS)を、ラフレモンmtDNAからクローニングした。この遺伝子は大腸菌で発現した。6) リンゴ斑点落葉病感受性(AM毒素のレセプター)遺伝子を求めて、プロテオーム解析によりAM毒素感受性リンゴに特異的に発現しているタンパク質(SA60)を検出した。7) 宿主特異的毒素の生合成遺伝子は水平移動で特定の菌糸に導入されたと推論できた。

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著者
吉田 文紀
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子 (ISSN:04541138)
巻号頁・発行日
vol.15, no.11, pp.952-956, 1966-10-20 (Released:2011-09-21)
著者
宍戸 清一郎 早川 正道 比嘉 功 小山 雄三 秦野 直 大澤 炯
出版者
泌尿器科紀要刊行会
雑誌
泌尿器科紀要 (ISSN:00181994)
巻号頁・発行日
vol.36, no.4, pp.401-405, 1990-04

From March, 1986 through June, 1988, the reduced M-VAC (methotrexate, vinblastine, doxorubicin, and cisplatin) regimen was used to treat 6 patients with metastatic or locally invasive transitional cell carcinoma of renal pelvis and ureter. Out of 5 evaluable patients with advanced stages (N+ and/or M+) pathological complete remission and partial remission were observed in one patient each and minor remission in two patients inspite of our reduced regimen according to performance status of the patients. Toxicity was rather mild except in one patient who showed severe myelosuppression. This regimen seems to give favorable antitumor activity against transitional cell carcinoma of upper urothelium.
著者
牧野 文子 瀬戸口 尚志 和泉 雄一 末田 武
出版者
特定非営利活動法人日本歯周病学会
雑誌
日本歯周病学会会誌 (ISSN:03850110)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.233-239, 1998-06-28
被引用文献数
1

歯周疾患患者において歯ブラシの植毛部の形態の違いが隣接面部のプラーク除去効果に及ぼす影響を調べるため,2種類の歯ブラシ(ストレートカット歯ブラシ,山切りカット歯ブラシ)を試作し検討した。成人性歯周炎と診断され歯周治療を終了した,メインテナンス中の患者34名(男性8名,女性26名)を被験者とし,山切りカット歯ブラシ群,ストレートカット歯ブラシ群,ストレートカット歯ブラシと歯間ブラシ併用群の3群に分け,各ブラシを3週間使用させた。ブラッシング法や回数などは特に規定しなかった。プラーク付着量を実験開始時から1週毎に3週調べた。また,実験開始時および終了時にProbing Depth, Gingival Index, Bleeding on Probingを測定した。その結果,山切りカット歯ブラシは,ストレートカット歯ブラシに比べて,有意に隣接面のプラーク除去に対して効果的であったが,歯間ブラシ併用程の効果はなかった。また,この山切りカット歯ブラシは歯間空隙の大きな部位に比べ,小さな部位において効果が高かった。
著者
松岡 聡 吉松 定昭 小野 哲 一見 和彦 藤原 宗弘 本田 恵二 多田 邦尚
出版者
日本海洋学会
雑誌
沿岸海洋研究 (ISSN:13422758)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.77-84, 2005-08-26
被引用文献数
13

2002年度冬季,香川県沿岸では例年にないノリの不作が起き,ノリの生産金額は,平年の6割にまで減少した.ノリの色落ちが認められた水域の分布を詳細に検討したところ,特に不作であった海域は小豆島の北部および南西部海域であり,この地区の生産金額は平年の3割程度であった.過去12年間における年間ノリ生産量と漁期中の積算降水量との間には,正の相関関係が認められ,陸上からの栄養塩の供給がノリ生産量に大きく影響していることが考えられた.ノリ色落ち被害が顕著であった海域を対象に海洋観測を行った結果,色落ち被害の発生直後の2003年1月では,対象海域の塩分は33psu以上と例年よりも高く,栄養塩濃度もNO_3濃度が例年と比較して,3μM未満と低かった.このことから,例年に比べて,対象海域への陸域からの栄養塩の供給が少なかったことが考えられた.一方,2003年の梅雨期の6月には,対象海域の塩分は低く,栄養塩濃度も高かった.さらに,ノリの生育がほぼ正常であった翌年の1月では,2003年1月に比べて塩分は低く,栄養塩濃度も高くなっていた.以上の結果から,2002年度にノリの色落ちは,秋期の降水量が少なかった事が主な原因と考えられ,ノリの色落ち被害が顕著であった海域のノリ生産には,岡山県側の旭川・吉井川河口域(岡山水道)からの栄養塩供給が重要な影響を及ぼしていることが考えられた.
著者
阿部 和時 黒川 潮 浅野 志穂 岡本 隆 松山 康治 落合 博貴 寺嶋 智巳 島田 和則 野口 宏典 大丸 裕武 宮縁 育夫 小川 泰浩
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.91-96, 2002-08-31
被引用文献数
6 4

