著者
井上 雅 横山 光彦 石井 亜矢乃 渡辺 豊彦 大和 豊子 公文 裕巳
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.62, no.3, pp.359-362, 2011 (Released:2011-09-15)
参考文献数
11

尿管結石の疝痛発作に対して芍薬甘草湯を投与し,その臨床的有用性を非ステロイド性消炎鎮痛剤(NSAIDs)と比較検討した。対象は尿管結石患者25名で,11名に対し芍薬甘草湯5.0gを内服させ,コントロール群として,14名にNSAIDsを内服させた。内服時,内服後15分,30分,60分にNRS(numerical rating scale)を用いて比較検討した。NRSは0点を全く痛みなし,10点を最も強い痛みとした。結果は芍薬甘草湯内服群では内服時NRSは6.7 ± 2.3点で,内服後15分で3.4 ± 3.5点と有意に軽減した。NSAIDs内服群では内服時8.3 ± 1.8点で,内服後15分では7.0 ± 1.9点と有意な鎮痛効果は認めたが,鎮痛効果は芍薬甘草湯の方が有意に優れていた。その他の時点においても同様の結果で,芍薬甘草湯は尿管結石の疝痛発作に対して即効性があり,NSAIDsよりも有意に鎮痛効果を認めた。
著者
川瀬 基弘 村松 正雄 横山 悠理 横井 敦史 熊澤 慶伯
出版者
名鉄局印刷株式会社
雑誌
瀬木学園紀要 = Sekigakuen Kiyo
巻号頁・発行日
no.17, pp.3-8, 2020

Molecular phylogenetic analyses were conducted for Anodonta individuals from Okumikawa, Aichi Prefecture, Japan. Mitochondrial DNA sequences of these individuals were nearly identical to those of Buldowskia shadini that occurs from the Amur River basin in Russia, northeastern China, and Mongolia (Buir Lake) to South Korea. This is probably the first record of the species from Japan.
著者
相川 駿 松嶋 真哉 横山 仁志 武市 梨絵 堅田 紘頌 渡邉 陽介 中田 秀一 中茎 篤
出版者
一般社団法人 日本集中治療医学会
雑誌
日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.99-104, 2021-03-01 (Released:2021-03-01)
参考文献数
16

【目的】functional status score for the ICU(FSS-ICU)が自宅からICUに入院した本邦の重症患者において,急性期病院から直接自宅退院が可能か否かを予測する因子であるかを確認し,その目安となるカットオフ値を検討することである。【方法】対象は2017年4月1日から2019年3月31日までに,自宅から当院のICUに入室し48時間以上の人工呼吸管理を要した成人とした。調査項目はICU退室時のFSS-ICUおよび当院退院時の自宅退院の可否などを診療録より後方視的に調査した。【結果】解析対象は200例(年齢:72.0[58.0〜80.0]歳,男性:120例(60.0%),APACHEⅡscore:24.6±7.9点,FSS-ICU:12.5[0.0〜22.0]点)であり,その内訳は自宅退院群が61例(30.5%)であった。結果,FSS-ICUは自宅退院の可否の有意な予測因子であり(OR:1.200,95%CI:1.120〜1.290,P<0.001),そのカットオフ値は16点であった。【結論】FSS-ICUは自宅からICUに入院した本邦の重症患者においても,急性期病院から直接自宅退院が可能か否かを予測する因子であり,そのカットオフ値は16点であった。
著者
横山 俊一
出版者
東京都立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2020-04-01

Julia 言語を用いた新しい数式処理システム Nemo の開発を通して,以下の課題を解決することを目指す.1) AbstractAlgebra.jl の開発を通して,拡大体(とくに局所体)の高速計算アルゴリズムを提案し,高次拡大体の計算や高速同型判定を可能にする.2) Hecke.jl の開発を通して,数論幾何的対象(楕円曲線やモジュラー形式)の計算パッケージを実装し,代数体上の楕円曲線の効率的探索を実現する.また,以上の実装を用いて大規模探索を行い,数論データベース LMFDB の拡張プロジェクトへの貢献を目指す.
著者
横山 顕 大森 泰
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.110, no.10, pp.1745-1752, 2013 (Released:2013-10-07)
参考文献数
36
被引用文献数
1

飲酒,喫煙,野菜果物不足,やせ,頭頸部癌既往,アルコール脱水素酵素1B(ADH1B)低活性型とアルデヒド脱水素酵素2(ALDH2)ヘテロ欠損型は,食道癌の危険因子である.多発ヨード不染帯,メラノーシス,MCV増大もリスクを高める.ALDH2欠損でアセトアルデヒドが蓄積し,ADH1B低活性でエタノールへ長時間曝露される.両遺伝子型+飲酒+喫煙で357倍のリスクとなる.ビールコップ1杯で赤くなるか,現在と過去の体質をたずねる簡易フラッシング質問紙法は,精度90%でALDH2欠損を判別し,飲酒・喫煙・食習慣と組み合わせた食道癌リスク検診問診票の高スコア群の癌の頻度は高い.予防の新戦略となる遺伝子解析の普及が望まれる.
著者
井上 敦 一方井 祐子 南崎 梓 加納 圭 マッカイ ユアン 横山 広美
出版者
科学技術社会論学会
雑誌
科学技術社会論研究 (ISSN:13475843)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.64-78, 2021-05-20 (Released:2022-05-21)
参考文献数
71
被引用文献数
1