2000年6月から始まった三宅島の火山活動による多量の降灰で雄山山腹の植生は壊滅的被害を受けた。この影響で泥流災害が島全域で発生し,現在も危険性は非常に高い状態にあると考えられる。本研究では,このような火山降灰地帯が形成された直後の激しい土壌侵食の実態を実証的に明らかにすることを目的とした土壌侵食の発生状況は降灰による森林被害の程度と相関性があると推察されるので,空中写真による森林被害区分を行い,それぞれの区分において現地水路侵食実験で侵食特性を検討した。その結果,降灰が堆積し形成された地表面は流速が20〜35cm/secと早く,浸透性が低いこと,しかし流出土砂量は降灰層中に枝葉が混入した地区よりも少ないこと等が示された。このデータをもとに汎用土壌侵食式(USLE)によって相対的な面状侵食の危険度を,火口を中心とした14.5km^2の範囲について示した。
著者
福録 恵子 荻野 敏
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.50, no.4, pp.385-393, 2001
被引用文献数
15

通年性アレルギー性鼻炎は患者の日常生活に様々な影響を及ぼす.しかし患者の主観的健康観については現在よくわかっていない.そこで通年性アレルギー性鼻炎患者のQOL向上のため,個別的ケアに役立つ情報の一般性評価を目的としSF-36を用いて主観的健康観のQOL測定をおこなった.14施設において,1999年6月から同年8月にかけて,外来受診した通年性アレルギー性鼻炎患者252名を対象とした.その内,有効回答を得た249名について患者背景因子を調査し,健康関連QOLスコアに影響を与える因子の同定を行った.また,健康人及びスギ花粉症患者とのHRQOLスコアを比較検討した.結果として,年齢,性別,合併症の数は,HRQOLに対する有意な寄与因子であった.鼻閉がQOLに最も大きい影響を及ぼしており,他症状と比較し重症度に及ぼす影響が大きいと考えられた.スギ花粉症患者と通年性アレルギー性鼻炎患者は健康人と比較し,QOLスコアが有意に低下していた.両者に有意差は認められないが,スギ花粉症患者は通年性アレルギー性鼻炎患者と比較し低いQOLスコアを示した.
著者
手島 孝人 丹 明彦 渡辺 奏 吉田 健一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B, 通信 (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.92, no.10, pp.1566-1578, 2009-10-01
被引用文献数
5

インターネット上の通信を使ったアプリケーションが一般化し,遅延やパケットロスなどの通信品質への要求水準が高まる一方,そのようなアプリケーション自身を使った通信品質計測が可能になってきた.本論文ではその一例として,全世界で稼動しているオンラインゲームを使った通信品質計測実験について述べる.実験では実際に稼動しているオンラインゲームの通信状況を分析し,世界163ヵ国(地域)・IPアドレスで数えて120万ホスト間の通信遅延やその揺らぎなどの実データを1,600万点以上得た.本論文でははじめにその計測方法の特色について説明し,次に同一国内通信や国際通信における遅延の状況,国ごとの特色,帯域別・時間帯別に見た遅延の変化について計測結果を報告する.
著者
河西 宏祐
出版者
早稲田大学
雑誌
早稲田大学人間科学研究 (ISSN:09160396)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.49-66, 2004-04-01

Recently, as a result of economic globalization, the movement towards deregulation in all sectors has advanced quickly even in Japan. In 1996, the government announced a deregulation policy for the private railway industry, and, on 1 February 2002, the deregulation of the passenger-bus industry took effect. According to the policy, the entry of newcomers into the bus industry, the establishment of lines and the setting of fares were to be liberalized. Based on market economics, the government had, even in the railway industry, rushed into the age of free competition. The private railway industry had five to six years-from the announcement of the government's private railway deregulation policy until the policy was to come into effect-in which to prepare for the advent of this age of free competition. In order to achieve a "reduction in labor costs," the management side carried out a program of severe management rationalization. Major management rationalization took place even at "Company A," which had in 1993, before deregulation, already introduced a "transformed system of working hours" as a pretext for reduced working hours. In "Company A", a "reduction in labor costs" was later pursued, and a program of severe management rationalization was carried out. This included stand-alone profitability based on in-house spin-offs, wage reductions, wage-rise suspensions, reductions in retirement allowances, the abolition of fringe benefits, changes in the salary system (from seniority-based to ability-based wages) and so on. This research brings together several focal points in the period before deregulation (1996-2002), and through survey research empirically examines the evidence of how the management side at the company level, along with the labor unions, dealt with deregulation and, as a result, how management-labour relations changed. In addition, This research also examines the possibilities and limitations of the kind of functions displayed by the labor unions at the company level.