本稿では,ジェンダーステレオタイプと理系への進路希望との関係を調べ,ジェンダーステレオタイプが理系選択の障壁になっているのかを考察した.2012 年に実施された「高校生と母親調査」のデータを用いて分析したところ,「男は外で働き,女は家庭を守るべきである」という性別役割分業に関するジェンダーステレオタイプを肯定した女子生徒に比べて,肯定も否定もしなかった女子生徒および否定した女子生徒は,理系を希望する確率が高く,統計的に意味のある差が確認された.一方で,「男性の方が数学や専門的な技術を使う能力が高い」という能力に関するジェンダーステレオタイプは,男女ともに,理系への進路希望とは統計的に意味のある関係は確認されなかった.また,理系科目の成績,親の学歴や世帯年収といった家庭環境も,理系への進路希望と統計的に意味のある関係を持っていることが確認された.性別役割分業をはじめとする社会全体に未だ根強い男女不平等観を解消することは,女子生徒の理系分野への進路選択の障壁を取り除くことにも大きく貢献するものと考えられる.
著者
金子 博和 江畑 智希 横山 幸浩 伊神 剛 山口 淳平 梛野 正人
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.77, no.8, pp.2048-2052, 2016 (Released:2017-02-28)
参考文献数
10

症例は65歳,男性.肝S6の限局性肝内胆管拡張を認め当院紹介.ERCPではB6の限局性胆管狭窄と末梢の胆管拡張を認めたが,CTでは腫瘤像を認めなかった.ENBDをB6に留置し,6回胆汁細胞診を提出したがいずれも悪性所見を認めなかった.PET-CTでも異常集積を認めなかったため,炎症性胆管狭窄と考え経過観察となった.その後,徐々にCA19-9が上昇し,腹部CTで肝S5/6の腫瘤性病変が顕在化してきたため,初回受診時から11カ月後,肝後区域切除を施行した.病理組織学的所見は中分化管状腺癌であった.肝内胆管拡張のフォローアップの重要性を改めて認識した1例を経験したので報告する.
著者
松原 健太郎 山田 爽太 横山 瑞季
出版者
一般社団法人 電気学会
雑誌
電気学会論文誌B(電力・エネルギー部門誌) (ISSN:03854213)
巻号頁・発行日
vol.143, no.3, pp.NL3_7-NL3_11, 2023-03-01 (Released:2023-03-01)
参考文献数
6

山岳地帯などの遠隔地において,ドローンに無線LANのアクセスポイントを設け,遭難者の携帯電話と通信し,それをもとに捜索するシステムの構築。本研究では自律飛行型ドローンに小型コンピュータを搭載し,遭難者のスマートフォン等通信機器と無線LANによる通信を行うことによって捜索する。
著者
佐賀 朝 松井 洋子 小野沢 あかね 人見 佐知子 横山 百合子 吉田 伸之 金 富子 吉田 ゆり子 塚田 孝 神田 由築 浅野 秀剛 米谷 博 杉森 哲也 初田 香成 松田 法子 本康 宏史 齊藤 俊江 松田 有紀子 屋久 健二 吉元 加奈美 武林 弘恵 ボツマン ダニエル
出版者
大阪市立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2015-04-01

本研究では、日本近世~近代における国内各地や植民地の遊廓の調査を進め、遊廓の開発や社会=空間構造を分析するとともに、一次史料を用いて、遊女屋・貸座敷の経営内部における女性たちへの抑圧と搾取の構造の解明も進めた。その結果、近世後期以降の遊廓の大衆化と全国的普及の過程で女性たちに対する搾取が強化される一方、明治維新に伴う公娼制度の改革を経て、女性たちが多様な手段を用いて搾取や暴力に直接・間接に抵抗し、それが遊廓社会の変容を促していくことも明らかになってきた。継続的な現地調査や研究会と研究者のネットワーク化、「遊廓・遊所研究データベース」の充実により、新しい遊廓研究が現れてきた点も重要な成果である。
著者
瀬川 結美 木越 みち 高井 力 竹村 寛子 横山 美咲 高橋 菜奈子
出版者
国公私立大学図書館協力委員会
雑誌
大学図書館研究 (ISSN:03860507)
巻号頁・発行日
vol.121, pp.2136, 2022-08-31 (Released:2022-08-31)

東京学芸大学附属図書館は,長年蓄積したデジタルアーカイブを活かすため,歴史的典籍NW事業参加によるコンテンツ拡充,デジタルアーカイブシステム導入に伴うメタデータ整備やIIIFフォーマット対応,データオープン化を行った。これら基盤的整備と並行して,教員養成系大学附属図書館として初等中等教育現場での利活用を目指し,他システムとの連携による翻刻,学校教材としてのデジタルアーカイブ提案に向けた試み「学校教材発掘プロジェクト」を実施した。一連の取組みと今後の課題と展望について報告する。
著者
横山 仁史 髙垣 耕企 神原 広平 神人 蘭 岡本 泰昌
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
認知行動療法研究 (ISSN:24339075)
巻号頁・発行日
vol.47, no.3, pp.295-306, 2021-09-30 (Released:2022-01-12)
参考文献数
20

心理療法のエビデンスは介入前後の標的指標の差に基づくものが多く、その治療効果がどのように実施された結果得られたのかについて定量的な情報は乏しい。心理療法は言語を主手段とするが、近年、言語情報に対してデータ駆動型の計算アプローチによって客観的かつ再現可能なモデルを生成するトピックモデルが注目されている。本研究では、構造化された1事例の行動活性化中の会話データから、時系列構造を有する動的トピックモデルが治療セッション内容を抽出可能かについて検討を行った。結果として、会話に関する潜在的な四つのトピックが抽出され、それらの量的変動過程が治療プログラムを反映していることが示された。本研究は動的トピックモデルを心理療法中の会話に対して用いた最初の研究であり、これによる実際の治療プロセスの定量化と作用エビデンスの蓄積が期待できる。
著者
横山 和正 服部 信孝
出版者
順天堂医学会
雑誌
順天堂醫事雑誌 (ISSN:21879737)
巻号頁・発行日
vol.60, no.Suppl.2, pp.s53-s59, 2014 (Released:2015-02-14)
参考文献数
25

ワクチンというと皆さんはエドワードジェンナーについて学生時代に学んだかもしれません.当時経験的に知られていたのは,牛痘にかかったヒトは天然痘にかからないですむ,もしくは天然痘にかかったとしても死に至らず天然痘感染による症状が軽くすんでいたことから治療への応用が検討されました.他の医師が行った実験治療では多くの死亡事故もあったようです.それを踏まえてジェンナーが行ったのは,天然痘予防のためのウシ天然痘(牛痘)のヒトへの接種実験でした.現在ワクチンという呼び名で一般化したこの試みは見事に成功し数多くの人命が救われ,184年後の1980年5月,WHO(世界保健機関)は天然痘の根絶を宣言しました.このようにワクチンは正しく使用すれば効果も高く,社会に貢献するのはあきらかですが例外もあります.本日参加された皆さんはワクチンの適応,時期,その限界や副作用についてもよく知っておく必要があると思います.繰り返しになりますが,ワクチンに限らず万人に対して同じ作用・効果を起こす薬剤は存在しませんし,個々のワクチン接種時の免疫状態によって効果や副作用が変化する可能性もあるのです.またご自身,家族,友人,会社,村,市,地方,県,国,世界と接種対象のスケールアップに伴いワクチンの主たる目的も変わってきます.ワクチンはもともと個人の体内に存在していない異物(非自己)を,皮下,筋肉注射,静脈注射,経鼻,経口ルートから投与し,個人のもつ免疫能を強制的に賦活させるものです.よって,場合によっては死に至るような重篤な副作用を起こす可能性が常にあります.今回の公開講座は広くワクチンの特集であり,他の演者からすでにそれぞれの分野における最新の報告が行われてきたかと思いますが,私の講演ではインフルエンザワクチンにより起こりうる神経系の副作用についてまずお話をします.また,最近話題になっている子宮頸癌ワクチンと神経系への副作用,さらには私の主たる研究である多発性硬化症のワクチンを利用した免疫治療が歴史的にどのように行われてきたかについて述べ,日本でも増加しているアルツハイマー病に対してのワクチンによる免疫治療とその誤算,最後に今後日本でもますます増えるであろう様々なワクチンにどう向き合うかの基本姿勢についてまとめて述べます.自己を病気から守るためには非自己である感染のみならず,自己に対しての過剰反応である免疫現象を理解することが必要不可欠なのです.
著者
柏崎 礼生 北口 善明 近堂 徹 楠田 友彦 大沼 善朗 中川 郁夫 阿部 俊二 横山 重俊 下條 真司
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.1140-1150, 2014-03-15

大規模災害による危機意識の高まりから災害回復(Disaster Recover: DR)を実現するための技術として遠隔地データセンタでのバックアップや分散ストレージに注目が集まっている.現在我々は金沢大学,広島大学,国立情報学研究所を中心として広域分散型のストレージ環境の構築を進めている.この環境は,ランダムアクセス性能の高さに特徴があり,かつ各拠点から同じデータにアクセスできるため,ライブマイグレーションにより他拠点においてサービスを継続することが可能となる.本稿では本環境におけるI/O性能を評価し,広域分散ストレージを用いたライブマイグレーション実験について述べ,有用性を示す.